プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番【聴いてみよう】Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16

目次 タップ・クリックしてね。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番【YouTube】

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ニコライ・デミデンコ ミハイル・ユロフスキ ガリシア交響曲 
2015年3月27日コンサートの模様です。37分32秒の動画です。1995年録音のCD デミジェンコ ラザレフ ロンドン・フィル Hyperion があるのですが、YouTubeには掲載されていないようなので、この動画を掲載します。
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Anna Vinnitskaya Marek Janowski Dresden Philharmonic Orchestra 出典:YouTube Prokofiev: Piano concerto nº 2 – Demidenko – M. Jurowski – Sinfónica de Galicia 
SinfonicadeGalicia 

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 アンナ・ヴィニツカヤ マレク・ヤノフスキ ドレスデン・フィル 
2019年12月コンサートの模様です。33分09秒の動画です。
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Anna Vinnitskaya Marek Janowski Dresden Philharmonic Orchestra 出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 2 | Anna Vinnitskaya, Dresden Philharmonic & Marek Janowski

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番【名盤・おすすめ】

ダニール・トリフォノフ ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ダニール・トリフォノフ ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 2019年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Daniil Trifonov Valery Gergiev Mariinsky Orchestra

CDカップリング: ストラヴィンスキー イ調のセレナーデ、プロコフィエフ 風刺サルカズム(作品17)、ピアノソナタ第8番、シンデレラからの6つの小品 ガヴォット、ストラヴィンスキー火の鳥組曲(グイド・アゴスティ編)、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番。ストラビンスキー ペトルーシュカからの3楽章、スクリャービン ピアノ協奏曲 2019年

ハオチェン・チャン ディーマ・スロボデニューク ラハティ交響楽団 🙄

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ハオチェン・チャン ディーマ・スロボデニューク ラハティ交響楽団 2018年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Haochen Zhang Dima Slobodeniouk Lahti Symphony Orchestra

チャン・ハオチェンとも表記されますが、この演奏は、少し密度が低いかもしれません。細々としたエネルギーという感じです。ひ弱な感じを受けます。まあ、他盤が圧倒的破壊力を持っており、それを聴いた後に拝聴したからかもしれません。またの機会に再度、視聴させていただきます。サブスクリプションを利用して拝聴しました。
CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキー ピアノ協奏曲第1番 2018年 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 チャン・ハオチェン – トピック Provided to YouTube by PLATOON LTD

デニス・マツーエフ ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 😲

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 デニス・マツーエフ ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 2016年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Denis Matsuev Valery Gergiev Mariinsky Orchestra
★ YouTubeにおいては現在配信されていません。

マツーエフさんの演奏は、出だしこそ、ふわっとした浮遊感があり、期待させるものですが、聴き進むにつれて、内声部の音が多く聞こえるのですが、音に濁りを感じます。微妙な動き、情感を、聴こうと集中させるものには感じませんでした。カデンツァは、そりゃ~ ダイナミックで驚かされます。苛烈で、テクニック的には申し分のない素晴らしいものでしょうが、バタバタ感が否めず、ぞーっとするような音の多さと強い打音に、徐々に眉間に皺がよりはじめ、怒りすら感じることになってしまいました。

長大なカデンツァは、威圧感があり、打音の強さに打ちのめされてしまいます。ピアノの有無を言わせない圧の強さ、オケを圧倒して、感情を剥き出しにして爆発させるかのよう。この力加減に参ってしまいました。第2楽章は、有無を言わさない文句なしのアクロバティックぶりです。その分の魅力しか感じない演奏ですが、オケも伴奏というより、シンフォニーのような鳴らしっぷりで、どちらも大柄で巨大な重機で、映画を見ているかのよう。はぁ。

CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 デニス・マツーエフ – トピック Provided to YouTube by harmonia mundi

ユジャ・ワン グスターボ・ドゥダメル ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ユジャ・ワン グスターボ・ドゥダメル ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団 2013年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Yuja Wang Gustavo Dudamel Simón Bolívar Symphony Orchestra of Venezuela

CDカップリング:ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番、プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番 2013年 出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Yuja Wang Provided to YouTube by Universal Music Group

アンナ・ヴィニツカヤ ギルバート・ヴァルガ ベルギー国立交響楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 アンナ・ヴィニツカヤ ギルバート・ヴァルガ ベルギー国立交響楽団 2007年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Anna Vinnitskaya Gilbert Varga National Orchestra of Belgium

