ストラヴィンスキーの主なバレエ音楽は、次のとおり(作曲年順)10作品あります。この内、①~③が、ダントツに有名ですが、他にも7作品もあります。このページでは、8番目の「カルタ遊び」を聴いてみましょう。
① 火の鳥 1910年 ② ペトルーシュカ 1911年 ③ 春の祭典 1913年 ④ プルチネルラ 1920年 ⑤ 結婚 1923年 ⑥ ミューズを率いるアポロ 1928年 ⑦ 妖精の接吻 1928年 ⑧ カルタ遊び 1936年 ⑨ オルフェウス 1947年 ⑩ アゴン 1957年
ストラヴィンスキー:カルタ遊び【YouTube】
YouTubeで、バレエの動画を探してみました。バレエ音楽には、映像、視覚情報があれば、かなり理解度が進むので、有益なので~ リンクさせていただきました。公式ではないので、もしかしたらいつか消えるかもしれませんが。みなさんの参考になれば幸いです。イメージできるかなあ。出典:YouTube Karol Rednik in Jeu de Cartes – Ballett von Igor Strawinsky – Teil 2 dansigh
ストラヴィンスキー:カルタ遊び【名盤・おすすめ】
ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 😘
ストラヴィンスキー:カルタ遊び ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 2014年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Valery Gergiev The Mariinsky Orchestra
★ YouTube リンク切れです。スミマセン。
ゲルギエフさんの演奏は、最新なので、音響が良いのですが、どうも面白くないのですが、どうしたもんだい。
いや、天才演奏者に文句を言うつもりはないのですが、やっぱ、このバレエ音楽そのものが面白くないのかな~っと思い始めました。いや、バレエのストーリーと劇の模様がマッチングしてないから、理解が進まないだけなんでしょう。ストーリーとしては、ポーカーの三番勝負なのです。で、主人公はジョーカー。
自分は無敵だと思っている。元気よく、トランペットとフルートかな、それでジョーカーのテーマが流れる。まあ、そこはわかるのですが、あとが続かないんです。う~ん、やっぱり、バレエ音楽は、YouTubeの動画で、バレエそのものが配信されていないか、探してみようと思います。(見つけて、別コーナーに掲載したのですが)あんまりわからなかった。だから、クラシック音楽は敷居が高いんだーっと叫びたくなります。なかなかにムズイ楽曲なのです。
ゲルギエフさんの演奏は、ワタシの理解度は横においておいて~ 当然、運動神経は抜群で、色彩感も高く、細かなフレーズが合わさって、てんで勝手に演奏しているような一見バラバラの楽曲も、適切に再生処理されて、みごとに綺麗に演奏されています。そこは、オケの段違いのスキルの高さ、違いがものを言っているんだと思います。
CDカップリング:ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」1911年版、かるた遊び 2014年
出典:YouTube Jeu de cartes ヴァレリー・ゲルギエフ – トピック Provided to YouTube by PIAS
ウラディーミル・アシュケナージ ベルリン・ドイツ交響楽団 😘
ストラヴィンスキー:カルタ遊び ウラディーミル・アシュケナージ ベルリン・ドイツ交響楽団 1993年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Vladimir Ashkenazy Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
アシュケナージさんの演奏は、安定感があります。カッチリしたドイツのオケで、最近の録音で満足いくものです。ちょっと聞き慣れたころに買ったCDだったので、結構楽しんで聴いていた記憶があります。再度、CDを聞き直していたのですが、アシュケナージさんのタクトさばきも機敏になったよね~と思いました。(えらそうにすみません)作曲家ストラヴィンスキーは、巷では、カメレオンって言われていたそうです。作風が、コロコロっと変化していくからだそうで、画家のピカソのように、時代と共に作風が進化していきます。
アシュケナージさんは、ピアニストから指揮者に転向されています。バレンボイムさんも転向組ですが。あのままピアニスト一本でも大成したのに、でも多才ぶりを発揮して良かった~でしょうか。他人がとやかく言うことではないですが、ワタシは、指揮者で良かった~という意見の方です。CDカップリング:ストラヴィンスキー バレエ音楽「カルタ遊び」1993年、オルフェウス1993年、アゴン1991年録音 出典:YouTube Stravinsky: Jeu de cartes – Troisième donne ベルリン・ドイツ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団
