R=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲【聴いてみよう】Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel Suite

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リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」【YouTube】 

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」 エフゲニー・スヴェトラーノフ ボリショイ歌劇場管弦楽団、バレエ、合唱団 1989年6月12日東京文化会館での映像です。2時間8分31秒という長尺です。ピットで挨拶される白いタキシード姿のスヴェトラーノフさんと、豪華絢爛な衣装とセット、最初だけでも~ ぜひ、ご覧ください。YouTubeで見つけて大喜び。感謝です。出典:YouTube Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Bolshoi Theatre/Svetlanov (1989) Wahnfried 

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲【名盤・おすすめ】

ミハイル・プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 🥰

リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」 ミハイル・プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 1994年
Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) Mikhail Pletnev Russian National Orchestra

ストラヴィンスキーの「火の鳥」を聴いていた時、リムスキー=コルサコフにも、鳥が絡む曲があったと思い、取り出したのが、この金鶏です。最後の歌劇「金鶏」から抜粋された組曲です。戦いに明け暮れ、ついには暢気に暮らしたくなった専制君主ドドン王は、ある日、占星術師から危険が迫れば、コケコッコーと鳴いてくれる金鶏を手に入れます。

でも、戦いに巻き込まれ、戦利品として(?)シェマハ女王を手に入れるのですが、占星術師から、危機を救った金鶏のお礼に、女王を差し出すことを要求されます。要求を拒否し、さあ女王と婚礼だ~となった時に、金鶏は、女王の命によって王に刃向かい、王を死に至らせる~というもの。超簡単ストーリー。解説コーナーにも一応記載しました。

ストーリーのなかに、政治体制を風評していたことから、即刻、上演禁止となったらしい。まあ、そうなるよね。今は、自由に、歌劇「金鶏」は、YouTubeにおいて配信されているので、どうぞ拝聴してください。で、プレトニョフさんの演奏は、妖艶で華やか、夢、幻のような柔らかい雰囲気と、キビキビした動き、甲高い鶏の鳴き声がモチーフとしてちりばめられており、ビジュアルのなかった(YouTubeなしの時代)頃も、面白く聴くことができました。

奥行きのある空間で、歌謡風の旋律が甘く流れ、細かい木管の響きが聞こえてくるところが良いですね。組曲のため、展開が速いのが難点ですが、危険を告げるミュート付きのトランペット、つまり、金鶏の鳴き声が、強烈なモチーフとなっています。雲行きが怪しくなって、えらいこっちゃーっ! すると、途端に周囲が騒々しい雰囲気になるところが面白かったりします。

プレトニョフさんの演奏は、劇場で聴いている空間があり、透明度も描写力も高いものです。そうそう、忘れるところでした。組曲「金鶏」の4曲のタイトルは、第1曲「序奏とドドン王の眠り」、第2曲「戦場のドドン王」、第3曲「シェマハ女王の踊りとドドン王の踊り」、第4曲「婚礼の行列、ドドン王の死、終曲」です。(訳が微妙に違っていたりしますが、ご了承ください)

CDカップリング:プレトニョフ ロシア管弦楽曲集 リャードフ交響詩「ババ・ヤガー」、交響詩「魔法にかけられた湖」、交響詩「キキララ」、N・N・チェレプニン  遠き王女のための前奏曲、魔法にかけられた王国、リムスキー=コルサコフ組曲「金鶏」 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) – Arr. by A. Glazunov ロシア・ナショナル管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ロリス・チェクナヴォリアン アルメニア・フィル 😉

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲 ロリス・チェクナヴォリアン アルメニア・フィル 1991年
Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) Loris Tjeknavorian Armenian Philharmonic

チェクナヴォリアンさんのCD、これは、完全にジャケ買いです。だって、熊蜂の飛行と金鶏をモチーフにしたもので、ジャケットの下両脇に蜂と鶏が書いてあるんですよ。それに、エキゾチックな劇場の雰囲気が出ています。えへへ~ こういうのを見ると、ついつい買っちゃう。お子ちゃま気分が抜けきらない。ふふ。上項のプレトニョフさんのCDは、ドドン王の宮殿前のイラストです。

さて、チェクナヴォリアンとアルメニア・フィルの組み合わせで有名なのは、ハチャトゥリアンの演奏が有名ですが、ここでは、コルサコフ。土俗性もあり、熱い演奏で、血が騒ぐ~ かな。テンポはゆったりしていますが、木管もエキゾチックで巧く、クネクネ、まったりしています。おとぎ話っぽく進みます。

