プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番【聴いてみよう】Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10

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プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番【YouTube】

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ダニール・トリフォノフ アラン・ギルバート NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団 15分28秒の動画です。無観客コンサートの模様 2021年2月5日 出典:YouTube Daniil Trifonov – Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D flat major, Op. 10 [Live 2021] Jayden 

プロコフィエフ::ピアノ協奏曲第1番 ダニール・トリフォノフ ゲルギエフ マリンスキー劇場管弦楽団 
出典:YouTube Daniil Trifonov & Valery Gergiev – Prokofiev: Piano Concerto No. 1 Deutsche Grammophon – DG 3分16秒の動画で、サワリだけです。Daniil Trifonov Valery Gergiev Mariinsky Orchestra

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番【名盤・おすすめ】

シモン・トルプチェスキ ワシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル 🙁

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 シモン・トルプチェスキ ワシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル 2017年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Simon Trpčeski Vasily Petrenko Royal Liverpool Philharmonic Orchestra

トルプチェスキさんのピアノは細部にこだわっているようで、非常に細かい音で綴られているようですが、全体として見たときには、うーん、つかみどころがなくなって、感興が湧きにくい感じがします。第2楽章は、これでも良いのだけど、深みに入り込んでいく感じはしないですね。浮遊感にも欠けているし、どうアプローチしたいのか意図が読めないです。どんな風味だったか、どんな味付けだったと言われても、感想として述べにくい。ん~って言葉に詰まりますね。ピアノの音が鳴っていたね~としか、音としてしか聴けなかったですね。何にも伝わらなかった。ちょっと困った演奏でした。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、第3番、ヘブライの主題による序曲(作品34bis)
出典:YouTube Piano Concerto No. 1, Op. 10: I. Allegro brioso – II. Andante assai – III. Allegro scherzando
ワシリー・ペトレンコ – トピック
Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

オッリ・ムストネン ハンヌ・リントゥ フィンランド放送交響楽団 😑

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 オッリ・ムストネン ハンヌ・リントゥ フィンランド放送交響楽団 2015年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Olli Mustonen Hannu Lintu Finnish Radio Symphony Orchestra

ムストネンさんの演奏は、テンポの遅い演奏です。うぷぷ~ ムストネンさんの演奏は、とっても個性的です。快速で飛ばす演奏が多いなか、どうして、こうもおっとり演奏していくのか、へそ曲がりのように聞こえます。ワタシ的には理解不能という感じです。この方の若かりし頃の演奏から、ずーっと感じていることなのに、どうして聴いてしまうのだろう。リズム感が、どうもしっくりこないのです。弾み方が独特で、アタマが後ろに引っ張られて、のけぞってしまうような違和感があります。どうしてなのか、ちょっと解りません。嫌なら聴かなきゃいいのに~(と、自分でも思います。スミマセン)

CDカップリング:プロコフィエフ: ピアノ協奏曲第3番2015年、第1番2015年、第4番2015年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 オッリ・ムストネン – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ジャン=エフラム・バヴゼ ジャナンドレア・ノセダ  BBCフィルハーモニック

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ジャン=エフラム・バヴゼ ジャナンドレア・ノセダ  BBCフィルハーモニック 2012年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Jean-Efflam Bavouzet Gianandrea Noseda BBC Philharmonic ★ インデックス(トラック)が、4つに区分されています。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集 2012年、2013年 出典:YouTube Piano Concerto No. 1, Op. 10 ジャナンドレア・ノセダ – トピック Provided to YouTube by PIAS

アブデル・ラーマン・エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 アブデル・ラーマン・エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団 2004年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Abdel Rahman El Bacha Kazushi Ono The Monnaie Symphony Orchestra

エルバシャさんの演奏は、うーん、凄いっ、凄いって思うのですが、どこがすごいと思ったのか、なかなか言語化できないので、またゆっくり聴いてみて、他の演奏を再度聴いてみて書いてみたいと思います。鋭い演奏ですね~ ビンビンに伝わってきます。いやーっ凄い。(他に言葉が出てこないのが、情けないっーーー 1番だけでなく2番以降も聴いてみて書くことにしますね。もうちょっと聴きこんでから~。すみません。)
CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集2枚組BOX 第2番、第5番、第1番、第4番、第3番の順に収録されています。2004年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 アブデル・ラーマン・エル=バシャ – トピック Provided to YouTube by IDOL

