ベートーヴェンの数多くの序曲を、サクッと聴いてみようと思います。
ここでは、ベートーヴェンの管弦楽曲のうち、演奏会序曲、劇付随音楽やバレエ音楽の序曲、あまり演奏されることのないウェリントンの勝利などを、まとめて【サクっと】聴いてみたいと思います。有名なのは、レオノーレ第3番、エグモント、コリオラン序曲でしょうか。歌劇「フィデリオ」は、ベートーヴェンの完成させた唯一のオペラ。プロメテウスの創造物はバレエ音楽です。
01 ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲、レオノーレ序曲
01-1 レオノーレ序曲第1番(作品138)
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第1番(作品138) クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1989年録音
Beethoven: Leonore Overture No. 1, Op. 138 Claudio Abbado Wiener Philharmoniker 出典:YouTube Beethoven: Leonore Overture No. 1, Op. 138 Vienna Philharmonic Provided to YouTube by Universal Music Group
ベートーヴェンは、歌劇「フィデリオ」を完成させるために、何度も改訂しています。最初は、歌劇「レオノーレ」というタイトルだったのですが、改名までしているので、その序曲は「フィデリオ序曲」「レオノーレ序曲」となって、都合4曲ができあがりました。
「レオノーレ」第一稿初演に使用された序曲は、現在「レオノーレ」序曲第2番として。
「レオノーレ」第二稿初演に使用された序曲は、現在「レオノーレ」序曲第3番として。
またまた、プラハで上演する際に書き直した第三稿は、現在「レオノーレ」序曲第1番として。
最後になって名前を変えて歌劇「フィデリオ」に。そして、この序曲が、現在の「フィデリオ」序曲です。
01-2 レオノーレ序曲第2番(作品72a)
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第2番(作品72a) クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1989年
Beethoven: Leonore Overture No. 2, Op. 72a Claudio Abbado Wiener Philharmoniker 出典:YouTube Beethoven: Leonore Overture No. 2, Op. 72a Vienna Philharmonic Provided to YouTube by Universal Music Group
01-3 レオノーレ序曲第3番(作品72b)
ベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番 作品72bは、1806年に作曲されています。オペラ「レオノーレ」(フィデリオ)の改訂にあわせて、序曲も改作したので、番号が第3番になっています。この版は、四つの序曲のうち、高く評価されている版ですが、オペラへの序曲とするには、内容が濃く、軽めの序曲への変更を要することになったそうです。なので、現在では演奏会用序曲として、演奏されることが多くなっています。
ハ長調、序奏を持つソナタ形式 3/4拍子の序奏はG音の強奏で始まります。木管に変イ長調の旋律が現れますが、第2幕冒頭のフロレスタンのアリア「人生の春の日に」の一節です。主部は、2/2拍子 第1主題は、弦のシンコペーションを用いたもの。第2主題は、ホルンに導かれるものです。展開部では、トランペットのファンファーレが印象的に使われています。再現部はフルートのソロで第1主題が再現され、第2主題の動機を用いて進みます。弦楽のパッセージがコーダを導いて、ラストは熱狂的に終わります。約13分の楽曲です。
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番(作品72b) クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1989年
Beethoven: Leonore Overture No. 2, Op. 72b Claudio Abbado Wiener Philharmoniker
出典:YouTube Beethoven: Leonore Overture No. 3, Op. 72b Vienna Philharmonic Provided to YouTube by Universal Music Group
ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1988年
Beethoven: Overture “Leonore No.3″ Georg Solti Chicago Symphony Orchestra
