ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」【聴いてみよう】Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95

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ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」【YouTube】

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 アラン・アルティノグリュ hr交響楽団 2022年2月10日
Berlioz: Le carnaval romain ∙Alain Altinoglu  hr-Sinfonieorchester ∙ Alain Altinoglu
出典:YouTube hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony HR-SENDESAAL

甘い音色のコーラングレ(イングリッシュホルン)は、この動画では0:30頃に登場します。リード(演奏者が口にくわえているストローのようなもの)の長い楽器が、それっ! ベルリオーズは、この楽器を使うのが巧みです。新型コロナが蔓延していた頃の演奏だと思うので無観客での演奏だと思います。(感謝・拍手っ!)

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」【名盤・おすすめ】

コリン・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 😶

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 コリン・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン 1997年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Colin Davis Staatskapelle Dresden

C・デイヴィスさんの序曲集は、穏やかな優しい演奏です。デュトワ盤のように、軽やかに煌びやかではないけれど、落ち着いた佇まい。最後の金管は、慌てちゃったかな~。1965年ロンドン響との演奏もあります。
CDカップリング:ベルリオーズ:序曲集 宗教裁判官、ウェーヴァリー、リア王、ローマの謝肉祭、ベアトリスとベネディクト、海賊、ベンヴェヌート・チェルリーニ 1997年 出典:YouTube Le carnaval romain Overture, Op. 9 Sir Colin Davis – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal 

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 🤩

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1995年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal

デュトワさんの演奏は、一にも二にも、色彩感にあふれ軽妙で活気ある演奏。フレージングも流れるような膨らみがあって、弦と木管の絡みや旋律が交差するところも綺麗です。パーカッションの彩りが美しい。チューバも力強いし、全奏でバーンっと出てくるところも迫力あって華やか。派手さにも申し分なし。教会で録音されているためか、奥行き感があるのが嬉しいところ。

CDカップリング:ベルリオーズ序曲集 ローマの謝肉祭、ベンヴェヌート・チェルリーニ、ウェーバーリ、ベアトリスとベネディクト、リア王、宗教裁判官 以上1995年録音、歌劇「トロイ人」~カルタゴのトロイ人前奏曲~1993年、海賊 1984年録音 出典:YouTube Berlioz: Overture “Le Carnaval Romain”, Op. 9, H.95 モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

チョン・ミョンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 😘

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 チョン・ミョンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 1994年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Myung-Whun Chung Orchestre de l’Opéra de la Bastille (Bastille Opera Orchestra)

ミュンフンさんの演奏は、とても軽やかでスピーディ。細身で身のこなしが軽やかで速い。特に、弦の旋律が、尻上がりに音が昇って、ふわっと終わるのですが、その語尾に特徴があります。ホント速いっ。音の繰り出しが速いですね。シャッシャシャ・・・と出てきて、シャカシャカ・・・と打楽器が入ってくる。リズム処理が速く、めまぐるしいほどに短いパッセージが次々と押し寄せてきます。CDカップリング:ベルリオーズ 歌劇「ベンヴェヌート・チェッリーニ」序曲、序曲「ローマの謝肉祭」、序曲「海賊」、イタリアのハロルド 出典:YouTube Berlioz: Overture “Le carnaval romain”, Op.9 チョン・ミョンフン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

セミヨン・ビシュコフ パリ管弦楽団 🥰

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 セミヨン・ビシュコフ パリ管弦楽団 1993年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Semyon Bychkov Orchestre de Paris

ビシュコフさんの演奏は、かなり大人の演奏です。優美でゆったり~ ふくよかに歌わせています。CDジャケットの写真をもっとお洒落にしたら、売れるのに~っと思ったのはワタシだけではないと思うのですが。(ごめんなさい)
前半の副旋律も綺麗に浮かび上がらせて、煌びやかで流麗で、適度にシャカシャカ鳴らせているし、クレッシェンドしているところにも膨らみがあって、フレーズも長めで残響で聴かせています。金管の短いパッセージもお見事っ。チューバも迫力あって安定しているし、言うことないじゃーないですか。かなり掘り出し物の演奏だと思います。

CDカップリング:ベルリオーズ ローマの謝肉祭、幻想交響曲 出典:YouTube Berlioz: Overture “Le carnaval romain”, Op. 9 パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ズービン・メータ ロンドン・フィル 😘

