R=コルサコフ:スペイン奇想曲【YouTube】
パブロ・エラス=カサド hr交響楽団
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 パブロ・エラス=カサド hr交響楽団(フランクフルト放送響)
2017年8月24日コンサートの模様です。16分24秒の動画です。
出典:YouTube Rimskij-Korsakow: Capriccio espagnol ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Pablo Heras-Casado
hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony
R=コルサコフ:スペイン奇想曲【名盤・おすすめ】
リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」は、次の五つの曲で構成されています。
1 アストゥリアの舞曲 アルボラーダ Alborada
2 アストゥリア民謡 夕べの踊り 変奏曲 Variazioni
3 アストゥリアの舞曲 アルボラーダ Alborada
4 シェーナとジプシーの歌 Scena e canto gitano
5 アストゥリア地方のファンダンゴ Fandango asturiano
ワシリー・ペトレンコ オスロ・フィル 🙂
R=コルサコフ:スペイン奇想曲
ワシリー・ペトレンコ オスロ・フィル 2019年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Vasily Petrenko Oslo Philharmonic Orchestra
ペトレンコさんといえば、BPO(ベルリン・フィル)のキリル・ペトレンコさんを思い浮かべますが、このワシリー(ヴァシリーとも表記されます)・ペトレンコさんも有名です。1976年レニングラード生まれの指揮者で、ロイヤル・リバプール・フィル、オスロ・フィル、ロイヤル・フィル等で活躍されています。今日は、スペイン奇想曲を聴いたのですが、そつの無い演奏です。いわゆる、ロシア臭くないスマートな演奏ですが、快活でテンポ良く進みます。
舞踏曲については、他の演奏の方が、小節の効いた節回しで、アクと押しの強さのある演奏の方が好ましいと思うのですが、第2曲のアストゥリア民謡 夕べの踊りは、静かでクール、ひんやりした抒情的な演奏です。しんみりさせられて聴き応えがありました。たまには、北欧のオケによる、スペインの、ロマ風の舞踏を楽しんでみてください。この曲の違った一面を見られるかもしれません。
CDカップリング:R・コルサコフ スペイン奇想曲、ロシアの復活祭、シェエラザード 出典:YouTube Capriccio Espagnol, Op. 34 ワシリー・ペトレンコ – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises
アレクサンドル・ラザレフ ロンドン・フィル 😘
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 アレクサンドル・ラザレフ ロンドン・フィル 1999年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Alexander Lazarev The London Philharmonic Orchestra
ラザレフとロンドン・フィルの演奏は、デュトワ盤のように速くないのですが、ブラス部分の明るさと適度な底力のあるフレージングが魅力です。重くなりすぎず、粘りあるリズム感の案配が巧いです。やっぱアクの強い節回しは楽しめます。ちょっとオケのリズムが怪しいですけどね。(ついていけてない~) もっと濃厚な演奏は、同じラザレフさんとボリショイ歌劇場管弦楽団の演奏です。YouTubeでは、配信されていないようでした。2023年夏時点で。
CDカップリング:R・コルサコフ シェエラザード、スペイン奇想曲 出典:YouTube Capriccio Espagnol: Fandango asturiano アレクサンドル・ラザレフ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical
マリス・ヤンソンス ロンドン・フィル 🙁
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 マリス・ヤンソンス ロンドン・フィル 1994年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Mariss Jansons London Philharmonic Orchestra
