ヴェーベルン:主な楽曲を【サクッと】聴いてみよう。Webern:Works

アントン・ヴェーベルンの主な楽曲として、次の作品をとりあげ、サクッと聴いてみようと思います。

01 管弦楽のための牧歌「夏風の中で」Bruno Willeの詩による大オーケストラのための作品 1904年作曲
02 弦楽四重奏のための緩徐楽章 Langsamer Satz 1905作曲
03 管弦楽のための「パッサカリア」作品1 1908年作曲
04 弦楽四重奏のための5つの断章 作品5 1909年作曲
05 管弦楽のための6つの小品 作品6 初版1910年 改訂版1928年
06 管弦楽のための5つの小品 作品10 1913年作曲
07 ピアノとチェロのための3つの小品 作品11 1914年作曲
08 交響曲 作品21 1928年作曲
09 ピアノのための変奏曲 作品27 1936年
10 管弦楽のための変奏曲 作品30 1940年

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01 管弦楽のための牧歌「夏風の中で」Bruno Willeの詩による大オーケストラのための作品

ヴェーベルン:管弦楽のための牧歌「夏風の中で」Bruno Willeの詩による大オーケストラのための作品 クリストフ・フォン・ドホナーニ クリーヴランド管弦楽団 1991年
Webern: Im Sommerwind Christoph von Dohnányi  The Cleveland Orchestra

「夏の風の中で」は、ヴェーベルンがウィーン大学に在学中だった1904年夏に作曲された管弦楽作品です。没後1961年に再発見され、て1962年に初演されています。詩人ブルーノ・ヴィレの「ねむの木の黙示録」から刺激を受けて作曲されたものだそうで、ワーグナー、R・シュトラウスなど後期ロマン派の影響を受けています。この曲なら素直に聴けそう~というのがワタシの素朴な感想です。CDカップリング:マーラー交響曲第6番、シェーンベルク 5つの管弦楽曲(作品16)、ヴェーベルン 夏風の中で 1991年 出典:YouTube Webern: Im Sommerwind クリーヴランド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

02 弦楽四重奏のための緩徐楽章

ヴェーベルン:弦楽四重奏のための緩徐楽章 エマーソン弦楽四重奏団 1992年~94年
Webern: Slow Movement For String Quartet (1905) Emerson String Quartet

ヴェーベルンの緩徐楽章は、1905年に作曲されています。初期の作品は、とても抒情的で、ゆったり、しっとりとした楽曲で聴きやすいです。エマーソンSQの演奏で9分02秒の作品です。さて、この後、どう変化していくのか。難しくてとっつきづらくなる境界線は、どのあたりになるでしょう。緩徐楽章は、ロマン派の残り香がして美しい作品です。ブラームスの影響があると言われています。ヴェーベルン作品を集めたエマーソンSQさんの貴重なCDです。

CDカップリング ヴェーベルン 弦楽四重奏のための緩徐楽章(1905年)、弦楽四重奏のための5つの楽章(作品5)、弦楽四重奏(1905年)、弦楽四重奏のための6つのパガテル(作品9)、弦楽四重奏のためのロンド(1906年)、弦楽三重奏のたえの楽章遺作(1925年)、弦楽四重奏のための3つの小品 メゾ・ソプラノ:マリー・アン・マコーミック (1913年)、弦楽三重奏曲(作品20)、弦楽四重奏曲(作品28) Webern: Slow Movement For String Quartet (1905) エマーソン弦楽四重奏団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

03 管弦楽のための「パッサカリア」

ヴェーベルン:管弦楽のためのパッサカリア ヘルベルト・ケーゲル ライプツィヒ放送交響楽団 1977年
Webern: Passacaglia Herbert Kegel Leipzig Radio Symphony Orchestra (MDR Sinfonieorchester)

