コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」【聴いてみよう】Kodály: Háry János Suite

目次 タップ・クリックしてね。

コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」【YouTube】

コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」ユライ・ヴァルチュハ Juraj Valčuha  hr交響楽団(フランクフルト放送響)2014年9月のコンサートの模様です。27分46秒の動画です。ヴァルチュハさんは、スロヴァキア出身の指揮者で、父親は民俗音楽の演奏家だそうです。24年シーズンから、読響の首席客演指揮者にご就任予定です。出典:YouTube Kodály: Háry-János-Suite ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Juraj Valčuha hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony

コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」【名盤・おすすめ】

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」は、次の6曲で構成されています。
1 前奏曲、おとぎ話は始まる Prelude; the Fairy Tale Begins(Kezdődik a mese)
2 ウィーンの音楽時計 Viennese musical clock(Becsi harangjatek)
3 歌 Song(Dal)
4 戦争とナポレオンの敗北 The battle and defeat of Napoleon(Napoleon csataja)
5 間奏曲 Intermezzo(Közjáték)
6 皇帝と廷臣たちの入場 Entrance of the Emperor and His Court(A csaszari udvar bevonulasa)

イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 😘

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 1999年
Kodály: Háry János Suite Iván Fischer Budapesti Fesztiválzenekar

イヴァン・フィッシャーさんの演奏は、淡麗辛口、超ドライ、切れの良い現代風な演奏です。ちょっと、さっぱりしすぎて、タメ感や語り口の巧さが少ないかもしれません。第2曲のウィーンの音楽時計が、とっても速いので驚きました。第3曲の歌は、がらりと雰囲気が変わり、テンポを落として重々しい雰囲気となります。ツィンバロンの音は胸を打ち、風が通っていく雰囲気で、郷愁で、胸をかきむしられる~ってなことにはなりませんが、メリハリがついているので、ぐっときます。

第4曲の戦争とナポレオンの敗北は、滑稽な行進曲ですが、ここは快活に進みます。白黒の「トムとジェリー」のアニメを思い浮かべました。場面ごとに間があいており、チューバやトランペットなどの金管が入ってくると、大げさで、どこかハリウッド映画風です。賑々しい史劇、古代ローマ軍の行進のようにも思えます。アルト・サックスが登場し、ききどころとなっています。第5曲の間奏曲は、快活で楽しげ。第6曲の皇帝と廷臣たちの入場は、スマートな器楽曲を聴いている感じでした。ダイナミックな演出で、メリハリのついた演奏です。カップリングされている曲も楽しいので、ぜひ聴いてみてください。

CDカップリング:コダーイ ガランタ舞曲、踊り歌、マロシュセーク舞曲、聖ゲルゲイの祝日の巡礼、歌劇「ハーリ・ヤーノシュ」より管弦楽抜粋版5曲、「ジプシーはカッテージチーズを食べる」、組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
出典:YouTube Kodály: Háry János Suite ブダペスト祝祭管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 🤩

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1994年 
Kodály: Háry János Suite Charles Dutoit Orchestre symphonique de Montréal ツィンバロン:ジェイムズ・アール・バーンズ James Earl Barnes

デュトワさんの演奏は、あまりにも綺麗過ぎて、ちょっと驚きです。キラキラしてて派手め。最初にお聴きするにはうってつけかもしれません。CDカップリング:コダーイ 組曲ハーリ・ヤーノシュ、マロシュセーク舞曲、孔雀による変奏曲、ガランタ舞曲 1994年録音 出典:YouTube Kodály: Háry János Suite – Prelude; the fairy tale begins
モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 😭

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1993年
Kodály: Háry János Suite Georg Solti Chicago Symphony

ショルティさんの演奏は、迫力ありだと思っていましたが、いやー それは、同じシカゴ響を振ったN・ヤルヴィさんに譲って、ここはしんみり~演奏されています。特に、第3曲「歌」に代表されるように、心深くに沈んだ郷愁で、あまり表に出してきません。ホント、表情が抑制されててストイックです。この思いを爆発させるのではなく、控えめに静かに演奏されているところに、かえって~ なんだか~ ナミダです。晩年の演奏だからかもしれませんが、ショルティさんの出自は、ハンガリーにあり。DNAがこの曲に込められている気がします。

