チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲【聴いてみよう】Tchaikovsky: Variations on a Rococo Theme, Op.33, TH.57

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チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲【YouTube】

チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲  ミッシャ・マイスキー パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団 2018年4月27日コンサートの模様です。チェロ:ミッシャ・マイスキー パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団 
Mischa Maisky Paavo Järvi hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony 出典:YouTube Tschaikowsky: Rokoko-Variationen ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Mischa Maisky ∙ Paavo Järvi hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony

チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲【名盤・おすすめ】

ポール・トルトゥリエ チャールズ・グローブス ロイヤル・フィル 🥰

チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 ポール・トルトゥリエ チャールズ・グローブス ロイヤル・フィル 1988年 Tchaikovsky: Variations on a Rococo Theme, Op.33, TH.57 Paul Tortelier Charles Groves Royal Philharmonic Orchestra

トルトゥリエさんの演奏は、かなり苦みと渋みを含んだ演奏です。チャイコの楽曲は、しっとりとした甘みのあるものですが、まさかねえ、この曲まで渋い、地味ってことはないだろう~と思って聴いたのですが。アハハ~っ。やっぱり渋かった! ロストロポーヴィチさんの雄渾で華麗な演奏とは、うってかわって、テンポは遅め、一音一音を噛みしめるかのように弾かれており、決して安直に流れません。そこまで、寂しく弾かなくても良いのではと思うほど。

楷書体の演奏なので、装飾音は、しっかり聞き取れ、ラストでは熱くなるのですが、草書体で、かなぐり書いたというような勢いのあるドラマティックな演奏とは、完全に無縁です。P・トルトゥリエさんは、1914年生まれのフランス人のチェリストです。1988年の録音なので、70歳半ばの演奏です。フランス人気質の(勝手なイメージですが)軽妙な演奏ではなく、無骨で、がっしり骨太の音で奏でられています。

何にも動じない雰囲気すら漂っており、超然としています。高音のシュルシュル~っとした難しそうなテクニック、装飾的な音が散りばめられる多彩な変奏曲ですが、どこまでも規則正しく、丁寧でキッチリとした楷書体です。乾いて枯れた音質で、居住まいを正さないと叱られそうな気がします。まるで、座禅を組んでいるような感じ、孤高の剣士という感じの演奏です。緊張感のある演奏でした。原盤はCarlton  発売レーベルはRegis(レジス)リマスタリング盤 当盤以外にも1973年録音 ヤン・パスカル・トルトゥリエと、ノーザン・シンフォニア・オブ・イングランドとのEMI盤もあるようですが、未聴です。

CDカップリング:エルガー チェロ協奏曲、チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲、ドヴォルザーク ロンド ト短調(チェロとピアノのための)Op.94、エルガー 弦楽セレナーデ 出典:YouTube Variations on a Rococo Theme in A major Op.33 (1989 Remastered Version) ポール・トルトゥリエ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ カラヤン ベルリン・フィル 🥰

チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1968年 Tchaikovsky: Variations on a Rococo Theme, Op.33, TH.57 Mstislav Rostropovich Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker

ロストロポーヴィチさんの演奏は、繊細かつ豪快、装飾的なフーレズを、甘く優雅に、ゆったり歌うように演奏されており、ひとことで言ってしまうと陶酔型でしょうか。大河のごとく情感たっぷりに、大きくうねります。甘いところは存分に溶けちゃうような歌われちゃうので~ 泣きの涙ということになります。タメて、タメて~ うっ、うっ、うぐぐぐぅ~っというよう泣き方です。たっぷり間合いをとった、間合いの芸術とも言えます。

また、超絶技巧的なフレーズでは、舌を巻く感じで、高音域の音は、するする~っとのぼり、頭の後ろが、すわーっとなるような美しい音となって出てくる。もちろん、カラヤンの指揮も、流麗で華麗だが、ここでは、チェロの聴かせ満載の楽曲なので邪魔はしていません。オーボエは、身悶えするような感じでチェロに寄り添っています。すごいテクで聴かせてくれるのですが、それよりも、よくまあ、これほどまでに、たっぷりに演奏されると~ ノックアウト。いささか時代がかってはいますが、心の底から、喜び、泣いても良いんじゃない?

全体で20分にも満たない小品ですが、変奏曲なので、演奏を聴く場合、細かくインデックスで区分されています。

フィッツェンハーゲン版
第1変奏(原典版の第1変奏 以下同じ) Tempo della Thema
第2変奏(第2変奏) Tempo della Thema
第3変奏(第7変奏) Andante sostenuto ハ長調
第4変奏(第5変奏) Andante grazioso
第5変奏(第6変奏) Allegro moderato
第6変奏(第3変奏) Andante ニ短調
第7変奏(第4変奏)と、コーダ(第7変奏から転用) Allegro vivo

CDカップリング:ドヴォルザーク チェロ協奏曲、チャイコフスキー ロココの主題による変奏曲 出典:YouTube Tchaikovsky: Variations On A Rococo Theme, Op.33, TH.57 – Variazione ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲について【解説】

チャイコフスキーのロココの主題による変奏曲(作品33)は、1877年に作曲されています。親友であったチェリストのヴィルヘルム・フィッツェンハーゲンさんのために作曲され、献呈されています。独奏チェロとオケによる編成で、実質的には、チェロ協奏曲になるのでしょうが、ロココ様式風の主題を用いて、単楽章となっており、編成も小規模なものであるため、協奏曲とは名付けられていません。序奏と主題が冒頭に表れ、7つ(本来は8つ)の変奏が続けて演奏されます。この主題(テーマ)は、チャイコ自身がロココ風として作曲したものです。

作曲する際に、親友フィッツェンハーゲンのアドバイスを受けていたそうですが、彼は、初演時、第8変奏曲をカットし、曲順を変更して演奏してしまったそうです。チャイコとしては心外だったに違いないのですが、演奏が好評だっため、そのままにして初稿版は封印したそうです。そのため、概ね、次のフィッツェンハーゲン版で、現在も演奏されるようです。比較した表を掲載しておきます。

原典版

Moderato assai quasi Andante – 主題: Moderato semplice
第I変奏 Tempo della Thema
第II変奏 Tempo della Thema
第III変奏 Andante ニ短調
第IV変奏 Allegro vivo
第V変奏 Andante grazioso
第VI変奏 Allegro moderato
第VII変奏 Andante sostenuto ハ長調
第VIII変奏、コーダ Allegro moderato, con anima

フィッツェンハーゲン版

第I変奏以降を記す。
第I変奏(原典版の第I変奏:以下同): Tempo della Thema
第II変奏(第II変奏): Tempo della Thema
第III変奏(第VII変奏): Andante sostenuto ハ長調
第IV変奏(第V変奏): Andante grazioso
第V変奏(第VI変奏): Allegro moderato
第VI変奏(第III変奏): Andante ニ短調
第VII変奏(第IV変奏)とコーダ(第Ⅷ変奏から転用): Allegro vivo

チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲【ディスク情報】

1968年 ロストロポーヴィチ カラヤン ベルリン・フィル G
1988年 トルトゥリエ グローブス ロイヤル・フィル REGIS

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