ヤンソンスさんの演奏は、まっ ちょっと遅いのとキレがイマイチです。キレッキレ感覚の演奏を聴いてしまうと、うーん、まろやかな演奏ですとは正直言いづらいです。スペインの舞曲を演奏するのに、ソフトフォーカスしている場合じゃーないでしょという感じです。
ジャンジャカ賑々しく演奏するか、キリキリに目が回るほどにテンションあげて演奏するか、ギリギリと締まった弦のフレージングで迫るかしてほしいかなあと思います。中間部のホルンは良かった。
CDカップリング:CDカップリング:ムソルグスキー 展覧会の絵、禿げ山の一夜、「ホヴァンシチーナ」前奏曲、R・コルサコフ シェエラザード、スペイン狂詩曲 1988年、94年録音 出典:YouTube Capriccio espagnol, Op. 34 マリス・ヤンソンス – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 😅
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 1993年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Daniel Barenboim Chicago Symphony Orchestra
バレンボイムさんの演奏は、典型的なドスコイ型です。重量級の演奏で、ジャンジャカ、ジャンジャカ節が炸裂します。ちょっと~ 恥ずかしげも無く、こんな重くて遅い打楽器でと思っちゃいます。第3曲のアストゥリアの舞曲アルボラーダは、思わず笑いたくるような演奏です。失礼ながら、笑いを噛み殺して聴いてしまいました。
クラリネットのすべった吹き方が、喜劇っぽいですね。第5曲のアストゥリア地方のファンダンゴにおいては、シンバルの叩き方が、子供のオモチャのようです。これじゃー天下のシカゴ響が泣きますぜ。ロシア臭く演奏しようと意気込んで、金管とパーカッション軍団に重きをおいて、重量級で攻めたのかもしれませんが、いささか鈍重な演奏になってしまったように感じました。ただし、小・中学生の音楽鑑賞に聴くには、ぜったいお薦めです。
CDカップリング:CDカップリング:チャイコフスキー序曲1812年 1981年録音、ボロディン だったん人の踊り、R・コルサコフ 序曲ロシアの復活祭、交響詩禿げ山の一夜、スペイン奇想曲 1977年録音 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: Capriccio Espagnol, Op. 34 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
エフゲニー・スヴェトラーノフ ロシア国立管弦楽団 🥰
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 エフゲニー・スヴェトラーノフ ロシア国立管弦楽団 1992年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Evgeny Svetlanov State Symphony Orchestra of Russian Federation
スヴェトラさんの演奏は、いずれも録音状態が良く、適度にまったりしています。とても心地良い演奏で、ほぼ完璧~と言える演奏だと思います。(なにをもって完璧と言うのか、ツッコミなしでお願いします)弦の入り方が絶妙で、儚さも醸し出します。Dカップリング:ロシア管弦楽名曲集 CDカップリング:グリンカ ルスランとリュドミラ序曲、ボロディン だったん人の踊り、中央アジアの草原にて、R・コルサコフ スペイン奇想曲、ハチャトゥリアン 剣の舞、ムソルグスキー ボヴァンシチナ前奏曲モスクワ河の夜明け、禿げ山の一夜 1992年録音 出典:YouTube リムスキー=コルサコフ:スペイン奇想曲 ロシア国立交響楽団 – トピック Provided to YouTube by CANYON CLASSICS
ネーメ・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 😅
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 ネーメ・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 1987年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Neeme Järvi Gothenburg Symphony Orchestra
N・ヤルヴィさんの演奏は、目玉が飛び出るほどの快速バージョンです。いったいどうしたんでしょう。のけぞるように驚いてしまいました。第2曲になると極端に遅くなります。人の意表を突くのが巧いというか憎いというか。呆気にとられます。パパ・ヤルヴィは、いろんな楽曲を録音している指揮者ですが、いずれも重い質感と高濃度という点で同じかもしれません。北欧のオケを振っても、それは同じ。自分軸を持ってます。そうでなきゃ指揮者じゃないか。