マルタ・アルゲリッチ アレクサンドル・ラビノヴィッチ スイス・イタリアーナ管弦楽団 🙂

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 マルタ・アルゲリッチ アレクサンドル・ラビノヴィッチ スイス・イタリアーナ管弦楽団 2004年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Martha Argerich Alexandre Rabinovitch-Barakovsky Orchestra della Svizzera italiana

ルガーノ音楽祭におけるライブ盤です。相変わらずテンション高めですが、97年のデュトワさんとの演奏があるので、その方が素直に楽しんで聴けます。

CDカップリング:マルタ・アルゲリッチ ドイツ・グラモフォン録音全集48枚組BOX 第45巻 シューマン ピアノ協奏曲 アレクサンダー・ヴェデルニコフ スイス・イタリア語放送管弦楽団 2010年 、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 アレクサンダー・ラビノヴィッチ 2004年 プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 シャルル・デュトワ スイス・イタリア語放送管弦楽団 2008年 YouTubeにおいては、アルゲリッチ・プレイズ・プロコフィエフとして収録されています。出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 1 In D Flat, Op. 10 マルタ・アルゲリッチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

マルタ・アルゲリッチ シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 マルタ・アルゲリッチ シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1997年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Martha Argerich Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal

第1楽章:アクセントを強めに、小さなうねりを作っていきます。強い打音なのは、いつもどおり。オケと一緒にカッチリ弾かれています。一段落終わると、快速に。草書体で細かな音が飛び跳ね、キラキラ。同じ音を打音する際に、カカカカ・・・と、ますます速くなっていきます。中間部では、テンポはあまり落とさず。摩訶不思議な世界は、確かに綺麗で、静謐で、聴き手を惹きつけます。

第2楽章:キラキラ水滴になって、自由闊達に弾けていく強い意思力があります。他の演奏では、深海魚のような、暗闇のなかを、青白く~ もわもわ~っと浮いたり沈んだり、潜行している感じなのですが、明るく、音のなかをスイスイ泳いでいる感じです。オケのジャズ要素を含んだ旋律も好ましく、ピアノの音に合わせて、自在にテンポを動かします。いろんな音が、ぎっしり詰まっているます。

第3楽章:階段をのぼりおりする旋律での、金管の合いの手が面白いです。カラフルさが増し、法螺貝のように金管の音もお楽しみの要素です。エネルギッシュで~ 金管よりも、すばっしこい。パーカッションは星屑が飛んで居る感じです。ツブツブツブの音が、ちゃんと方向性をもって飛んでいるので、まとまりの良さがあります。いや~ かなり草書体の演奏だと思いますが、ピアノの闊達さにいつも驚かされます。オケのサポートは必須、巧いのだろうと、妙に感心します。CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、3番、バルトーク ピアノ協奏曲第3番 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

アレクサンドル・トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 😵

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 アレクサンドル・トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 1997年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Alexander Toradze Valery Gergiev Kirov Orchestra of the Mariinsky Theatre 

第1楽章:トラーゼさんの演奏は、個性的です。超快速で、テンションMAXで暴力的、凶暴な感覚です。オケの長い序奏部分は、金管はぶっきらぼう。乾いたアンサンブルで、ピアノのスピードは、自分で加速していく。打音の強さは、超一品で、叩きながら自分をMAXにあげていく感じです。スピードの変化は、自分勝手みたいで~ ワタシ的には、神秘的な雰囲気がすきなのですが、あっけにとられて、ハイ終わり。一丁上がり!って感じで終わります。

なんだか壊れているかのようでもあり、ラストは、船酔い気分で、うぷぷ。コンサートで聴いていたら、しばらく拍手できなかったでしょう~ 疲れます。ワタシの許容範囲が狭いのかもしれませんが、ぶっ壊れている。(ように思います。暴力的、凶暴、荒れ狂う演奏です。)CDカップリング:「ピアノ・マスターワークス50CD」ピアノ協奏曲第1番、第4番 YouTubeにおいては、プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集です。