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 ズービン・メータ ロンドン・フィル 1993年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Zubin Mehta London Philharmonic Orchestra

メータさんの演奏は、とても開放感にあふれたものです。序曲の出だしは、同じベルリオーズの序曲「海賊」みたいに、トランペットの威勢の良い音が響きます。そして、いったん静まると~ コーラングレのソロが始まります。全体的に丸みがあって、ふくよかな太めの音で綴られており、明るくて逞しく色彩的。特に、金管とパーカッション軍団が入ってくると、より一層で元気に弾みます。シャンシャンと煌びやかで陽気、屈託のない開放感あふれる演奏です。

CDカップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲、序曲「ローマの謝肉祭」、歌劇「ベアトリスとベネディクト」序曲 出典:YouTube Berlioz Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 ズービン・メータ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ 😘

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ 1991年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Mariss Jansons Royal Concertgebouw Orchestra

ヤンソンスさんの演奏は、ロシアのテイストも加味されているようです。コンセルトヘボウの品の良さに、賑々しさが加えられ、絶妙のバランスで演奏されています。シャンシャンと賑やかに鳴っていますが、まずは品良く、物腰の柔らかいフレージングです。で、一気呵成に聴かせます。金管の鋭いパッセージ、えっ、このスピードで突入するのって驚く勢いで金管が吹かれており、一瞬、青ざめてしまいますが、なんなく通過~。愛の語らいの二重奏のコーラングレを、もっとじっくり聴きたかったと贅沢な文句が出ちゃいますね。コンセルトヘボウが、煽られ、猛烈な勢いでアグレッシブに演奏をしているのが楽しいです。

CDカップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲、序曲「ローマの謝肉祭」 出典:YouTube Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 マリス・ヤンソンス – トピック Mariss Jansons – Topic

セルジュ・チェリビダッケ ミュンヘン・フィル 🤣

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 セルジュ・チェリビダッケ 1988年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Sergiù Celibidache Münchner Philharmoniker

チェリビダッケさんの演奏は、だはっ 遅いっ。やっぱり遅いっ。超個性的な演奏です。まあ、チェリさまは、この路線で突き進むので、あらかた予想はしていたのですが、ローマの謝肉祭というテーマから考えると、足腰の弱った方々が、頑張って、メリーゴーランドに乗ろうとしている感じがして、かなり痛々しい気持ちになってしまう演奏です。精緻に演奏するのを第一に考えてのテンポどりだと思いますが、勢いで行っちゃえという場合も時にはあると思う。(おいっ、巨匠に対してそれは失礼だろっ!)でも、ラストには帳尻を合わしてくるところが、凄い手腕なんですよね。

CDカップリング:チェリビダッケ・エディション第4集 出典:YouTube Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 セルジュ・チェリビダッケ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ロリン・マゼール ベルリン・フィル 😘

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 ロリン・マゼール ベルリン・フィル 1985年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Lorin Maazel Berliner Philharmoniker

ベルリオーズって、冒頭の出だしで意表を突きますね。ぽんっと出てきます。ベルリオーズの生きていた時代に、アミューズメントパークなんぞなかっただろうに、回転木馬とか、メリーゴーランド、ジェットコースターみたいな謝肉祭なんですよね。ひゅ~うぅ~って鳴るし、シンバルの音も派手に鳴っている。極めつけは、やっぱりコーラングレの音です。

コーラングレを含めた木管と、トロンボーンの音色、大太鼓やタンバリンが、シャンシャンやってくれるのが、やっぱ理屈抜きで楽しいです。マゼールさんの演奏は、天下のベルリン・フィルとの演奏なので、カッチリ緻密に演奏しています。柔軟で軽やかとは、あまり言えないけれど~手を抜かないで精一杯ノリ感を表出しているように思います。

CDカップリング:ベルリオーズ 交響曲「イタリアのハロルド」、ヴィオラ:ヴォルフラム・クリスト序曲「ローマの謝肉祭」ライブ 出典:YouTube Berlioz: Overture “Le carnaval romain”, Op. 9 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group 

ダニエル・バレンボイム パリ管弦楽団 😐

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 ダニエル・バレンボイム パリ管弦楽団 1980年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Daniel Barenboim Orchestre de Paris

バレンボイムさんの演奏は、ゆったり始まります。さほど大きなフレージングではなく、流れていきます。ん?もう少し句読点を打つような演奏かと思っていたのですが、パリ管との演奏は、修飾語たいっぱい書かれた文のように、ことのほか柔らかいです。CDカップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲 1978年、ローマの謝肉祭 1980年出典:YouTube Berlioz: Carnaval romain, H. 95 – Overture パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group 

ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 🥰

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 1972年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Pierre Boulez New York Philharmonic Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、さすがに緻密で、鋭く、驚くほど旋律を大切に主旋律と副旋律を、均質にしっかりキープして演奏されています。この飛び出し方、冒頭のつかみは、本当に天才です。オチャメに飛び出しておいて、優美な主題を提示してくるという手の込みようで、舌を巻いてしまいます。

この冒頭を、適度なスピードで出て、コーラングレには、ゆったり~ 静謐に吹かせているところは、ブーレーズさんの特徴になるでしょうか。穏やかで控えめ、内省的にフレーズを描いていきます。間合い充分で、謎めいており、思わず、耳を傾けて、オケが何を語ろうとしているのか聴こうという気持ちにさせます。密やかに、弱音の美しさを追求しているところは、傾聴に値します。

で、中間部分は、色彩的でリズミカル。この変わり身の速さは、歌舞伎の早変わりみたいです。主題を転調しながら、弦が受け継いで、ヴィオラ、コーラングレの中音域の穏やかさ、 打楽器のチャカチャカチャン、光と影、明暗のコントラスト、弾むイタリアンな明るさは、やっぱりベルリオーズです。それをしっかり、ブーレーズさんに教えていただきました。出典:YouTube Le carnaval romain, Op. 9, H. 95: Concert Overture ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

コリン・デイヴィス ロンドン交響楽団 😑

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 コリン・デイヴィス ロンドン交響楽団 1965年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Colin Davis London Symphony Orchestra

C・デイヴィスさんの演奏は、こう言っちゃ怒られるかもしれませんが、いたって普通ーっ に聞えてきます。多くの演奏を一度に聴くと、それぞれ個性が見えてきます。ローマの謝肉祭は、10分程度の楽曲なので、聞き比べをしようと思えば、かなり手軽に聴けちゃいます。C・デイヴィスさんは、ベルリオーズを得意にしておられるというのが、その昔は定説だったように思うのですが、演奏としてはどうでしょう。オケとの相性もありますが、緻密に演奏したいのに大らかなオケと一緒にすることになっちゃった~ いやいや、開放的な演奏でエネルギッシュで良い演奏ですが、なんかひと味足して欲しい気がします。

CDカップリング:ベルリオーズ ローマの謝肉祭、幻想交響曲 1965年 出典:YouTube Berlioz: Overture “Le carnaval romain”, Op. 9 London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドレ・クリュイタンス フランス国立放送交響楽団 😇

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 アンドレ・クリュイタンス フランス国立放送交響楽団 1958年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 André Cluytens Orchestre National de la Radiodiffusion Française

クリュイタンスさんの演奏は、流麗で品があります。フランスものに定評のある指揮者です。この頃だと、フランスもの(例えば、ラヴェル)の指揮者と言えば、クリュイタンス、ミュンシュ、アンセルメ、マルティノン、プレートルと続きますが~ クリュイタンスさんの演奏は、ホント品があって、軽やかで艶やか。絹糸のように、これだけ、ふわーっと旋律を奏でられたら、極上の料理を食しているか、極上の羽毛布団にくるまれている感じになります。中間部の元オペラのアリアの旋律になると、耳が喜んじゃって~ もうたまりません。ミュンシュさんの演奏に比べると、旋律の膨らみのある優しい演奏です。

CDカップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲、ローマの謝肉祭、海賊 1958年 出典:YouTube Le Carnaval romain, Op. 9, H. 95: Overture アンドレ・クリュイタンス – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 😉

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 1958年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Charles Munch Boston Symphony Orchestra

ミュンシュさんの演奏は、堂々としています。コルネット(コーラングレ)の旋律も、堂に入ったもので、どっしり安定感抜群の演奏です。奏者に任せて、もしかしたら自由に吹かせておられるのではないでしょうか。
主、副旋律の扱いも絶妙で、主旋律そっちのけで、コーラングレ、はたまた、奥の弦のフレーズ、木管のポコポコ、シンバルの鈴のシャンシャン音も綺麗に聞えてきます。楽しければ~という演奏ではなく、キッチリとした縦を合わせた旋律重視の演奏です。

