ヒンデミット:交響曲「画家マティス」【聴いてみよう】Hindemith: Symphonie Mathis der Maler

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ヒンデミット:交響曲「画家マティス」【YouTube】

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ヘルベルト・ブロムシュテット マーラー・ユーゲント管弦楽団
ロンドン・プロムス2010でのコンサート 26分01秒の動画です。Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Herbert Blomstedt Gustav Mahler Jugendorchester 出典:YouTube Hindemith – Mathis der Maler – Blomstedt Cantus 5

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 スタニスラフ・コチャノフスキー ガリシア交響楽団 2022年2月11日コンサートの模様です。30分17秒の動画です。Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Stanislav Kochanovsky Sinfónica de Galicia 出典:YouTube Hindemith: «Mathis der Maler» (Matías el pintor) – Sinfónica de Galicia – S. Kochanovsky, director

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」【名盤・おすすめ】

マリン・オールソップ ウィーン放送交響楽団 😘

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 マリン・オールソップ ウィーン放送交響楽団 2019年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Marin Alsop ORF Vienna Radio Symphony Orchestra

オールソップさんの演奏は、低弦の響きも豊かで、厚みもあります。特に、第2楽章は沈静化したなかで、木管が、よく通っていきます。木管と弦のハーモニーが美しく響きが豊かです。第3楽章は、アントニウスの我慢、苦悩、魑魅魍魎とした悪魔たちとの戦いなど、なかなか健闘してます。ドスンっと落ちた感じの、どす黒い凄みがあれば嬉しいですが、残響も響き渡っているので良い感じです。派手さはありませんが、オルガンの響きにも似た雰囲気がオケ全体からします。ちなみに、CDジャケットには、イーゼンハイムの祭壇の写真が使われています。

CDカップリング:ヒンデミット ヌシュ=ヌシの踊り 2020年、歌劇「聖スザンナ」、交響曲「画家マティス」2019年録音 出典:YouTube Symphony “Mathis der Maler” ORF Vienna Radio Symphony Orchestra – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団 😙

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団 2013年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Paavo Järvi hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony

パーヴォさんの演奏は、手慣れた(YouTubeによく登場している)hr響との演奏なので、なんだか心理的に安心感が高いです。あはは~ これは偏見でしょうが、ヌケの良い録音なので細かい音がよく聞こえます。チェロの弾んだ旋律に、ヴァイオリンがかぶさってきて、主題がテーマソングのように綴られて行きます。金管のパワーは抑え気味ですが、第1楽章のラストは重厚に響きます。

低弦の響きにノビもあるし旋律の膨らませ方も十分、金管もパーカッションも賑々しく響きますが、走り出すパワー前の呼吸を整えているところがニクいです。間合いを空けているところと、徐々にクレッシェンドします。破天荒さは感じないので、もっとどす黒く唸って欲しい~っと思ってしまうのですが、木管が主張しているところ、弦を主張しているところなど、他の演奏より、適宜、内声部を見せる工夫が垣間見られて楽しめました。

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」2013年、ウェーバーの主題による交響的変容 2010年、弦楽オーケストラのための5つの小品 2011年、組曲「1922年」第5曲ラグタイム 2010年録音 出典:YouTube Mathis der Maler Symphony, IPH 89 Frankfurt Radio Symphony, Paavo Järvi – トピック Provided to YouTube by naïve classique

クリストフ・エッシェンバッハ NDR交響楽団 😘

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 クリストフ・エッシェンバッハ NDR交響楽団(北ドイツ放送響) 2013年 Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Christoph Eschenbach NDR Sinfonieorchester

エッシェンバッハさんの演奏は、遅めの演奏ですが、旋律の運びが、とてもなめらかです。エグミの少ない美しさ追求型の演奏かな~と思います。ヴァイオリンの細かい音が遠く聞こえたり、バランスも良いようです。和声の響きが、くすんだ美しさを、ふわーっと醸し出しており、厳かな第2楽章です。フルートは抑え気味ですが、清浄感があり、空に舞う感じに響きます。埋葬は、ゆったりとした旋律で、水平に伸びるかのような感じです。第3楽章のアントニウスは、うーん、もっとエグミがあるのかと期待したんですが、さほどでもなかったです。(何を期待してるんだか)