活気あふれ、活劇を見ているような格好の良さと、重低音が響く立派な風格。剛毅で威勢がよく、溌剌としている。このレオノーレ序曲の第三番は、弦のキレが抜群。桜 桜~と呟いているような優しいフルート、重さから解放されて、すーっと立ち上ってくる雰囲気が素敵です。
なにせ、思い入れの強い序曲で、やり直してばかりの産みの苦しみを味わった楽曲です。完成度は高く三番がよく演奏されます。執拗に助走を繰り返した後、タララ ラララと奏でてくるパワフルさが真骨頂。内声部の木管、穏やかな弦の響きも美しく、弾み方が洗練されています。また、ホルンの響きは、うわ~っ 惚れ惚れしますね。
最後のトランペットが、遠くから優しく響く。男装して獄中に乗り込んでいく、夫を助けに向かうレオノーレさん。オペラの名前は「フィデリオ」だから、ちょっと名前がヤヤコシイ。妻レオノーレが男装して、フィデリオと名乗って夫を救出に向かうというストーリーなので、勇ましい男装の麗人がイメージされます。しなやかな旋律美と、金管の勇ましさが、交互に登場してくるところが聴きどころです。
CDカップリング:ベートーヴェン交響曲全集 ショルティ シカゴ響 1986年~89年録音 YouTubeのカップリングは、交響曲第6番と、レオノーレ序曲第3番です。出典:YouTube Beethoven: Leonore Overture No. 3, Op. 72b シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
01-4 歌劇「フィデリオ」序曲(作品72c)
ベートーヴェン:歌劇「フィデリオ」序曲(作品72c) クラウディオ・アバド ウィーン・フィル 1986年
Beethoven: Fidelio Overture No. 2, Op. 72c Claudio Abbado Wiener Philharmoniker 出典:YouTube Beethoven: Fidelio Overture, Op. 72c Vienna Philharmonic Provided to YouTube by Universal Music Group
これが、完成品です! レオノーレで失敗したので、フィデリオに改名! 交響曲は9曲も創ったし、あんなにピアノ・ソナタも弦楽四重奏曲もたくさん作曲したのに、オペラには手を焼いてしまったようです。アバドさんは、80年代の交響曲全集のなかに、4曲全部を収録しています。ワタシとしては、そこまで凝らなくても~ フィデリオ序曲とレオノーレ第3番を聴くので十分という気がします。
02 序曲「コリオラン」(作品62)
ベートーヴェンの序曲「コリオラン」 Ouvertüre zu „Coriolan“(作品62)は、1807年に作曲されています。古代ローマの英雄コリオラヌスを主人公にした戯曲「コリオラン」を見て感動したのが、作曲の動機らしいです。物語は、古代ローマで大きな勢力を持っていたが、政治上の意見の相違で追放され、隣国の将軍となり大軍とともにローマへの進攻するものの、妻と母の忠告で、再び祖国側についたので殺されてしまったという筋書きだそうです。
冒頭から、激しく戦闘的な主題で始まります。第2楽章は、追放された男の人生を慕う妻の心情を表した第2主題では、少し和らぐものの、悲劇的なストーリーそのもので、終始ピリピリした空気感で展開していきます。ラストにおいても、冒頭の打撃を食らって終わりとなります。理由はともかく、宗旨替えしちゃ~ダメだよね。
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」 パブロ・エラス=カサド フライブルク・バロック・オーケストラ 2017年
Beethoven: Coriolan Overture, Op. 62 Pablo Heras-Casado Freiburger Barockorchester
スペイン出身のカサドさんは、今や注目の的です。コリオランにおいても、引き締まった音色で、コリオランの悲劇性を高めてくれています。分厚いオケの響きを、ずーっと聴いて満足していたのですが、ん? 待てよ~という感じで、耳が洗われたかもしれません。
古代ローマの英雄「コリオラヌス」を主人公に据えた劇の序曲ですが、 そこからイメージされるような筋肉質な演奏です。しかし、コロッセオの拳闘士のようなグラディエーターや、スパルタカスとは違うのでしょうが、戦いに生きる主人公は、自分の意思を貫き通すことができなかった~ そこが残念です。出典:YouTube Coriolan, Op. 62: Overture クリスティアン・ベズイデンホウト – トピック Provided to YouTube by harmonia mundi
03 命名祝日序曲(作品115)
ベートーヴェンの「命名祝日」Zur Namensfeier(作品115)は、1815年に作曲されています。演奏会用序曲で、同年のクリスマスに初演されました。アッシジのフランチェスコの記念日で、オーストリア皇帝フランツ1世の聖名祝日である10月4日に完成させようと思っていたそうですが、間に合わず~ 冒頭の主題は、交響曲第9番合唱付きで、歓喜の歌に付した旋律と関係しているというのですが、どうでしょ。今では聴くことはほぼありません。約7分の曲です。
ベートーヴェン:命名祝日序曲 リッカルド・シャイー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2009年