ストラヴィンスキー:カルタ遊び ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1993年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Georg Solti Chicago Symphony Orchestra
ショルティさんの演奏は、厚みのある演奏で、ジョーカーの踊りは、「らぁ~そぉふぁ~そぉ~ふぁみれ どどどれ どしらそ れぇ~」「しぃ~らそふぁ み~れ どしらそ」憎たらしいケタケタ笑い。賑々しいシーンも含めて、表現が濃く感じられます。ちょっと身ぶりが大きい方が、演奏としては楽しめるので、ガッチリした造り(演奏)ですが、シンプルに面白さを感じます。
軽妙なワルツフレーズも、キッチリ合奏され、綺麗ですし、木管の表現も巧いと感じました。ケーゲルさんの演奏は冷静、冷却型ですが、ショルティさんの演奏は動きがガッチリしています。腰が重め。パコパコパコと木管が活躍したり、弦の弾み具合など、アバドさんの演奏のように色彩鮮やかではないものの、運動機能としてはバッチリです。
「セビリャの理髪師」序曲のフレーズが聞こえ、金管が細かく震え、金管が咆吼したり、相当に芸の細かい楽曲で、「どーどどれぇ~ どーどどれぇ~っ」と、華やかに鳴って終わるはずが、最後は、すっと消えちゃう。定番のオチというのがフェードアウト型なので、せっかくの鳴りっぷりのよいオケなのに、残念な楽曲かもしれません。
CDカップリング:ストラヴィンスキー ペトルーシュカ、カルタ遊び 1993年 出典:YouTube Stravinsky: Jeu de cartes – Troisième donne シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ネーメ・ヤルヴィ コンセルトヘボウ管弦楽団 😲
ストラヴィンスキー:カルタ遊び ネーメ・ヤルヴィ コンセルトヘボウ管弦楽団 1991年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Neeme Järvi Royal Concertgebouw Orchestra
★ 約22分の楽曲ですが、16つに区分(トラック)されています。
N・ヤルヴィさんの演奏は、ちょっと重厚ですが、コミカルな要素が多分に含まれ、リアル感のある楽しい演奏です。まず、序奏が鳴って、ゲームが始まります。大太鼓の響きのなかで、可愛いフルートが鳴り~ フルートの二重奏。そこに、ファゴットやオーボエが絡みます。音階はなってくるし、パパパ うパパパっと、ワルツのフレーズが挟まって場面展開は速いです。
ジョーカーの踊りは勇ましいフレーズです。パロディが登場でしょうか。おチャメなフレーズで、どのトランプカードに向かって、ジョーカーは笑っているのでしょう。クイーンのカードでしょうか。いずれにしても、お馬鹿にして、ケタケタ笑っている場面なんだろうなあ~と、イメージが演奏です。各楽器ごとに役割があるようですね。あまり理解できないままに聴いてしまったのですが、そもそも、全三ラウンドを22分ちょっとで走っていく楽曲なので展開が速く、最初に聴いたときには、さっぱり~。第3ラウンドで登場する「セビリャの理髪師」序曲のフレーズが、聴き取れただけで終わっちゃったですね。
とにかく序奏(テーマ音楽のように)三回出てくるので、ラウンドの開始のタイミングがわかる程度です。一勝負終わったんだな~ でも、勝敗の結果は、どうだったのかわからないという、不満の残りやすいバレエ音楽です。なかなか上級者向けの音楽かな。ティンパニーは、三台も使われているらしいのだが、 これもイマイチわかりません。複数の台数が必要な曲とも思えないです。一つのラウンドごとに1台かしらん。そんなわけないじゃん。ボクシングのゴングじゃあるまいし・・・。ポーカーを知り、楽器の役割を知らないと、耳だけの情報では、難しいかもしれません。
CDカップリング:ストラヴィンスキー カルタ遊び、オルフェウス、兵士の物語 ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団 1986年録音 出典:YouTube Jeu de Cartes, K. 059 ネーメ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by PIAS
アレクサンダー・ラハバリ ベルギー放送フィル 😉
ストラヴィンスキー:カルタ遊び アレクサンダー・ラハバリ ベルギー放送フィル 1900年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Alexander Rahbari Belgian Radio and Television Philharmonic Orchestra
ラハバリさんの演奏は、カップリングされている「春の祭典」1913年版を聴こうと購入したものです。で、カルタ遊びを拝聴して、軽やかな軽妙さで聴きやすいと感じました。N・ヤルヴィさんの演奏が、あまりに重かったためもあるのですが、余裕のあるコミカルな演奏です。録音年が2000年に近づくにつれて、スピードもあがりますし、軽量級に変わっていくように感じました。CDカップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典、カード遊び 出典:YouTube Jeu de cartes (The Card Game) Brussels Philharmonic Orchestra – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 🤩