エフゲニー・キーシン アバド ベルリン・フィル  😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 エフゲニー・キーシン アバド ベルリン・フィル 1993年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Evgeny Kissin Claudio Abbado Berliner Philharmoniker

キーシンさんの演奏は、スケールの大きい演奏で、オケが、ダイナミックに伴奏を務めています。冒頭、力強く硬めにアクセントをつけており、弾む感じがします。硬質感ある強さと瑞々しさがはじけ飛んでいるみたい。これは凄い。金管が合わさると、より一層煌びやかに。キーシンさんのピアノと、ベルリン・フィルの硬質感が相乗効果を生んでいます。まるで、できあがったばかりの金平糖が、一粒ずつ滑り台を転がり落ちてくるような可愛らしさ。ピアノの音とオケの音が、一体化して綺麗です。

第2楽章:朝靄の湖面のよう。柔らかい陽射しのようなクラリネット、転がることで広がり感が出ます。水の精のように可愛く、冷たく美しい粒が、コロコロ~。それでいて深い谷に誘われるような不気味さもあって、スケールの大きな世界を描こうとしています。

第3楽章:機械的な音階を弾いているようなピアノですが、コミカルさもあります。オケの巧さがピアノを引き立てていますね。第1楽章の主題の戻りでは、ひとまわりスケールが大きくなっており、鮮やか。わずか15分程度の楽曲なのですが、いろんな要素を集めて、最後に回帰してくる頃には、ものすごく大きく、広く、深くなっている感じです。ピアノ協奏曲というより、これは交響詩のよう。三つの世界を描いた組曲のようでもあり、これは、オケによるところが大きいけれど、ピアノも主張してて、見事だと思いました。

カップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、第3番(ライブ)出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 エフゲニー・キーシン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴラディミール・クライネフ キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ヴラディミール・クライネフ ドミトリー・キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 1992年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Vladimir Krainev Dmitri Kitaenko Radio Sinfonie-orchester Frankfurt

クライネフさんの演奏は、冒頭の部分で抜け落ちている感じですが、極めてクリアーな録音で、すかっとしています。プロコフィエフが、ペテルブルグ音楽院に在学中に作曲した作品で、え~ これ、学生時代に作曲された曲なのぉ~と、驚くほど完成度が高い楽曲です。プロコフィエフの作風が、既に1番で表れていますね。オケに負けない力強さのあるピアノで、硬質感の高い音で響きます。CDには録音年が1991年~92年との記載がありますが、個別の録音年表示がないので、1992年と掲載します。CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集 第1番~第5盤 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 ウラジミール・クライネフ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

クンウー・パイク アントニ・ウィット ポーランド国立放送交響楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 クンウー・パイク アントニ・ウィット ポーランド国立放送交響楽団 1991年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Kun Woo Paik Antoni Wit Narodowa Orkiestra Symfoniczna Polskiego Radia

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番、4番、1番 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 白建宇 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ボリス・ベルマン ネーメ・ヤルヴィ コンセルトヘボウ管弦楽団 😅

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ボリス・ベルマン N・ヤルヴィ コンセルトヘボウ 1989年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Boris Berman Neeme Järvi Royal Concertgebouw Orchestra

ベルマンさんの演奏は、ネーメ・ヤルヴィさんとのコラボで、オケの音は、かなりの重量級で、金管がごつい音で鳴り響きます。ティンパニの音も、四股を踏むようにドスンっ。で、ピアノのフレーズは、カッチリとした楷書体で、丁寧に音を置いていますが、キラキラした音が流れてきます。CDのPR文を読むと、1990年代初期のシャンドスを代表する盤で、ペンギンガイドの三つ星を獲得しているそうです。

第2楽章:前楽章の楷書体から別人のようで、夢遊病者のように、ゆらぁ~ ゆらぁ~っと揺れながら歩くピアノです。オケも、もわもわ感が漂い、生暖かさが感じられます。幻想的な世界で、海の底を這っているようなピアノでした。これは雰囲気ありますね~。

