ドヴォルザーク:交響曲第1番~第9番【サクッと】聴いてみよう。Dvořák: Symphonies No. 1 to No. 9

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ドヴォルザークの交響曲を【サクッと】聴いてみようと思います。

ドヴォルザークの交響曲は、とっても人気があり、演奏を聴く機会が多くあります。海外からオーケストラが来日した時も、地元オケのコンサートでも演奏される機会が多いです。でも、主に演奏されるのは、新世界というニックネームのついている第9番と、第8番ぐらいだと思います。いわゆる後期交響曲と呼ばれる7番以降が演奏される機会が多いくらいで、あまり聴く機会がないように思います。

このページでは、ドヴォルザークの交響曲全曲9曲を、ひととおり【サクっと】聴いてみることにします。原則、一作品一演奏を聴いて、よく聴かれている後期交響曲は、また改めて~ ご紹介できればと思います。

ドヴォルザーク:交響曲第1番~第9番【YouTube】

ドヴォルザーク:交響曲第5番

ドヴォルザーク:交響曲第5番 ハイコ・マティアス・フェルスター プラハ放送交響楽団 2015年3月2日コンサートの模様です。44分50秒動画です。Heiko Mathias Förster. Prague Radio Symphony orchestra 出典:YouTube Antonín Dvořák: Symfonie č. 5 v podání SOČRu (HD) Český rozhlas

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」2027年から首席指揮者になる予定のクラウス・マケラさんが、コンセルトヘボウを振った演奏です。2022年1月15日 出典:YouTube Anto

ドヴォルザーク:交響曲第1番~第9番【名盤・おすすめ】

ドヴォルザーク:交響曲第1番「ズロニツェの鐘」作品3

ドヴォルザークの交響曲第1番 ハ短調(作品3 B.9)は、1865年に作曲されています。作曲コンクールに提出後、紛失。1923年にスコアが発見されています。「ズロニツェの鐘」Zlonické zvonyという副題がついていますが、プラハ西方にある地名で、ドヴォルザークが、実家の肉屋さんを継ぐ修行していた少年時代に過ごした町です。

ドヴォルザーク:交響曲第1番「ズロニツェの鐘」 イシュトヴァン・ケルテス ロンドン交響楽団 1966年
Dvořák: Symphony No. 1 in C Minor, Op. 3, B. 9 – “The Bells of Zlonice” István Kertész London Symphony Orchestra

第1番の楽譜は、コンクールに提出したあと、どこにいったか判らずじまい。で、古本屋で購入した人物の息子さんが発見。1923年に公表されたそうです。結局、1961 年まで、楽譜は出版されずにいたそうです。改訂されていないので、ホントの意味で素のまま。ケルテスさんのドヴォルザーク交響曲全集のなかに収められた、この演奏が、1番の最初のレコーディングとなります。柔らかい音質なので、聴きやすいという印象です。

出典:YouTube Dvořák: Symphony No. 1 in C Minor, Op. 3, B.9 – “The Bells of Zlonice” London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

ドヴォルザーク:交響曲第2番 作品4

ドヴォルザークの交響曲第2番変ロ長調(作品番号4 B12)は、1865年、第1番完成後すぐに作曲されています。1841年生まれなので24歳頃の作品です。1865年夏に着手し、10月には完成しています。はやっ! 

交響曲第1番も、同じ1865年に作曲してコンクールに出したというし、ブラームスとは違って早書きです。しかし、初演のめどが立たずお蔵入り。約20年後の1887年に改訂しています。交響曲第8番が89年に完成しているので、後期交響曲の影響が、ちょっぴりあるかも。なお、第4楽章に、オペラ「ルサルカ」で引用することになる四4 つの音符のモチーフが含まれているそうです。歌劇「ルサルカ」Rusalka(作品114 B203)は、9作目のオペラで、水の精が主人公です。1900年に作曲されています。演奏時間は50分という大作です。

ドヴォルザーク:交響曲第2番 オトマール・スウィトナー シュターツカペレ・ベルリン 1978年 
Dvořák: Symphony No. 2 in B-Flat Major, Op. 4, B. 12 Otmar Suitner Sächsische Staatskapelle Berlin