ストラヴィンスキー:カルタ遊び クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 1974年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Claudio Abbado London Symphony Orchestra
アバドさんの演奏は、颯爽としたテンポで繰り出してきます。ジョーカーのケタケタと笑う場面、荒っぽさなど、最初はわかりづらいのですが、表情としては色濃くでています。木管の優美さ、ファゴットのコミカルな、ウッパパっ。ウッパパっという響きが強調されています。
アバド盤では、木管の細かな表現と低弦の響き、力強く場面が展開するお決まりのテーマ曲など、合奏力がある演奏で、ストーリーがわからない(わかっているに越したことはないけれど)ままでも、疑問を挟む余地を与えないで、コミカルな要素を含んで力強く進みます。
この頃のアバドさんは昇り龍のごとく、力強いエネルギッシュな演奏が多いので、聴きどころが満載です。ワタシが所有していたCDは2枚組ですが、単発で発売されていたCDのデザインは、未来系の斬新なもので、目を引くものでした。懐かしい~ 今聴いても新鮮です。春の祭典や火の鳥を聴いた続きで、他のバレエ音楽を聴くこともあるので、この地味な曲も、楽しめる機会が増えるかもしれません。
また、弦の引き締まった音や木管の煌びやかな音が、表情豊かにしています。トランプを演じるという意表をつくアイディアと、善悪の寓話的な要素も含めて、かなり斬新です。その昔、TVの人造人間××みたいな動きでしょうか。無表情で機械的な表現と、人としての善悪、マナーの良し悪しなんかも、含めて拝聴すべき曲なのかもしれません。不思議ワールドです。CDカップリング:ストラヴィンスキー:春の祭典(1947年版)1975年、火の鳥(1919年版)1972年、カルタ遊び 1974年、ペトルーシュカ 1980年、プルチネルラ 1978年録音 出典:YouTube Stravinsky: Jeu de cartes, K059 London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group
ヘルベルト・ケーゲル ライプチヒ放送交響楽団 😁
ストラヴィンスキー:カルタ遊び ヘルベルト・ケーゲル ライプチヒ放送交響楽団 1973年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Herbert Kegel Leipzig Radio Symphony Orchestra
ケーゲルさんの演奏は、おっとり杓子定規的で、カツカツ、カミカミ、キコキコ、カキカキっと、ペトルーシュカではないのに機械仕掛けの人形が、動いている感じがします。最初のフレーズ 「どぉ~ど どれぇ~ そぉ~そ そみどっ(パパパっ そみど)」「みぃ~みみふぁ~(そみど)しそっ ら~ら れっれしそ (らそらそらそふぁみ・・・)」というのが、三回鳴るので勝負の切れ目がわかります。テンポは、ゆったり。バレエ音楽なので、実際に演じるテンポに設定しているのかもしれません。
ジョーカーのケタケタした笑いなど木管の動きが強調されている方が良かったかもしれません。バレエならではの優美さという点では、少し疑問が残ります。ケタケタ笑う、けたたましく動くという表現は、さほど濃いものではなく、能面っぽい演奏だと思います。もっとオーバーな表現の方が、この楽曲にはわかりやすかったかもしれません。(ワタシの聴取能力に問題あり~ かもしれませんが。ごめんなさい)でも、なんだか尻すぼみ、肩すかし的に終わっちゃったのは、ケーゲルらしい天邪鬼さかもしれません。
ワタシの持っているCDは、国内盤でしたが、原盤は、ドイツ・シャルプラッテン(VEB Deutsche Schallplatten Berlin)でした。全体的にクールな演奏で、機械と人の中間に位置しているかのような存在感があり、そこが面白く感じられる演奏です。CDカップリング:ストラヴィンスキー 組曲「カルタ遊び」、小管弦楽のための組曲第1番、第2番、協奏曲「ダンバートン・オークス」 出典:YouTube Jeu de cartes: MDR交響楽団 – トピック Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig Provided to YouTube by Kontor New Media
シャルル・ミンシュ ボストン交響楽団 🙄
ストラヴィンスキー:カルタ遊び シャルル・ミンシュ ボストン交響楽団 1961年
Stravinsky: Jeu de cartes, K059 Charles Munch Boston Symphony Orchestra