CDカップリング:ハンガリー名曲集 リスト メフィスト・ワルツ第1番、リスト ハンガリー狂詩曲第2番、バルトーク 5つのハンガリーのスケッチ、ヴェイネル チョンゴルと悪魔、バルトーク ルーマニア民族舞曲、コダーイ 組曲ハーリ・ヤーノシュ 出典:YouTube Kodály: Háry János Suite シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ネーメ・ヤルヴィ シカゴ交響楽団 🤩

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 ネーメ・ヤルヴィ シカゴ交響楽団 1990年
Kodály: Háry János Suite Neeme Järvi Chicago Symphony Orchestra ツィンバロン:ローレンス・カプタイン Laurence Kaptain

N・ヤルヴィさんの演奏は、意外と面白いというか、オーバーアクション気味なのですが、この曲にマッチしていると思いました。ほら男爵じゃーないけれど、遊び心があります。93年のショルティさんの演奏と同じシカゴ響なのですが、分厚さには脱帽しちゃいます。ショルティのお株を奪っただろ~って思いますが、まあ、これだけ振ってくれると嬉しいかも。大編成のオケを十分に鳴らしきってご自身も大満足だったのではないでしょうか。これは聴き応えあり。CDカップリング:コダーイ ガランタ舞曲、組曲ハーリ・ヤーノシュ、ハンガリー民謡「孔雀による変奏曲」1990年録音 出典:YouTube Háry János Suite ネーメ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by PIAS

クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル 1983年
Kodály: Háry János Suite Klaus Tennstedt London Philharmonic Orchestra ツィンバロン:イアン・ライト Ian Wright

CDカップリング:コダーイ 組曲ハーリ・ヤーノシュ、プロコフィエフ キージェ中尉 1983年録音 出典:YouTube Háry János Op.15 クラウス・テンシュテット – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

アンタル・ドラティ フィルハーモニア・フンガリカ 🥰

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 アンタル・ドラティ フィルハーモニア・フンガリカ 1973年
Kodály: Háry János Suite Antal Dorati Philharmonia Hungarica ツィンバロン:ジョン・リーチ John Leach

ドラティさんの演奏は、タメ感があり、語り口が巧いです。遊び心が満載というか、えっ!と驚くほどにサービス精神が満載です。むかしむかし、あるところにという幕開け的な場面ですが、ハックションも派手めだし、第2曲のウィーンの音楽時計は、オルゴールのような可愛いフレーズから始まり、ホンモノの教会のからくり時計を録音したのしらと思うほど。第3曲の歌は、ヴィオラが、悲しげにハンガリー民謡を奏でます。ここで演奏されるツィンバロンが、とても印象的。木管のフレーズと、ばらららん~っと奏でられるツィンバロンの音色を聴くと、郷愁を誘いますね。

暗いフレーズで奏でられたあとは、少し明るめになって金管が登場して誇らしげな感じです。ツィンバロンは、太めの音で掻き鳴らし、残響が残るところが悲しげに聞こえます。このツィンバロンの演奏者は、ジョン・リーチ John Leachさん。ケルテス盤もドラティ盤にも登場されています。この演奏の方が、心持ちタメ感があるように感じます。

第4曲 戦争とナポレオンの敗北は、滑稽な行進曲のよう。シリアスな戦闘シーンというよりは、ずっこけた古代ローマ軍の行進のようです。大太鼓がドンドンっと鳴るし、シャカシャカ、ぴぃ~ひゃぁ~っと鳴って、象の行進のようなチューバが入る風変わりなマーチです。突然、シンバルが、シャーンっと鳴って、ああ残念でしたって感じのオチがついています。おちゃらけ風のフレーズで、ちょっとマヌケな感じがするのが面白い曲です。

第5曲の間奏曲は、粘っこいフレーズで、ツィンバロンが活躍します。タメ感があり、付点リズムと小太鼓のシャリ感が絶妙に入って最高っ。中間部は、優美なフレーズですが、てぃ~ららっという、てぃ~のところにアクセントがついてて、チャチャチャぁ~という語尾が膨らんでて楽しいです。