第3楽章:オケの短い導入があったあと、 ピアノが、細かい音でスケールを練習中~という感じです。オチャメな感覚もあり、そしてラストは、大団円となります。これは、賑々しい。重々しく超ど派手にやらかしちゃう。金管は、音が割れ、ぶっぱなし状態となり、引き裂くような弦の音。えーっ、コンセルトヘボウに、こんな風に演奏させちゃうの? うっそーっ こんな品のない演奏をさせるなんて~ ひどいっ。ロシア系のオケを起用したら良いのではないかと、ちょっと恨めしい気分になります。まあ、なんだかんだと言いつつ、面白く聴けちゃいました。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集2枚組BOX ピアニスト二名で、1番、4番、5番はボリス・ベルマン 1989年録音、2番と3番は、オラシオ・グティエレス 1990年録音 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 ボリス・ベルマン – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ウラディミール・フェルツマン ティルソン=トーマス ロンドン交響楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ウラディミール・フェルツマン マイケル・ティルソン=トーマス ロンドン交響楽団 1988年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Vladimir Feltsman Michael Tilson Thomas London Symphony Orchestra

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、第2番(1923年版)1988年、ロメオとジュリエットからの10小品(作品75)別れの前のロメオとジュリエット 1988年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 ヴラジーミル・フェルツマン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

アンドレイ・ガヴリーロフ サイモン・ラトル ロンドン交響楽団 🤩

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 アンドレイ・ガヴリーロフ サイモン・ラトル ロンドン交響楽団 1978年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Andrei Gavrilov Simon Rattle London Symphony Orchestra

1977年の録音なので、古いのですが、若かりし頃のガヴリーロフさんとラトルさんのコラボです。1974年に、チャイコフスキー・コンクールで、ガヴリーロフさんが優勝しているので、20代前半の演奏となります。細かなピアノの音が爽やかに、スマートに流れ、愉悦性の高く、瑞々しい音が、空中に弧を描くように放出されていきます。

速い、速い・・・徐々に速くなってきて~ 粒が回り出し、加速度がついて頂点に達したあと、金管のパラパラパラ~っと一緒になって転がり落ちてきます。若いだけあってスピード感抜群。中間部も、スイスイ進みます。泥臭さは皆無で、相当にスマートな演奏となっています。

第2楽章は、柔らかく、糸をひくように、ぱらぱら~っと流れていくピアノです。時間軸は流れていますが、止まりそうになっているピアノで、液体のようになってきます。低弦の響きの底から、力が加わって、盛り上がって~ ぐわんと浮上してくるようなパワーがあります。木管の響きと渾然一体化して、濃厚な深みに、とろっとした液体となる感じです。この楽章の幻想的な雰囲気は、とても良いですね。詩情感というより、まるで化学の実験教室のようではあるのですが、かえって面白く、液体が混ぜ合わされているのを、真剣に見ている気分でした。

第3楽章は、幾何学的な動きですが、表情がコミカルで、自由自在に動けて嬉しいみたい。ギクシャクした動きをしてみせては、アハハ~ 蝶番が外れたかのように、とんでもない飛躍をします。どうだ、こんな風に動けるかい?と、自慢したそうですね。第3楽章のラストの色彩感は、所狭しと、ちりばめられ、とても面白く感じます。子供の頃に実験に夢中になっているような感じの演奏です。ワクワク度合いが半端なく高い演奏でした。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番、ロメオとジュリエットからの10の小品(作品75)抜粋 第2番「情景」・第9番「ゆりの花を持った少女たちの踊り」、ラヴェル 左手のためのピアノ協奏曲 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 チャンネル:アンドレイ・ガヴリーロフ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ネルソン・フレイレ ユーリ・アーロノヴィチ バイエルン放送交響楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ネルソン・フレイレ ユーリ・アーロノヴィチ バイエルン放送交響楽団 1974年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Nelson Freire Yuri Ahronovitch Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

