グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」【名盤・おすすめ】
クシシュトフ・ペンデレツキ ポーランド国立放送交響楽団 😚
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 クシシュトフ・ペンデレツキ ポーランド国立放送交響楽団 2014年 Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Krzysztof Penderecki The Polish National Radio Symphony Orchestra 歌唱:ベス・ギボンズ Beth Gibbons
作曲家のペンデレツキが、グレツキを振り、歌うのはロックシンガーであるベス・ギボンズさんという異色の組み合わせです。これからの時代は~ かたくなに壁を作るよりも、クロスオーバー(もはや死語?)は歓迎です。+αが大きいのではないでしょうか。出典:YouTube I. Lento—Sostenuto tranquillo ma cantabile Beth Gibbons Provided to YouTube by Domino
ドナルド・ラニクルズ アトランタ交響楽団 🙄
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 ドナルド・ラニクルズ アトランタ交響楽団 2008年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Donald Runnicles Atlanta Symphony Orchestra ソプラノ:クリスティーン・ブリュワー Christine Brewer
ラニクラズ、アトランタ響の演奏は、えっ 速くない? えらいアッサリと進むな~というのが第一印象です。アウシュヴィッツ収容所って知っているはずだけど、リアルタイムでは知らなくても、ちょっとこれはアカンのと違うかなあという感じです。イケイケ・ドンドンのアメリカンスタイルと言ったら、怒られるかもしれませんが。第2楽章の歌唱は良いと感じるのですが、タメ感のなさに、たっかりしました。出典:YouTube Górecki: Symphony No. 3, Op. 36 “Symphony of Sorrowful Songs” アトランタ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ヤツェク・カスプシク カロル・シマノフスキ国立フィル 😥
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 ヤツェク・カスプシク カロル・シマノフスキ国立フィル 1993年 Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Jacek Kasprzyk K. Szymanowski State Philharmonic Orchestra ソプラノ:ゾフィア・キラノヴィッチ Zofia Kilanowicz
カシブシクさんの演奏は、もうちょっと練習してきて欲しいかな~という感じです。記念式典かなんかのライブなのかもしれませんが、付け焼き刃みたいで、ちょっと残念。出典:YouTube Sinfonie Nr.3 op.36 “Sinfonie der Klagelieder” (“Symphony of Sorrowful Songs”) ゾフィア・キラノヴィチ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
アントニ・ヴィト ポーランド国立放送交響楽団 🤨
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 アントニ・ヴィト ポーランド国立放送交響楽団 1993年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Antoni Wit Polish National Radio Symphony Orchestra
ソプラノ:ゾフィア・キラノヴィチ Zofia Kilanowicz
ヴィトさんの演奏は、少し細めで、重厚さという点では他の演奏に譲るかもしれませんが、ある意味、スッキリしています。徐々に、旋律が重なり厚みのある響きとなる楽曲なので、好みが分かれるかもしれません。出典:YouTube Górecki – Symphony No.3 « Symphony of Sorrowful Songs » (Zofia Kilanowicz – ref.rec.: Antoni Wit)
Classical Music/ /Reference Recording
カジミェシュ・コルド ワルシャワ・フィル 🥰
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 カジミェシュ・コルド ワルシャワ・フィル 1993年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Kazimierz Kord Warsaw Philharmonic Orchestra