2007年、エリザベート王妃国際音楽コンクールでのライブです。CDとしては、同じ指揮者のヴァルガさんと、ベルリン・ドイツ響との演奏が発売されていると思うのですが、YouTubeにおいては見つけられませんでした。サブスクで拝聴したところ、評判のとおりです。

アルゲリッチ二世というのも、あながち~という感じです。タメ感もあるし、テクも凄そうだし、たっぷり濃厚に演奏されています。第1楽章は、綺麗なトーンで綴られ、夢幻的な世界を描きますし、クラクラしそうなほどに他の演奏者よりも、より多くの音がたっぷり聞こえてきます。こんなに多くの音が音符に描かれていたのだと驚きです。

第2楽章は、猛烈なスピードで駆け抜けていきますが、熱量が半端なく大きいです。メチャ、スリリングで乗せられます。左手のタッチが大きく強靱です。すばしっこさと繊細さ、そして鉄杭を打ち込む瞬発力を持ち合わせている感がします。決して前のめりにならない正確さもありますし、うーん、これは、期待大だわ~と、テクニックには恐れ入りました。

まあ、雰囲気としては、もう少しあった方が好きです。明晰すぎて・・・えへ、ワタシとしては、浮いたり沈んだり、液体になったり気体になってみたり、深海魚になった感じの世界が好きです。まあ再度聴いてみます。ヴィニツカヤさんの他の演奏も聴いてみたいと思います。印象としては、昔のレーゼルさんの演奏アプローチに近いかもしれません。

出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Belgium National Orchestra – トピック Provided to YouTube by IDOL

フレディ・ケンプ アンドルー・リットン ベルゲン交響楽団 🙄

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 フレディ・ケンプ アンドルー・リットン ベルゲン交響楽団 2008年
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Freddy Kempf Andrew Litton Bergen Filharmoniske Orkester

ケンプさんの演奏は、少々か細い感じで、たよりなさげ~という感じです。低音に重みがないためだと思うのですが、そのかわり、右手の高音域のタッチは、突き刺さるような氷のよう。氷柱が何本も連なって感じで、雪のなかに針葉樹林が広がっている感じです。

全体的には、ゆったり第1楽章となっており、ラストに近づくにつれ、突き刺す音が並んできます。縦に打ち込んだ後は、揺らめく氷の紋様という感じで、横揺れ感がします。機敏に動くのですが、運動量ほどには、大きさを感じません。ブラスの大きな音が鳴り響き、オケに食われそう。第2楽章は、素速いものの荒れている感じがします。

第3楽章は、少しまとまりの悪さ、凸凹感がありラフな感じです。あまり体重の移動が感じられないので、音が繋がって流れてきます。幾何学的ですが、愉悦性としてはどうかなあ。第4楽章も、ワタシ的には、正直あまり楽しくありませんでした。躍動感が少なめで表現が平板です。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番、第3番、ピアノソナタ第2番 2008年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 (1923 Version) フレディ・ケンプ – トピック Provided to YouTube by PLATOON LTD

エフゲニー・キーシン アシュケナージ フィル・ハーモニア管弦楽団 😮

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 エフゲニー・キーシン アシュケナージ フィル・ハーモニア管弦楽団 2008年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Evgeny Kissin Vladimir Ashkenazy Philharmonia Orchestra

キーシンさんの演奏は、右手・左手のバランスが良く、低音が良く聞こえるので深みがあり、またオケの方もピアノの音を潰さないようにサポートしています。木管の響きが暖かく、揺れる亡霊のようにも聞こえ、妖しげな背景を造ります。その背景のなかを踊るかのような、悪餓鬼のようなピアノが、諧謔的に演奏されていきます。

このあたりの人を食った、小馬鹿にしたリズムや跳ね具合は、ピアノもオケも、とっても楽しいです。オケがアシュケナージさんっていうのが力強いですね。ふふふ~ 風の流れが変わり、場面展開が行われていきます。抜き足差し足のようなフレージングが面白すぎて~ にひひぃ~。第1楽章の中盤以降は、ぬめりが出て最高潮を迎えます。