ミュンシュさんの演奏は、重めでガッチリ。往年の名盤とのことですが、なんだか、途中から、ギクシャクして軽妙じゃないなあ~と思いました。木管が、重要な役割をしているように思いますが、テーマとして登場するフレーズも、拍感覚が違うような気がします。猛烈に速くなったりしています。内声部が、すっかり抜け落ちたような演奏ですし、テーマソングのような主題が、登場するところだけがとにかく目立ちます。
CDカップリング:ミヨー 世界の創造 1960年、ミヨー プロヴァンス組曲 1960年、プーランク オルガン、弦とティンパニーのための協奏曲 1960年、ストラヴィンスキー カルタ遊び 1960年録音 出典:YouTube Jeu de cartes: First Deal シャルル・ミュンシュ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical
ストラヴィンスキー作曲家本人の指揮による演奏です。
YouTubeには、ストラヴィンスキー本人の指揮による演奏が記録として残っています。ベルリン・フィルなどを振っているのが音盤としてありました。想像以上にクリアに聴けるのでご紹介します。いやーこんなに演奏していたなんて、知らなかったです。最初のフレーズにおいて金管の存在が目立ちます。
出典:YouTube Jeu de cartes: Premiere donne (First Deal) イーゴリ・ストラヴィンスキー – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ストラヴィンスキー:組曲「カルタ遊び」【解説】
ストラヴィンスキーのバレエ音楽は、ダントツに「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」が有名ですが、他にもあることを知りました。8作目の「カルタ遊び」(仏: Jeu de Cartes)は、「カード遊び」「カード・ゲーム」とも呼ばれ、新古典主義時代に属する一幕三場のバレエ音楽です。ロシア・バレエ団の興行主が亡くなって以降、解散してしまい、しばらくバレエ音楽は作曲していなかったのですが、アメリカン・バレエ団からの依頼で作曲することになり、1936年に作曲されています。
カルタ遊びには、「三ラウンドの舞踊曲」というサブタイトルがあります。全三場で、トランプのポーカーをしている様子が描かれています。バレエの登場人物は 15 枚のカードです。トランプの模様をあしらった衣装でバレエを踊るそうです。このうち、ジョーカーは、自分自身が無敵なカードだと思っていますが(ジョーカーが主役で擬人化されている)ですが、ラストで、ハートのロイヤル・ストレート・フラッシュで負けるという落ちとなります。
第三ラウンドで、ドリーブの「コッペリア」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」序曲、ヨハン・シュトラウスのワルツ、チャイコフスキーやベートーヴェンなどの作品が、パロディとして登場します。このパロディの意図は、ちょっとわかりませんが~ 謎解きのように聴いてみたら楽しいですね。カルタ遊び(賭け事のポーカー)が、バレエの素材になるって、想像つかないですね。
サブスクを利用するとき、インデックスが細かく細分化されている場合があります。また、英語表記も多いので次ぎに順番を記載しておいます。括弧書きは仏語です。
◆First Deal (Première donne)
Introduction. Alla breve
Pas d’action. Meno mosso
Dance variation. Moderato assai
Dance of the Joker. Stringendo
Waltz-Coda. Tranquillo
◆Second Deal (Deuxième donne)
Introduction. Alla breve
March. Marcia
Variation I. Allegretto
Variation II
Variation III
Variation IV
Variation V. Sostenuto e pesante
Coda. Più mosso
Reprise of March. Marcia
Ensemble. Con moto
◆Third Deal (Troisième donne)
Introduction. Alla breve
Waltz. Valse
Battle between Spades and Hearts. Presto
Final Dance
Coda. Tempo del principio
ストラヴィンスキー:組曲「カルタ遊び」【ディスク情報】
1961年 ミュンシュ ボストン交響楽団 Ph
1973年 ケーゲル ライプチヒ放送響 Schallplatten
1974年 アバド ロンドン交響楽団 G
1900年 ラハバリ ベルギー放送フィル Naxos
1991年 N・ヤルヴィ コンセルトヘボウ CHANDOS
1993年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1996年 シャイー コンセルトヘボウ Dec
2014年 ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 Mariinsky
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