ラフマニノフのピアノ協奏曲、ピアノと管弦楽のための作品は、次のとおりです。
ピアノ協奏曲第1番 嬰ヘ短調 作品1 1890年~91年作曲 初稿・改訂稿
ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18 1900年~01年作曲 彼の代表作であり、大変人気があります。
ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30 1909年作曲 技巧的に最難関のひとつと言われています。
ピアノ協奏曲第4番 ト短調 作品40 1927年作曲 初稿・改訂稿
パガニーニの主題による狂詩曲 イ短調 作品43 1934年作曲 特に第18変奏曲の旋律は有名です。
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲(全4曲)とパガニーニの主題による狂詩曲【YouTube】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 アンナ・フェドロワ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 アンナ・フェドロワ モデスタス・ピトレナス サンクト・ガレン交響楽団 2020年2月2日 コンセルトヘボウにおけるコンサート 31分30秒の動画です。フェドロワさんは1990年ウクライナ出身のピアニストです。出典:YouTube Rachmaninoff: Piano Concerto No. 1 – Anna Fedorova and Sinfonieorchester Sankt Gallen – Concert HD AVROTROS Klassiek
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 デニス・マツーエフ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 デニス・マツーエフ ユーリ・テミルカーノフ サンクトペテルブルク・フィルAnnecy Classic Festival 2013 におけるコンサートの模様です。35分38秒の動画です。出典:YouTube Denis Matsuev: Sergei Rachmaninoff – Piano Concerto No. 2 in C minor, Op. 18 EuroArtsChannel
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 反田恭平
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 反田恭平 佐渡裕 ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団 2020年11月4日コロナ禍での無観客演奏です。3525秒の動画です。Kyohei Sorita Yutaka Sado Tonkünstler Orchestra 出典:YouTube Kyohei Sorita(2020) – Rachmaninoff Piano Concerto No. 2 in C minor, Op. 18 John Music
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 カティア・ブニアティシヴィリ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 カティア・ブニアティシヴィリ ネーメ・ヤルヴィ ヴェルビエ祝祭管弦楽団 2020年スイス ヴェルビエ音楽祭でのコンサート 40分13秒の動画です。
Khatia Buniatishvili Neeme Järvi Verbier Festival Orchestra 出典:YouTube Rachmaninoff: Piano Concerto No. 3 | Khatia Buniatishvili, Neeme Järvi, Verbier Festival DW Classical Music
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 アンナ・フェドロワ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 アンナ・フェドロワ マルゼーナ・ディアクン 北西ドイツ・フィル 2022年5月29日コンサート 30分45秒の動画です。マルゼナ・ディアクンさんは、1981年生まれのポーランド出身の指揮者です。Anna Fedorova Marzena Diakun Nordwestdeutsche Philharmonie 出典:YouTube Rachmaninov: Pianoconcert nr.4 op.40 – Anna Fedorova – Live concert HD AVROTROS Klassiek
ラフマニノフ・パガニーニの主題による狂詩曲 キリル・ゲルシュタイン
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 キリル・ゲルシュタイン エドワード・ガードナー hr交響楽団 2015年9月25日コンサート 245分3秒の動画です。ゲルシュタインさんは、1979年生まれのロシア出身のピアニストで、ジャズも勉強したそうです。2001年ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝。
Kirill Gerstein Edward Gardner hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony 出典:YouTube Rachmaninow: Rhapsodie über ein Thema von Paganini ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Gerstein ∙ Gardner hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲(全4曲)とパガニーニの主題による狂詩曲【名盤・おすすめ】
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 レイフ・オヴェ・アンスネス アントニオ・パッパーノ ベルリン・フィル
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第1番 レイフ・オヴェ・アンスネス アントニオ・パッパーノ ベルリン・フィル 2005年 Rachmaninov: Piano Concerto No. 1 in F-Sharp Minor, Op. 1 Leif Ove Andsnes Antonio Pappano Berliner Philharmoniker
