ウォルトン:「ベルシャザールの饗宴」【聴いてみよう】Walton: Belshazzar’s Feast

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ウォルトン 「ベルシャザールの饗宴」【名盤・おすすめ】

コリン・デヴィス ロンドン交響楽団

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 コリン・デヴィス ロンドン交響楽団 2005年
Walton: Belshazzar’s Feast Paul Daniel English Northern Philharmonia
バリトン:ピーター・コールマン・ライト
CDカップリング:ウォルトン オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」、交響曲第1番 2005年録音 出典:YouTube Belshazzar’s Feast Sir Colin Davis – トピック Provided to YouTube by PIAS

ポール・ダニエル イングリッシュ・ノーザンフィル 🙂

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 ポール・ダニエル イングリッシュ・ノーザンフィル 2001年
Walton: Belshazzar’s Feast Paul Daniel English Northern Philharmonia
バリトン:クリストファー・パーヴァス Christopher Purves
オルガン:サイモン・リンドリー Simon Lindley
リーズ・フィル合唱団 Leeds Philharmonic Chorus

ナクソスから発売されていたCDで、この曲にはまっていた時に購入して拝聴していました。なんとなく、マーラーの延長線で聴いてしまったので、うかっと曖昧に聴いていたように思います。若い頃は、ジャンジャン、バリバリ鳴る勢いのある演奏を聴いては、単純にエネルギーを発散させていただけです。なはは~っと単純に喜んでいましたが、改めて台詞をしっかり拝見して聴くと、旧約聖書のストーリーが題材とはいえ、太古の昔から続く、地理的、人道的等のトラブルが、根深く続いていることに、改めて気づかされます。こんなノー天気に聴いていたらダメだよね。ワタシったら、ハリウッド映画のBGM的に聴いておりました。(でも、格好良い曲ではあります。)出典:YouTube Belshazzar’s Feast: Thus spake Isaiah Christopher Purves – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

アンドリュー・リットン ボーンマス交響楽団 🤩 

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 アンドリュー・リットン ボーンマス交響楽団 1995年
Walton: Belshazzar’s Feast Andrew Litton Bournemouth Symphony Orchestra
バリトン:ブリン・ターフェル Bryn Terfel

ウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」は、マーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」と同様にスケールの大きい楽曲です。スペクタル映画を見ているような迫力があり、ストーリー性も豊か。しかし、時代背景は古代だし、旧約・新約聖書の物語で、ある程度の知識がないと、とても敷居が高い楽曲かもしれません。歴史絵巻のような楽曲です。

アンドリュー・リットンさんの演奏は、ウィンチェスター大聖堂で収録されているだけあって、ホールトーンが豊かで、力強く荘厳に演奏されています。躍動感があり、華麗で色彩的、ワクワク感のある壮大な娯楽的要素を含んだ感じがするので、取っつきやすいでしょうか。まず、冒頭において、勇壮な「どどぉ~ どぉ~どぉ~ どどどど どどどっ」というトランペットの音から始まり、10個の章に分かれていきます。華麗で、きら星のごとく次々とフレーズが登場し、飽きさせない要素が多分に含まれています。シンプルに「ん~たららっ ん~たららっ~」と落ちて、畳みかけてくるフレーズが特徴的です。

芯のある音で、誇らしげに楽しげに演奏されているようです。あちこちのサイトで囓り読みした、ダニエル書の物語とは、乖離したような楽曲のような気がしますが、ワクワク感のある演奏となっています。日本人の宗教感覚とは異なるため、えっ、これで良いのかと戸惑うところもありますが、スペクタル映画のような満足感がありますね。(え~ これで良いのかなあ~)まあ、いいんでしょう。マーラーの次世代として、膨らむだけ膨らんだ、娯楽的要素を含んだ楽曲として、流行っていくかもしれません。

YouTubeにおけるカップリング:ウォルトン チェロ協奏曲、交響曲第1番、喜劇的スカピノ、ヴァイオリンラ協奏曲、交響曲第2番、ファサード組曲1番、2番、ヴィオラ協奏曲、ヒンデミットの主題による変奏曲、戴冠行進曲、オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」、戴冠式テ・デウム、ヘンリー五世組曲、宝玉と勺丈 出典:YouTube Walton: Belshazzar’s Feast ボーンマス交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 😘

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1990年
Walton: Belshazzar’s Feast Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra
バリトン:トーマス・ハンプソン Thomas Hampson
クリーヴランド管弦楽団合唱団ほか Cleveland Orchestra Chorus

ラトルさんの演奏は、うーん、バーミンガム市響の時代から、ずーっとEMIに録音しておられて浮気はあまりされていないのですが、好ましい録音とは言えず、乾燥しきったカサカサのお肌のようなもので、保湿が足りません。豊かな響きが得られないので、演奏が良かったとしても、何もかもが半減しちゃうと思います。今となっては、あまりお薦めできないように思います。2019年プロムスの演奏がありますので、YouTube 見て聴いて楽しんでください。