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」、交響曲変ホ長調 2013年録音 出典:YouTube Symphony “Mathis der Maler” NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

エサ=ペッカ・サロネン ロサンゼルス・フィル 🤩

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 エサ=ペッカ・サロネン ロサンゼルス・フィル 2000年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Esa-Pekka Salonen  Los Angeles Philharmonic

サロネンさんの演奏は、速めにサクサクと颯爽と進むと思っていたのに、えっ ウソでしょ。遅いんです。ウソみたいに遅めのテンポ設定で、複数の旋律を綺麗にまとめあげようとしているみたいに感じます。エグミとは真逆の、混じりけのない超純水を目指しているかのような演奏みたい。他を寄せつけないピュアさ。余計なことを一切しない、だから、教会のなかで、咳払いや、くしゃみは御法度です~という感じで、聴いてて緊張しちゃいます。

テンポが遅かったのは最初で、そのうち、普通のテンポになっているのですが、緊張感はそのまま持続です。アントニウスは誘惑にかられて、悪魔に食われそうになる想定だったと思うのですが、ずーっと第三楽章まで守護天使の住まう天上で合奏が続けられているかのようです。低中音域の弦も金管も美しく、勢いもあってリズミカル。

チューバの威力も相当にあり、段々と膨らんで、あっ、危ない! 悪魔に食われる、破壊されるっという緊張の場面がやってきます。魑魅魍魎が舞っている世界なのですが、金管が吹かれたあと、さっと静まります。そして、広がる空間が見えます。そうなのです、あれは悪夢、幻想世界だったんです。だから安心しなさい、君はずっと天上にいたんだよと、言われているかのような演奏でした。何事もなかったかのように静かにフェードアウトします。

CDカップリング:ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容、主題と変容「四つの気質」ピアノ:エマニュエル・アックス、交響曲「画家マティス」1999年~2000年録音 出典:YouTube Mathis der Maler Symphony Esa-Pekka Salonen Provided to YouTube by Sony Classical

クラウディオ・アバド ベルリン・フィル 😘

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 クラウディオ・アバド ベルリン・フィル 1995年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Claudio Abbado Berliner Philharmoniker

アバドさんの演奏は、太めの底堅い響きで終始します。多くの旋律が複層的に表れるのですが、バランス良く、綺麗にトータルとして聞こるので、均衡しているように受け取れます。弦の細かい旋律、不安な心境をかき立てますが、低弦と金管の響きは、揺るがず存在します。この揺るぎなさが、拮抗のなかで勝ち、自分のなかで静けさを取り戻し、心を維持できるんでしょう。穏やかで暖かい響きが、人肌の暖かさだと感覚でわかった感じです。ヒンデミットの企図が汲み取れたら嬉しいのですが~ いやいや、そんな単純じゃないでしょ。奥の深い複層的な楽曲みたいです。アバドさんの演奏も、当然のごとく良いのですが。うーん。

CDカップリング:ヒンデミット:画家マティス、組曲「いとも気高き幻想」、ウェーバーの主題による交響的変容 1995年録音 出典:YouTube Hindemith: Mathis der Maler Symphony ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴォルフガング・サヴァリッシュ フィラデルフィア管弦楽団 😘

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ヴォルフガング・サヴァリッシュ フィラデルフィア管弦楽団 1994年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Wolfgang Sawallisch Philadelphia Orchestra

サヴァリッシュさんの演奏は、少しふわっと光を感じる演奏です。金管のフレーズがアクセントになり、弦の跳ねている様子や、木管が鳥をイメージさせます。イーゼンハイムの祭壇画の「天使の合奏」において、絵画的要素の強い演奏のような印象です。大天使なのか、背後に描かれているブキミな天使たちか、はたまた大天使の左後ろにいる彫像のような羽根を持った怪物的な悪魔なのか。

悪魔的要素を求め、エグミのある演奏を聴きたがっていたワタシ。アントニウスが誘惑に負けて食われそうになることを、意地の悪い意識でどこか期待していたワタシ、良い演奏なのですが、先生のようなサヴァリッシュさんが演奏していること自体、なんだかイメージに合わないのよねえ。ブロムシュテットさんも同様です。

CDカップリング:ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容、組曲「気高き幻想」、交響曲「画家マティス」1994年録音 出典:YouTube Symphonie “Mathis der Maler” ヴォルフガング・サヴァリッシュ – トピック
Provided to YouTube by Warner Classics