ヴェーベルンの作品1「パッサカリア」は1908年に作曲されました。4年間シェーンベルクに学んだ後の作品で、いきなり、こう来るのか~と、その変貌に驚きます。低音のフレーズで短い音を置いていきます。20世紀ともなれば、パッサカリアは、こうなるのかしらんと、驚きながら聞くことになります。23の変奏曲がありますが、終わりにコーダを置いて曲を締めくくっています。

弦が、ポツリポツリと、8つの音をつま弾いたあと、フルートが奏でます。クラリネットが甘美な表情を見せますが、テンポが変わって階段を駆けおりて、金管が咆吼し、ティンパニが激しく叩かれます。まるで戦争勃発という感じでしょうか。ケーゲルの演奏は、不気味で冷たいクールさが特徴です。

内省的なフレーズも登場しますが、野趣に富み、鋭く尖っています。悪く言えば、過激で下品。思わず汚い音だな感じることがあるかもしれません。「春の祭典」のように野蛮な面もありますし、瞬間湯沸かし器のように、いきなりテンションMAX状態となる演奏で驚かされます。ケーゲルの演奏は、軋んだ音を露見させ、無造作に凶暴な面を晒します。ズキっと突き刺す怖さ、犯罪者をイメージさせる視線や表情は、半端なくインパクト与えます。現代の暗闇、瞬間的な恐怖~ と言えば、ちょっとオーバーでしょうか? 

CDカップリング:オーケストラのためのパッサカリア(作品1)、弦楽オーケストラのための5章(作品5)、オーケストラのための6つの小品(作品6)、オーケストラのための5つの小品(作品10)、交響曲(作品21) 出典:YouTube Webern Passacaglia, Op. 1 Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH

参考のために、J・S・バッハのパッサカリアとフーガ(BWV582)を掲載しておきます。オルガン:Reitze Smits 出典:YouTube Bach – Passacaglia in C minor BWV 582 – Smits | Netherlands Bach Society Netherlands Bach Society

04 弦楽四重奏のための5つの断章 作品5

ヴェーベルン:弦楽四重奏のための5つの断章(弦楽四重奏曲版) エマーソン弦楽四重奏団 1992年~94年
Webern: 5 Movements for String Quartet, Op. 5 Emerson String Quartet

ヴェーベルン:弦楽四重奏のための5つの断章(弦楽合奏版) ピエール・ブーレーズ ベルリン・フィル 
Webern: 5 Movements for String Quartet, Op. 5 Pierre Boulez Berliner Philharmoniker

5つの断章 Fünf Sätze für Streichquartett(作品5)は、弦楽四重奏曲版が1909年に、1929年弦楽合奏に編曲されています。1 激しい動きで(Heftig bewegt) 2 きわめて遅く(Sehr langsam) 3 きわめて活発に(Sehr bewegt) 4 きわめて遅く(Sehr langsam) 5 やさしい動きで(In zarter Bewegung) って速度表記のみ。取り付く島もないって感じの曲です。演奏時間は約11分 我慢比べになりそうです。参ったなあと思っています。ワタシ的には、弦楽四重奏版の方が、まだ、聴きやすいかも・・・うーん。

CDカップリング:ヴェーベルン 管弦楽のためのパッサカリア、弦楽四重奏のための5つの楽章(作品5)弦楽合奏版、大オーケストラのための6つの小品(作品6)、バッハ音楽の捧げ物 ヴェーベルン編曲版 1993年、シューベルト 6つのドイツ舞曲1993年 ヴェーベルン編曲版、夏風の中で 1994年録音 出典:YouTube Webern: 5 Movements for String Quartet, Op. 5 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

05 管弦楽のための6つの小品 作品6 

ヴェーベルン:管弦楽のための6つの小品 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1972年~74年Webern: Six pieces for orchestra, Op. 6 Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker

「管弦楽のための6つの小品」6 Stücke für Orchester(作品6)は、1909年に作曲されています。約12分あまりの曲なのですが、滅茶苦茶大編成のオケでないと演奏できない不経済な(?)もので、4管から2管編成に1928年に編曲されています。初版1910年 改訂版1928年

