メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟【聴いてみよう】Mendelssohn: The Hebrides(The Fingal’s Cave, Die Hebriden)

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メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟【YouTube】

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) アントネッロ・マナコルダ ポツダム室内アカデミー 2017年4月23日 コンセルトヘボウにおけるコンサートの模様です。ホルン、トロンボーンが、バルブなしの楽器(オリジナル楽器)で演奏していたので興味がひかれました。クラリネット奏者の激しい動きが微笑ましいです。シューベルト、メンデルスゾーンの全交響曲のリリースをされているそうです。10分19秒の動画です。出典:YouTube Mendelssohn: Ouverture ‘Die Hebriden’, Op. 26 – Kammerakademie Potsdam – Live concert HD AVROTROS Klassiek

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟【名盤・おすすめ】

ジョン・エリオット・ガーディナー ロンドン交響楽団 😑

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ジョン・エリオット・ガーディナー ロンドン交響楽団 2014年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) John Eliot Gardiner London Symphony Orchestra

ガーディナーさんの演奏は、スッキリとした風合いのもので、勢いが良いのですが、バービカンでのコンサートのライブ盤で、想像できたにもかかわらず性懲りもなく~。縦にも横にも膨らまず、硬くて平板で、感動が伝わりきらず共感しづらい演奏でした。CDカップリング:4枚組BOX 交響曲全集、フィンガルの洞窟、静かな海と楽しい航海、ルイ・ブラス、真夏の夜の夢 序曲、劇音楽版 出典:YouTube The Hebrides, Op. 26 “Fingal’s Cave” ジョン・エリオット・ガーディナー – トピック Provided to YouTube by harmonia mundi

エドワード・ガーディナー バーミンガム市交響楽団 😍

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) エドワード・ガーディナー バーミンガム市交響楽団 2013年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Edward Gardner City of Birmingham Symphony Orchestra

若手のエドワード・ガーディナーさんの演奏は、すすーっとスピードあげて、勢いに乗せる巧い演奏です。若い指揮者は、やっぱり小気味良く演奏しますね。スリムだけど熱いがあり、ふくよかさもあり、フレーズにノビ感が出てきます。カラダが柔らかく、しなやかだ~って感じでしょうか。中音域の弦が、さりげなく弾み、厚みのある響きを充分に楽しませてくれる余裕があります。また、クラリネットなど木管の存在が強調され、木管の残響を考慮した設計という気がします。木管の残響を楽しむことができるのは嬉しいです。

このツボをおさえたサービス精神、きっと聴かせ上手なんですね。響きの持つ色彩感にも浸ることができます。もちろん、嵐のような雷鳴轟くシーンも迫力ありました。久々に気に入った演奏です。CDカップリング:メンデルスゾーン 序曲フィンガルの洞窟、交響曲第5番宗教改革、第4番イタリア 出典:YouTube Die Hebriden (The Hebrides) , Op. 26, MWV P7 バーミンガム市交響楽団 – トピック Provided to YouTube by PIAS

リッカルド・シャイー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 😘

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) 1830年ローマ稿クリストファー・ホグウッド校訂版 リッカルド・シャイー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2006年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Riccardo Chailly Gewandhausorchester

シャイーさんの演奏は、「メンデルスゾーン・ディスカヴァリーズ」というCDで、珍しいホグウッド版を演奏しているもので、ライブ演奏です。専門家ではないので、その違いを明確にはお伝えできないのですが、確かにっ!聴いててみたらわかるよーっ! ハイ、ここは金管が登場してくるですね~。ところどころの違いは、あれっ、聴いたことのないフレーズ、音が登場してて、現行版との違いは耳がビシっバシッと捉えることができます。

すっきりと音を削っていたり和音構成が変わってたり、興味深く拝聴することができました。2009年が、メンデルスゾーン生誕200年だったので、シャイーさんならではのナイスな企画だと思います。メンデルスゾーンと、ゆかりの深いゲヴァントハウス管と収録できたのは良かったですよね。

CDカップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番(1842年ロンドン版)、3番のスケッチ、ピアノ協奏曲第3番(マルチェロ・ブファリーニ補完版) ピアノ:ロベルト・ブロッセダ、2009年、序曲 ヘブリディーズ諸島(1830年ローマ稿クリストファー・ホグウッド校訂版)2006年ライブ 出典:YouTube Mendelssohn: Hebrides Overture (“Fingal’s Cave”) , Op. 26 (Rome Version) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ハンス・ツェンダー バーデン=バーデン&フライブルクSWR響(南西ドイツ放送交響楽団) 😱

