ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）管弦楽版【名盤・おすすめ】
リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 😘
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）管弦楽版 リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1986年 Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69 Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra
「スティリー風タランテラ（舞曲）」管弦楽版は、ドビュッシーが作曲したピアノ曲に、ラヴェルが編曲しています。とても爽やかで色彩的、地中海のリゾート気分を味わっているような演奏です。すっかりラヴェル色に染まって、とてもカラフルにお化粧直し。ナイスっ。懐かしいCDジャケット写真です。
シャイーさんの演奏は。暖かい音質で、ホルンが角笛のように吹かれ、爽やかに風が流れるフレージングで、「ん チャーン ん チャーンっ」と鈴の音が入ってきます。タランテラというのだから、ナポリ地方の舞曲、6分の8拍子の活発なリズム（舞曲）だと思い込んでいたのですが真逆でしたね。頭のうえを雲がたなびき、柔らかい陽射しを浴びながら、草原で寝っ転がっているような気分になります。これはリゾート気分満喫ですね。拍子に意識を持って行かれない、軽やかで穏やかな舞曲です。シャイーさんはドビュッシーよりラヴェルの方が相性が良いですね。（きっと）
ＣＤカップリング：ラヴェル ボレロ、ドビュッシー「サラバンド」ラヴェル編曲、舞曲（スティリー風タランテラ）ラヴェル編曲、ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」ラヴェル編曲 1986年録音 出典：YouTube Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69
Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group
ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 😉
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）管弦楽版 ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 1973年 Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69 Jean Martinon Orchestre philharmonique de Radio France
弦をつま弾く音が、シャカ シャンシャン シャシャと、強弱をつけながら背景に聞えてきます。爽やかなフレージングで、ハープのつま弾く音と、鈴の音が綺麗に響いています。タンバリン、トライアングルなどの音が、クリアに聞こえてくるので、マルティノンの演奏はストレートに楽しいですね。
金管の短いパッセージも極めて明解。ハッキリしています。マルティノンさんの演奏は、爽やかに快速。色彩感がグレードアップして、華やかさをまし、段々と彩度が高くなる演奏ですね。くもりのない快晴、からっとした空気で、自信満々に颯爽としていて、まあ～ 格好良く駆け抜けていく感じです。
中間部は、ハープのグリッサンドに木管が絡み、まどろみが描かれます。音の強弱を伴って、フレーズが伸縮自在に膨らみ、強くうねります。流れが巻き起こる流動性を感じます。明快なリズムと、綺麗にトレースされた引き締まった音が出てきます。わずか５分程度の小品ですが、とても綺麗な演奏でした。
CDカップリング：子供の領分、小組曲、二つの踊り（神聖な舞曲と世俗的な舞曲）、おもちゃ箱、ピアノと管弦楽のための幻想曲、レントより遅く、クラリネットと管弦楽のための狂詩曲第1番、カンマ、スティリー風タランテラン
出典：YouTube Bebussy Tarentelle styrienne, L. 77b (Orch. Ravel) ジャン・マルティノン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）ピアノ版【名盤・おすすめ】
ミシェル・ベロフ 🙂
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）ピアノ版 ミシェル・ベロフ 1996年
Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69 Michel Béroff
★ YouTubeにおいては、掲載されていませんでした。
ベロフさんの演奏は、響きが優しいのが特徴です。透明すぎず、キラキラしすぎず、ほんわか、ほわ～っとしている感覚です。タランテラと言えば、通常、毒蜘蛛をイメージしますが、この演奏を聴くと、シャボン玉が、次々と舞っていくような感じがします。テンション高く演奏される場面もありますが、それでも、つい口ずさみたくなるような軽やかさです。歌謡風フレーズを丁寧に柔らかく、終始、穏やかに弾いています。わずか4分45秒の演奏ですが、柔らかいタッチは一級品ですね。