ラヴェルの夜のガスパールにも似た雰囲気があり、亡霊のようなのですが、プロコは、ヒタヒタと水面を歩く亡霊のように感じられます。キーシンさんの演奏を拝聴すると、イメージが膨らみます。ダイナミックなカデンツァは聴き応えがあります。まあ、第2楽章以降も、軽やかだけど重く、ガッツがあります。ただし、後半の二つの楽章が、パワーが切れてしまったのか、ドタッとして弾まないし、盛りあがってくれないので困ります。えっ、あれま。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番、バルトーク ピアノ協奏曲第3番 2008年 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 エフゲニー・キーシン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ユンディ・リ 小澤征爾 ベルリン・フィル 😍

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ユンディ・リ 小澤征爾 ベルリン・フィル 2007年
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Yundi Li Seiji Ozawa Berliner Philharmoniker

ユンディさんの冒頭は、かなりテンポが遅めで、ゆったりと入ってくる。低音を響かせながら、揺らめくフレーズを、ひそやかに、沈み込んで鳴らして浮遊感たっぷり。オケの木管も、それに同調しつつ、液体のなかを進むかのように、弦の妖しい揺らめくフレーズのなかを泳いでいる。

むふふっ~ この出だしは、とても面白く、ピアノのパラパラパラ~っというところも、絶妙な空気感を醸し出す。雰囲気としては、冷たくて、冷え冷えとしたものではなく、ぬるま湯的なのだが、もわもわ~っとした、オケの妖しげな響きのなかを、くねくね~っと、間合いをとって、ピアノの音を置いていく。聴いている人によっては、無重力な空間であるかもしれないし、えっ、地に足が着いていないのは気持ち悪いと思うかもしれないが、ワタシ的には、まあ、液体のなかを泳いでいる感じ~と表しておきます。

で、ソロ部分に入っていくと、これが、また結構、力強く、ドスンっという響きを立てて、豪快に弾いていく。パラパラパラ~っと飛沫を、いっぱい飛ばしつつ、左手のドスンっという音は、海に向かって大きな岩を投げ入れているかのようでダイナミック。これに呼応するオケは、唐突に大音量で爆発する。力強い響きで、共に、海面を持ちあげ、浮き上がってくるかのような、まさしく神の仕業のように、誇大妄想狂が描く、絵画でも見ている感じ。う~ん、イメージ的には、海が割れたって感じだろうか。まるで、映画のモーゼの十戒を見ているかのようで。聴いていたワタシの口は、あんぐり~。

2楽章 この楽章でのユンディさんのピアノは、メチャクチャ快速。あっという間~2分17秒というクレジットになっています。もっと速い演奏もあるかもしれませんが、恐れ入りました。

第3楽章は、オケの重低音が炸裂して、まるで巨大怪獣が出現したかのよう。「らしみし どふぁれみ」っと低弦がうねり、金管のどす黒い響き、法螺貝が吹かれているかのように咆吼する。まるで、プロコの交響曲第3番の4楽章のようで、かなり驚いてしまった。で、ピアノは、このどす黒い響きのなかを、なにごともなかったかのように跳躍していく。

わりと間髪入れずに打ち込んでいく演奏で、ここは、もう少し、タメ感があっても良かったかもしれないな~と思わなくもないが、切迫感としての効果がある。パラパラ~っと飛沫を浴びせつつ、蝶のように舞い踊り、とても儚げな怪しさ。ただ、タメ感がないので妖艶の世界では、遊ばせてくれない。鋭く打音されて、息もつかせぬまま、狂気の世界に入り込んでいる感じだ。ものすごいテンションの高さ、悪魔と化して、踊り狂っているかのようで妖しいというより、もはやキケンっ。

4楽章
天上から、何かが墜ちてきたようなフレーズで始まる。ピアノは、はじかれて、飛び出して、地上に滑り落ちてくるって感じだ。で、この楽章は、交響曲第3番の3楽章に似た雰囲気を持っている。弦の切り裂く音こそないが、ピアノが、小さなナイフを持って、暴れているかのようでもある。で、オケの威力は、地響きを立てて走っている。まるでシンフォニーを聴いている感で、切迫感は尋常ではないし、猛烈なスピードで、重低音が炸裂する。

で、いったん鎮まると、まるで幽霊船に乗っているかのようなフレーズが聞こえてくる。
「み~しぃみぃ~し ふぁ~ら ふぁっ~ら」 「み~しぃみぃ~し ふぁ~ら ふぁっ~ら」このフレーズが、ピアノで、歌われ始めると、呪われ感に、まとわりつかれてしまったかのようで~ 呪縛されたかのよう。この場面で、ピアノに可愛く歌われると、金縛りにあってしまったような気分になってしまう。