フレイレさんの演奏は、サブスクリプションで拝聴したのですが、ネルソン・フレイレ レディオ・デイズ2枚組BOX 1968年から79年までのピアノ協奏曲の放送用ライヴ録音集として発売されているものです。プロコの1番は、ミュンヘンのヘルクレスザールでの収録です。フレイレさんのピアノは、ふわっと包み込むような暖かさがあります。熱い想いを底に置いて、客観的でのめり込まず、幻想的な世界を粒立ちの良い動きで描こうとしているようです。出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D flat, Op. 10 (Live In Munich / 1974) ネルソン・フレイレ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group 

ミシェル・ベロフ クルト・マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 😮

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ミシェル・ベロフ マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1974年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Michel Béroff Kurt Masur Gewandhausorchester Leipzig

ベロフさんの演奏は、想定以上に熱く、スピーディであっという間に駆け抜けて行ってしまいます。録音で、ちょっと損をしていますが、指が折れないかと心配したくなるような打音です。速めのピアノと、速めのオケで、タップリ鳴っているので、スリリングです。イケイケどんどんですが、品良く、これでれもか~っという感じでアグレッシブに繰り出されてきます。

ピアノは、ハッキリ、シャキシャキ感じで、テンション高め。スマートではあるのですが、クールな緊張感ではなく、熱いままで幻想的な世界を描きます。第2楽章は、もう少し夢幻的であっても良いのですが、ここは、眩惑してきません。もわもわ感なしです。第3楽章も超快速です。ゲヴァントハウスが、こんなに熱く演奏できるとは~ 予想外でしたね。恰幅の良い演奏とは言い難いのですが、普段、おとなしそうに見えている方が、大変身した感じで仰天しました。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全曲、ヘブライの主題による序曲(作品34)、束の間の幻影(作品22)1974年、81年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 ミシェル・ベロフ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ウラディーミル・アシュケナージ アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ウラディーミル・アシュケナージ アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1974年~75年 Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Vladimir Ashkenazy André Previn London Symphony Orchestra

アシュケナージさんの若かりし頃のプロコフィエフのピアノ協奏曲全集で、ようやく最近、映画効果なのか、プロコフィエフのピアノ協奏曲も人気が出てきたようです。冒頭は、粘りのある雄渾なタッチで、タメ感のある圧倒的な響きで描いており、力強いもの。オケに負けないピアノの強い打音も、1970年代録音とは思えません。

短く、カッカッカッと刻むリズムは、熱伝導性が高く、有無を言わせません。場面展開は、一呼吸おいて進んでいくので、気持ち良く次へと展開していきます。結構、尖ってますね~ まだ、この頃は、中庸~なんて言葉を微塵にも感じさせないものだと思います。

第2楽章は、浮遊感があり、弱音の響きで、靄のかかった雰囲気が創り出されます。クラリネットは、静寂のなかを、ぷわぷわ~ 沈んでは浮かび、流れて行く小さな流木のよう。ふわーっと広がり、消えていく波紋を描くピアノ。う~ん、この世界は、液体できているのか気体でできているのか、いずれにせよ、現実の時空間ではありません。ホント、腕を引っ張られて、摩訶不思議な空間に誘われて、さあ~遊ぼうよと言われているみたい。眼のまえの光景が、異次元だということに気づくのに、そんなに時間がかからないし、すっと馴染める演奏となっていっます。

第3楽章は、細かな粒が、プツプツとカラダに当たるような動きをします。感覚の異なる空間を、演奏者も聴き手も移動しているみたいですね。プレヴィンさんのオケは、許容量の大きさを感じさせ、別に溶け合わなくても良いんだよ~っとばかりに、硬質感のあるピアノの粒と同居しています。現実にとどまっていたい人は、違和感を感じるかもしれませんが、あっけらかんと別世界で音遊びをされると、つい引き込まれます。わずか15分40秒ですが、別次元の探索も~ なかなかにオツなもの。ぜひ楽しんでください。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集 第1番1974年、第4番1975年、第5番1974年、第2番1974年、第3番1974年録音 出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D Flat Major, Op. 10 ウラディーミル・アシュケナージ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲイリー・グラフマン ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 ゲイリー・グラフマン ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 1966年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Gary Graffman George Szell The Cleveland Orchestra
CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番、第1番、ピアノソナタ第3番 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 ゲイリー・グラフマン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