スウィトナーさんの演奏は、牧歌的で爽やかな演奏です。木管は素朴に良く歌っています。そよそよと春めいた風のような旋律は、とても柔らかく、ドヴォルザークとスウィトナーさんの人柄が出ている感じがします。もう少しパンチのある演奏でもよいのかもしれませんが、第1楽章も第2楽章も、木管の旋律が綺麗です。

第3楽章は、弦のユニゾンで始まりますが、快活に動き、少し甘めのチェロで歌謡風の旋律を描きます。青春時代を謳歌しているような、喜びの歌が感じられます。冒頭で、ユニゾンっていうのが印象的ですね。民族舞踊風の旋律も、印象に残ります。

第4楽章は、ん? あっ、もしかして汽車が動きだす場面かな。汽笛でしょうか。甘いチェロと翳る転調、低弦を主体した歌、弦から木管にと引き継がれていく主題。ホルンが、ポポポポとアクセントを入れてきたり、工夫が見られます。やっぱり汽車に乗って、旅行に出かけていくようですね。楽しげ。ただ演奏時間が50分とは。さすがに長い~。改訂した時に間引いたらしいのですが、それでも50分! 24歳頃の作品としては安定感があります。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲全集5枚組BOX出典:YouTube Symphony No. 2 in B-Flat Major, Op. 4, B. 12 シュターツカペレ・ベルリン – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media

ドヴォルザーク:交響曲第3番 作品10

ドヴォルザークの交響曲第3番変ホ長調(作品番号10 B34) は、1873年に作曲されています。この曲が最初に初演された曲となります。結婚を目前にした頃の作品で、爽やかな楽想です。R・ワーグナーの影響が見え、オーストリア政府から奨学金を得られることになった作品でもあります。三つの楽章で構成されています。演奏時間は約35分。

ドヴォルザーク:交響曲第3番 ヴァーツラフ・ノイマン チェコ・フィル 1973年
Dvořák: Symphony No. 3 in E flat major, Op. 10, B. 34 Václav Neumann Česká filharmonie

ノイマンさんの演奏は、爽やかでしっとり、チャーミングな演奏です。ノイマンさんの交響曲全集(1970年代旧録)かからの3番です。第1楽章は、ワルツ風の短い旋律があり、甘酸っぱい歌謡風フレーズで始まります。チェコ・フィルならではの、柔らかい草の匂いがします。期待に胸を膨らませ、ウキウキとしている。弦で奏でられたあとに、木管が主題を奏でていきます。スカートを、ひらっと広げて遊んでいるような雰囲気です。

第2楽章は、結婚に反対された若いカップルが、どーしましょ。反対され困ったわという感じです。何事か相談しているかのような雰囲気。はぁ~っと空を仰いで溜息をつく二人を、ホルンが柔らかい空気を漂わせて慰めているようです。恋の悩みで、ちょっとしたことで明るくなったり、沈み込んだり。若い人ならではの心情のようです。

第3楽章は、軽やかな舞踏風の楽章です。若いカップルの田舎での結婚式でしょうか。シンプルな音型で、素朴さたっぷり。日本の演歌で例えちゃうと、都はる○さんのような、「アンコー椿はぁ~っ」て感じの喉の奥から絞り出してくるような歌い方ではなく、水森かお○さんのご当地ソングのような、さらりとした演歌。そんな演奏だと言えるでしょうか。まあ、新婚ホヤホヤ時代の歌を、すこぶる自然にす~っと流れていく演奏ですが。素材が生きてるようです。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲全集BOX7枚組 1968年~73年録音 ドヴォルザーク交響曲全集 第1番~4番1973年、5番~7番72年、8番71年、9番1972年録音 序曲「自然の中で」79年、謝肉祭80年、オセロ79年、交響詩水の精77年、真昼の魔女77年、金の紡ぎ車77年、野鳩77年録音 出典:YouTube Dvořák Symphony No. 2 in B flat major, Op. 4 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Supraphon番

ドヴォルザーク:交響曲第3番 チョン・ミョンフン ウィーン・フィル 1995年
Dvořák: Symphony No. 3 in E flat major, Op. 10, B. 34 Myung-Whun Chung Wiener Philharmoniker