第2曲「戦場のドドン王」では、金鶏が勢い良くロケットスタート。低弦の力不足が否めませんが、雰囲気は出ています。第3曲「シェマハの女王とドドン王」は、適度な粘りがあり、「しぃしぃ~どみみ~れ しぃ~らそしぃ~」という可愛く入ってくるトリルが、アクセントになっています。また、木管、ヴァイオリンの旋律に、エキゾチックな香りスパイスがあり、そこそこムードも漂っています。

第4曲「婚礼の行列、ドドン王の死、終曲」では、つんざく金管の咆哮、高音域の弦に迫力があり、凱旋の風景も成り立っているように思います。音響のバランスが総体的にイマイチなのですが、劇の大詰め、大円団になっていくところは、期待を膨らませてくれる筈が~ 大太鼓と銅鑼、トランペットの大音量にびっくり。木管も鋭く吹かれて、超目立ってます。ジャーンっ!っと大見得を切る場面もありますが、期待が大きすぎたのかも。せっかく、アルメニア・フィルの演奏なのだから、もっと遊ばせて~。(結構、楽しんだくせに欲張りっ)

CDカップリング:R=コルサコフ「金鶏」組曲、「皇帝サルタンの物語」組曲 熊蜂の飛行、「クリスマス・イヴ」組曲 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) ロリス・チェクナヴォリアン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ネーメ・ヤルヴィ ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 🙂

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲 ネーメ・ヤルヴィ ロイヤル・スコティッシュナショナル管弦楽団 1984年 Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) Neeme Järvi Royal Scottish National Orchestra

N・ヤルヴィさんの演奏は、シャンドス特有の残響の多さが、より幻想的に響きます。そして、身ぶり手振りの大きな演奏なので、劇に向いているように思います。第1曲「序奏とドドン王の眠り」は、ゆったりホワイトクリスマスのような静けさと、ゆったり感があります。エキゾチックというより雪深いエリアの物語のようですが、場面が展開するにつれ、賑々しい演奏になっていきます。第4曲が、やっぱり派手だって良いですね。他にもコルサコフの序曲、組曲がカップリングされているので聴いてみてください。

CDカップリング:R=コルサコフ 歌劇「5月の夜」序曲、歌劇「雪娘」組曲、歌劇「ムラダ」組曲、歌劇「クリスマス・イブ」組曲、歌劇「皇帝サルタンの物語」組曲、同熊ん蜂の飛行、歌劇「見えざる町のキーテジと聖女フェヴローニャの物語」組曲、歌劇「金鶏」組曲 出典:YouTube The Golden Cockerel Suite ネーメ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by PIAS

デイヴィッド・ジンマン ロッテルダム・フィル 🙂

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲 デイヴィッド・ジンマン ロッテルダム・フィル 1981年
Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) David Zinman Rotterdam Philharmonic Orchestra

ジンマンさんの演奏は、スッキリ細身。濃厚に賑々しく鳴りませんが、ソロで活躍するクラリネットやフルート、ハープ、打楽器、カスタネット等が、多彩に登場して華やかです。エキゾチックな雰囲気に少し欠けますが、よく楽器の動きなどがわかるので、専門的に聴くには良いのではないかと思います。コルサコフ最晩年の作品としては、少し鳴りっぷりが寂しいかもしれませんが。

CDカップリング:R=コルサコフ 2枚組BOX スペイン奇想曲、歌劇「5月の夜」序曲、音楽的絵画「サトコ」、歌劇「雪娘」組曲、歌劇「サルタン皇帝の物語」組曲、歌劇「金鶏」組曲、交響曲第2番「アンタール」、序曲「ロシアの復活祭」出典:YouTube Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ロリン・マゼール クリーヴランド管弦楽団 🤩

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲 ロリン・マゼール クリーヴランド管弦楽団 1976年
Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) Lorin Maazel The Cleveland Orchestra

マゼールさんの演奏は、ローマの祭り、松においても、超驚きだったのですが、この当時の録音として目を見張るものがあります。とてもダイナミックで繊細な音、精緻な演奏に、息を呑むような気持ちに。おとぎ話という舞台設定なので、奥行き感もゆったり。幻想的な雰囲気とコミカルさ、つんざくような金鶏。ホルンと木管が活躍しています。アンサンブルも巧いですし、オチャメな曲も手抜きはありません。

CDカップリング:レスピーギ 交響詩ローマの祭り、ローマの松、リムスキー=コルサコフ 歌劇「金鶏」組曲 1976年録音 出典:YouTube Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) クリーヴランド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