Beethoven: Namensfeier Overture, Op. 115 Riccardo Chailly Gewandhausorchester
シャイーさんの演奏は、ゴリゴリ感の乾いた響きのゲヴァント。ちょっと~という感じですが、命名でご登場してもらいました。ベートーヴェン交響曲全集5枚組BOX(2007年~09年録音)に序曲8曲が収録されています。出典:YouTube Beethoven: Namensfeier Overture, Op. 115 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 – トピック
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04 献堂式序曲(作品124)
ベートーヴェンの「献堂式」序曲 Ouvertüre „Die Weihe des Hauses“(作品124)は、管弦楽のために作曲した最後の作品で、1822年に、ウィーンに新築されたヨーゼフシュタット劇場のこけら落としのために作曲された祝典劇の序曲です。
祝典劇の「献堂式」は、ブダペストで上演された付随音楽「アテネの廃墟」からの転用で、この序曲と、合唱曲(WoO.98)が生まれました。祝典劇の初演は1822年10月。ハ長調、4分の4拍子の序奏と主部で構成されています。。序奏は、五和音の強奏によって開始され、木管による行進曲風の主題から、トランペットによるファンファーレです。主部は、二つの旋律、二重フーガによって重厚に奏されるもの。コーダは、力強いハ音のユニゾンで終えます。演奏時間は10分程度。二重フーガ、対位法が用いられ、J.S.バッハやヘンデル等の作曲家に敬意を払っているそうです。
ベートーヴェン:「献堂式」序曲 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ ミネソタ管弦楽団 1978年~79年Beethoven: Die Weihe des Hauses Overture, Op. 124 Stanisław Skrowaczewski Minnesota Orchestra
とてもキビキビした演奏で、ハ長調というのが、いかにもハレの日。ノビノビとした演奏で、初めて聴いたときヘンデルの作品だと~ 思っちゃいましたが、ベートーヴェンの後期にあたる作品で、あと二年ほど後には第九が作曲されるという時期にあたります。ここに至って、バッハなどの先輩たちに敬意を払うって~ 謙虚だと思います。ミスターSのベートーヴェン:序曲集/劇音楽集2枚組BOXもあります。
CDカップリング:ベートーヴェン シュテファン王序曲、「レオノーレ・プロハスカ」葬送行進曲WoO96、献堂式序曲、マイズルの祝典劇「献堂式」への合唱曲「若々しく脈うつところ」WoO98、序曲コリオラン、エグモント序曲、プロメテウスの創造物序曲、序曲命名祝日序曲、 祝賀メヌエットWoO3、静かな海と楽しい航海、タルペイアのための凱旋行進曲WoO2a 出典:YouTube Die Weihe des Hauses Overture, Op. 124 (Remastered 2023) ミネソタ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Naxos Digital Services
ベートーヴェン:「献堂式」(全曲版) ファビアン・エンダース ブルノ国立フィル 2021年
Beethoven: Weihe des Hauses, Op. 124 Fabian Enders Filharmonie Brno
ザクセン室内合唱団ほか
珍しい全曲版ですが、序曲だけを聴くだけでも 迫力があります。クリアな録音で、古楽器使用なのか、ティンパニの皮が揺れています。出典:YouTube Die Weihe des Hauses, Op. 124: Overture in C Major (Live) Release – Topic Provided to YouTube by NAXOS of America
05 劇付随音楽「エグモント」序曲(作品84)
エグモント序曲 Egmont(作品84)は、ゲーテによる戯曲のための劇付随音楽です。現在では、序曲のみ演奏されることがほとんど。ソプラノ独唱を伴う曲を含む9曲で構成されています。1810年に作曲され、同年初演されています。内容は、エフモント(エグモント)伯ラモラールの物語と、圧政に対して反旗を翻したことにより死刑に処せられた男の自己犠牲と英雄的な行動が描かれています。序曲と、第1幕第3場リート「太鼓が鳴ると」 Die Trommel gerühret 、「クレールヒェンの死」Clärchens Tod 第5幕第3場が、名高いとのことでした。
ベートーヴェン:序曲「エグモント」 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1985年
Beethoven: Overture to “Egmont”, Op. 84 Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker
カラヤンさんの80年代のベートーヴェンは、高級スポーツタイプの車に乗っている感じで、こんな格好の良いエグモントで良いのかと、ちょっと困ってしまいます。躍動感にあふれ、響きの良い和音を聴くと、やっぱりひとつの芸術品って感じがします。序曲「エグモント」は、ずっしり重厚感のある曲ですが、低弦の強いボーイングは、ビート感を湧き起こして快速で走り、ピッチが高いのでは~と思うほど、金管が甲高く輝きをもって吹かれます。
重低音主体の演奏かと思いきや、鎮まったうえでの甲高い金管の一音も効いているのです。畳みかけて巻きあがる旋律は、格好良すぎ。なーんか格好良いねえ~と、感心しちゃうアクセルの踏み込み具合で、ぐいーっとエンジンの回転率があがって面白いです。老齢なエグモント伯爵というよりは、白馬に乗った若い騎士が、高級スポーツカーを運転しているみたいで。あはは~ 驚きつつもこの演奏は拍手でしょう。
CDカップリング:ベートーヴェン 交響曲第3番、エグモント序曲 出典:YouTube Beethoven: Music To Goethe’s Tragedy “Egmont” Op.84 – Ouverture Herbert von Karajan Provided to YouTube by Universal Music Group
06 劇付随音楽「アテネの廃墟」序曲(作品113)
「アテネの廃墟」(Die Ruinen von Athen)は、アウグスト・フォン コッツェブー(August von Kotzebue)の戯曲が元になった付随音楽である。この序曲と、ピアノに編曲されたトルコ行進曲ぐらいしか、今は、ほとんど演奏されていないらしいが、もったいない感じだ。メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」に負けないぐらい、軽やかで、とっても楽しい楽曲の幕開けって感じがするんですけど。
どんなストーリーなんだろうと、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、「知恵の女神ミネルヴァは、ソクラテスに対する嫉妬心から裁判所で彼を弁護をせず、その罪として彼女はゼウスによって、2千年の眠りにつかされる。2千年後、眠りから覚めた時、メルクリウスによって、アテネに連れていかれる。が、愛するアテネは、トルコに支配され瓦礫と化していた。ローマもにた荒廃ぶりだと教えられ、メルクリウスによれば、ミューズたちは、ハンガリーのペストへ逃れたという。そこで、ミネルヴァとメルクリウスはペストへ旅立ち、この地で人間が神々とミューズたちに忠誠を尽くしているのを見出す・・・」とのこと。ん?
ベートーヴェン:劇付随音楽「アテネの廃墟」序曲 ヨス・ファン・インマゼール アニマ・エテルナ
Beethoven: Overture “Die Ruinen von Athen” Jos van Immerseel Anima Eterna
ベートーヴェンの序曲のなかで、「アテネの廃墟」って人気がありません。でも、さらり~と描かれた小品でありながら、描写的で、主人公が女神さまだからか女性的なフレーズが詰まっているように思います。ペストって、ハンガリーのブタペストのことで、この地の劇場のこけら落としのために作曲されたものなので、当地を持ちあげる必要があったのでしょう。アテネとブタペスト。えらい違いやんとは思うのですが、最後はハンガリーのフランツ一世を讃えることに繋がります。ところで、この序曲「アテネの廃墟」「シュテファン王」「命名祝日」の三曲は、ほとんど同時期に創られています。続いてトルコ行進曲も聴いてください。出典:YouTube Die Ruinen von Athen, Op. 113: I. Overture in G Minor ヨス・ファン・インマゼール – トピック Provided to YouTube by IDOL
07 祝祭劇音楽「シュテファン王」序曲(作品117)
ベートーヴェン:祝祭劇音楽「シュテファン王」序曲 レナード・バーンスタイン ウィーン・フィル
Beethoven: King Stephen, Op. 117 – Overture Leonard Bernstein Wiener Philharmoniker
CDカップリング:ベートーヴェン 交響曲第7番1978年、プロメテウスの創造物序曲1987年、序曲コリオラン1981年、シュテファン王序曲1978年、フィデリオ序曲1978年録音 YouTubeにおけるカップリング バーンスタイン/DGコレクターズシリーズ6枚組BOX レオノーレ序曲第3番 ピアノ協奏曲第4番 アラウ バイエルン放送曲1976年、交響曲第5番 バイエルン放送響1976年、交響曲第7番ボストン響 90年、プロメテウスの創造物序曲、エグモント序曲、コリオラン、シュテファン王、フィデリオ序曲、レオノーレ第3番1978年、81年、弦楽四重奏曲第14番、16番77年89年、荘厳ミサ曲1978年、交響曲第9番1989年録音 出典:YouTube Beethoven: King Stephen, Op. 117 Vienna Philharmonic Provided to YouTube by Universal Music Group Leonard Bernstein Wiener Philharmoniker