チョン・ミョンフンさんとウィーン・フィルの演奏です。ノイマンさんとチェコ・フィルとの演奏とは、音の色艶が違います。あえて対抗馬として聴いてみたのですが、どうでしょう。マルバツ式の二者選択でも、正解・不正解もありません。お好みでどうぞ。スマートすぎるでしょうか。いや、甲乙つけがたい。両方とも良い演奏です。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲第3番、第7番 1995年録音 出典:YouTube Dvořák: Symphony No. 3 In E Flat, Op. 10, B. 34 Herbert von Karajan Provided to YouTube by Universal Music Group

ドヴォルザーク:交響曲第4番 作品13

ドヴォルザークの交響曲第4番(作品13 B41)は、1874年に作曲されています。オーストリア政府から高額の奨学金を得ることができたそうです。87年から88年に改訂され、92年に作曲家自身により全曲初演されています。演奏時間は約43分。第2楽章における主題が、ワーグナーのタンホイザー「巡礼の合唱」に似ていると言われます。

第3楽章は、ニュルンベルクのマイスタージンガーからの影響があるとされています。若い頃は、ワーグナー贔屓だったんですね。後に、ブラームスに見出されたんだけど~。ドヴォルザークの民俗的な舞曲、歌謡風の旋律もあり、これは、ターニングポイントになった作品だと思います。

ドヴォルザーク:交響曲第4番 トーマス・ヘンゲルブロック 北ドイツ放送交響楽団 2021年
Dvořák: Symphony No. 4 in D Minor, Op. 13, B. 41 Thomas Hengelbrock NDR Sinfonieorchester

ヘンゲルブロックさんの演奏は、ワーグナーの影響を受けたこの曲を、ダイナミックに演奏しています。かなり進化をした作品ですが、随所に、これまでの作曲家作品に似た雰囲気もあって、面白いですね。舞曲風のところは、スラヴ舞曲の萌芽かなあ~ 弾むリズムが楽しいです。

第1楽章は、ティンパニの響きが大きく、劇的~っ。第2楽章は、ホルンの二重奏的なところが、オペラの主人公の二重奏という感じです。第3楽章のスケルツォも大きい身ぶりで、行進曲のような歌謡風旋律が続きますが、オーバーなぐらい勇壮に演奏されます。

第4楽章は、チャンチャン チャカチャンという舞曲風ベースラインがあり、そこで展開していきます。これは、ドヴォルザークの作品だろうと、作曲家の名前を伏せられても正解できそうです。金管の鋭さ、ティンパニの叩きの大きさなど、ヘンゲルブロックさんは、かなり熱っぽく、ドラマティックに仕上げています。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲第4番、チェコ組曲 2012年録音 Symphony No. 4 in D Minor, Op. 13
トーマス・ヘンゲルブロック – トピック Provided to YouTube by Sony Classical 

ドヴォルザーク:交響曲第5番 作品76

ドヴォルザークの交響曲第5番(作品76 B.54)は、1875年に作曲されています。スラヴ風の牧歌的な曲想になって、個性が際立つ作品となっています。第4楽章には、ワルキューレに似た和声進行がみられるそうですが、この5番以降から、ドヴォルザークの作風が確立されたのかな~と思います。特に、第1楽章の冒頭の牧歌的な旋律は、明るく爽やかで印象に残ります。なんてキュートな主題なのでしょう。瑞々しい~っ。

ドヴォルザーク:交響曲第5番 リボール・ペシェク チェコ・フィル 1989年
Dvořák: Symphony No. 5 in F major, Op. 76, B. 54 Libor Pešek Česká filharmonie

ペシュクさんの演奏は、チェコ・フィルの常任、ロイヤル・リヴァプール・フィルの音楽監督の両方を務めておられた時に収録された全集です。オケが別になっているのですが、交響曲第2番から6番はチェコ・フィルの演奏です。この交響曲第5番は、第1楽章の冒頭が、とても印象に残る主題で、伸びやかで爽やか。春の日射しをカラダいっぱいに受けて希望に満ちあふれてくるような主題です。ペシュクさんの演奏も、終始穏やかで、草原で寝っ転がってリラックスできるような演奏で、これが嬉しかったりします。また、チェロの音色にうっとりする楽章が続きます。