出典:YouTube Rimsky-Korsakov: Capriccio Espagnol, Op. 34 エーテボリ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 🥰
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1983年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal
スペイン奇想曲は、ジャンジャカ、ジャカジャカと陽気で賑々しい曲です。デュトワさんの演奏は、さらっとスピード良く演奏しており、煌めいてとても綺麗です。巻き舌風の転がる音が、適度な粘りで絡みながら弾んでいます。くるくると巡っていく音が品良く鳴ります。クラリネットとソロのヴァイオリンが艶めかしく豊潤です。
弦のキレのスマートさ、これらが特徴です。第2曲の変奏曲は、日暮れのなかの気怠さを描き、ゆったりしていますが流麗そのもの。教会での録音が効果的で、奥行きある残響に包まれます。金管の甘い声で、夕暮れの暖かい空気に誘われ、庭でのディナーを楽しんでいるみたい。セレブの余裕あるたしなみと艶めかしさに満ちています。
第4曲のシェナとジプシーの歌は、小太鼓に続きファンファーレが鳴ります。「そそそぉ~ そふぁみふぁ そっみぃ~ ふぁみふぁそ み~っ どどどぉ~」というファンファーレは、宮殿の庭で聴いているようです。流麗で清潔感のある演奏です。大人の品格ある演奏です。粘っこい俗世界を垣間見たいのであれば、他の演奏でどうぞ~という感じでしょうか。これは拍手です。
CDカップリング:R・コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」、スペイン奇想曲 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: Capriccio Espagnol, Op.34 モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
デイヴィッド・ジンマン ロッテルダム・フィル 🙂
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 デイヴィッド・ジンマン ロッテルダム・フィル 1981年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol David Zinman Rotterdams Philharmonisch Orkest
デュトワさんは、セレブの豪華な演奏、ラザレフさんの演奏は濃厚、ジンマンさんの演奏はスッキリ系で細身です。を言えば、熱を帯びた粘りと、巻き舌のこぶし回しがあれば嬉しいのですが、それは他の演奏で。アクが抜けきった感がしますが、丁寧に内声部を描いています。吹奏楽の練習課題として聴いてみたり、旋律を丁寧に、解きほぐす聴き方だとお薦めかもしれません。ソロで活躍するクラリネットやフルート、ハープ、打楽器、カスタネットなどの音が、混濁せずに見通しの良い演奏です。
第1曲のアルボラーダは、冒頭から、ジャンジャカ ジャカジャカ繰り返します。クラリネットの蛇遣いのようなフレーズが入ってきます。巻き舌風の転がるトリル音がポイント。第2曲のアストゥリア民謡 夕べの踊り変奏曲は、ノスタルジックさを感じる甘さ、夜の帳が降りてくるものです。ホルンの二重奏が流れてくるところは、思わず、むふふ~っと笑える甘さがあります。コーラングレもとろけます。ホルンやクラリネット、木管が、弦に絡みつかれて、全てが溶解していく様はみごとです。
第3曲のアストゥリアの舞曲 アルボラーダは、ドンドンっ、バンバンと鳴り物が豪勢に鳴るなか、ヴァイオリンのソロが登場してきます。巻き舌風トリルと、粘りのあるしゃがれた声、蛇使いのようなクラリネットの上がり下りするフレーズが聴きどころです。
第4曲の「シェナとジプシーの歌」では、ファンファーレが鳴ります。ヴァイオリンのソロが登場し、ロマ風のフレーズをどう奏でるかがポイントでしょう。ジンマンの演奏は、透明度が高く、弦のつま弾き、掻きおろしの音が良く聞こえます。ソロで登場する各楽器、ハープが掻き鳴らす音に注目です。
第5曲のアストゥリア地方のファンダンゴは、木管が合いの手を入れつつヴァイオリンを主体に弾いていきます。ジンマンさんの演奏は、かすれのない綺麗な音です。ひーっとお尻をあげていくキレ感や、大太鼓をはじめとしたシャンシャン鳴る打楽器群が、綺麗に合体されていきます。「ん~タララ ラン ん~タララ ラン」最後の大円団に突入するスピード感、色彩的な金管と賑々しい打楽器が、シャンシャンシャンっ!