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ハンス・ツェンダー バーデン=バーデン&フライブルクSWR響(南西ドイツ放送交響楽団 2005年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave)
Hans Zender South West German Radio Symphony Orchestra, Baden-Baden

ツェンダーさんの演奏は、ガッシリ、ガッチリ、ギッシリという演奏です。硬いわーっ、北アイルランドを旅行して、コーズウェイ海岸を歩いているみたいで~ マグマが冷えて固まった垂直に切り立った崖っぷちというか、六角柱の、地質学では「柱状節理」と呼ぶ石柱を見ているみたいです。

この演奏は厳しい自然を描写しているのか、のんびり観光している気分で聴くとダメです。黒々とした海岸、切り立った崖、雲は垂れ込め、強風が吹きすさび、厳しい自然環境に驚いてしまいました。えらいところに来ちゃった~という感じでしょうか。今まで、のんびりと穏やかな観光気分で、フィンガルの洞窟を聴いてしまい、ちょっと反省しています。この演奏は、サブスクを利用して拝聴しました。出典:YouTube The Hebrides, Op. 26, “Fingal’s Cave”
ハンス・ツェンダー – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

クリスティアン・ティーレマン ウィーン・フィル 🙂

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) クリスティアン・ティーレマン ウィーン・フィル 2002年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Christian Thielemann Wiener Philharmoniker

ティーレマンさんが、正統ドイツ派の指揮者としてもてはやされた時で、入門編のような選曲ですが、良いカップリングだと思って買ったCDです。もちろん良い演奏です。

CDカップリング:ドイツ名序曲集 メンデルスゾーン真夏の夜の夢(ライブ)、ウェーバー:オイリアンテ序曲、オベロン序曲、メンデルスゾーン フィンガルの洞窟、コライ ウィンザーの陽気な女房たち序曲、マルシュナー ハンス・ハイリング序曲、ワーグナー リエンツィ序曲(原典版) 出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides, Op. 26 – “Fingal’s Cave” – Allegro moderato Herbert von Karajan Provided to YouTube by Universal Music Group

セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 😪

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 1993年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Sergiù Celibidache Münchner Philharmoniker

チェリビダッケさんの演奏は、やっぱり遅めのテンポで進みます。弦の艶のある音の響きは最高だと思うのですが、寝てしまいそう~。早く島に上陸して洞窟見学に行きたいのだけど、暗闇のなか進んでいるかのよう。まどろっこしい気分になりますね。12分以上の長い演奏です。

CDカップリング:ベルリオーズ 序曲「ローマの謝肉祭」、メンデルスゾーン フィンガルの洞窟、夏の夜の夢、同序曲、シューベルト 魔法の竪琴、スメタナ モルダウ、J・シュトラウス こうもり序曲 出典:YouTube The Hebrides, Op. 26, MWV P7 “Fingal’s Cave” セルジュ・チェリビダッケ – トピック  Provided to YouTube by Warner Classics

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 😘

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団  1986年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Charles Dutoit Orchestre symphonique de Montréal

デュトワさんの演奏は、高音域の弦における煌びやかさ、華やかさが感じられます。嶮しい環境への旅という予見という雰囲気も感じられますが、主は、やはり穏やかな波の表現だと思います。けっして暢気な演奏ではなく、緊張感もありますが、わくわくした心情を描くことを忘れていません。また、スピード感もあって、鋭いエッジ、金管の咆哮がありますが、いずれもザクザクした感覚ではなく、すべるような滑らかさが感じられます。メリハリがあって良い演奏だと感じました。まったりとした層の厚い演奏より、スピードのある爽やかでスリリングな演奏、サクサクと進む演奏が受け入れられるようになったのではないでしょうか。

CDカップリング:メンデルスゾーン 夏の夜の夢序曲、(作品21)、劇付随音楽「夏の夜の夢」抜粋、序曲「フィンガルの洞窟」、序曲「美しいメルジーネの物語」、序曲「ルイ・ブラス」1986年録音 出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides, Op. 26 (Fingal’s Cave) モントリオール交響楽団 – トピック
Provided to YouTube by Universal Music Group