ユンディさんのピアノは、スピードがあるので、妖しい媚薬をまき散らし、官能的な世界を繰り広げてはいない。もう少し、まったり~ フレーズを楽しんでくれたら、最高なんだけど~ ちょっと速い感じがする。魅惑的な世界が広がっていくが、ふわ~ ゆら~ という感じで、足を引きずったかのような木管のフレーズをバックに、さら~っと、浮き上がっていくピアノだ。

で、空中で、笑っているかのような気持ちの悪さももちあわせている。そういう意味では、両極端の表現で、いろんな要素の詰まった楽曲を、結構楽しみながら、演奏しているようだ。まあ、もう少し、揺らめいてほしい気がするが、異なる主題が始まって、またまた、スピードを上げて走って行く。忙しい楽曲で、場面展開が激しい。今度は、どこに行こうとしているのか・・・。次のテクスチャが始まる。で、自ら熱を発するかのように、繰り返し主題を奏でている。

ラストに向けては、オケが、「らららし どどれみ ふぁーっ」、けしかけていくと、猛烈にテンポをあげて、ピアノが燃え立っていく。これが、数度繰り返されるのだが~ オケもピアノも一緒に、炎があがっている感がする。ユンディ盤は、自ら炎に飛び込んでいくかのように、燃えさかっている。オケも、相当にテンションをあげて演奏されており、もはや、協奏曲のバックという範疇にとどまっておらず、小澤さん やるな~っ 萌えてるな~って感じで、オケの演奏も、とても良かったですね。やっぱりライブ盤ならではの燃える感じ。

プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、やっぱり、ライブ盤は、猛烈に面白いですね。もちろん、プロコの3番は、いつ聴いても、たいてい燃えるのだが、ワタシ的には、この2番は、燃えるんじゃなく、沈み込んだ、鎮静化された楽曲だと思っていたんです。ユンディさんのCDを聴くと、やっぱり燃えます。2番も3番に負けないぐらい、生コンサートで聴きたい楽曲です。これは、ブラボー!拍手を惜しみません。はやく復活してくれーっ。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番、ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調 出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No.2 in G minor, Op.16 ユンディ・リ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アブデル・ラーマン・エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団 😍

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 アブデル・ラーマン・エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団 2004年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Abdel Rahman El Bacha Kazushi Ono The Monnaie Symphony Orchestra

エルバシャさんの演奏は、もう冒頭の数小節だけでも、オケもピアノも最高~っという予感がします。もわもわとした空気感、靄のかかった垂れ込めた空気のなかを、じわじわ~っと姿を現す人物らしき像という感じです。また、オケの木管が、いやー これは能舞台を拝見しているみたいですね。

六条御息所かっ、そやつ生霊か怨霊に違いないという感じなのです。ハイ、なんかねえ~ ワタシの妄想が走ってしまいそう。怖いけど見たい(聴きたい)って感じですね。あまり軽々に言語化したくないような演奏で(=言語化が出来ない言い訳です)背中がゾクゾクしてくる演奏で、ワタシは好きです。

出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 アブデル・ラーマン・エル=バシャ – トピック Provided to YouTube by IDOL

アレクサンドル・トラーゼ ヴァレリー・ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 🙄

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 アレクサンドル・トラーゼ ヴァレリー・ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 1995年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Alexander Toradze Valery Gergiev Mariinsky Orchestra

トラーゼさんの演奏は、冒頭、妖しい雰囲気で出てきます。単に遅いだけなのか、力強い打音で杭打ちをしている感じになり、そして、走り出したら、バタバタと足が出てきて、蟹股(がにまた)風になっちゃうところが興ざめです。うーん、静まってから冒頭の主題また戻ってくるところは、良い雰囲気なのですが。後日聴き直すことにします。こりにこった演奏という感じもするし、一貫性が感じられない気もするので、解らなくなってきました。よくわかりません。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集2枚組BOX 第1番1997年、第3番1996年、第4番(左手)1996年 2番と5番1995年録音 出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G minor, Op. 16 アレクサンドル・トラーゼ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ニコライ・デミジェンコ アレクサンドル・ラザレフ ロンドン・フィル 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ニコライ・デミジェンコ アレクサンドル・ラザレフ ロンドン・フィル 1995年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Nikolai Demidenko Alexander Lazarev London Philharmonic Orchestra