第6曲の皇帝と廷臣たちの入場は、おもちゃの楽器風に金管が吹かれ、小太鼓が大げさに彩りを添えます。華麗な楽曲かと思わせておいて~ やっぱコミカルに締めくくっているし、軽妙です。ほら吹きのノリ感が感じられて、笑えてしまいます。粘っこさ、こってり感、キレの良さ、シャリ感が、軽妙に組み合わされており、大げさな演出も、○○だったとさっと、オチがついてこそ、痛快に笑い飛ばしに繋がるようです。オケも楽しそうに演奏されています。

CDカップリング:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」、ガランタ舞曲、ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲、マロシュセーク舞曲出典:YouTube Kodály: Háry János Suite フィルハーモニア・フンガリカ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 😘

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 1969年
Kodály: Háry János Suite George Szell The Cleveland Orchestra

セルさんの演奏は、子供頃に、キージェ中尉と共に愛聴していた演奏です。なかなかに楽しい曲で、このハーリ・ヤーノシュもお気に入りでした。スッキリとした明るめの鋭い旋律が、記憶に残っています。CDは買っていなかったので、すっかり忘れてたくせに、サブスクで見つけて超喜んだという現金なワタシ。リマスタリングされ綺麗な音に、懐かしくて泣きそうでした。(スミマセン) 出典:YouTube Háry János Suite (Remastered) ジョージ・セル – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

イシュトヴァン・ケルテス ロンドン交響楽団 🥰

コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」 イシュトヴァン・ケルテス ロンドン交響楽団 1964年
Kodály: Háry János Suite István Kertész London Symphony Orchestra ツィンバロン:ジョン・リーチ John Leac

ケルテスさんの演奏は、多彩なオーケストレーションなので、多少、重いかな~というところがありますが、ドスが効いて勢いが良いです。ハーリ・ヤーノシュは、ドイツのほら吹き男爵の冒険(これは18世紀、ドイツの貴族ミュンヒハウゼン男爵カール・フリードリヒ・ヒエロニュムスさんが、周囲に語った自身の冒険談を元にした物語らしい。)のハンガリー版とのことで、オチャメな子供向けかなというオペラです。(ここでは組曲版です)

ケルテスさんの演奏は、少し分厚めのこってり系です。冒頭、前奏曲は、重々しく始まり、低弦の響きが重量感たっぷり。ゆったりとした間合いをとって奏でられています。ロンドン響の金管は重く、ぐわんとでてくる大きさ、音圧にびっくり。ウィーンの音楽時計は、街のざわめきと共に鳴っているような気がします。3曲目の歌は、これは文句なしにオクニモノという雰囲気で、泣き節が炸裂。ものすごーくノスタルジックに、胸をかきむしられるかのような切々とした歌いっぷりです。4曲目の戦争とナポレオンの敗北は、コミカルな表現で、手慣れた感じ。ロンドン響のブラスの豪勢な鳴りっぷりは、やっぱり聴き応えあり。ナポレオンが敗北し敗走しているというよりは、ローマ皇帝の凱旋シーンという、なんだか映画のワンシーンみたいな雰囲気だけど。これは笑えます。

ケルテス盤の聴きどころは、やっぱり、ツィンバロンが登場する間奏曲だと思います。これを外しては語れないだろうし、この民族音楽の珠玉です。で、ツィンバロンの映像がないかと探したところ、なんと~ 我が国での演奏会がYouTubeにアップされていたので、別項目でご紹介しておきます。うれしーっ!!

