レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」【YouTube】
マックス・レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ エトヴェシュ・ペーテル hr交響楽団
Max Reger: Mozart-Variationen Peter Eötvös hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphon
ちゃんと、各変奏ごとにチャプターがついており親切設計です。指揮者のペーテルさんは、ブーレーズさんの後継者としてアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督兼指揮者だった方。作曲者でもあります。2017年12月8日コンサートの模様です。34分45秒の動画です。出典:YouTube Reger: Mozart-Variationen ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Peter Eötvös hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony
ヴァレリー・ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 😘
レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」 ヴァレリー・ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 2000年 Max Reger: Mozart Variations Valery Polyansky Svetlanov State Academic Orchestra
モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」のフレーズが、テーマとなった変奏曲です。ポリャンスキーさんの演奏は、少し残響が多めです。熟れた果実のように爛熟した香りがあり、耽美的な旋律となっています。テーマは、モーツァルトとは言え、別モノという感じの作品で、とろけるような甘い甘いフレーズが、これでもか~というほどに、膨張してはじけてしまいそうです。肥大化、巨大化している。無駄なモノを削ぎ落としてスリムな体型とは、マギャクのメタボ的に膨らんでいる感じで、甘い吐息が吐き出され、悩殺されてしまいそうです。
クリムトのベートーヴェン・フリーズのように、モザイク模様で装飾された曲線、官能的で妖艶な女性の絵画を、壁一面に貼りだされた廊下を、ずーっと見て歩いているかのよう。モーツァルトのシンプルなフレーズを、これだけ、自分は装飾したぜっという感じがしないでもありません。シンプルなモチーフを、これだけ装飾しちゃうとは、諧謔的で、冒涜的と言えちゃうかもしれないです。
複雑に折り重ねて織り込んで装飾しており、ど素人の耳では、とても聞き分けられない多層的構造となっています。ラストであるフーガになると、さらに大袈裟に膨らみ、華麗なる大団円となっており、もわんっ!と終わります。えっ? 煙に巻かれた感じでしょうか。作曲家の美意識が、装飾されつくした楽曲となって提示されているように思います。
CDカップリング:ブリリアント2枚組BOX 原盤はシャンドス(Chandos) レーガー ベックリンによる4つの音詩(作品128)、J・A・ヒラーの主題による変奏曲とフーガ(作品100)N・ヤルヴィ コンセルトヘボウ 1989年、レーガー 詩篇(作品106)、モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ(作品132) ヴァレリー・ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 2000年 出典:YouTube Variations and Fugue on a Theme of Mozart, Op. 132 ロシア国立交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 😍
レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」 ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 1990年 Max Reger: Mozart Variations Herbert Blomstedt Sächsische Staatskapelle Dresden
ブロムシュテットさんの演奏は、カペレ(ドレスデン)の美しい艶のある演奏で、ホールが響きで充満しています。熱気が伝わってきて、燃えそうなライブ演奏です。なかなかに難しい曲で、分厚いオーケストレーションの間に、モーツァルトのテーマが埋めこまれています。
まず、クラリネットとオーボエで、変奏曲のお決まりごとであるテーマが示されます。クラの艶やかな音がホールにいっきに充満し、弦が同じ主題を奏でると、そりゃ~ シアワセなひとときになるのです。モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番の「トルコ行進曲付き」冒頭のフレーズが、なんて美しいテーマになっているのでしょう。美しすぎる~っ!
これが、さらに磨かれて、分厚くオーケストレーションされ、襞いっぱいついたレースのシーツにくるまれ、ふかふかのベットで寝ましょう~って感じになっていくのです。ブロムシュテットさんの演奏も、耽美的で、夢うつつ状態の世界に誘われるという、おそるべし、マックス・レーガーさんの変奏曲!
最初に耳にした時、耽美的で退廃的、爛熟して熟れて落果寸前の果実のように感じました。世紀末絵画のようで、むはは~っ、めくるめく世界が始まり、まるで、映画音楽のようでもあり、悪い言葉で言っちゃうと通俗的でもあり、豪華な金管(トロンボーンは入っていないらしい)コルンゴルトに似たような楽曲の雰囲気となる。えーっ これがモーツァルト?! 妖しい、妖しすぎます。M・レーガーさんって、ものすごく多才な方なんでしょう。素材は、いたってシンプルですが、ワタシは、とろけちゃいました。
CDカップリング:レーガー モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ 1990年、R・シューマン 4つのホルンと管弦楽のためのコンチェルトシュトゥック 1981年、ウェーバー「オベロン」序曲 1990年、ナウマン Naumann テ・デウム 1980年 ライブ盤 シューマンのコンチェルトシュトゥックにおけるホルンは、ペーター・ダム Peter Damm ディーター・パンサ Dieter Pansa クラウス・ピーツォンカ Klaus Pietzonka ヨハネス・フリーメル Johannes Friemel の4名です。日時も場所も違う演奏を収録したライブ盤ですが、録音状態が良くテンションがあがります。出典:YouTube Max Reger Variations and Fugue on a Theme of Mozart, Op. 132 (version for orchestra)