第1曲:母親がまだ生きていてくれたら、という希望を持ち続けつつも、すでに痛ましい不幸と破局を予感している。
第2曲:ケルンテンへ向かう列車の中で真実を悟る。予感が現実となる。
第3曲:母親の棺に置いたエリカ(ツツジ科の植物)の花の香り。
第4曲:葬送行進曲。棺とともに墓地へ向かう。
第5曲、第6曲:葬式の日の夜の不思議な気持ち。追憶と諦観。

という演奏会に寄せたコメントが残っているそうです。とても暗く~ 難解な作品のなかでは、比較的わかりやすいとWikipediaに記載されていましたが、素直には頷けません。YouTubeで聴いていると、いつの間にか終わって、次の作品になっているというパターンを繰り返します。「まともに知覚すらできないうちに聴衆を沈黙へと置き去りにしてしまう、彼の多くの楽曲のショック的な短さ」と哲学者のオドール・アドルノは指摘しているそうです。

CDカップリング:新ウィーン楽派管弦楽曲集3枚組BOX シェーンベルク:ペレアスとメリザンド、管弦楽のための変奏曲(作品31)、浄夜、ベルク:3つの管弦楽小品(改訂版)、抒情組曲からの3楽章(弦楽合奏版)、ヴェーベルン:管弦楽のためのパッサカリア、弦楽合奏のための6つの小品(策妃6)、交響曲作品21 1972年~74年 出典:YouTube Webern: Six pieces for orchestra, Op. 6 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

06 管弦楽のための5つの小品 作品10 1913年作曲

ヴェーベルン:管弦楽のための5つの小品  クリストフ・フォン・ドホナーニ クリーヴランド管弦楽団 1991年
Webern: 5 Pieces for Orchestra, Op.10 Christoph von Dohnányi The Cleveland Orchestra

出典:YouTube Anton Webern, Cinq Pièces, op. 10 – Ensemble intercontemporain Ensemble Intercontemporain
2018年4月9日 6分06秒の動画です。

またまた、ムリムリ聴いたのが、5つの小品っていう楽曲ですが、どう聴いたらよいのかわかりません。木楽器の音が聞こえますが、音が短すぎて、流れていかないので聴くのが難しいです。音楽ってなんだっけ。これを聴いて、ワタシに、どう感じて欲しいのか、どう思索せよというのでしょうか。わーっ!わからん! だから、ゲンダイオンガクって難しくてつまらんのだぁ~。

5つの小品は、CDのブックレットを拝見すると・・・
第1曲 非常に静かに、そして繊細に  12小節 39秒 
第2曲 生き生きと、そして繊細な動きをもって 14小節 30秒
第3曲 非常にゆっくり、そしてきわめて静かに 11小節 1分56秒
第4曲 流麗に、きわめて繊細に 6小節 29秒
第5曲 非常に流麗に 32小節 53秒 

思わず馬鹿されている気分です。39秒とか30秒って。パスタを茹でる時間の方が長いやん。一応、社会人なので、むす~っとしたまま言葉を呑み込むのですが、甲高い音が入るものの、概ね弱音で微妙な音で終始します。瞬間的に出ては消えていく音。使われている楽器は多種にわたりますが、瞬間芸のようなモンです。

聴いて疲れる曲ではありませんが、あれ、終わっちゃったの? なので、聴く意味があるのかどうかすら疑問に感じてしまいます。「管弦楽のための5つの小品」Fünf Stücke für Orchester(作品10)は、1911年~13年に作曲されています。これまた大編成の作品で約6分の曲です。マンドリン、ギター、カウベルまで揃えないと演奏できないなんて~絶句します。YouTubeで演奏されている場面を見ていると、あっという間に終わります。(視覚情報は大事ですね)

CDカップリング:ヴェーベルン 夏風の中で 1991年、オーケストラのためのパッサカリア(作品1)1990年、6つの小品(作品6a) 1992年、5つの小品(作品10)1991年、交響曲(作品21)1991年、変奏曲(作品30)1991年
出典:YouTube Webern: 5 Pieces for Orchestra, Op.10 クリーヴランド管弦楽団 トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