デミジェンコさんの演奏は、幻想的な世界が広がっています。とろけるような音の響きで広がります。残響の加減やペダルの踏み方もあるのでしょうが、形が無くなって溶解しつつあるような感じ。妖怪人間なんとか~という感じというか、いやー これは無くなりすぎでしょう。1楽章のソロ部分になると長いカデンツァになるのですが、そこでは、刺々しい音が炸裂しているので、怖くて崖っぷちという世界が描かれています。

なんか、線の細いピアノのくせに、描くスケールが半端なく大きいですね。場面展開が極端すぎて忙しいっ。第2楽章は、虻になった気分だし、第3楽章は巨大な昆虫になった気分なのですが、ここは、もう少しスピードがあれば嬉しいかも。先程まで緊張しすぎたためか第3楽章で弛緩しちゃいました。オケとピアノが入れ替わり、グリッサンドが遙か彼方で鳴るという意匠です。残響が多めなのか、混濁、飽和している感じがするので惜しいように思います。迫力はそこそこあるんですが、オケに被さってこられて迷惑な感じです。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番、第3番 1995年録音 1番、4番、5番 1998年録音のCDがあり全集となっています。出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 アレクサンドル・ラザレフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

イェフィム・ブロンフマン ズービン・メータ イスラエル・フィル

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 イェフィム・ブロンフマン ズービン・メータ イスラエル・フィル 1993年
Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Yefim Bronfman Zubin Mehta Israel Philharmonic Orchestra

出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 (1923 Version) イェフィム・ブロンフマン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ヴラディミール・クライネフ ドミトリー・キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 🥰

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ヴラディミール・クライネフ ドミトリー・キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 1992年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Vladimir Krainev Dmitri Kitaenko Radio Sinfonie-orchester Frankfurt

録音状態は良い。さほどグロテスクではないが、聞きやすさには繋がっている。無難といえば無難かも。でも、なんだか意外な感じだ。期待したほどの不気味さは感じない。プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番は、妖怪ウォッチどころか、ホンマもんの妖怪世界のようで、とっても怪しいムードが漂っている。

この世のものとは思えないような、おどろおどろしい世界というか、深海に暮らす魚たちのように目が退化してしまって手探りで暮らしているような雰囲気があり、どこか、ひえびえ~とした空気感と共に、ぬめぇ~とした重い空気感がある。不吉なムードを漂わせて、ひきづりながら音が流れてくる。

物理的には音が流れてきているのだが、 音の無い世界に、ほりこまれたかのような錯覚を覚える楽曲だ。そんな不気味で怪しいところが、面白く、妙に惹かれてしまう楽曲だ。クライネフさんのピアノは、録音のせいでもあるのだろうが、息を潜めた感じはするのだが、冷たくて、ひえびえとした冷気を漂わせた空気感はなく、期待したほどの不気味さは感じない。でも、少し怪しい感じが、雰囲気としては出ているし、ブツブツと気泡を立てて汚い臭いが、ほのかに立ち上がっていくような、そんな気配があるので、なかなかよろしい~(笑)って感じだろうか。

まあ、あくまで個人の感想ですがね。楽章の最後のほうで金管が咆吼するところがあるが、ここは迫力がある。ドスンと腹に来る音のパワーがあると共に、メタリック系の煌めきも感じられて、情感の籠もった、あやしい色香の漂わせた音というよりも、 男性的ながっしりとしたタッチで描かれている。情感も感じられて、官能的でもあり、虚無的でもあり、かげろうのように揺れ動いて、霊的に漂っているような演奏って、なかなか出会えない~そんな気がする。とっても難しいように思う。

2楽章 勢いのある無窮動の楽章で、ピアノが、幾分、つんのめっている感じで、水がほとばしって出て行くかのように奏でられる。ピアノが、いつまでもたっても、パラパラパラ・・・と、つぶやき、「どれどれ ふぁふぁみみ しらしら・・・」と走って行くなか、金管が、ししーっ ししーっ、パパ~っ。パパ~っ。と合いの手をいれてくる。

さほど硬い音でもないし、明確さはないのだが、聴いてて気持ちの良さが生まれる。合いの手がうるさく、騒がしいだけの、賑々しい世界を描いたわけでもなく、淡々としているのあが、そこが好感が持てるというか~ 妙にいじくらない演奏というか。出だしはちょっと、もたついた感があったが、テンポは緩くなってないし、刻み感もよく、金管の煌めき度も高い。聴いているうちに、そんな熱くなって超ノリノリには至らないけれど、ハイ、そこそこ、のってこれますし~ よろしいかと。