フランツ=パウル・デッカー ニュージーランド交響楽団 🙂

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 フランツ=パウル・デッカー ニュージーランド交響楽団 1994年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Franz-Paul Decker New Zealand Symphony Orchestra

パウル・デッカーさんの演奏は、直接的に不気味さはあまり感じません。第2楽章の「埋葬」においては、弦が寂しげなフレーズを奏でるので沈痛ですが、第3楽章「聖アントニウスの誘惑」においては、弦が深々と底から昇りトリルを形成します。魑魅魍魎とした世界が広がりますが、描写に終わってしまう感じです。

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」、組曲「気高き幻想」、ウェーバーの主題による交響的変容 1994年録音 出典:YouTube Symphony, “Mathis der Maler” ニュージーランド交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

イルジー・ビエロフラーヴェク チェコ・フィル 🥰

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 イルジー・ビエロフラーヴェク チェコ・フィル 1992年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Jiří Bĕlohlávek Czech Philharmonic Orchestra

ビエロフラーヴェクさんの演奏は、弦の艶やかさと豊かな残響でやられます。第1楽章「天使の合奏」は、ゆったりとした和音が美しく、しなやかで、ふわっとした神々しい空気感が漂います。主題が、まるで神のお告げのように聞こえるのです。この冒頭、のっけからやられます。ふかぶかとした息づかいの弦、まろやかな金管が寄り添ってきます。

第2楽章「埋葬」におけるフルートの音色の太さ、逞しさ。沈痛な旋律が柔らかく穏やか。埋葬の絵画を写しているモノとしては、暖かみがありすぎですが、哀しみの情を超えている気がします。第3楽章「聖アントニウスの誘惑」は、メッチャ面白く、不気味で、不協和音の音階が、うねる弦で表されます。

厚みのあるオケ、大蛇のごとくうねり、神の警告のような、雷にうたれたような衝撃が走ります。おぞましい魑魅魍魎が出現している絵画なのですが、リアルに、化け物世界を描くのではなく、自分のなかの妄想、幻想と不安と闘っている主人公の感覚でしょうか。自分のなかで、反芻し構築されつつある心理的な描写のようです。

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」 1992年、木管楽器、ハープと管弦楽のための協奏曲 1994年、弦楽と金管のための協奏音楽(作品50)1992年、ヒンデミット:交響曲「画家マティス」1992年録音 出典:YouTube Mathis der Maler イルジー・ビエロフラーヴェク – トピック Provided to YouTube by PIAS

レナード・バーンスタイン イスラエル・フィル

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 レナード・バーンスタイン イスラエル・フィル 1989年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Leonard Bernstein Israel Philharmonic Orchestra

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」、弦楽と金管のための協奏曲(作品50)、ウェーバーの主題による交響的変容 1989年録音ライブ 出典:YouTube Hindemith: Mathis der Maler Symphony Leonard Bernstein Provided to YouTube by Universal Music Group

ヨエル・レヴィ アトランタ交響楽団 😅

ヒンデミット 交響曲「画家マティス」 ヨエル・レヴィ アトランタ交響楽団 1989年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Yoel Levi Atlanta Symphony Orchestra

レヴィさんの演奏は、残響が多めでソフトフォーカス気味の録音で、妙な浮遊感があります。まろやかな「画家マティス」で、弦と木管のハーモニーが美しいです。柔らかなトロンボーンで主題が吹かれ、副旋律を奏でる弦は、光が射し込んだ雰囲気を醸し出します。特に、フルートが暖かく、天使の合奏というタイトルどおり。

音に丸みがあり、残響が心地良く、特に第1楽章「天使の合奏」のまろやかさは良いですね。ドライな演奏もありますが、レヴィ盤は、オルガン的な響きが心地良さを生みます。まるで、教会のなかの演奏のように感じられますが、「イーゼンハイムの祭壇画」の絵を考えると、あまりにも楽天的かもしれません。悲壮感やリアルさが、あまり感じられないことは、どうかと思いますが、そこまで悲嘆に暮れたくない場合、魑魅魍魎世界から少し離れていたい場合は、この演奏は良いかもしれません。最終楽章は、もう少しドライさが欲しいかなあ。(なにを欲張ってルン)