ヘルベルト・ブロムシュテット – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
コリン・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 🥰
レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 1989年
Max Reger: Mozart Variations Colin Davis Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
コリン・デイヴィスさんの演奏は、耽美的になりすぎず、繊細さが感じられるものです。M・レーガーのモーツァルトの主題の変奏曲とフーガは、有名なトルコ行進曲を主題にしているので、とてもチャーミングです。とても親しみやすいテーマを、天才肌の作曲家ならではの変奏で、とっても手が込んだ細工で彩られていきます。そう、とても奥が深そうなのです。凡人かつ駄耳のワタシには、そのあたりの作曲テクは、とても解りかねますが、これが凄そうな曲だというのは、アハハ~ 長年の感覚で察知できちゃいます。(察知できるのみ)
C・デイヴィスさんの演奏は、端正だが、まろやかで馥郁たる演奏です。耽美すぎない節度あるものですが、優美で、春の日射しをいっぱいに感じるかのような暖かさがあります。例えは悪いのですが、柔軟剤を使って、ふんわかしたタオルのように、顔を埋めて、心地よく~という感じに仕上がっています。木管のフレーズが、綺麗に浮かび上がってきており、木質的で弾力ある穏やかさ。特に、金管のまろやかさは特筆に値するものです。
ポリャンスキーさんの演奏、ブロムシュテットさんの演奏は、まるで、クリムトの絵画のように、耽美的で華麗なるものでしたが、C・デイヴィスさんは、そこまで耽美的ではなく、バイエルンの音を充分に活かしたものになっていると思います。既に、ふくよかなのです。CDのブックレットから、少し引用させていただくと・・・
CDカップリング:レーガー モーツァルトの主題による変容曲とフーガ、ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 CDジャケットは、左からウェーバー、マックス・レーガー、モーツァルト、ヒンデミットさんの似顔絵が書かれています。出典:YouTube Reger: Variations and Fugue on a Theme by Mozart, Op.132
バイエルン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Gr
レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」【解説】
レーガーは、1873年、ドイツ生まれの作曲家です。オルガン奏者として活躍し、オルガンの作品が有名ですが、交響曲やオペラを除く、管弦楽曲、協奏曲、室内楽等、オールマイティです。フーガや変奏曲形式で作曲されている作品が多く、オルガン曲「BACH主題による幻想曲とフーガ」や「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」が有名です。
作曲家本人が、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスの様式を継承すると言っていたようで、対位法の分野において特に顕著な作品を世に出しています。この「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」(作品132)は、モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」第1楽章をモチーフにした変奏曲で、1914年に作曲されています。
テーマを提示した後、8つの変奏曲を表現し、最後にフーガを置いています。
01 主題 Andante grazioso:モーツァルト主題が木管楽器と弱音器を付けた弦楽器により提示される。
02 第1変奏 L’istesso tempo:主題が原型のまま奏され、繊細なパッセージが添えられる。
03 第2変奏 Poco agitato:ヘ長調に転じ、主題が反行形で奏される。
04 第3変奏 Con moto:イ短調 2/4拍子 主題は簡略化され、足早に通り過ぎる。
05 第4変奏 Vivace:ホ短調 ヨハネス・ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」の第6変奏を思わせる、力強い変奏。
06 第5変奏 Quasi presto:イ短調 6/8拍子 複雑な響きを持つ皮肉っぽいスケルツォ。
07 第6変奏 Sostenuto:ニ長調 4/8拍子 木管楽器の三連符によるパッセージが印象的。後半では動きがより細かくなる。
08 第7変奏 Andante grazioso:ヘ長調 6/8拍子 原型の主題に、対位旋律が複雑に絡み付く。
09 第8変奏 Molto sostenuto:嬰ハ短調~ホ長調 6/4拍子 最も規模の大きい変奏で入念なテクスチュアによって表情豊かな歌が歌われる。
10 フーガ Allegretto sostenuto:イ長調、6/8拍子 軽快に始まる大規模な二重フーガだ。終結部では、2つの主題に加え、モーツァルトの主題の原型が対位法的に結合され、壮大なクライマックスを築く。
第1変奏は、華麗なるワルツのようでもあり、第2変奏は、半音階風に、ちょろちょろ~っと昇っていく。コルンゴルト風に一瞬、冒険活劇かと思うような、ブラスが綺麗に絡んで盛りあがる。第3変奏は、風が通り過ぎるようで、抒情的に、ちょっと寂しげな映画BGMでもあり、オルゴールになったみたいに旋律が細かくなっている。
第4変奏は、ブラスが タンタカ ターン タンタカ ターンっと、弦を刻む。ふむ、マーチ風なのかなあ。第5変奏は、ホルンの音色のうえを、木管が滑るように奏でたあと、オルゴールのようにも響く。音がとても綺麗で、今風といえば良いだろうか。ディズニー映画でも見ているかのようだ。第6変奏は、ホルンの和音が綺麗に吹かれたなか、主題が弦により、顔をちょこっと出す。甘い調べだ。三連符だが、なだらかに甘く切なく、どこかムード映画のように奏でられるし、ディズニー映画の続きかなあ。耽美的でもあるのだが、えっ スケルツォ?だったら、マーラー風かなあ。でも、そこまで、諧謔でも滑稽ではないんだけど。
第7変奏は、もっと切なくなって、流麗な弦が細かく枝のように分かれていく。分かれた旋律が美しい和音を奏でる。華麗なる旋律で、ホント、甘く切なく、耽美的に奏でられつつ、ブラスが盛りあがっていく。第8変奏は、ラフマニノフかと思うほど、甘い吐息が感じられ、ホワイト・クリスマスのような景色が広がる。粉雪がちらつくなか、家々に明かりがともっている~というような、寒いけれど暖かさを感じる~って雰囲気になっている。(あくまでも、ワタシの勝手なイメージなんですけど)以上です。
レーガー:「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」【ディスク情報】
1989年 C・デイヴィス バイエルン放送交響楽団 Ph
1990年 ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン PROFIL
2000年 ポリャンスキー ロシア国立交響楽団 BRIALLANT
コメント