08 バレエ音楽:プロメテウスの創造物序曲(作品43)
ベートーヴェン:バレエ音楽「プロメテウスの創造物」序曲 ジョヴァンニ・アントニーニ バーゼル室内管弦楽団 2013年 Beethoven: Die Geschöpfe des Prometheus, Op. 43 Giovanni Antonini Kammerorchester Basel
アントニーニ三の演奏は、ガツンと一発~という感じで、威勢の良い演奏です。21世紀になると古楽器、モダン楽器の両方を行き来する演奏活動が目立ってきています。トリプルコンチェルトを聴くつもりでサブスクを利用して拝聴したのですが、第1曲目がプロメテだったのです。タワーレコードさんちのサイトで、カンマーフィルに匹敵という言葉を見つけて、うひひっ。思わず笑みがこぼれました。確かに、エグモントとコリオランの重々しい曲を、こう料理しちゃうとは納得です。プロメテの続きに、三重協奏曲(トリプルコンチェルト)も視聴してみてください。
CDカップリング:ベートーヴェン プロメテウスの創造物序曲、三重協奏曲 ヴァイオリン:ジュリアーノ・カルミニョーラ チェロ:ソル・ガベッタ ピアノ:デヤン・ラツィク、エグモント序曲、コリオラン序曲 2013年録音 出典:YouTube Die Geschöpfe des Prometheus, Op. 43: Overture ジョヴァンニ・アントニーニ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical
09 ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い(作品91)
ベートーヴェン ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1969年 Beethoven: Wellingtons Sieg oder die Schlacht bei Vittoria( Wellington’s Victory or the Battle Symphony)
Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker
ウェリントンの勝利という作品は、戦争交響曲とも呼ばれているようですが、これは、番外編って感じです。演奏機会もあまりない(っていうより、危なくって実現不可能)です。だって、チャンチャン バシバシっという鉄砲の弾が飛び交うシーンがあるんだもんだ。チャイコフスキーの序曲1812年は、野外で大砲(空砲)をぶっ放すシーンがありますが、ベートーヴェンの方は、歴史モノの映画に出てくるような、歩兵が持っている細身の銃で、野原での歩兵軍団の銃撃シーンが、音として収録されています。
どうやって音源に収録したのか方法はわかりませんが、デジタル時代以前、アナログで収録されています。とても珍しい楽曲です。マゼールやドラティさんの演奏(CD)があるようですが、このカラヤンさんの演奏しか今のところ聴いたことがありません。
クラシック音楽を聴くというよりも、その枠をこえて、映画のワンシーンのように激しく銃の音が収録されています。超堅物、真面目なベートーヴェンさんのイメージが~ 崩れてしまうような楽曲かもしれません。出典:YouTube Beethoven: Wellington’s Victory or the Battle Symphony, Op. 91 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ベートーヴェンが作曲した序曲は、次のとおりです。
01 歌劇「フィデリオ」序曲(作品72c) 唯一完成したオペラ
レオノーレ第2番(作品72a)1805年作曲 オペラ「フィデリオ」初版の序曲
レオノーレ第3番(作品72b)1806年作曲 オペラ「フィデリオ」第2版の序曲
レオノーレ第1番(作品138)1805年説と1807年説があります。
02 序曲「コリオラン」(作品62)1807年作曲
03 命名祝日序曲(作品115)1815年作曲
04 献堂式序曲(作品124)1822年作曲
05 劇音楽「エグモント」序曲(作品84)1810年作曲
06 劇音楽「アテネの廃墟」序曲(作品113)1811年作曲
07 劇音楽「シュテファン王」序曲(作品117)1811年作曲
08 バレエ音楽「プロメテウスの創造物」(作品43)1801年作曲
09 ウェリントンの勝利またはビトリアの戦い(作品91)1813年作曲 ※ 番外編
エグモントやコリオラン等の序曲は、交響曲全集の余白に数多く収録されています。CDを整理しつつ聴いていたのですが、いやー 重いですね。余白に収録するような、おまけ的存在ではないな~ 想像以上に聴き応えがあると再認識しました。まっ、しかし、序曲は短い曲が多いので、交通機関を利用している時や、空き時間において、サブスクを利用したりして気軽に拝聴することができる楽曲です。いつもでしたら、YouTubeにおけるコンサートの動画を掲載するのですが、今回は割愛しました。ご容赦ください。でわでわ~ お楽しみください。
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