アンスネスさんの演奏は、ふわっとした幻想的な雰囲気で始まりますが、硬質感のあるタッチで、即興性をもちつつ、スピード感あふれる演奏です。冒頭、ふわっとホルンが吹かれたあと、雪崩落ちるピアノ。硬質感のある打音ですが、オケとピアノが、渾然一体的となって乳白色の柔らかい響きに包まれます。キラッとした彩度の高いクリアな響きではなく、柔らかいトーンで占められたなかで、飛び跳ねていきます。
第2楽章は、まどろみのアンダンテとなっており、午睡を楽しむような幻想的な雰囲気です。音がたくさん詰まっているのですが、柔らかい崩しぎみの旋律で綴られ、チャーミングな表情を垣間見せます。
第3楽章は、賑やかにブラスが鳴り響き、軽やかにスキップするように素速く動きます。華やかで外向的だと思いきや、一人の時間を楽しむような面もあり、誰にも縛られない自由を楽しむような楽章です。型にはまらない自由さがあり、ラストに向けて、熱っぽく加速して、軽やかに華やかにジャーンっと終わるところは、開放感に満ちています。
多彩な要素を詰め込みすぎて、破裂しそうな第1番だと思います。また、色彩の統一感や、言いたいことが、まだ決まっているわけでもないようで、型どおりに進まない、わかりづらい曲のように思います。オケは、BPOとは思えないほどの柔らかさで、軽やかに、即興性を高めたピアノに寄り添っています。この1番は、まるで、何でもやってみたい、突っ走りたい、はねっかえりたい~ そんな青春時代を見ているようです。
CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第1番、第2番 2005年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 1 in F-Sharp Minor, Op. 1 LeifOveAndsnesTV Provided to YouTube by Warner Classics
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ニコライ・ルガンスキー サカリ・オラモ バーミンガム市交響楽団
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ニコライ・ルガンスキー サカリ・オラモ バーミンガム市交響楽団 2005年
Rachmaninov: Piano Concerto No. 2 in C Minor, Op. 18 Nikolai Lugansky Sakari Oramo City of Birmingham Symphony Orchestra
ルガンスキーさんの演奏は、振幅の大きな、大きなうねりを感じさせてくれます。テンポ設定は、昔ながらの演奏を踏襲しているようなのですが、甘すぎず大味にならず、オケの内声部に至るまでクリアです。各楽器のバランスが良く、綿密につくりあげられた演奏のように感じました。情感もたっぷり。
第1楽章の冒頭、鐘に模した音は、一音目と二音目の間隔が広くとられています。ちょっと細めの演奏かと聴き始めたのですが、打音は深く、ドン、たらん ドン、たらん~という感じで、鐘が振り子のように体重移動を感じます。低弦もティンパニも大きく、ごごぉ~っと底から盛りあがってくるパワーを感じます。
第2楽章は、伴奏にまわるピアノに硬質感があり、ふわ~としたオケに光を照射するようです。身をよじるほどのタメ感ではないのですが、深い息づかいで、じっくり聴かせてくれます。第3楽章は、シャンシャンと響き、グリッサンドも綺麗です。勢いだけで弾くのではなく、情感に余裕がありますね。
ピアノとオケで、甘さを調整しているようです。なるほど、オケまで甘く歌われると、どっぷり執拗になっちゃいますよね。ラストに向けてテンポアップしていきますが、一定程度の均質感があり、アクセルを踏み込んだと感じないところが好ましく、金管も短めに吹かれ、全体的にキレを失っていません。で、主題が戻ってきたら、今度は、さすがに涙ながらに甘く歌われます。全体最適を目指した美しく整った演奏だと思います。
CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、第4番 2005年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in C Minor, Op. 18 ニコライ・ルガンスキー – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 アルカディ・ヴォロドス ジェームズ・レヴァイン ベルリン・フィル
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 アルカディ・ヴォロドス ジェームズ・レヴァイン ベルリン・フィル 1999年
Rachmaninov: Piano Concerto No. 3 in D Minor, Op. 30 Arcadi Volodos James Levine Berlin Philharmonic Orchestra
ヴォロドスさんの演奏は、超テクだと思うのですが、ものすご~く歌います。時代がっかった濃厚な演奏スタイルなのですが、冒頭から回転度数が高く、猛烈にテンションがあがります。冒頭の序奏部分は、いたって普通に始まっているし、ピアノも普通に呼応しているし、歌い始める。が・・・細かいフレーズで金管がバックに入ってきた頃から、速めに回転しだして~ オケが遅れてるの?と、一瞬感じたら、もう速いっ。えっ こんなパッセージだっけ。ピアノが猛烈にテンションがあがっており、耳がパンクしそうなぐらいに、いっぱいの音が飛び交ってきます。
主題が変わり、重厚な和音が響き、木管がパコパコ吹いているなか、ピアノは細かい音をイッパイ紡ぎ出し、三連符のところは、泡が噴出されてくる感じです。ワタシの耳は完全にパンクし、口から泡を吹き出しそう~に。また、異次元世界に行くような浮遊感が漂い、カデンツァになったら、もはや別世界。
また、爛熟した世紀末絵画のように、退廃的な香りがプンプンしており、むせっかえるような、甘くて怖ろしいほどの官能的な世界になります。時代錯誤でしょう~と思いつつも、あらがえず。歌舞伎役者の演技のように、大柄な演奏なのですが、狂おしいほどに萌えちゃいます。
さらに、信じられないようなゴツイ音で、まるで大型バイクがエンジンを空吹かししているかのよう。ホント、びっくり。いきなり猛烈に発進して第3楽章に入っていきます。高音域のピアノは、花火が目の前から発射されたかのような感じですし、太い深い音で響き、鋭く直線的に弾いてみたり、タメて~というところは、しなやかで柔らかく、美しい曲線を描いて跳躍します。旋律の膨らませ方が巧いですね。頂点の一歩手前の間合いの瞬間が、狂おしいほどです。
CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番、チェロ・ソナタよりアンダンテ、幻想的小品集より第5番セレナーデ、サロン小品集より第6番ロマンス、13の前奏曲より第6番、前奏曲、「音の絵」より第6(9)番 出典:YouTube Piano Concerto No. 3 in D Minor, Op. 30 ArkadiVolodos Provided to YouTube by Sony Classical
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ユジャ・ワン グスターボ・ドゥダメル ロサンゼルス・フィル
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ユジャ・ワン グスターボ・ドゥダメル ロサンゼルス・フィル 2023年録音
Rachmaninov: Piano Concerto No. 4 in G Minor, Op. 40 Yuja Wang Gustavo Dudamel Los Angeles Philharmonic
ユジャ・ワンさんの演奏は、2023年のライブ演奏です。いつもながら目のやり場に困りそうな感じなのですが、女性のワタシでもくらっときそうです。パフォーマンスも能力のうちだし、やっぱり勢いがあります。
CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第1番1919最終稿、第4番1941年改訂版、パガニーニの主題による狂詩曲、第2番、第3番 20023年録音 出典:YouTube Rachmaninoff: Piano Concerto No. 4 in G Minor, Op. 40 (1941 3rd Version) Yuja Wang Provided to YouTube by Universal Music Group
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ダニール・トリフォノフ ヤニック・ネゼ=セガン フィラデルフィア管弦楽団
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ダニール・トリフォノフ ヤニック・ネゼ=セガン フィラデルフィア管弦楽団 2015年 Rachmaninov: Piano Concerto No. 4 in G Minor, Op. 40 Daniil Trifonov Yannick Nézet-Séguin The Philadelphia Orchestra
トリフォノフさんの演奏は、いつもながら冷静沈着で、清流のなかを泳ぐ川魚のようにすばしっこく、清らかな環境で聴きたい気持ちにさせます。大袈裟な曲で、4番は、いつもなら笑いを噛み殺してしまうのですが、今回は、ちょっと神妙に拝聴しました。もしかしたら、ワタシが感じるよりも深い曲なのかもしれません。あまり相性の良くない曲だとスルーしてきたツケが回ってきたようです。また、聴いてみます。
出典:YouTube Rachmaninoff: Piano Concerto No. 4 in G Minor, Op. 40 Daniil Trifonov Provided to YouTube by Universal Music Group
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 ウラディーミル・アシュケナージ ベルナルド・ハイティンク フィルハーモニア管弦楽団
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲 ウラディーミル・アシュケナージ ベルナルド・ハイティンク フィルハーモニア管弦楽団 1986年 Rachmaninov: Rhapsody on a Theme of Paganini Op.43 Vladimir Ashkenazy Bernard Haitink Philharmonia Orchestra of London
アシュケナージさんの演奏は、暖かみのある音色で、軽やかに華麗。楽しげに飛び跳ねて、聴いていると愉快です。また、間合いの豊かさで聴かせてくれます。パガニーニの主題による狂詩曲は、主題と24つの変奏で構成され、「24のカプリース」第24番のメロディーを主題(テーマ)にして、反行形、いわゆる上下反対にして進みます。
音の粒が華麗で、ピアノとオケが、甘く、とろけるような緩やかなフレーズが流れてきます。めまぐるしい展開に酔いしれる曲です。特に第7変奏曲は「怒りの日」が織り込まれ、オケがダイナミックに鳴ります。第18変奏曲は、この曲のハイライトで、超有名な旋律です。一度聴いたら忘れられない甘いメロディーです。
約24分程度の演奏なので、単純に1つの変奏曲が1分程度という割合ですが、あっという間に通り過ぎる変奏曲もあります。アシュケナージ、プレヴィンという黄金コンビの1971年録音もありますが、ここではハイティンク、コンセルトヘボウ管で聴いてみてください。甘美で奥深い幻想的な曲もあるので、ぜひ17変奏曲あたりから18変奏曲ぐらいは、お聴きいただければ嬉しいです。
CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団1985年、パガニーニの主題による狂詩曲1986年録音 出典:YouTube Rachmaninoff: Rhapsody on a Theme of Paganini, Op. 43 ウラディーミル・アシュケナージ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ラフマニノフのピアノ協奏曲は、4曲あります。思い通りの成功に至らず、一時期、心が病んでしまうこともありましたが、それを乗り越えて作られた曲は、どれも甘く美しい旋律で満ちています。
祖国で革命が起こり、演奏旅行から帰れず、そして第二次世界大戦となり、新天地のアメリカに留まり、望郷の念に駆られていたとも言われる波瀾万丈の人生を想うと、切なさが心に迫ってきます。
グレゴリオ聖歌の「怒りの日」の旋律を織り込んだ曲が多く、単なる甘くて切ないという情感だけに流されることのない曲でもあり、鍵に指が届かないとピアニスト泣かせの技巧的に難しい曲でもあります。これらのことを踏まえて、これからも聴いていきたいと思います。
YouTubeにおいても、人気曲であることから、数多くのコンサートの模様が掲載されています。オケに偏りが出ることや公式以外は、できる限り避けて、ここでは掲載しました。今後、動画が新しく掲載された場合は、追加したりしますので、宜しくお願いします。
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