レナード・バーンスタイン イスラエル・フィル 😊

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) レナード・バーンスタイン イスラエル・フィル 1979年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Leonard Bernstein
Israel Philharmonic Orchestra

バーンスタインさんの演奏は、力強く、重低音指向で、低弦の動きが分厚い演奏です。ごごごぉ~っと常になっている感じがして勇壮なイメージを与えます。いささかぼわっとした録音状態ですが、チェロとコントラバスの響きが、この楽曲のほぼ半分を、しっかり占めているかのようです。岩のゴツゴツした感じというよりは、海のうねりに主眼が行っているようで、ごろごろと海の底にパワーがあり、常に波が強くうねっている感じがします。スカッと爽やかな演奏とはなりませんが、弦の厚みを聴いてみたい場合は、低弦の迫力を味わえて良いのではないでしょうか。

出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides Overture, Op. 26 “Fingal’s Cave” (Live) イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 😘

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団  1985年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Claudio Abbado London Symphony Orchestra

アバドさんの演奏は、ゆったり、まったり優美な演奏で、終始穏やかさが漂います。暖かみのある録音で、低弦の響きのノビがありますし、中音域の厚みに主張を感じるもののいささか素朴で、午睡を楽しみたくなるような演奏です。個性のない中途半端な感じもしますが、これはこれで、良いのではないでしょうか。後半に入ってくるところも、安定しており、余裕のあるトルク感で、スピードを速めます。全体的に穏やかで、柔らかい演奏なので、自然と弦の旋律に耳を傾けることができます。シアワセ感が充満しているような演奏です。

CDカップリング:メンデルスゾーン序曲集 美しいメルジーネの物語、夏の夜の夢、静かな海と楽しい航海、吹奏楽のための序曲、序曲ハ長調(作品101)、ルイ・ブラス、フィンガルの洞窟 1984年~86年録音 出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides Overture, Op. 26, MWV P7 “Fingal’s Cave” London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 🥰

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1978年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) André Previn London Symphony Orchestra

プレヴィンさんの演奏は、地味な存在なのですが、トータルバランスの良い演奏だと思います。スピード感もあり、低弦の響きも、木管の響きも、きちんと聴くことができ、旋律が複層的に動いているのが、しっかりわかります。多少、速く進みますし、チェロのフレーズを、もうすこしゆっくり味わうことができたら嬉しいのですが、結構、あっさりと後ろを見向きもしないで~風に進みます。

後半は、さすがに全力で奏でられると飽和状態となり低弦がぼわっとゴロゴロいってしまいますが、リズム感もあり、木管の少し弾むフレーズが効果的です。木管の音色が良いですよね~ 明るすぎず暗すぎず、85年のアバド盤より印象に残った働きをしています。中音域の弦がメインですが、上と下に広がる音域、楽器の層に適度な厚みがあります。サンドウィッチ状にうまく馴染んでいる感じです。

また、弾むように弦のピチカートを効かせて、サクサクと進むところは、絶品だ~っと言いたくなります。うまく乗せられちゃいますね。力学的なスピード感というのか、ホント、リズムとスピード感が絶妙です。もっとクリアーな録音状態だと言うことないんですけど~。滋味な存在なのですが、気配り、目配りされた調和の取れた演奏だと感じるので、ワタシ好きです。CDカップリング:メンデルスゾーン 交響曲第4番イタリア、フィンガルの洞窟、ルイ・ブラス、夏の夜の夢 出典:YouTube The Hebrides, Op. 26, MWV P 7 “Fingal’s Cave” アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ベルナルト・ハイティンク ロンドン・フィル 😘

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ベルナルト・ハイティンク ロンドン・フィル 1978年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Bernard Haitink London Philharmonic Orchestra

ハイティンクさんの演奏は、少しくすんだ音色で、重量感があり、ティンパニーなどの各楽器のスパイスが効いています。緩やかにはじまって、さりげなく段々と膨らんで、渋い音色を湛えて、美しく自然に満たして終息していく。その弦が描く呼吸感は心地よいですね。柔らかく、ゴツゴツした感じがありません。