3楽章 ドスン ドスンと、巨人が歩いて行くかのような序奏のあと、「ふぁみれどしら ふぁみれどしら・・・」と、木管が、ちょこまか追いかけていき、その後、ピアノが跳躍しながら続く。巨人たちに踏みつぶされた荒野を、おどけた道化師のように、楽しげに踊りつつ追随して行くような感じがする。ピアノの流れるグリッサンドの音、和音の崩れた跳躍と、もやもわ~としつつ、激しく跳躍しつつ~ グロテスクで~凶暴さも発揮されて~と、この楽章は、変わり身が激しく、とっても忙しいピアノなのだ。

多彩な顔を見せながら、泣きながら楽しそうに演奏しないといけないような、アイロニーもあって~ 演技力が求められる楽章だと思う。そこそこに、コミカルさはあるのだが、クライネフさんのピアノは、どこか、遊び心が少なめ。だが、高音域の輝きは高い。もう少し、跳躍感があれば、もっと面白いとは思うが、そこまで、ちょっと行ききってくれていない。もっと、行ききって、ぶっ飛び状態でも良いんだろうと思う。(中途半端だと、途中で、楽しくなくなってしまうのだ。)

4楽章 エネルギーが爆発しそうなほどの跳躍と、自由奔放で、わくわくした前に向かって走っていくパワーのある楽章だ。中間部では、いきなり音がストップして深海に戻ってしまう。1楽章同様に、静けさのなか、音のない世界が、また、広がってきて、飲み込まれてしまうかのような静寂さに包まれる。

木管の旋律と、ピアノの怪しげな心の揺れが、歌謡風フレーズとなって、揺れて揺れて~ 揺れ動く。しかし、また、けたたましいリズムが生まれてしまうと、この歌謡風フレーズはのみ込まれて溶けてなくなってしまう。最後には、またまた爆発的なエネルギーが生まれて、格好良く終わる。

う~ん ピアノは打楽器だったんだいう余韻が、綺麗だな~と思える瞬間や、スパークするようなピアノ以外の楽器の音色や、細かい設定が随所にちりばめられており、そのストーリーに、まず、驚かされる。まあ、ストーリーがあるような、ないような、具象的なのに抽象画のような、受け取り手に委ねられる作品だと、改めて思っちゃった。

劇的な効果もあって、場面展開のスピードの高い楽曲なので、楽しいが、この曲は、演奏者も選ぶし、聴く人をも選ぶような気もする。で、やっぱ。神秘的で、ひんやりした空気感に包まれていながらも、人肌の暖かさが恋しい。 というようなクライネフさんのピアノって感じがするなあ。ひとことで言うと聞きやすい。

行ききった感が欲しい面もあるが、強烈な個性色を放っていない分、とっつき安いというのが本音だろうか。超演技派だとは言えないと思いつつも、オケのパワフルさは、とっても感じられて良い。まあ~ 何度も聞き込んでくると、もっともっと個性を~と叫んでしまう楽曲だと思う(笑)

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集 ピアノ協奏曲第1番、第4番、第5番、第2番、第3番 1991年~92年録音 出典:YouTube Prokofiev Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 ウラジミール・クライネフ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

クン=ウー・パイク アントニ・ヴィト ポーランド国立放送交響楽団

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 クン=ウー・パイク アントニ・ヴィト ポーランド国立放送交響楽団 1991年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Kun Woo Paik Antoni Wit Polish National Radio Symphony Orchestra

クン=ウー・パイク(ピアノ)クン=ウー・パイクさんは、1946年生まれの韓国出身のピアニストです。出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16(1923 Version) 白建宇 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America NAXOS JAPAN

オラシオ・グティエレス ネーメ・ヤルヴィ コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 オラシオ・グティエレス ネーメ・ヤルヴィ コンセルトヘボウ管弦楽団 1990年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Horacio Gutierrez Neeme Järvi Concertgebouw Orchestra

グティエレスさんの演奏は、鳥肌モノのリアルさがあります。幾分、金属っぽさもありますが、ねっとり気味のヤルヴィさんと息が合っているのかどうか。再度聴き直したいと思います。
出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16: IV. Finale. Allegro tempestoso ネーメ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by PIAS