CDカップリング:ヒンデミット「画家マチス」「気高き幻想」「ウェーバーの主題による交響的変容」1989年録音 出典:YouTube Hindemith: Mathis der Maler Symphony アトランタ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヘルベルト・ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 🙄

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ヘルベルト・ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 1987年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Herbert Blomstedt San Francisco Symphony

マティアス・グリューネヴァルトが描いた祭壇画を、本やサイトで拝見すると、かなりリアルでエグいです。なかなかにブキミ。ブロムシュテットさんの演奏は、軽めのフレージングでサクサク。快速バージョンで時空間を飛んでいきます。速いっ。「天使の合奏」は、透き通って明るく、腰のある柔らかなトロンボーンが主題を吹きます。テンポを揺らしながら、三人の天使が歌を歌っているようです

第2曲の「埋葬」は、イーゼンハイムの祭壇画最下部の「キリストの死への哀悼」をイメージしたものでしょうか。沈痛な響きにあふれており、余計な感情を削ぎ落とした演奏に、共感を覚えます。

第3曲の「聖アントニウスの誘惑」は、うねる不協和音を奏でる弦、金管とシンバルが打ち鳴らされ、ただごとではない緊張感が走ります。いよいよ魑魅魍魎とした世界の幕開け。アントニウスの火と呼ばれる伝染病が発生したのか、パンデミックが起こった様相を呈します。化け物自体の描写というより、ツツツン ツツツンと、繰り返されるリズムによって、心理的な圧迫を受けます。突かれているような気分。聖アントニウスが、いたぶられていると感じられる場面でした。

ジャケット写真にもあるように、聖人アントニウスを誘惑する悪魔の出現で、髪は引っ張られるし、鳥の化け物に棍棒で殴られそうになっているし、化け物の描写がリアル。でも、コミカルでもあり、化け物姿の底には、鳥や熊や狼という動物のイメージがあるため、わかりやすいグロテスクさ。聖から邪悪な世界に戻そうとする誘惑でしょうか。

しかし、この演奏は、北方ルネッサンス絵画の持つ暗い細密画のように、緻密さを追求しているのかなあ。サンフランシスコ響だからか、色合いがちょっと明るめ。最後のコラールが、さらりと演奏されており、うーん、ちょっと期待とは違ってた・・・と思いました。ヒンデミットとブロムシュテット、サンフランシスコ響の組み合わせ自体が、マッチングしそうに(ないですよね)ワタシは、いったい何を期待しているんだろ。

カップリング:ヒンデミット「画家マチス」、葬送音楽(ヴィオラと弦楽合奏のための)ヴィオラ:ジェラルディン・ウォルサー、「ウェーバーの主題による交響的変容」1987年録音 出典:YouTube Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” San Francisco Symphony Provided to YouTube by Universal Music Group

ヘルベルト・ケーゲル ドレスデン・フィル 😅

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ヘルベルト・ケーゲル ドレスデン・フィル 1980年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Herbert Kegel Dresden Philharmonic Orchestra

ケーゲルさんの演奏は、各声部がクリアに描かれ、ダークサイドに落ちた怪しい世界観が広がっています。闇に包まれた美しく描かれた世界に誘われちゃいます。第1楽章「天使の合奏」は、複数の旋律が、均質に流れます。自律した意識的な動き。かなり即物的な感覚ですが、キビキビと動く弦の動きを楽しむことができます。数式どおりに正解を求めるような動きです。

第2楽章の「埋葬」は、イーゼンハイムの祭壇画最下部の「キリストの死への哀悼」をイメージしたものだと思います。沈痛な響きに満ちあふれた金管が吹かれますが、濁りある和音の響きで、雑味があり、地にひれ伏すようなダークな影です。柔らかい響きを求めるのであれば、他盤を聴くのが良いでしょうね。黒光りした闇、祈りのなかの幻覚、幻影って感じです。

第3楽章「聖アントニウスの誘惑」では、異様なほどに音が飛び出て、派手な金属音となっています。弦のチャチャチャ・・・は、硬くて強烈で、炸裂した感じです。そうだ、そうだった、アントニウスの誘惑ですよね。怪物たちが、よってたかって、アントニウスを襲う世界でした。この楽曲は、魑魅魍魎の世界、怪物が現れる奇妙な合奏でした。背筋がゾッとする演奏でなきゃ~ならんのです。でも、ケーゲルさんの演奏は、えっ、どうやらワタシの期待が大きすぎようです。

