ブルックナー:交響曲第0番【聴いてみよう】Bruckner: Symphony No. 0 in D Minor, WAB 100 

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ブルックナー:交響曲第0番【YouTube】

ブルックナー:交響曲第0番 パーヴォ・ヤルヴィ hr交響楽団 2017年3月24日コンサートの模様です。50分32秒の動画です。Bruckner: Symphony No.0 in D minor Paavo Järvi hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony 
出典:YouTube Bruckner: »Nullte« Sinfonie ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Paavo Järvi hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony 

ブルックナー:交響曲第0番【名盤・おすすめ】

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 😂

ブルックナー:交響曲第0番 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1995年 ノヴァーク版 ライブ
Bruckner: Symphony No.0 in D minor Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティさんの演奏は、軍隊行進のように勇ましく、ヴァイオリンのキキキキっとした音で 強奏します。溌剌としており、ヴァイオリンは直線的で、木管はドライです。情け容赦ありません~って風にドライに描いていくもので、金管の咆吼は、馬力のあるシカゴ響らしく、開放的にぶっ放す型です。第2楽章は、さすがに、もう少しデリカシーが欲しいわあと悲鳴を上げそうになります。精一杯歌っているようなのですが、う~ん。

第3楽章は、スケルツォになるので、ショルティさん、出番ですよぉ~ これぞ十八番という自信に満ちたエネルギッシュなもの。咆吼につぐ咆哮で、アハハ~っと笑えてしまうぐらい豪快な演奏です。たら らぁ~ん ガンガンガンっ! 低弦は、必死になってガンガンに進む。金管は、ぶちかましてくれる。第4楽章は、まるで戦いが終わった後、平和的な暮らしが蘇ったかのよう。脱力感に襲われていると、ティンパニーのロールが鳴り、怒濤のように金管の短いパッセージが押し寄せてきます。何度も繰り返されるので、耳についてベッタリ剥がれません。これはちょっと、やりすぎではとブルックナーを恨みたくなります。
出典:YouTube Bruckner: Symphony No. 0 in D Minor, WAB 100 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団 😘

ブルックナー:交響曲第0番 エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団 1990年
Bruckner: Symphony No.0 in D minor Eliahu Inbal Radio Sinfonie-orchester Frankfurt

インバルさんのブルックナーの交響曲全集は、00番からの全集です。優しい演奏です。原始霧が表れ、晴れたてきたかのような場面が登場すると、ブルックナー作品ですと確信を持って言えます。大変美しい旋律が登場します。森のなかを彷徨っていたら、小さな教会を見つけましたって感じでしょうか。テンポは、アレグロだが、牧歌的な要素でゆったりしています。

金管の執拗な繰り返し、弦の雪崩落ちは、既に0番から始まっていたのだと改めて認識しました。短いパッセージを組み合わせて、コツコツ積み上げていく工程、執拗な繰り返し、トゥッティの金管のハーモニーは、やっぱブルックナー節が炸裂しています。第2楽章は、弦の合奏とフルートの二重奏が美しいです。

習作なのかもしれませんが、これは、完全に出来上がってると思います。廃棄されなくて良かった~。後の作品にも負けておらず、ブルックナーのアンダンテの楽章って、ホント美しいのです。木管、低弦の旋律も清楚です。弦のハーモニーの緩やかで重厚な響き、低弦のポンポンっというピチカート、まろやかなホルンの響き。敬虔な祈りの雰囲気が伝わってきます。特に、オーボエのソロは、大変美しく聴き応えがあります。

第3楽章は、金管の咆吼から始まるスケルツォです。無骨なスケルツォですが、後の作品と同じ傾向がありあり。中間部は、弦とフルートが、牧歌的な美しい主題を作り出しており、天上でのお花畑シーンのよう。で、唐突に荒々しい金管が鳴り、美しい世界をぶち壊すのもお決まりごと。ンチャッチャのリズムのなかで、弦が渦巻くのも、後の作品と同じ傾向にあります。

第4楽章は、木管と弦の旋律に、ホルンが絡んできます。残響があって柔らかいって言っている間に、金管とティンパニーのロールで、荒々しく津波が押し寄せてくるという展開です。えっ、やっぱり! 弦がカシカシ鳴らしている間に、金管の短いパッセージが表れ、牧歌的なフレーズが間に挟まったり、型が出来上がっています。雷と天女が同居する天上の世界。

0番と言いつつも侮れない楽曲です。1869年に完成していますが、1824年生まれのブルックナーだから、既に壮年期45歳頃の作品です。ストラヴィンスキーのように時代と共に変化し、カメレオンのようだと揶揄される作曲家もいますが、ブルックナーは、終生、作風をあまり変化させていません。自分の型ができたから作曲を始めた~のかもしれませんね。出典:YouTube Bruckner: Symphony No.’0′ in D minor エリアフ・インバル – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