ウラディミール・フェルツマン マイケル・ティルソン・トーマス ロンドン交響楽団😘 

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ウラディミール・フェルツマン マイケル・ティルソン・トーマス ロンドン交響楽団 1988年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Vladimir Feltsman Michael Tilson Thomas London Symphony Orchestra

フェルツマンさんの演奏は、強靱な勢いがあります。激しい流れに巻き込まれますね。クールで、冴えているというか、機械的とまではいかないまでも、無窮動的な部分では、極めて冷めたく徹する気迫があるようで、自ら深海に潜っていくような気迫があります。

第1楽章は、ワタシ的には、ぷわぷわしたところが大好きなのですが、ふわっとした雰囲気は少なめで、プロコさまの一種の冷えきった血液に触れてしまった感じで、ぐいっと腕を捕まれた感じです。光の届かないところに自ら深く潜り、平然と泳ぐ巨大な魚のようにも感じられ、客観的に悠然と泳ぎます。

第2楽章の出だしは、これは遅いかな~って思うのですが、妙に絡め取られます。MTTさんの金管に押されて、くるくる~ 鮫肌のザラっとした感覚がありますが、ギクシャクしている歯車に、ひっかかってしまう感じ。で、第3楽章では機械工場に運ばれた感じです。第4楽章なんて、問答無用ですわ。こりゃ金縛りにあいそう。引き込まれるというより、押し込まれれる感じでしょうか。やめてーと行っても、ガンっと背中を押されて巻き込まれちゃいますね。色彩的にもスピードにも乏しいくせに、冷たさに独特の力があります。

CDカップリング:プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第1番、第2番、ロメオとジュリエットからの10の小品第10曲 1988年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 (1923 Version) ヴラジーミル・フェルツマン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ウラディーミル・アシュケナージ アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 😅

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ウラディーミル・アシュケナージ アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1975年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Vladimir Ashkenazy André Previn London Symphony Orchestra

アシュケナージさんの演奏は、ワタシにとって、その昔の愛聴盤だったので、慣れ親しんでしまって、安心して聴いてしまうところがあります。幻想的な世界に包まれた感の演奏は、生暖かい感覚から抜け出せないです。冬のコタツのような存在というか、出ないといけないんだけど、いつまでも、ぬくぬくしていたい~ そんな気分になってしまいます。迷宮に入り込んだのを楽しむかのよう。

特に、第1楽章の生暖かさは、ヌルヌルと行動しちゃう軟体動物となって庭園を彷徨っています。カフカの変身ではないんだけど、蝸牛や、河の岩穴に住んでいるナマズになった感じです。プレヴィンさんのオケの、ふわふわした、弦の囁きにやられてしまいます。ヒタヒタと歩いている気分で、迷子になっては困るのに迷子になりたいような気分にさせてしまう悪魔が横に貼り付いてるみたい。

ワタシの妄想が、多分に入っているので、みなさんは、この生暖かさに、やられないように気をつけてください。21世紀は、もっとクールで客観的な演奏の方が、多分、良いと思います。ワタシは、この演奏の第1楽章で沈没しちゃいます。で、いつも抜け出せないでいます。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲全集 1番~5番 1974年~75年 YouTubeにおいては、1番、2番、ヘブライの主題による序曲(作品34)がカップリングされています。出典:YouTube Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 ウラディーミル・アシュケナージ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group 

ミシェル・ベロフ クルト・マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 😅

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ミシェル・ベロフ クルト・マズア ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1974年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Michel Béroff Kurt Masur Gewandhausorchester Leipzig

ベロフさんのピアノは、硬質感が高く、もうちょっと抑えて欲しいかも~と感じます。録音がもしかしたら硬めなのかもしれないのですが、途中で、耳が痛く~なっちゃうのです。ワタシの好みなのですが、もう少し音が丸くなってくれたら嬉しいのですが。贅沢な悩みでスミマセン。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番~第5番 1974年録音、ヘブライの主題による序曲(作品34)ミシェル・ベロフ、パレナン四重奏団 1974年、束の間の幻影(作品22)1981年録音 出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 ミシェル・ベロフ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ペーター・レーゼル ハインツ・ボンガルツ ライプツィヒ放送交響楽団 😅