弦全体の音のボリューム感があって、まろやかに響き、なにげに聴いていると、するっと入ってしまうので、さほど感じませんが、このするり~っと入ってくる感覚が良いですね。また、盛りあげるところのティンパニーが、小気味よく残響を残して、とろとろ~っと叩かれています。それが強く鳴ると、ごぉぉぉぉ~~~と、海底で鳴っている感じを与えます。印象が強く残ります。

それに、後半の小気味よいテンポ。メリハリをつけた木管と弦のフレージング。ぐい~っと重量を増して、さらっと、爽やかに押してくるところが巧いですね。弦の副旋律が、まるで蒸気機関車の小型版みたいにトルクが感じられます。いや~ 完全に乗せられてやられました。盛り上げるテクニックには脱帽です。知らず知らずに~熱くなってしまいました。「音の風景画」の筆頭第一位って感じの「フィンガルの洞窟」で、熱くなるとは。いやホント熱くなるのです。もう少し録音状態が良かったら、文句なしにイチオシです。

カッピリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」「フィンガルの洞窟」 出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides, Op. 26 (Fingal’s Cave) London Philharmonic Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

クリストフ・フォン・ドホナーニ ウィーン・フィル 😘

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) クリストフ・フォン・ドホナーニ ウィーン・フィル 1976年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Christoph von Dohnányi Wiener Philharmoniker

その昔、メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」は、 好きな割には、さらり~っと聴いてしまって正式な原題が「ヘブリディーズ諸島」という名前だとは知りませんでした。メンデルスゾーンって、水彩画風と言われることがありますが、弦楽が主に奏でられているため、チェロやヴィオラの渋い音色、ヴァイオリンのサラサラした音色が楽しめて、大変穏やか。それで、ついついホントに海を眺めている気分になって、ぼよよぉ~ん。結果、しっかり視点を合わせて、じーっと見ていない。つまり、しっかり聴いていない状態になったうんです。心をわしづかみに、ぐわっと強引に、緊張感を強いるような楽曲じゃなく、解き放たれた感じになっちゃうので、耳がお留守になっちゃうためと思ってます。(すごい言い訳けしてますね。笑)

まっ そんなわけで、ドホナーニさんの演奏も、かなり気象条件の厳しい諸島らしいのですが、これも、ぼわ~んと聴いてしまいました。主になる和音が、定番中の定番という音が連なり、心地良いんです。あまりこれと言って目立たない演奏ですが、ティンパニーの叩き方が、どどどぉ~っと打ち寄せる波のように増幅し、リアルに聞こえてくるのと、コントラバスとチェロの響きが、かなりゴツメです。ゴツゴツした洞窟って感じが、堅牢な音で形作られています。

海底から、波が、ぐわ~っと盛りあがりを見せ、迫力もスピード感もあります。ドイツ臭いって言えばドイツ臭い演奏で、水彩画というより厚塗りの油絵のような感覚です。カリカリカリと、エッジの効いた弦の音が聞えたり、場面に応じて雰囲気を変えているようです。幅の広い、劇的効果のあるダイナミックな演奏だと思いました。

CDカップリング:メンデルスゾーン 交響曲第1番~5番、序曲「静かな海と楽しい航海」、序曲「フィンガルの洞窟」出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Herbert von Karajan Provided to YouTube by Universal Music Group

モーシェ・アツモン ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 😱

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) モーシェ・アツモン ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1975年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Moshe Atzmón New Philharmonia Orchestra

アツモンさんの演奏は、ムーティさんの交響曲全集の余白に収録されているものです。EMIレーベル特有の弦のカサカサした感覚があり、霞がかかっている傾向にありますが、演奏は、怖いぐらいに迫力あります。勢いの良いガッシリとした険しく激しい演奏です。ふわっとヴァイオリンの旋律が流れるのですが、まるで、北イングランドの荒涼とした夏の風景が描かれ、黒い岩肌に、這いつくばったようにヒースが咲いているような、ひんやりした風景です。波は高く打ち寄せてきて、底知れぬ穴が、ぽっかり空いているような、暗くて底知れぬ不気味さがあります。

特に、低弦がこもり傾向なので、どろどろどろ~  ごろごろ~と、低弦が常にうねりをあげている感じで、洞窟には、不気味な怪物が潜んでいるような怖さがあるのです。ひぇー! 水彩画とは全く違う世界観でしょ。これは。
特に、チェロが硬くて恐いです。素っ気ないし、かなり冷たいです。で、一気に回転度数が高くなって疾走します。急激にギアチェンジしており、メチャ、テンポアップして、速い速いっ。おおっ、競馬の第4コーナーで、ムチが入ったかのようですし。木管は、透き通るというより、キレ味抜群の刃物のようで、ぴろろ ぴろろ ぴろろ~っ。恐ろしく速くなってて、最後には、ごごご~っぉ。 ごーっ! 