ソプラノ:ヨアンナ・コズウォフスカ Joanna Kozlowska
コルドさんの演奏は、ホール感のある透明度の高いもの。カノン形式でうねり出します。低音の響きが波紋のように広がりをみせ、静謐な空気のなかで共鳴していきます。弦のパート数が徐々に増えて、最高で10声部まで重なってきます。前半はチェロが、後半はヴァイオリンが、旋律の芯として機能しており、高弦は空で音が舞うような感じで漂っていきます。瞬間的に上昇して舞う感じです。録音されているのは、ワルシャワ・フィルの本拠地であるコンサートホールなのですが、ここがカテドラルではないかと錯覚します。目を閉じて、じっくりと聴きたい演奏です。
出典:YouTube Górecki: Symphony No.3 “Symphony Of Sorrowful Songs” ヨアンナ・コズウォフスカ – トピック Joanna Koslowska – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group
デイヴィッド・ジンマン ロンドン・シンフォニエッタ 🥰
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 デイヴィッド・ジンマン ロンドン・シンフォニエッタ 1991年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” David Zinman London Sinfonietta
ソプラノ:ドーン・アップショウ Dawn Upshaw
ジンマンさんの演奏は、1992年頃、ロンドンのラジオ曲で繰り返して流され、大ヒットし流行のきっかけになりました。冒頭は、コントラバスのみで、ゆったり旋律を繰り返します。そこに、低弦のチェロ、ビオラが合わさって輪唱のように重なり、段々と膨らんでいきます。カエルの歌が、聞こえてくるよ~という輪唱と同様に、ずれながら旋律が重なり、徐々に、音域の高い楽器に引き継がれていきます。
チェロが入ってくると、声域に近くなるので聴きやすく、徐々に膨らんでいくので、じわじわ~っと迫る感覚になります。短いフレーズが綾なす形が、繰り返されることで、浮きあがったり沈んだりとした動きになります。ヴァイオリンが入ると、浄化されるような世界に近づきます。古典的なカノンで歌われ、最後は消え入るように去って行きます。
第2楽章では、アップショウさんが歌います。ゲシュタポ収容所の壁に書かれた言葉に取材されているという、お母さま、どうか泣かないでください~と歌われています。言語は、わからないのですが、声に包まれ癒やされます。
第3楽章では、戦争で子供を亡くした母親の歌が歌われます。ポーランド語で歌われますが、ぐっと、じわっと、きます。静かに繰り返して歌われることが、包容力となり、祈りの心境になるようです。ジンマンさんの演奏は、深い息づかいで温かみがあります。気づいたら目頭が熱くなっている感じです。出典:YouTube Górecki Symphony No. 3, Op. 36 ロンドン・シンフォニエッタ – トピック London Sinfonietta – Topic Provided to YouTube by Nonesuch
エルネスト・ブルーム 南西ドイツ放送交響楽団 😭
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 エルネスト・ブルーム 南西ドイツ放送交響楽団 1985年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Ernest Bour Symphonieorchester des Südwestfunks-Baden-Baden ソプラノ:ステファニア・ヴォイトヴィチ Stefania Woytowicz
エルネスト・ブルームさんの演奏は、かなり重く沈み込んで、浮上してくる力が弱いので、ちょっと~ ナイーブな気持ちのまま、ずーっと時間が経過していきます。これはツライっ。闇のなかで暮らしていかなければならない、閉鎖感があり、閉じ込められた世界です。救いがないという気持ちになって~ これは耐え難いです。ツラすぎて泣いてしまいます。ブルームさんの初演で、幕が開いた曲ですけど。年月が経ってもつらーい演奏です。
出典:YouTube Górecki : Symphony No.3 Op.36, ‘Symphony of Sorrowful Songs’ エルネスト・ブール – トピック
Provided to YouTube by Warner Classics International
ヴウォジミエシュ・カミルスキ ベルリン放送交響楽団 😘
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」 ヴウォジミエシュ・カミルスキ ベルリン放送交響楽団 1982年
Górecki: Symphony No.3 “Symphony of Sorrowful Songs” Wlodzimierz Kamirski Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