07 ピアノとチェロのための3つの小品 作品11

ヴェーベルン:ピアノとチェロのための3つの小品 
チェロ:マット・ハイモヴィッツ ピアノ:フィリップ・カッサール 1993年~94年 
Webern: Three Little Pieces For Cello And Piano, Op. 11  Matt Haimovitz Philippe Cassard

チェロとピアノのための3つの小品 Drei kleine Stücke für Violoncello und Klavier)(作品11)は、1914年に作曲されています。チェロ・ソナタを作曲しようとしていたのですが、この曲に変わり、父親に献呈されているそうです。和声的に完全4度、増4度、長7度、短9度の音程が主体で、長・短3度、6度は副次的に扱われるとのこと。演奏時間は2分程度です。うー 時間が経過しました。疲れてきました。

CDカップリング:マット・ハイモヴィッツ 20世紀のチェロ作品集 3枚組BOX ブリテン 無伴奏チェロ組曲第1番、ジョージ・クラム チェロ・ソナタ、ヴェーベルン 3つの小品(作品11)、デュティユー ザッハーの名による3つのストロフ、ドビュッシー チェロ・ソナタ ブリテン ザッハー主題、チェロ・ソナタ マックス・レーガー 無伴奏チェロ組曲ト長調、ヒンデミット チェロ・ソナタ、ブリテン 無伴奏チェロ第2番、セッションズ 6小品、ハービソン チェロ組曲、ジョージ・パール ヘブライのメロディ、コダーイ 無伴奏チェロソナタ、ブリテン 無伴奏チェロ組曲第3番、ベリオ Les mots sont alles…: Intime, comme en parlant ヘンツェ Capriccio: (Introduktion) – Vivace リゲティ 無伴奏チェロ・ソナタ 出典:YouTube Webern: Three Little Pieces For Cello And Piano, Op. 11 (1914) マット・ハイモヴィッツ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

08 交響曲 作品21 1928年作曲
09 ピアノのための変奏曲 作品27 1936年
10 管弦楽のための変奏曲 作品30 1940年 またの機会に聴きたいと思います。今日は、ここまで~。

アントン・ヴェーベルンについて

アントン・ヴェーベルン(Anton Webern)は、1883年生まれのオーストリアの作曲家です。ウェーベルンとも表記されます。シェーンベルクやベルクと並んで新ウィーン楽派の中核メンバーで、20世紀前半、最も前衛的な作風を展開した作曲家です。ヴェーベルンは寡作家で、生前に出版された作品は、わずか31曲です。

後進の作曲家への影響は大きく、戦後の前衛音楽への影響は濃厚で、後期作品は十二音技法が使われ、密度の薄い音響体と、冷たい情感が特徴的です。ヴェーベルンは、時期ごとに音楽を変化させますが、音符が明晰に聞き分けられるほど、非常に簡素な響きのテクスチュア、念入りに選び出された音色、実に事細かな演奏者への指示、特殊奏法の頻繁な利用(管楽器のフラッタータンギングや弦楽器のコル・レーニョ奏法など)、しばしば長7度音程を越える旋律の跳躍、楽曲の極度の短さが特徴です。

多彩な音が、瞬間的に出てきては消えていきます。管弦楽のための5つの小品 Op.10は、1911年から1913年にかけて作曲されました。また、シェーンベルクの許で修行し、修行を終えたヴェーベルンは卒業作品として、1908年に管弦楽のためのパッサカリアを作曲しています。う~ん、どう聞いたらよいのか、困っちゃった楽曲です。

ヴェーベルン作品集【ディスク情報】

1977年 ケーゲル ライプツィヒ放送響 Berlin 
1990年 アバド ウィーン・フィル G 未掲載
1991年 ドホナーニ クリーヴランド管 Dec 

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