CDカップリング:ヒンデミット2枚組BOX 交響曲「画家マティス」1980年、トランペットとファゴットと弦楽のための協奏曲 トランペット:ルートヴィヒ・ギュトラー Ludwig Guttler ファゴット: エッカルト・ケーニヒステット Eckart Konigstedt、組曲「いとも気高き幻想」1980年録音、交響曲変ホ調 1981~82年、シンフォニア・セレーナ 1980年、ヴァイオリン:ラルフ=カーステン・ブロンゼル Ralf-Carsten Bromsel、ヴァイオリン:ウォルター・ハーロウィッチ  Walter Hartwich、ヴィオラ:ヘルベルト・シュナイダー Herbert Schneider、ヴィオラ:ゲルト・グロッチェル Gerd Grotzschel 1981年~82年録音 出典:YouTube Symphony “Mathis der Maler ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH

セルジュ・チェリビダッケ スウェーデン放送交響楽団

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 セルジュ・チェリビダッケ スウェーデン放送交響楽団 1970年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Sergiu Celibidache Swedish Radio Symphony Orchestra

CDカップリング:チェリビダッケの遺産 ストックホルム・レコーディング4枚組BOX ドヴォルザーク チェロ協奏曲 デュ・プレ、フランク交響曲、ヒンデミット画家マチス、シベリウス交響曲第2番、交響曲第5番、R・シュトラウス ティル、ドン・ファン、ショスタコーヴィチ交響曲第9番 スウェーデン放送交響楽団 1965、1967、1970、1971年ライヴ録音 出典:YouTube Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” スウェーデン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ウィリアム・スタインバーグ ボストン交響楽団 🥰

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ウィリアム・スタインバーグ ボストン交響楽団 1979年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” William Steinberg Boston Symphony Orchestra

スタインバーグさんの演奏は、整った綺麗な演奏で、力強いリズムの推進力を感じます。大太鼓が雷鳴のように鳴り響くあたりは、鳥肌が立ってきますし、金管の力強い鳴りっぷりにグイグイ~。特に第3楽章「聖アントニウスの誘惑」におけるパワーは良いです。バックを抑え気味にして、木管のノビのある旋律をクッキリ際立たせて、派手にパーカッションを鳴らして煽ってきます。グロテクスク感が少ないのが、ちょっと残念なのですが~ ビエロフラーヴェクさんとチェコ・フィルに似た、ほどよい艶っぽさを感じます。

CDカップリング:ヒンデミット 交響曲「画家マティス」、弦楽と金管のための協奏音楽、白鳥を焼く男(ヴィオラ協奏曲)ヴィオラ:ダニエル・ベンヤミニ Daniel Benyamini バレンボイム パリ管弦楽団 1979年録音 出典:YouTube Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler”  マックス・ホウバート – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ミヒャエル・ギーレン ザールブリュッケン放送交響楽団

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ミヒャエル・ギーレン ザールブリュッケン放送交響楽団 1968年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Michael Gielen Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken

CDカップリング:ミヒャエル・ギーレン エディション7 8枚組BOX 出典:YouTube Symphony “Mathis der Maler” ザールブリュッケン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1960年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker

CDカップリング:バルトーク 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、ヒンデミット 画家マチス 出典:YouTube Symphonie ‘Mathis der Maler’ (1996 Remastered Version) Herbert von Karajan Provided to YouTube by Warner Classics

パウル・ヒンデミット ベルリン・フィル 😊

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」 パウル・ヒンデミット ベルリン・フィル 1955年
Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” Paul Hindemith Berlin Philharmonic Orchestra

作曲家ご自身の指揮による、BPOとの演奏です。出典:YouTube Hindemith: Symphonie “Mathis der Maler” ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

歌劇「画家マティス」 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団

歌劇「画家マティス」 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 1977年
バイエルン放送合唱団 出典:YouTube Mathis Der Maler: Vorspiel: Concert of Angels ラファエル・クーベリック – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」【解説】