CDカップリング:R・コルサコフ 管弦楽作品集 スペイン奇想曲、歌劇「5月の夜」序曲、音楽的絵画「サトコ」、歌劇「雪娘」組曲 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: Capriccio Espagnol, Op.34 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ロリン・マゼール ベルリン・フィル 🤩
R=コルサコフ:スペイン奇想曲 ロリン・マゼール ベルリン・フィル 1958年
Rimsky-Korsakov: Capriccio espagnol Lorin Maazel Berlin Philharmonic Orchestra
マゼールさんの引き締まった演奏は、若い頃からの特性で、ずーっと健在だったと思います。なんでBPOはアバドさんを選んだのかわかりませんが~ マゼールさんは、何を振らせても、ほぼハズレなく良かったのにねえ。このスペイン奇想曲も、スペインのローカル色や独特の節回しの是非などを論ずる以前に、このアルボラーダ の演奏を聴くと、小躍りしたくなります。感覚的に吸い込まれる、引き込まれる~っていうヤツです。キレキレに際どいところを狙っている鋭さがあります。挑むエネルギッシュな意欲が垣間見られて、ホント、この時期のマゼールさんの才能に、改めて惚れ惚れ~ 惚れなおしました。
CDカップリング:レスピーギ 交響詩「ローマの松」、ムソルグスキー 禿げ山の一夜、R・コルサコフ スペイン奇想曲 YouTubeにおいては、カルミナブラーナ等がカップリングされています。Classicla Music Eras: 20th Centuryとタイトルされた再生リストです。出典:YouTube Capriccio Espagnol, Op. 34 (Capriccio Espagnol) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Quimbaya Entretenimiento SAS
R=コルサコフ:スペイン奇想曲【解説】
リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」は、1887年に作曲されています。いきなりジャンジャカ ジャンジャンと鳴り始める楽曲です。鳴り物の派手さに驚かされつつ、独特のロマの節回し、ソロで活躍する楽器のステージも用意されており、楽しめちゃう楽曲です。
R・コルサコフは、ロシア五人組の一人ですが、暗く厳しそうなロシアの大地から、まぁ~いったいどうしたら、こんなカラフルなラテン系の楽曲が作れるのでしょう。クラシックを聴き始めた子供の頃に、直感的に面白いやん! ジャンジャカ、ジャカジャカと喜んで聴いていました。アラビアンナイトの世界を描いた「シェエラザード」という楽曲も有名ですが、交響曲も管弦楽曲作品も多数あります。
そのなかで、序曲「ロシアの復活祭」とこの「スペイン奇想曲」が有名です。スペイン奇想曲の素材は、マドリード音楽院教授を務めたスペインの作曲家ホセ・インセンガが、民謡・舞曲集から借用したものです。明るい色彩が約15分に詰まっています。スペインのいろんな地方の踊りや風景が、垣間見られる音楽版スペイン紀行ですね。
スペイン奇想曲は、5つの部分から構成されています。
1 アルボラーダ (アストゥリアの舞曲 アルボラーダ Alborada)
2 変奏曲(アストゥリア民謡 夕べの踊り Variazioni)
3 アルボラーダ(アストゥリアの舞曲 Alborada)
4 シェーナとジプシーの歌(アンダルシア・ジプシーの歌 Scena e canto gitano)
5 アストゥリア地方のファンダンゴ(Fandango asturiano)
ちなみに、第5曲の「アストゥリア地方のファンダンゴ」についてをお話します。アストゥリア地方とは、スペインのイベリア半島の北部に位置するところ。歴史的にみると、8世紀初頭にイスラム勢力に征服されましたが、718年頃、伝説的な王ペラーヨが、コバドンガの戦いでイスラム軍を破ったそうです。この勝利が、歴史の教科書で有名な「レコンキスタ」の出発点となります。ペラーヨを祖とするアストゥリアス王国は、カンガス・デ・オニス、のちにオビエドを首都とし、10世紀にレオンに遷都してレオン王国となったところです。
ファンダンゴ(Fandango)とは、スペイン起源のダンスや歌で、男女ペアで踊るフラメンコが有名。ギターと手拍子、カスタネットで伴奏する活気あふれるダンスで、起源・語源は定かではありませんが、ポルトガル起源とかスペインとか。18世紀末には、スペインだけでなくヨーロッパ全土で知られ、バレエやオペラにも取り上げられています。クラシック音楽でも、モーツァルトの「フィガロの結婚」第3幕のフィナーレで取り入れられています。理屈抜きで、ワクワクするリズムです。
R=コルサコフ:スペイン奇想曲【ディスク情報】
1958年 マゼール ベルリン・フィル G
1981年 ジンマン ロッテルダム・フィル Ph
1983年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1987年 N・ヤルヴィ エーテボリ交響楽団 G
1992年 スヴェトラーノフ ロシア国立管弦楽団 EXTON
1992年 ラザレフ ボリショイ歌劇場管弦楽団 E 未掲載
1993年 バレンボイム シカゴ交響楽団 G
1994年 ヤンソンス ロンドン・フィル EMI
1999年 ラザレフ ロンドン・フィル SC
2019年 ワシリー・ペトレンコ オスロ・フィル LAWO
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