底から巻き起こるような恐ろしい勢いのもとは、ティンパニーですからねえ。怒濤のように、一気に流れ出してくるのです。勢いがあって、おっそろしい状態になるのです。これは恐怖ですね。凄まじいキレのある断崖絶壁の風景です。冷たい風が吹きすさぶなか、北アイルランドのモハーの断崖絶壁に立っている気分でした。余録だと思い聴いていたヤワなワタシは、すっかり腰が抜けました。

CDカップリング:ムーティ交響曲2枚組BOX メンデルスゾーン 交響曲第3番~第5番、「フィンガルの洞窟」、序曲「静かな海と楽しい航海」、「アタリー」、「異国からの帰郷」、「ルイ・ブラス」交響曲以外はアツモン指揮。出典:YouTube The Hebrides, Op. 26, MWV P7 “Fingal’s Cave” モーシェ・アツモン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 🙂

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル  1971年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Herbert von Karajan Berliner Philharmonike

カラヤンさんの演奏は、劇的な効果のある厳しくも穏やかな演奏です。おっとりと出てきますが、硬質感のある弦が、流麗に登場して、徐々に明るくなる景色が描かれています。まるで日射しが変わるかのようで、波の間から、さらっとした風が吹いてきて、さほど嶮しい風景ではなかったですね。この光と風が変わってくるところは、さりげなく演奏されます。盛りあがりは堂々としたもので、ティンパニの打ち込みは激しいですが、尖ってはいません。

細かな弦の動きもありますが、主となる旋律が強調されているので、さほどタッチは細かいと思いません。クレッシェンドもナチュラルだし、主役が弦から金管に移っていくのも自然ですし~ 意外と穏やかな整った調和の演奏です。ちょっと古い録音なので、音はキツメです。

CDカップリング:メンデルスゾーン 序曲フィンガルの洞窟、交響曲第3番スコットランド、交響曲第4番イタリア 1971年録音 出典:YouTube Mendelssohn: The Hebrides, Op. 26, MWV P. 7 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ペーター・マーク ロンドン交響楽団 😗

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ペーター・マーク ロンドン交響楽団 1960年
Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Peter Maag London Symphony Orchestra

その昔、メンデルスゾーンといえば、マークさんの評価が高い時期があったように思います。どこが凄いのか、あまりわからずに聴いていました。さほど目立つ存在ではないのですが、チェロの音を中心に据えた、安定的な演奏だと感じます。あまり個性的な演奏よりも、こざっぱりとした演奏が良い時代だったのかもしれません。

ワタシには評価の高さが汲み取れませんでした。さすがに録音が古くなってくると、金管がキツくなったり、弦が高音域に振れて聞えたりします。テンポアップするところは、キレの良さを感じますが、音自体のまろやかさという点では、やっぱり最近の録音の方が、ぐっと聴きやすくなるので、参考程度として聴いてください。CDカップリング:メンデルスゾーン 交響曲第3番スコットランド、序曲フィンガルの洞窟、夏の夜の夢序曲 出典:YouTube Fingal’s Cave, “The Hebrides”: Overture London Symphony Orchestra Provided to YouTube by The state51 Conspiracy

オットー・クレンペラー フイルハーモニア管弦楽団 😨

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) オットー・クレンペラー フイルハーモニア管弦楽団 1960年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) Otto Klemperer Philharmonia Orchestra

クレンペラーさんの演奏は、誠に立派な演奏で、なまじっか駄文を書くほどの余地が残されていないほど、剛毅な演奏です。まあ、ほんと隙がないというか、なんというか。うねりが高く、波に呑み込まれそうになりながら、必死に耐えて、島が見えてきたと思ったらゴツゴツの縦長の岩がひきめしあってて~という感じでしょうか。それでいて、ガチリとしているのに、なんか優しい雰囲気が音の質感、トーンのなかに潜んでて、有無を言わせません。古い録音なんですがリマスタリング盤なのでクリア。問題にあたいせず。おじいちゃんは、やっぱ立派だった。出典:YouTube The Hebrides Overture, ‘Fingal’s Cave’ Op. 26 (2000 Remastered Version) オットー・クレンペラー – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 😓