ヒンデミットの「画家マティス」は、1934年に作曲されています。ヒンデミットは、1895年生まれの作曲家で、指揮者として、また、ヴィオラ、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノなど様々な楽器を弾きこなす多才な演奏家だったそうです。交響曲やオペラだけでなく、オケを構成するほぼ全ての楽器のためのソナタを作曲しており、1920年代より、新即物主義、新古典主義へ移行したと言われています。

バッハの対位法を好み、グレン・グールドは「ヒンデミットは現代の数少ない真のフーガの名手である」と彼の対位法技術の高さを評価していたそうです。作曲の経緯は、指揮者のフルトヴェングラーからベルリン・フィルのコンサートで演奏するための曲を依頼されたことで、1934年3月に初演されています。しかし、当時のナチスドイツによって退廃的等との理由、政治情勢で上演できなかったそうです。

「画家マティス」とは、16世紀の画家、マティアス・グリューネヴァルト(Matthias Grünewald)のことです。次の三つの楽章で構成され、各楽章には、「イーゼンハイム祭壇画」(Isenheim Altarpiece)に、ちなんだ題名がつけられています。第1楽章 「天使の合奏」Engelkonzert 第2楽章 「埋葬」Grablegung 第3楽章 「聖アントニウスの誘惑」Versuchung des heiligen Antonius 

イーゼンハイムの祭壇画は、観音開きになっており、第1面中央のパネルを広げると第2面の絵になり、左に天使の合奏が描かれています。さらに第2面中央のパネルを左右に広げると、左に「聖アントニウスの隠遁聖者聖パウロ訪問」が、右に「悪魔に苦しめられる聖アントニウス」が描かれています。悪魔に遣わされた怪物に苦しめられる聖アントニウスは、地面に踏みつけられ、棒で殴打され、かぎ爪で引き裂かれています。アントニウスが、神に助けを求めると、邪悪な悪魔と戦うために、天使たちが遣わされたというシーンです。

第1楽章「天使の合奏」(Engelskonzert )オペラの前奏曲に当たり、序奏付きのソナタ形式となっています。トロンボーンで提示される第1主題は、ドイツ民謡である「三人の天使が歌う」から引用されたもので、フルート、ヴァイオリンにより第2主題が演奏されます。

第2楽章「埋葬」(Grablegung )オペラの第7場にあたり、最終場面への間奏曲にあたります。第3楽章「聖アントニウスの誘惑」(Versuchung des heiligen Antonius )オペラの第6場、マティスが見る幻影の場面の音楽を自由に再構成しているものだそうです。

ちなみに、グリューネヴァルトのイーゼンハイムの祭壇画は、フランスのアルザス地方にあるコルマールという年のウンターリンデン美術館が所蔵しています。ワタシは、フランスまで飛んで観に行くことができないので~ 徳島県鳴門市にある大塚国際美術館において、陶板で再現された祭壇画を拝見し、大変感動しました。言葉で言うより、見た方が速いので~ Wikipediaのページをリンクしておきます。

ヒンデミット:交響曲「画家マティス」【ディスク情報】

1955年 パウル・ヒンデミット ベルリン・フィル G
1960年 カラヤン ベルリン・フィル EMI
1968年 ギーレン ザールブリュッケン放送交響楽団 SWR
1970年 セルジュ・チェリビダッケ スウェーデン放送交響楽団 G
1979年 ウィリアム・スタインバーグ ボストン交響楽団 G
1980年 ケーゲル ドレスデン・フィル DS
1987年 ブロムシュテット サンフランシスコ交響楽団 Dec
1989年 レヴィ アトランタ交響楽団 TELARC
1989年 バーンスタイン イスラエル・フィル
1992年 ビェロフラーヴェク チェコ・フィル CHANDOS
1994年 フランツ=パウル・デッカー ニュージーランド交響楽団 NAXOS
1994年 サヴァリッシュ フィラデルフィア管弦楽団 EMI
1995年 アバド ベルリン・フィル G
2000年 エサ=ペッカ・サロネン ロサンジェルス・フィル SC
2008年 ジョン・ネシュリング サンパウロ交響楽団 BIS
2013年 エッシェンバッハ 北ドイツ放送交響楽団 ONDINE
2013年 パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団(フランクフルト放送響) NAIVE
2019年 オールソップ ウィーン放送交響楽団 NAXOS

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