CDカップリング:コダーイ 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」、ガランタ舞曲、ハンガリー民謡「孔雀」による変奏曲
出典:YouTube Kodály: Háry János Suite London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」第5曲「間奏曲」におけるツィンバロンの演奏を聴いてみよう。Cymbals

ハーリ・ヤーノシュでは、ツィンバロンは、ツィンバロム cimbalom とも表記されます。弦を張ったところに柔らかいマレット(バチ)で叩くもの。お琴だと、爪でひっかく感じですが、弦を叩くのです。ハーリー・ヤーノシュの第3曲「歌」と、第5曲「間奏曲」ツィンバロンが登場します。これが、ハーリ・ヤーノシュの特徴です。このページでは、CDを元に演奏をご紹介していますが、他にも多くの演奏があります。その一部をご紹介します。YouTubeで、見て聴いたら、より一層、面白く楽しく拝聴できます。

出典:YouTube Kodaly: Hary Janos mov.5 Intermezzo (with Cimbalom) ハーリ・ヤーノシュ組曲 III. 間奏曲
指揮:高橋敦 ジャパンフレンドシップフィルハーモニー ツィンバロン:崎村潤子さん

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」【解説】

ハンガリーの作曲家コダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」(作品15)は、1927年に作曲されています。ウィキペディア(Wikipedia)を元に記述すると、ハンガリーの詩人ガライ・ヤーノシュの、ほら吹き男爵さながらの物語を元にした5つの冒険談の歌劇です。

例えば、7つの頭のドラゴンを退治したとか、ナポレオンに打ち勝って捕虜としたとか、オーストリア皇帝フランツの娘から求婚されたが断った等。この劇音楽から6つを抜粋して組曲としています。第3曲と5曲に、民族楽器のツィンバロム(ツィンバロン)が使用されているのが特徴です。その他にも、コルネット、銅鑼、シロフォン、チェレスタなど、多彩な楽器が使用されています。メチャ楽しい楽曲なので、子供の頃に戻った気分で聴いてみてくださいね。
また、とても贅沢な楽器の使い方なので、詳しくは、Wikipediaをご参照ください。

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」【ものがたり ストーリー】

1 前奏曲、おとぎ話は始まる。Előjáték, Kezdődik a történet
壮大な「くしゃみ」の表現から始まります。聞いている人が、くしゃみをすれば、その話は本当のことであるという意味らしいです。ほら吹きじゃーないよってことですね。でも・・・。

2 ウィーンの音楽時計 A bécsi harangjáték オルゴールのように、バスーン、トロンボーン、テューバを除く管楽器と打楽器、鍵盤楽器で演奏されます。

3 歌 Dal 無伴奏のヴィオラ・ソロが、ハンガリー民謡を奏で、オーボエ、ホルンへ、ここにツィンバロンが装飾的に絡み合います。

4 戦争とナポレオンの敗北 A csata és Napóleon veresége ピッコロ、アルト・サクソフォン、トランペット、トロンボーン、テューバ、打楽器で演奏される楽曲です。戦闘の様子が描かれ、金管のグリッサンドや木管のトリル、唐突なシンバルの一撃など、おちゃらけ風の楽しい曲です。トロンボーンとチューバによって奏される主題は、ラ・マルセイエーズのパロディ。トロンボーンのグリッサンドに伴奏され、アルト・サクソフォンが、装飾音やトリルで、うらぶれた旋律を奏でます。

5 間奏曲 Intermezzo ハンガリー民謡が用いられ、ツィンバロンが使用されます。中間部では、ホルンや木管楽器のソロが活躍するものです。

6 皇帝と廷臣たちの入場 A császári udvar bevonulása 絢爛豪華なオーストリア帝国宮廷の様子が描き出される楽曲で、トランペット、コルネット、トロンボーンのファンファーレの後、テンポを速め、バスドラム(大太鼓)の一発で曲を締めくくります。物語は、これでおしまい!

PS:元々は歌劇(オペラ)として作曲されています。ここでは、管弦楽曲版組曲としてご紹介しているので、オペラとしての総合的な筋書きについては、【解説】の項目にリンクしている Wikipedia 等をご参照ください。

コダーイ:「ハーリ・ヤーノシュ」【ディスク情報】

1964年 ケルテス ロンドン交響楽団 Dec
1969年 ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 SC
1973年 ドラティ フィルハーモニア・フンガリカ Dec
1983年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI
1990年 N・ヤルヴィ シカゴ交響楽団 CHANDOS
1993年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1994年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1999年 フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 Ph

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次 タップ・クリックしてね。