CDカップリング:ウォルトン ペルシャザールの饗宴、交響曲第1番 出典:YouTube Belshazzar’s Feast サイモン・ラトル – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ロバート・ショウ アトランタ交響楽団 😘

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 ロバート・ショウ アトランタ交響楽団 1989年
Walton: Belshazzar’s Feast Robert Shaw Atlanta Symphony Orchestra
バリトン:ウィリアム・ストーン William Stone 
アトランタ交響楽団合唱団 Atlanta Symphony Orchestra Chorus
★ 一括して聴くことができますが、インデックス(トラック)が区分されていません。便利なようで~ちょっと。

ロバート・ショウさんの演奏は、録音状態も良く、勢いのある演奏です。力強く、低音の響きも厚みがあり、重厚に響くものです。金管は煌びやかで、ダイナミックレンジが、人の声により増幅されて、感動の手助けをします。この楽曲で録音が良くないと、困っちゃいますよねえ。プレヴィンさんの演奏が好きで、よく聴いていたのですが、録音の状態としては、TELARCでのショウさんの演奏の方が良いので、昔、よく聴いていました。ある程度の娯楽性、愉悦性もあり、軽やかに進みます。扱うテーマは、すごく重いのですが、軽やかに広がって、人の気持ちをつかんで、しっかりと高揚感を生む演奏となっています。20世紀フォックスの映画を見ている感覚に似ています。インデックス(トラック)が区分されていないので、漫然と聴いてしまいがちです。そこがネックです。

CDカップリング:バーンスタイン チチェスター詩篇、ミサ・ブレヴィス 出典:YouTube Walton: Belshazzar’s Feast アトランタ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 🥰

ウォルトン:オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」 アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1972年
Walton: Belshazzar’s Feast André Previn London Symphony Orchestra
バリトン:ジョン・シャーリー=カーク John Shirley-Quirk ロンドン交響楽団合唱団

プレヴィンさんのウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」は、ダイナミックに演奏され ています。オケも、ブラスに定評のあるロンドン響で、攻撃的な威嚇ある吹き方でストレートに響きます。コーラスにも凄みがあり、スペクタル映画さながら。題材から言うと、古代史なので、さしずめ「ベン・ハー」のようなハリウッド歴史巨編のようです。ただし舞台は、古代バビロニアです。

最初に聴いたときは、クラシック音楽の範疇には収まりきらず、はみだしているように感じました。旧約聖書「ダニエル書」によるもので、ユダヤ民族の強制移動、バビロン捕囚が題材になっており大きな民族のテーマです。楽曲自体は、題材が旧約聖書といいつつも、派手気味で大衆っぽさも持ち合わせているようで、現代音楽のような晦渋さはないので、耳に入ってきやすいものです。何種類かのCDは持っていますが、プレヴィンさんが1972年に収録した演奏が、リマスタリングされていて聞きやすく、サックスも使われているためか、ジャズっぽいフレーズも聴き取れます。

オーケストレーションが豪華なので聴き応えがありますね。深いテーマのわりには、どこか映画音楽っぽい、大衆的な要素も多く含まれているようにも感じました。適度に柔軟性があり、解放を喜ぶ気持ちが凄く伝わります。演奏より、一歩手前の知識に大きく依存する楽曲です。詳しくは専門書でも読んでいただかないと、ワタシには詳細に解説できる力量がありません。スミマセン。

CDカップリング:ウォルトン ベルシャザールの饗宴、序曲ポーツマス岬、喜劇的序曲スカピノ、ベンジャミン・ブリテンの即興曲によるインプロヴィゼイション 出典:YouTube Belshazzar’s Feast アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

この曲のハイライトになっているのは、このベルシャザールが、酒宴を催し、客の前で酒を飲んでいる場面です。この絵画は、レンブラントの「ベルシャザールの饗宴」Rembrandt Belshazzar’s Feast ロンドン ナショナルギャラリー所蔵です。 National Gallery

ベルシャザールが、父王のネブカデネザル王がエルサレムの神殿から奪ってきた金銀の器(酒杯)を持ってこさせ、これでお酒を飲んだ時、突然、壁から人の手が現れ、とある文字を書くというもの。壁には、ヘブライ語で「ネメ・ネメ・テケル・ウパルシン(Mene,Mene,Tekel,Upharsin)」と書き記されており、神が、ベルシャザールの治世の終わりを告げています。

手っ取り早く言うと、その後、王は殺され、バビロン王国が崩壊、ユダヤ民族が解放されるというわけ。壁に書かれた文字は、神のお告げ。啓示的で預言の書って感じなんです。終末的な要素も持っているかもしれないし、真剣に聴くと戒め要素もあるみたいですね。

ウォルトン:「ベルシャザールの饗宴」【解説】

ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、バビロン捕囚(バビロンほしゅう)は、新バビロニアの王ネブカドネザル2世により、ユダ王国のユダヤ人たちがバビロンを初めとしたバビロニア地方へ捕虜として連行され移住させられた事件を指す。紀元前 597年、ネブカドネザル王は、エルサレム市街に入城し、住民のうちもっとも有力な若い者をユダヤ人の王エホヤキムとともに殺害し、約3000人の有力者を捕虜としてバビロンに拉致したとあった。