イルジー・ビエロフラーヴェク プラハ交響楽団 🙂

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲 イルジー・ビエロフラーヴェク プラハ交響楽団 1959年 
Rimsky-Korsakov: The Golden Cockerel – Suite (Le coq d’or) Jiří Bělohlávek Filharmonie Brno

ビエロフラーヴェクさんの演奏は、かなり古い録音なので、あまりお薦めはできませんが、ストーリーの雰囲気は伝わってきます。ご参考まで。CDカップリング:R=コルサコフ 歌劇「見えざる町キーテジと聖女フェヴォローニャの物語」組曲 スメターチェク プラハ響1958年録音、歌劇「金鶏」組曲 スメターチェク プラハ響 1959年録音、交響曲第2番アンタール ビエロフラーヴェク ブルノ・フィル 1977年録音 出典:YouTube Antar. Symphonic Suite, Op. 9 – Largo. Allegro ニコライ・リムスキー=コルサコフ – トピック Provided to YouTube by Supraphon

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」【解説・あらすじ】

リムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」は、1907に作曲された三幕の最後15作目のオペラを、演奏会用組曲としたものです。08年夏に編曲作業をしていたのですが、急逝してしまったため、娘婿のシテインベルク、グラズノフたちがまとめています。元は、三幕約2時間のオペラです。そのあらすじを簡単に~ ご紹介します。

序奏として、「金鶏のモティーフ」、「シェマハの女王のモティーフ」、「星占い師のモティーフ」などが管弦楽で奏された後、星占い師が登場し、観客に向かって教訓の秘められたおとぎ話が始まることを告げます。

第1幕はドドン王の宮殿 敵の侵攻を心配している王は、2人の王子たちと会議をしています。一人の王子は軍隊を引き上げようと提案、もう一人の王子は先制攻撃しよう提案します。何でも反対する大臣に、会議は紛糾します。そこに、占い師が現れ、危険が迫ると知らせるという金鶏を献上します。金鶏は「キリキ、キリクク! 寝込んで治めろ」と叫びます。あるとき、昼寝をしていると、金鶏が「気をつけろ!」と叫んだので出陣することになりました。

第2幕 夜の戦場 王が戦場に到着しますが、二人の王子を含めて味方は全滅していました。翌朝、大砲で攻撃しようとすると、天幕からシェマハ女王が歌いながら現れます。武力ではなく美によって侵攻してきたと告げます。そして女王は、ドドン王へ愛の告白を。歌、踊りを所望されて踊るうちに、都で一緒に暮らそうということに。

第3幕 ドドン王宮殿前の通り 民衆たちが、王が女王を連れて凱旋するので集まってきます。ラッパが鳴り、凱旋の行列である王の軍隊、続いてシェマハ女王の悪魔たちのような従者が続きます。最後王と女王の馬車が登場し民衆は讃えます。

占い師がやって来ました。褒美としてシェマハ女王を求めるので、王は、翻意させようとしますが頑固だったため殺してしまいました。すると雷が轟きます。女王が笑いながら、王も民衆も消えてしまえ~と叫ぶと、金鶏がつんざくような鳴き、王を突き殺してしまいました。

雷鳴が消えると辺りは暗闇に、そして女王は笑いを残して消えます。金鶏も消えました。民衆だけが取り残され、王を偲んで歌います。これから王なしで、どうやっていくのか。幕がおりるまえ、最後に占い師が現れ、実在したのは占い師自身と女王だけ。残りは幻だと告げて閉じられます。為政者たちの振る舞いで、国が左右されるのは古今東西同じ。当時の皇帝を揶揄するものであったと推測されますが、いつの時代、どこも情けないことに繰り返されるようです。

さて、組曲は、次の四つの曲で構成されています。
第1曲 序奏とドドン王の眠り(宮廷のドドン王)
第2曲 戦場のドドン王
第3曲 ドドン王とシェマハ(シュマハ)の女王の踊り
第4曲 婚礼の祝宴とドドン王の哀れな末路と死-終曲

リムスキー=コルサコフ:歌劇「金鶏」組曲【ディスク情報】

1959年 イルジー・ビエロフラーヴェク プラハ交響楽団 SUP
1976年 マゼール クリーヴランド管弦楽団 Dec
1981年 ジンマン ロッテルダム・フィル Ph
1984年 ネーメ・ヤルヴィ ロイヤル・スコティッシュナショナル管弦楽団 CHANDOS
1991年 チェクナヴォリアン  アルメニア・フィル ASV
1993年 スヴェトラーノフ ロシア国立交響楽団 R 未掲載
1994年 プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 G 

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