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番 ペーター・レーゼル ハインツ・ボンガルツ ライプツィヒ放送交響楽団 1970年 Prokofiev: Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 Peter Rösel Heinz Bongartz Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig 

レーゼルさんの演奏は、甘くもなく、妖しくもなく、夢幻の世界も広がっていません。素というか、客観的で凄みがあり、着飾っていたのに乾燥した大地に晒された気分で、露見しちゃった感のある演奏です。突きつけられた感のする気分です。真実を知りたいと、繰り返し、言い続けている人のように思えます。

この演奏が、レーゼルさんの見つけた正解なのでしょうが、ど素人のワタシは、せっかくなのに~。ケチを付ける気はないのです。せっかくのデザイン、意匠を面白いと感じるかどうかなので。素地が見えて、数学的になっちゃいましたね。それはそれで面白いんですが。これもデザインの一つですね。

出典:YouTube Prokofiev – Piano concerto n°2 – Rösel / Bongartz incontrario motu  出典:YouTube Piano Concerto No. 2 in G Minor, Op. 16 MDR交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番【解説】

プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番(ト短調 作品16)は、第1番と同じく学生時代に書いており、1912年から1913年4月にかけて作曲されています。初演は、1913年夏。ロンドンで翌年、ディアギレフと会ったとき、弾いたそうで、そこから、スキタイ組曲や道化師が作曲されることになります。

初演した際の楽譜は、ロシア革命の混乱で紛失してしまったため、1923年に記憶を元に復元、改訂されています。そのため、現在演奏されているのは改訂版ということになります。短調で始まり、短調で終わり、次の四つの楽章で構成されています。約30分。

第1楽章 ト短調、ソナタ形式風の自由な形式: 夜想曲風の第1主題、野趣味溢れる第2主題。ピアノ独奏による即興的で長いカデンツァ、展開後に鎮まり、冒頭主題を戻らせて楽章を終えます。

第2楽章 スケルツォ ニ短調、三部形式: 急速なテンポで無窮動または激しいトッカータ風の楽章。主部は、冒頭から勢いよく出されるピアノ。終始オクターヴのユニゾン。

第3楽章 間奏曲、ト短調、三部形式 重厚な楽章で、オケの低音で始まる序奏が特徴的。中間部で、ピアノのグリッサンド音型による華やかな演奏でオケと絡みます。劇的な楽章です。

第4楽章 フィナーレ ト短調、変形したロンド形式: エネルギッシュでグロテスクな楽章です。三つの部分からなり、奔放で刺激的な第1部は、ピアノが打楽器になっています。中間部は、民謡風な旋律が中心です。終結部は、打楽器を加えた全合奏で、賑々しくなります。ピアノと管弦楽が派手に掛け合いますが、ぷしゅっと終わります。

プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番【ディスク情報】

1970年 レーゼル ハインツ・ボンガルツ ライプツィヒ放送交響楽団 CORONA
1974年 ベロフ マズア ライプチヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 EMI
1975年 アシュケナージ プレヴィン ロンドン交響楽団 Dec
1988年 フェルツマン マイケル・ティルソン・トーマス ロンドン交響楽団 CS
1990年 グティエレス N・ヤルヴィ コンセルトヘボウ CHANDOS
1991年 パイク ヴィト ポーランド国立放送交響楽団 NAXOS
1992年 クライネフ キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 TELDEC
1993年 ブロンフマン メータ イスラエル・フィル SC
1995年 デミジェンコ ラザレフ ロンドン・フィル HYPERION 
1995年 トラーゼ ゲルギエフ キーロフ歌劇場管弦楽団 Ph
2004年 エル=バシャ 大野和士 ベルギー王立モネ歌劇場管弦楽団 FUGA
2007年 ユンディ・リ 小澤征爾 ベルリン・フィル G
2008年 キーシン アシュケナージ フィル・ハーモニア管弦楽団 EMI
2008年 ケンプ アンドルー・リットン ベルゲン交響楽団 BIS
2010年 ヴィニツカヤ ヴァルガ ベルリン・ドイツ交響楽団 
2013年 ユジャ・ワン ドゥダメル ベネズエラ・シモン・ボリバル交響楽団 G
2016年 マツーエフ ゲルギエフ マリインスキー管弦楽団 MARIINSKY
2018年 ハオチェン・チャン ディーマ・スロボデニューク ラハティ交響楽団 BIS
2019年 トリフォノフ ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 G

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次 タップ・クリックしてね。