CDカップリング:ドヴォルザーク 交響曲全集、管弦楽曲集7枚組BOX 1987年~96年録音 交響詩「野鳩」交響曲第1番、序曲「謝肉祭」RLPO、交響曲第2番、序曲「わが家」チェコ・フィル、スケルツォ・カプリチオーソ、交響曲第3番、RLPO、第4番、チェコ組曲、交響曲第5番、チェコ・フィル 序曲「自然の中で」、交響曲第6番、序曲オセロ チェコ・フィル、交響曲第7番、第8番、第9番、組曲アメリカ RLPO RLPO=ロイヤル・リヴァプール・フィル 
出典:YouTube Symphony No. 5 in F Major, Op. 76, B. 54 チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ドヴォルザーク:交響曲第6番 作品60

交響曲第6番(作品60 B.112)は、ウィーン・フィルの指揮者だったハンス・リヒターからの依頼があり、1880年に作曲され翌年に初演されています。スラヴ狂詩曲第3番を定期演奏会で演奏したところ、好評だったので作曲を依頼したのだそうです。しかし、別の指揮者でチェコ・フィルが初演しています。

第1楽章の繰り返すと約45分の楽曲で、6番はブラームスの影響があると言われています。第1、第4楽章はブラームスの2番の、第2楽章はベートーヴェンの9番第3楽章の影響があるのだそうです。当時のウィーンの文化や聴衆の好み等に合わせようとしていたのかもしれませんね。

第3楽章は、チェコの舞曲「フリアント」Furiant が取り入れられています。4分の2 拍子と4分の3拍子を交互に繰り返す、速くて激しいボヘミアンダンスです。とてもインパクトがあります。

ドヴォルザーク:交響曲第6番 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 1981年
Dvořák: Symphony No. No. 6 in D Major, Op. 60, B. 112 Rafael Kubelík Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

クーベリックさんの演奏は、出だしの膨らみが、とても素敵です。ベルリン・フィルとの全集もあるのですが、ちょと硬質感があり歯ごたえ硬め。バイエルン放送響は、木質感がありしなやかです。もちろんチェコ・フィルの響きも良いのですが、ドヴォルザークの交響曲といえば、ノイマン、クーベリック、ビエロフラーヴェク、ビシュコフという指揮者が有名です。この第6番の第1楽章は、弦の響きの力強いユニゾン風の主題と、しなやかな歌が聞こえます。

第2楽章は、アダージョ楽章で、穏やかなホルンが印象に残ります。緊張する主題もありますが、ホルンが再び穏やかさを取り戻してくれます。木管の存在も大きいです。第3楽章は、特に印象づけるスラヴ舞曲フリアントが登場します。なんて激しく熱い、苛烈なリズムなんだろうと驚かされます。足がもつれそうな泥臭いリズムで、弦が巻きの雰囲気を出して立体的に奏でてきます。ティンパニが裏拍子を取ってくるみたいで、金管と裏返しなのかなあ~ この第3楽章を聴き比べても面白いかもしれません。また別の機会に~。

CDカップリング:ヤナーチェク シンフォニエッタ、ドヴォルザーク交響曲第6番 1981年録音 出典:YouTube Symphony No. 6 in D Major, Op. 60, B. 112 バイエルン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ドヴォルザーク:交響曲第7番 作品70

ドヴォルザークの交響曲第7番(作品70 B.141)は、1885年に作曲されています。スラヴ風の雰囲気を残しつつ内省的な楽曲、本格的なものになるよう意図したようです。第1楽章では、遠雷のようなティンパニの響きに乗り、ヴィオラとチェロによって第1主題が提示されますが、この後に序曲「フス教徒」の主題に由来する動機が表れます。第2楽章は、木管による内省的な主題が印象に残ります。

第3楽章は舞曲のフリアントが、6番に続いて提示されます。ここでの舞曲は明るいものです。第4楽章は、より民族的な色彩の強い、熱い楽章で完成度の高い楽曲となっています。  

ドヴォルザーク:交響曲第7番 マレク・シュトリンツル ムジカ・フロレア 2004年
Dvořák: Symphony No.7 in D Minor, Op. 70, B. 141 Marek Štryncl Musica Florea