ソプラノ:ステファニア・ヴォイトヴィチ Stefania Woytowicz
カミルスキさんの演奏は、ブルームさんとは違って、サクサク進みます。暗くタメることなく、音楽自体が綺麗に流れて行くので、自然とすーっと耳を撫でていきます。聴いてて疲れることはないです。ただ、なんか共感を生むとかということなく進むので、これで良いのかどうか、ちょと疑問です。オケが当然のことながら巧いので、そこが救いかも。
出典:YouTube Symphony No. 3, Op. 36 “Symphony of Sorrowful Songs” Release – Topic Provided to YouTube by MNRK Music Group
グレツキ:弦楽四重奏曲第1番~第3番
グレツキ:弦楽四重奏曲第1番「すでに日は暮れて」、第2番「幻想的に」 Nonesuch
クロノス・カルテット Kronos Quartet
弦楽四重奏曲第1番「Already It Is Dusk 」は、クロノス・カルテット(弦楽四重奏団)が委嘱した作品です。まあ、ちょっと暗すぎるのですが。両者とのコラボは、長く続いたようです。「弦楽四重奏曲第2番」Quasi Una Fantasiaは、CDジャケットのように、戦争後の焼け野原を彷徨っているかのような雰囲気がします。いずれも、グレツキの交響曲第3番とは異なり、グレツキの初期、前衛作曲家の一面が出ている作品です。
CDカップリング:グレツキ 弦楽四重奏曲第1番(作品62)「すでに日は暮れて」、弦楽四重奏曲第2番(作品64)出典:YouTube Already It Is Dusk: String Quartet No. 1, Op. 62 Kronos Quartet Quasi Una Fantasia: String Quartet No. 2, Op.64 Provided to YouTube by Nonesuch
グレツキ:弦楽四重奏曲第3番「歌は歌われて」 2919年
モリナーリ弦楽四重奏団 Quatuor Molinari
CDカップリング:グレツキ 弦楽四重奏曲第1番~第3番 出典:YouTube Górecki: String Quartet No. 3, Op. 67, (Songs Are Sung) Quatuor Molinari – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
グレツキ:交響曲第3番「悲歌の交響曲」【解説】
ヘンリク・グレツキの交響曲第3番「悲歌の交響曲」(作品36)は、1976年に作曲されました。「悲歌のシンフォニー」とも「悲しみの歌の交響曲」とも呼ばれています。グレツキの生誕地はポーランド、そして、アウシュヴィッツ収容所のあった場所。この交響曲は、大虐殺が行われた時空間を超えて、悲しみを超えた祈りが詰まっているような気がします。交響曲は三つの楽章に分かれています。第1楽章では、15世紀頃の哀歌を元にしたフレーズ。第2楽章では、ソプラノ独唱が入ってきます。この歌詞は、アウシュヴィッツ収容所の壁に残っていた言葉だそうです。
グレツキは1960年代、ピエール・ブーレーズや、シュトックハウゼンなどの現代音楽 前衛的作曲家の仲間でしたが、1970年代に極端な不協和音、セリエル音楽(セリー音楽 ワタシには理解不能)から外れ、後年の作品に見られる和声的ミニマリズムと一層単純化されたテクスチュアへ変化していった作品の一つです。
とっつきづらいゲンダイオンガクの先端から離脱したということかなあ~と、ワタシは思っています。いろんな楽器が、一斉にテンデバラバラに演奏するのではなく、弦の声部は、ある程度まとまって各声部を作りだしているので、ワタシの耳でも聴きとりやすいですね。管弦楽とソプラノ独唱のための交響曲で、全楽章を通じてテンポはゆっくり。古典的な楽曲に聞えますが、交響曲の形式ではありません。
第1楽章 歌詞は15世紀のラメントに取材され、中央を頂点とする3部旋法性で作られたカノン形式です。
第2楽章 第2楽章の歌詞は、ゲシュタポ収容所の壁に書かれた言葉に取材されています。
第3楽章 第3楽章の歌詞は民謡から。初めて聴くときは、5分過ぎから聴いてください。徐々にうねりが大きくなって、心に沁みてきます。
グレツキ:交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」【ディスク情報】
1982年 ヴウォジミエシュ・カミルスキ ベルリン放送交響楽団 ALTO
1985年 エルネスト・ブルーム 南西ドイツ放送交響楽団 APEX
1991年 デイヴィッド・ジンマン ロンドン・シンフォニエッタ NONESUCH
1993年 カジミェシュ・コルド ワルシャワ・フィル Ph
1993年 アントニ・ヴィト ポーランド国立放送交響楽団 NAXOS
1993年 ヤツェク・カスプシク カロル・シマノフスキ国立フィル EMI
2008年 ドナルド・ラニクルズ アトランタ交響楽団 TELARC
2014年 クシシュトフ・ペンデレツキ ポーランド国立放送交響楽団 DOMINO
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