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟(原題:ヘブリディーズ諸島) ジョージ・セル クリーヴランド管弦楽団 1957年 Mendelssohn: The Hebrides, Op.26 (Fingal’s Cave) George Szell The Cleveland Orchestra

セルさんの演奏は、ちょっと高音域が伸びず、残響が少ないため、硬い演奏です。録音は1957年ですが、ブルースペック版(Blu-spec CD)を買ったのでクリアです。テンポがゆったりしてて、大海原に漂う感じで、優雅に大きく流れていきます。ひとつのうねりが大きく、弦で描かれた波が、次々と規則正しくうねっています。冒頭からフレーズが進むにつれて、低音域の弦、中音域の弦、高音域の弦と移っていきますが、どっしりした風格で、ほぉ~と息をのむほど立派な演奏です。

几帳面なテンポ設定で、揺れないので、海のイメージがしないですね。いきなり、洞窟前に到着した感じで、かっしりした構造物、玄武岩を見ている感じでしょうか。低、中、高の弦の動きが見えてきそうです。低い響きに、まろやかさは感じられるものの、高い弦の響きが 硬直気味でしょうか。金管が吹かれる箇所は、「ぱぁ~ぱぱぱ~ ぱぱ ぱぁ~」のところでは、突き刺さって来る感じです。なはは~。あまりにも杓子定規な演奏だったでしょうか。

CDカップリング:メンデルスゾーン 交響曲第4番 1962年、夏の夜の夢 序曲、スケルツォ、夜想曲、間奏曲、結婚行進曲 1963年、序曲フィンガルの洞窟 1967年 YouTubeにおけるカップリングは異なっています。出典:YouTube The Hebrides Overture, Op. 26, “Fingal’s Cave” ジョージ・セル – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟【解説】

メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」作品26は、1830年に作曲された演奏会用序曲です。原題は「ヘブリディーズ諸島」(ドイツ語: Die Hebriden)ですが、日本語では通称の方が馴染みがあります。ロ短調の序奏なしのソナタ形式で、とても人気があります。作品は、2つの主題で構成されており、冒頭は、主にヴィオラ、チェロ、ファゴットによって呈示されるもの。この情緒的な主題は、洞窟の力強さと、美景を想起させつつ、侘しさや孤独感を表出することが意図されています。もうひとつの第2主題は、海の動きや「逆巻く波」が描写されているものです。コーダにおいて、最初の主題が戻ってきて結びとなります。演奏時間は約9分。

20歳の誕生日を祝って、メンデルスゾーンは、イングランド、スコットランドに旅行に行っています。そして、嵐の夜ヘブリディーズ諸島、スタファ島に行ってフィンガルの洞窟で霊感を受けたのだそうです。場所は、地図をぺったん、Wikipediaの情報もリンクしておきます。旅に出て、その風景をスケッチしてきました。そんな感覚でできた、水彩画のような楽曲です。

メンデルスゾーン:フィンガルの洞窟【ディスク情報】

1957年 セル クリーヴランド管弦楽団 SC 
1960年 クレンペラー フイルハーモニア管弦楽団 EMI
1960年 ペーター・マーク ロンドン交響楽団 Dec
1971年 カラヤン ベルリン・フィル G
1975年 アツモン ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 EMI 
1976年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec 
1978年 ハイティンク ロンドン・フィル Ph 
1978年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI
1985年 アバド ロンドン交響楽団 G
1979年 バーンスタイン イスラエル・フィル G
1986年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1993年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI
2002年 ティーレマン ウィーン・フィル G
2005年 ハンス・ツェンダー バーデン=バーデン&フライブルクSWR響(南西ドイツ放送交響楽団) GLOR
2009年 シャイー ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Dec
2013年 エドワード・ガーディナー バーミンガム市交響楽団 CHANDOS
2014年 ジョン・エリオット・ガーディナー ロンド交響楽団 LSO ライブ

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