ピアノ演奏には、つい、キラっとした粒立ちの良い音を求めてしまいますが、硬質な音も素敵ですが、ベロフさんの乳白色の音に、ホント魅せられてしまいます。控えめさが好ましく、包まれるような感覚です。そしてまた、このタランテラは、キュートな曲です。ちょっと子供っぽくお転婆な舞曲です。もう少し、おちゃめでも、お子ちゃま風でも良いのですが、ベロフさんの演奏は、 良い意味で大人の演奏です。CDカップリング：新盤 ベルガマスク組曲、２つのアラベスク、ボヘミア風組曲（ジプシーの踊り）、バラード（スラブ風バラード）、夢、ロマンテックなワルツ、夜想曲、マズルカ、スティリー風のタランテラ、ピアノのために
ジャン=イヴ・ティボーデ 😮
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）ピアノ版 ジャン=イヴ・ティボーデ Jean-Yves Thibaude 2000年
Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69 Debussy: Tarantelle styrienne (Danse)
ティボーデさんの演奏は、スピード感溢れる演奏です。リズムが、少ししゃくりあげるような感じで、前につんのめったように、クッっと首が前に振られる感じがします。最初は少し驚きますが悪癖という気はしません。すっと自然な流れに引き込まれるのですが、やはり、どこか焦り気味の演奏かも。演奏者の心のなかでのノリ感を感じます。音を詰めて詰めて～という息苦しさもありますが、さほど嫌みのない前のめり感です。音色は、少し硬めでダーク系ですね。
CDカップリング：映像第1集、第2集、小さな黒人、組曲「子供の領分」、レントより遅く、ロマンティックなワルツ、バラード、舞曲（スティリー風のタランテラ）、マズルカ 出典：YouTube Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L.69 Jean-Yves Thibaudet Provided to YouTube by Universal Music Group
ジャン=エフラム・バヴゼ 🥰
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）ピアノ版 ジャン=エフラム・バヴゼ 2007年
Debussy: Danse (Tarantelle styrienne) , L. 69 Jean-Efflam Bavouzet
バヴゼさんの演奏は、ふんだんに注がれる光のなかに、鮮やかな色彩が、いっぱいに溢れて出てきます。喜びの心情が抑えきれないか勢いがあります。冒頭部分では、曇りガラス越しに会話をしているような、ベールのような音の丸みがありますが、そのうちに晴れやかになり、キラキラ度が増してきます。光の世界に飛びだして、陽気にはしゃぐ気持ちが、段々と大きくなっていくのです。
中間部は、穏やかな心境に落ち着き、ゆったり夢幻の世界に誘われます。ここの雰囲気は、鍵盤に押し込まれながらも、音が宙にふっと浮いてくるみたいで～ しかし、ふつふつと熱い想いが募ってくるのでしょうか。少しはにかみながら、また、走り出して行くのです。まるで、少年のワクワク感と、少女との駆けっこしているような。嬉しさが隠しきれない右手の煌めき。硬めの左手のタッチ、フレーズの間合いの良さが、とても心地良い演奏です。とても素敵な演奏でした。
ＣＤカップリング：ドビュッシー ピアノ作品全集5枚組BOX 出典：YouTube Danse, L. 69, CD 77, “Tarantelle styrienne” ジャン=エフラム・バヴゼ – トピック Provided to YouTube by PIAS
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）【解説】
「スティリー風タランテラ（舞曲）」（または、タランテッラ）は、ドビュッシー初期のピアノ作品です。ローマ大賞を受賞した1883年から以降、イリアで勉強しており、イタリアから戻った後、1890 年にこの作品を書いています。1890年の出版時には「スティリー風タランテラ」というタイトルだったのですが、1903年、小さな改訂が加えられ、「舞曲（ダンス）」と題名を変えています。
色彩的に豊かな作品です。特に、中間部分は煌めきが増していきます。シンコペーションは、3/4拍子のワルツ、6/8拍子が交互に登場しています。現実的には、南イタリア地方のタランテラよりは、少し遅めのダンスでしょうか。後年、ラヴェルが管弦楽曲に編曲しました。タランテラといっても、毒クモじゃないよ。とってもチャーミングな、6/8拍子の舞曲です。
ドビュッシー：舞曲（スティリー風タランテラ）【ディスク情報】
管弦楽曲版
1986年 シャイー コンセルトヘボウ Dec
1973年 ジャン・マルティノン フランス国立放送管 EMI
ピアノ版
2007年 ジャン=エフラム・バヴゼ CHANDOS
2000年 ジャン=イヴ・ティボーデ Dec
1996年 ミシェル・ベロフ DENON
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