リッカルド・シャイー ベルリン放送交響楽団 😘

ブルックナー:交響曲第0番 リッカルド・シャイー ベルリン放送交響楽団 1988年 1869年ノヴァーク版
Bruckner: Symphony No.0 in D minor Riccardo Chailly Radio-Symphonie-Orchester Berlin

シャイーさんの演奏は、女性的と言ったら怒られるかもしれませんが、録音の良さと共に、しなやかで優美です。ブルックナーは、硬くって、嶮しくって、ゴツゴツした演奏だというイメージが、既に出来上がってしまった頃に聴いたので、そのしなやかさに驚いた記憶があります。弱音になれば、聞えづらくなるので、ボリュームをあげて聴く必要は多少ありますが、弱音時の繊細さは特筆に値するものがあります。弦は明るくて艶があり、滑らかに跳躍するかのようにのびあがります。また、1楽章ラストの金管のトゥッティ 盛りあがりも華やかです。

第2楽章においても、木管が優しく透き通るように奏でられ、緩やかに密やかに進みます。とても清楚なイメージを与え、可愛いって言うと、えっ!と驚かれるかもしれませんが、この初期(1番の後に作曲されています)作品は、少女のような恥じらいが感じられます。もうちょっと成長したら慈愛に満ちた~ってなるのでしょう。

第3楽章は、ちょっと乱暴者が主役になったみたいで、いきなり金管から始まり荒々しいのですが、シャイーの演奏で聴くと、ちょっとヤンチャな少年のようなイメージで、明るく勢いがありますが、そこまで金管の咆哮もうるさくなく、荒くたい印象は受けません。高音域のヴァオリンは綺麗ですし、ブルックナー特有の休止もあり、金管の使い方を聴くと、既にブルックナーらしい曲想です。面白いスケルツォが、既に形作られています。

ラストの第4楽章は、歌心満載で優美ですし、ブルックナーなんだけど、ブルックナーの楽曲ではないような一面が描かれているような演奏です。立派なフーガもあり、堂々としたもので~ 驚くばかりなり。0番って、オマケのような存在ですが立派な完成形って感じがします。しなやかな演奏でお薦めです。

シャイーさんの交響曲全集は、ベルリン放送響とコンセルトヘボウ管弦楽団で完結しています。ワタシが所有しているCDは単発で買ったもので、珍しい序曲ト長調がカップリングされています。ここでご紹介しておきます。↓

出典:YouTube Bruckner: Symphony No. 0 In D Minor ベルリン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 🙂

ブルックナー:交響曲第0番 ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 1979年
Bruckner: Symphony No.0 in D minor Daniel Barenboim Chicago Symphony Orchestra

バレンボイムさんの振ったブルックナーは、交響曲全集が二種あったと思います。当盤は、1972年から約10年かけて全集となったっものです。後年、ベルリン・フィルとの全集(1990年~96年録音)があります。ワタシのお目当ては、珍しいヘルゴラント(男声合唱と管弦楽のための交響的合唱曲)でした。ちなみに、ブルックナー交響曲全集からピックアップされて、交響曲第7番とヘルゴラント、詩篇第150という組み合わせで2枚組SHM-CDもあります。

バレンボイムさんの演奏は、ダイナミックであると同時に、しなやかさを感じる演奏です。シカゴ響だということを忘れるほど、弦のフレージングが柔らかく、金管が合わさってきても穏やかな演奏です。まるで、弦楽合奏のような雰囲気がします。第1楽章のラストは、金管のトゥッティで終わるのですが、これが優しいのです。

馬力はあるのですが、破壊するかのような雷で終わるのではなく、柔らかく丁寧です。第2楽章も、弦のフレーズに続いて木管が登場しますが、優しく抒情的です。ふわっとした雰囲気で惚れてしまいそうに。第0番第2楽章は、素朴で美しく、金管が合わさってきても見通しが良く、弦楽合奏的に聴き応えがあります。

第3楽章は、無骨なスケルツォではなく、まろやかです。リズミカルでしなやか。また、弦の聴き応えがあります。ティンパニも奥まったところから聞こえてくるので立体的、歌いまわしが優美。中間部も、弦と木管のハーモニーが、チャーミングで、美しい世界が広がっているのです。これなら、0番も良いと、お薦めできるかもしれません。

