リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」【聴いてみよう】R. Strauss: Aus Italien, Op. 16, TrV 147

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交響的幻想曲「イタリアから」【名盤・おすすめ】

R・シュトラウスの交響的幻想曲「イタリア」は、次の四つの楽章で構成されています。
第1楽章 「カンパーニャにて」 I. Auf der Campagna
第2楽章 「ローマの遺跡にて」 II. In Romas Ruinen
第3楽章 「ソレントの海岸にて」 III. Am Strande von Sorrent
第4楽章 「ナポリ人の生活」 IV. Neapolitanisches Volksleben

ファビオ・ルイージ シュターツカペレ・ドレスデン 😘

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」 ファビオ・ルイージ シュターツカペレ・ドレスデン 2008年 R. Strauss:Aus Italien, Op. 16, TrV 147 Fabio Luisi Sächsische Staatskapelle Dresden(Staatskapelle Dresden)

ルイージさんの演奏は、録音状態は極めて良く、きめ細かく、すべすべとした肌合いで華麗な音で彩られています。細い艶のある刺繍糸で織り込まれたタペストリーのようで、ほれぼれとする美音。イタリアの明るさ、からっとした空気感と共に、夢幻的で甘美、夢見心地になれる一幅の芸術作品のようです。

カペレ(ドレスデン)の音色が一段とブラッシュアップされ、ウィーン・フィルかのように華麗です。ふわっとしたフレージングで、風景画を見ているような、ただただ美しい楽曲です。その反面、旅行に行ってきた友人に絵はがきを見せてもらい、約45分間、感動した風景を説明されている感じで、綺麗だったんだね、良かったね~という言葉しか発せない一種のもどかしさを感じます。ハイライトは、第4楽章「ナポリ人の生活」で、お馴染みの「フニクリ・フニクラ」の旋律が登場します。とても楽しくフルオケバージョンのように聴くことができるので、どうぞお聞きください。

CDカップリング:R・シュトラウスの管弦楽曲集2枚組BOX 交響詩「ドン・ファン」、交響的幻想曲「イタリアから」、交響詩「ドン・キホーテ」チェロ:ヤン・フォーグラー ヴィオラ:セバスティアン・ヘルベルク ヴァイオリン:カイ・フォーグラー 出典:YouTube Aus Italien, Op. 16, TrV 147 ファビオ・ルイージ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

リッカルド・ムーティ ベルリン・フィル 🤩

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」 リッカルド・ムーティ ベルリン・フィル 1989年 R. Strauss: Aus Italien, Op. 16, TrV 147 Riccardo Muti Berliner Philharmoniker

ムーティさんの演奏は、風景の描写にとどまらず、旅をしているワクワク感がストレートに伝わってきます。イタリア人だからなのかもしれませんが、感情の表出が気持ち良いほどに伝わりますね。第1楽章のカンパーニュは冒頭において、細かい描写で、慎重に自分の立っている場所の空気感を表現しているように思います。木管のフレーズは幻想的で、光が射し込んできて、時間の経過と共にじわっと感情が起きてきます。

ハープの彩りも美しく、目に入ってくる美しい光景 視点から、心に沁みて、何かが落ちてきて、自分の感情が起きてくる、そんな感じでしょうか。漫然と風景を見ているだけではない、そんな演奏です。このムーティさんの演奏を聴くと、この楽曲のアプローチの仕方を見直すべきかな~と思いました。風景をいったん咀嚼して、紡ぎ出されてくる芸術の奥深さを、聴き手であるワタシは、もっと感じなければと思います。つい、長大な楽曲なので表層部分だけを聴いてしまいがち。ですが、これは、奥が深そうだと演奏を聴いて思いました。何度か聴かれる機会があれば、ムーティさんの演奏をおすすめします。

CDカップリング:R・シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」、交響的幻想曲「イタリアより」1989年録音 出典:YouTube R. Strauss: Aus Italien, Op. 16 – 4. Neapolitanisches Volksleben ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 😉