スヴャトスラフ・リヒテル カレル・アンチェル プラハ交響楽団 😅

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番 スヴャトスラフ・リヒテル カレル・アンチェル プラハ交響楽団 1954年
Prokofiev: Piano Concerto No. 1 in D-Flat Major, Op. 10 Sviatoslav Richter Karel Ancerl Prague Symphony Orchestra

かなり古い録音になりますが、リヒテルさんの硬質ある素早い動きが聞こえてきます。冒頭こそ遅めのテンポで始まりますが、ピアノはキッチリ、ハッキリ、綺麗な弾み方で驚きます。機械的なトルク音のようです。中間部分は、さすがに、ゆったり演奏されるのだろうと思っていたのですが、予想は大きくハズレ。間髪入れずに進みます。宙に浮いたような場面は、いっさい出てきません。思い詰めたような、硬い表情のままで、ツンツン突き詰めた感じです。ずーっと表情を変えずに進みます。第3楽章にあたる部分では、ぱたっと動きが止まり、いきなりブラックホールに入ったような無音に近い静寂が訪れます。リヒテルさんの強いメンタルが窺えます。

CDカップリング:ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番、リスト ピアノ協奏曲第1番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in D-Flat Minor, Op. 10 スヴャトスラフ・リヒテル – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番【解説】

プロコフィエフのピアノ協奏曲第1番(作品10)は、1912年に作曲されています。プロコフィエフが、ペテルブルク音楽院に在学中だった頃の作品で、長調という音階の選択、抒情的・歌謡的な旋律の排除と、グロテスクな曲想への好み、驀進するリズムと打鍵中心のピアノ書法、曖昧な調性など、反民族主義的・反ロマン主義的性格が濃厚な作品です。すでに、成熟期のプロコフィエフの作風を予告するもので、バルトークなどの20世紀におけるピアノ協奏曲の発想も先取りしたものとなっています。1912年には初演されおり、1914年にはペテルブルク音楽院の卒業試験において、自ら演奏して、アントン・ルビンシテイン賞を受賞しているとのことです。

15分程度の短い楽曲ですが、第1楽章と第2楽章の間に、小休止があるのを除いて、すべての楽章が間断なく連続して演奏されるので、ほとんど単一楽章のように聞こえますがが、実際には3つの楽章に分けられています。第1楽章と第3楽章には、主題の明瞭な繋がりがあり、変ニ長調による雄大な主題が冒頭と終結に現れます。第2楽章は、嬰ト短調、変イ長調で、そのクライマックスは、底知れない暗さがあります。冒頭よりインパクトのある楽曲で、なかなかに斬新です。スピーディで熱い演奏が多いように思います。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番【ディスク情報】

1954年 リヒテル カレル・アンチェル プラハ交響楽団 Sup
1966年 グラフマン ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 SC
1975年 アシュケナージ プレヴィン ロンドン交響楽団 Dec
1974年 ベロフ マズア ライプツィヒ・ゲヴァント管弦楽団 EMI
1978年 ガヴリーロフ ラトル ロンドン交響楽団 EMI
1988年 フェルツマン ティルソン=トーマス ロンドン交響楽団 SC
1989年 ボリス・ベルマン N・ヤルヴィ コンセルトヘボウ CHANDOS
1991年 K.W.パイク ウィット ポーランド国立放送交響楽団 NAXOS
1992年 クライネフ キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 T
1993年 キーシン アバド ベルリン・フィル G
1995年 トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 Ph
1997年 アルゲリッチ デュトワ モントリオール交響楽団 EMI
2004年 エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団 Fuga Libera
2012年 ジャン=エフラム・バヴゼ ジャナンドレア・ノセダ  BBCフィルハーモニック CHANDOS
2015年 ムストネン ハンヌ・リントゥ フィンランド放送交響楽団 ONDINE
2017年 シモン・トルプチェスキ ワシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル

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