ピリオド楽器オーケストラによるドヴォルザークの演奏です。2022年に新録のライブ盤が出ています。ピリオドでドヴォルザークを演奏するというのに驚きましたが、聴いてみると、泥臭くなく、新鮮な演奏に感じます。重さを感じることなく、スッパリしているので民族舞踊のフリアントのキレも良く感じますが、一長一短あります。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲第7番2004年、交響的変奏曲05年、交響曲第8番05年、歌劇「ヴァンダ」序曲04年、プラハ・ワルツ04年、ポルカ「プラハの学生のために」04年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in D Minor, Op. 70, B. 141 Musica Florea, Marek Štryncl – トピック Provided to YouTube by Believe SAS

ドヴォルザーク:交響曲第8番 作品88

ドヴォルザークの交響曲第8番(作品88 B.163)は、1889年に作曲されています。のどかな田園風景がイメージされ、陽気で叙情的な楽曲です。第1楽章では、フルートによる鳥の鳴き声が聞こえます、第2楽章は、夏の季節、夕立の後、清々しい風景のよう。第3楽章は、少し甘くて憂鬱なワルツと民族舞踊。第4楽章は、ファンファーレから始まり、陽気で、ちょぴっとお酒を頂いたような開放感があります。

ドヴォルザーク:交響曲第8番 イルジー・ビエロフラーヴェク チェコ・フィル 2013年
Dvořák: Symphony No.8 in G Major, Op. 88, B. 163 Jiří Bělohlávek Czech Philharmonic

ビエロフラーヴェクさんの演奏は、久々にチェコ・フィルで聴くドヴォルザークの交響曲全集でしょうか。中音域の安定感のある穏やかな響きです。民族色のある楽曲なので、地元有利とばかりに、チェコ・フィル等の演奏がもてはやされて、チェコ・フィルでないと~と言われていたように思います。でも、最近は、グローバル化、ボーダレス化で、徐々にローカル色は薄くなっているかもしれません。

しかし艶っぽさ、広々とした草原や草の匂い、遠くの地平線がイメージされます。さほど熱い演奏ではありませんが、奥行き感のある録音なので、のびのびとした開放感、しみじみとしたシアワセ感を同時に感じることができます。特に第2楽章は良いですね~ もちろん第3楽章も、典雅とも言えそうなぐらいの優美さで、弦のフレージングも、木管、金管のバランスも良く、美音で演奏されています。

CDカップリング:ドヴォルザーク交響曲第8番、第9番 出典:YouTube Dvořák: Symphony No. 8 in G, Op. 88
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provide

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」作品95

ドヴォルザークの交響曲第9番(作品95 B.178)は、アメリカに滞在中である1893年に作曲されており、「新世界より」という愛称で親しまれ人気のある楽曲です。特に、第2楽章におけるイングリッシュホルンによる主題は、家路等の愛唱歌として、夕方、小学校からの帰宅時間に流れていた~という思い出がある方も。

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」 キリル・コンドラシン ウィーン・フィル 1979年
Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178 “From the New World” Kiril Kondrashin Wiener Philharmoniker

ここでは、コンドラシンさんの演奏をご紹介します。人気のある楽曲なので、それこそ星の数ほどの演奏がありますが、明るく開放的で、しなやかに生きている、気力充実という演奏です。低弦の響きに余裕があり、瑞々しい余韻が残ります。鮮やかな音で流麗に奏でられ、ちょっぴり荒々しい一撃が入ってきたり、バランスの妙にやられます。

第2楽章は、ホルン、コーラングレ(イングリッシュ・ホルン)の音が、鼻にかかった甘い声で、少し素っ気なくフレージングされています。甘すぎない~。第3楽章は、熱くて厳しいリズムと、甘さの感じる歌謡風の旋律が絡むので、二倍美味しいって感じです。1970年代最後の録音ですが、いつまでも色艶を失わない演奏です。

カップリング:ドヴォルザーク 交響曲第9番、スラヴ舞曲第1番、3番、8番、2番(ドラティ指揮 ロイヤル・フィル 1983年) 出典:YouTube Dvořák: Symphony No. 9 in E Minor, Op. 95, B. 178, “From the

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