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」 ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 1984年 R. Strauss: Aus Italien, Op. 16, TrV 147 Vladimir Ashkenazy Cleveland Orchestra

カンパーニュ、ローマ、ソレント、ナポリという風光明媚な土地を音楽紀行のように綴られます。のびやかで南欧の雰囲気があります。しかし、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」のように、海の波打つ雰囲気が描写力豊に描かれているのに比べ、ただただリゾート地に寝そべっているかのようで感動はわきづらいですね。

感受性の強い若い頃の作品ですが、隠居しているかのような穏やかさ。アシュケナージさんの演奏で、さらっと聴けちゃうのですが、さすがに約45分は長いでしょ。この長尺さは正直退屈しちゃいます。ハイライトは、第4楽章「ナポリ人の生活」における「フニクリ・フニクラ」を素材した曲です。これは面白いですね。イタリアの観光スポット紹介映像と共に聴くのであれば嬉しいのですが。

Eテレ等における、イタリア紀行番組のBGMにおすすめ楽曲だと思います。ちなみに、R・シュトラウスの交響詩は7曲ありますが、長大でマイナーだからか収録されることが少ない楽曲です。CDは、アシュケナージ、ケンペ、ムーティ、ジンマン、ルイージさんの演奏があります。CDカップリング:R・シュトラウス 交響詩「ドン・ファン」、交響的幻想曲「イタリアより」出典:YouTube R. Strauss: Aus Italien, Op. 16, TrV 147 クリーヴランド管弦楽団 トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ルドルフ・ケンペ シュターツカペレ・ドレスデン 😍

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアより」 ルドルフ・ケンペ シュターツカペレ・ドレスデン 1970年~75年 R. Strauss: Aus Italien, Op. 16, TrV 147 Rudolf Kempe Staatskapelle Dresden

ケンペさんの全集は、とっても価値あるもので、これだけ魅力的なリマスタリングで蘇ってくるとは思いもよらず。うふふ~と思いながら美音に酔いしれております。また、YouTubeにおいて、全集をそっくり掲載していただいているとは思いもよらず。これまた、うふふ~です。カペレの優美な旋律美に酔ってしまいます。
CDカップリング:R・シュトラウス管弦楽曲集9枚組BOX 1970年~75年録音

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアから」【解説】

交響的幻想曲「イタリアから(より)」作品16 Aus Italienは、R・シュトラウスが1886年、22歳頃に作曲しており、標題を持つ作品としては最初の作品です。四つの楽章で構成され、ソナタ形式を持った交響曲に近い絶対音楽から標題音楽へ創作の中心に移行する過渡的な作品です。

1886年、マイニンゲン宮廷楽団を辞めたシュトラウスは、ブラームスにすすめられて4月から8月までイタリア旅行に出かけており、この時にスケッチが進められ、旅行後ミュンヘンにおいて完成されています。第4楽章で、耳にしたことがある「フニクリ・フニクラ」が登場します。

第1楽章:「カンパーニャにて」 (Auf der Campagna) 三部形式 第2楽章:「ローマの遺跡にて」 (In Romas Ruinen) ソナタ形式 スケッチはローマのカラカラ浴場で書かれたそう。第3楽章:「ソレントの海岸にて」 (Am Strande) 自由なソナタ形式 第4章:「ナポリ人の生活」 (Neapolitanisches) ソナタ形式 

全体で約45分の楽曲です。第4楽章「ナポリ人の生活」では、当時流行していた登山電車のコマーシャルソング「フニクリ・フニクラ」を、古くから伝わる民謡と勘違いして用いてしまいました。そのため演奏の都度、作曲家であるルイージ・デンツァに 著作権料を支払う破目になったそうです。ちなみに1987年初演の際、賛否両論だったそうです。

リヒャルト・シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアから」【ディスク情報】 

1975年 ルドルフ・ケンペ シュターツカペレ・ドレスデン EMI
1984年 アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 Dec
1989年 ムーティ ベルリン・フィル Ph
2008年 ルイージ シュターツカペレ・ドレスデン SC

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