第4楽章も、弦が柔らかく、伴奏のように木管が吹かれています。またまた弦楽合奏のよう。繰り返すところも、間合いが取られており、ふくよかな歌心で充満してきます。バレンボイムさんが振るシカゴ響は、金管の咆哮はうるさくありません。ショルティ盤で聴くと、金管が、やたら大きな音で、津波のような怒濤の勢いでやってきて、荒々しく、粗野な感じがしたのですが、ウソみたいに~ 同じオケとは思えません。番号の早いブルックナーの交響曲は、イマイチだと思い込んでいましたが、この演奏は聴き応えがありました。聴き比べて良かったです。

CDカップリング:ブルックナー 交響曲第0番 1979年、ブルックナー ヘルゴラント 1979年、ブルックナー 詩篇第150番 1979年 出典:YouTube Bruckner: Symphony No.0 in D minor – 1869 Version シカゴ交響楽団 – トピック Chicago Symphony Orchestra – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 🥰

ブルックナー:交響曲第0番 ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 1966年 ヴェス版(初版)
Bruckner: Symphony No.0 in D minor Bernard Haitink Royal Concertgebouw Orchestra

ハイティンクさんの演奏は、ノヴァーク版がまだ出版されていなかった(出版は1968年)ので、初版での演奏です。版の違いは専門家に委ねるとして、0番を既に1960年代で演奏しているという点が、まず、すごいと思います。この時点では、さほど録音されていなかったのではないでしょうか。

音は痩せておらず、奥ゆかしい優しい音で聞えてきます。もちろん派手な金管のぶっ放しはありませんし、終始穏やかです。第3楽章のスケルツォですら、優しい音で奏でられており、シャイー盤よりも、奥ゆかしいチャーミングさを感じる演奏です。ツンツン、ガツンとした演奏ではないので、聞きやすさとしては一番かもしれませんね。改めて聴いてみて、ほほぉ~ コンセルトヘボウの美音を満喫できる演奏だとも思いますし、これは掘り出し物でした。後年、ウィーン・フィルとの全集は完結していません。

CDカップリング:ブルックナー交響曲全集 0番から9番 1963年~1972年 出典:YouTube Bruckner: Symphony No. 0 in D Minor, WAB 100 Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ブルックナー:交響曲第0番【解説】

ブルックナーの交響曲0番は、1869年に作曲が完成したと言われています。初演をウィーン・フィルの指揮者デッソフに打診したものの「第1主題はどこ?」と訊ねられたことで、自信をなくして、この曲を引っ込めてしまったとか、この曲の誕生の経緯は諸説あるそうですが、それは研究者の方々にお任せするとします。

第1楽章 ニ短調 4/4拍子 ソナタ形式 第1主題は、はっきりしませんが、第3交響曲の始まり方と似たアルペッジョのトレモロ音形です。第2主題は、牧歌的で美しく、第3主題は力強いものの、どれも明確に主題らしくないように聞こえます。 楽章全体は、後のブルックナー作品の特質を備えています。

第2楽章 変ロ長調 4/4拍子 A-B-C-A-Bの三部形式 ベートーヴェンの緩徐楽章を思わせるような、のどかな旋律の第1主題、清楚な第2主題の対比から、素朴な中間部へと進みます。

第3楽章 ニ短調 3/3拍子 三部形式 荒々しく野性的な主部で、得意とするブルックナー休止につづいて、短いが平穏なトリオが現れます。トリオは、ト長調 3/4拍子 元の主部へと戻され力強く締めくくられます。

第4楽章 ニ短調 12/8拍子(序奏部) 4/4拍子(主部) 序奏つきソナタ形式ゆっくりとした内省的な序奏から始まります。このようなフィナーレの始まり方は初期のブルックナーの特徴です。主部は、対位法的な旋律の絡みがあり、攻撃的な第2主題へと進みます。正式なソナタ形式でなく、展開部と再現部を合体して構成されています。

出版譜は二種類あります。ひとつは1924年に出版されたヴェス(Wöss)版(いわゆる「初版」)と、1968年に出版されたノヴァーク版(第二次全集)です。ハース校訂による第一次全集は、この曲の校訂・出版に至らなかったそうです。なお、交響曲全集とされているもののなかには、この0番を含んでいるものと、そうでないものがあります。0番とはいえ、すっかり出来あがっている感じで、ブルックナー節が炸裂しています。どうぞ、後の作品と比べて聴いてください。

ブルックナー:交響曲第0番【ディスク情報】

1966年 ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 Dec ヴェス版(初版)
1979年 バレンボイム シカゴ交響楽団 G
1988年 シャイー ベルリン放送交響楽団 Dec
1990年 インバル フランクフルト放送交響楽団 TELDEC
1995年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec

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