タイトルになっている「ベルシャザールの饗宴」 ベルシャザールとは、新バビロニアの王、ナボニドゥスの息子である。新バビロニア王国は、バビロニアで勢力を築いたナボポラッサルが、紀元前625年に、アッシリアからバビロンを奪取し建国した国で、初代 ナボポラッサル → 第2代 ネブカドネザル2世 → 第3代 アメル・マルドゥク → 第4代 ラバシ・マルドゥク → 第5代 ナボニドゥスと続く。この第5代の王、最後の王ナボニドゥスの息子が、ベルシャザールである。旧約聖書のダニエル書には、ユダ エホヤキム王の治世3年とあり、バビロン国のネブカデネザル王は、エルサレムを攻めたて、バビロンのシナルという土地に、ユダヤの王と 、神殿から宝物を奪って持ってくるところから始まる。ネブカデネザル王のことが、第4章まで書かれ、第5章になると、ネブカデネザル王から、ベルシャザールに替わっている。

オラトリオ「ベルシャザールの饗宴」~バリトン独唱、混声合唱とオーケストラのためのカンタータ (Belshazzar’s Feast)は、イギリスの作曲家ウィリアム・ウォルトンによる作品。1931年年にリーズ音楽祭において初演され、それ以来イギリスで最も人気のある合唱曲の一つとなっている。イギリス音楽史における巨大なランドマークとなったこの作品は、独学で作曲を始めた20代のウォルトンによって完成された。

テクストは、旧約聖書と新約聖書のヨハネの黙示録を基に、オズバート・シットウェルが作成した。当初、BBCに小規模の合唱曲を委嘱されて着手したが、遅筆のウォルトンが作曲に難儀している間に構想が膨らみ、現在知られるような大作に発展したとのこと。

1 Introduction Thus spake Isaiah イザヤは言った
2 By the waters of Babylon/If I forget thee O Jerusalem おおエルサレムよ、もし私が汝を忘れるなら
3 Transition  Babylon was a great city われらはバビロンの川のほとりに座り
4 In Babylon, Belshazzar the King made a great feast バビロンは大いなる都なりき
5 Praise ye 黄金の神を讃えよ
6 Thus in Babylon, the mighty city こうして大いなる都バビロンにおいて
7 Transition  And in that same hour 宴たけなわの時
8 Then sing aloud to God our strength 神に向かって声高らかに歌え
9 The trumpeters and pipers were silent らっぱ吹きも笛吹きも沈黙し
10 Then sing aloud to God our strength 神に向かって声高らかに歌え

再度、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら~「合唱とバリトン独唱が、「詩篇 第137番(バビロンの川のほとりに)」にのせて、ユダヤ人の故地シオンについて歌いだす。やがて怒りをこめて、自分たちを捕虜にした相手に向けて、苦い思いを表明する。物語が始まると、長いゼクエンツにユダヤ人の恐怖や、ベルシャザール王の涜神にたいする、憤懣やる方ない怒りがこめられていく。その後に仰々しい行進曲が続いて、王と廷臣たちの偶像崇拝が描かれる。

この部分は、下降4音によって区切られる。この音型は繰り返されるうち、オーケストラ全体に次々と受け渡されると、ただちに特徴的な音階やシンコペーションによって、ジャズに影響された部分に突入する。そこから、節約された管弦楽法によって謎の文字の出現とベルシャザール王の死を描く、薄気味悪い描写につながっていく。ユダヤ人民は自由を喜び合い、大都市バビロンの崩壊を嘆く声に中断されながら、歓喜の合唱を歌うとある。

ユダヤ人が強制的に移住させられ、国を失うことになるバビロン捕囚が背景にあるというのが解っただけで、それ以上には~ ちょっと理解できるほどには至らなかった。当然、歌われているのが英語だし、語彙については、解りやすいとは言うものの~この壮大なスペクタル調の楽想と、言葉が、ワタシのアタマのなかでは合致しづらい。

直接的には、その時代が扱われているワケではないと思うが、このウォルトンの曲を聴いていると~ なんだか、ユダヤ人讃歌のようで、 それをイギリス人が取り上げて演奏するっていうのも、なんだか腑に落ちないって感じだ。しかし、いずれにしても、壮大に祝祭的に歌われているような雰囲気があり、吹奏楽の要素がたっぷり含まれているので、映画音楽のような雰囲気があり、大衆娯楽風の演奏である。特に、ブラス部分、オケとは別の部隊が配置されていると思うが、これが放つ音、響き、銅鑼の響き、これがすごい。一種、どっか狂気的ですらあって、テンションがあがってしまう。

ウォルトン:「ベルシャザールの饗宴」【ディスク情報】

1972年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI 
1989年 ロバート・ショウ アトランタ交響楽団 TELARC
1990年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI
1995年 A・リットン ボーンマス交響楽団 Dec 
2001年 ダニエル イングリッシュ・ノーザンフィル NAXOS
2005年 コリン・デヴィス ロンドン交響楽団 LSO

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