ミュンシュさんと、クリュイタンスさんの演奏では、受ける印象がかなりちがいます。ミュンシュさんの演奏は、がっしり雄渾な描き方で、鋭くスピードアップして、かっこよく見せたいと頑張る、ごっつーっ逞しい演奏です。それに、ローマの謝肉祭は、幻想交響曲の余白に収録されることの多い楽曲です。悪くいえばオマケ的存在の楽曲ですが、ミュンシュさんに、ここまで、かっちり、きっちり演奏されると~ すごい。さすが、熱量が半端なく、手抜き一切なし(アタリマエだけど)筋肉質で良い演奏だと思います。出典:YouTube Roman Carnival Overture, Op. 9, H. 95 シャルル・ミュンシュ – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

エドゥアルト・ファン・ベイヌム コンセルトヘボウ 😉

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」 エドゥアルト・ファン・ベイヌム コンセルトヘボウ 1951年
Berlioz: Le Carnaval romain, Op. 9, H 95 Eduard van Beinum Concertgebouw Orchestra

ベイヌムさんと言えばコンセルトヘボウ。ワタシには、ハイティンクさんのシェフ時代もリアルタイムではないのですが、コンセルトヘボウと言えばベイヌムさんというのが、知識として植え付けられていたように思います。そう、往年の名盤です。もちろん1951年の録音なので、貧相なのですが~ ノリ感のある勢いのある演奏だということが、すごく伝わってきます。それに、木管のフレーズは驚くほど良く聞えますし、主旋律とバックグラウンドの対比も、均質的に良く聞えます。この時代にしては、引き締まった精緻な演奏です。ブンチャブンチャの単純な伴奏にしていないところが、当時は画期的だったのかもしれません。21世紀まで、こうやって録音が残ってくるというのですから、やっぱり、たいしたモノなんですよね。歴史的資料価値の高い演奏としてお聴きください。出典:YouTube Berlioz: Overture “Le Carnaval Romain”, Op. 9, H.95 Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」【解説】

ベルリオーズの序曲「ローマの謝肉祭」(Le Carnaval Romain)(作品9)は、1844年に作曲されています。ベルリオーズは、1838年にイタリアのルネサンス期を代表する彫刻家 ベンヴェヌート・チェッリーニを主人公としたオペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」を作曲しているのですが、あまりにも才気ありすぎて、聴衆向けにならず、斬新すぎたことと、劇場運営の根回しベタが原因で、不評に終わってしまったのだそうです。

しかし、これで終わらないのが天才のなせるワザ! オペラの主要旋律を再構成して、コンサート向きに改編して、大成功したというのがローマの謝肉祭です。やるね、アタマが柔軟なんですね。確かに、せっかく作曲したのにモッタイナイ。なので~ オペラ「ローマの謝肉祭」というのは存在しません。構成としては、「謝肉祭」の主題による序奏後、コーラングレが、オペラのアリアの主題予定だった旋律を演奏し、サンタレロ(速い三拍子で、活発で陽気なナポリ発祥?のダンス)のリズムによって、カーニバルシーンを組み合わせています。

特筆するのは、序奏部に続いて登場するコーラングレのソロです。コーラングレの甘い旋律には、ホントうっとり。妙薬のようにしびれます。彫刻家チッコリーニと、彼の恋人との二重奏を元にしているので、甘く切なく、美しすぎるという罪深いフレーズになります。賑々しいカーニバルの主題と、とろけるような愛の語らいの二重奏、これがサンドウィッチのようになって、繰り返して演奏されるのです。これは、たまりません。コーラングレは、ベルリオーズの幻想交響曲第3楽章、そして、このローマの謝肉祭、イタリアのハロルドの第3楽章に使われていますが、オーボエよりも低い声で、愛を語られたら、むふふぅ~。どうぞお聴きくださいね。

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」【ディスク情報】


1951年 ベイヌム コンセルトヘボウ Dec
1958年 ミュンシュ ボストン交響楽団 R
1958年 クリュイタンス フランス国立放送響 EMI
1965年 C・デイヴィス ロンドン交響楽団 Ph
1972年 ブーレーズ ニューヨーク・フィル
1980年 バレンボイム パリ管弦楽団 G
1985年 マゼール ベルリン・フィル G
1988年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI
1991年 ヤンソンス コンセルトヘボウ EMI
1993年 メータ ロンドン・フィル TELDEC
1993年 ビシュコフ パリ管弦楽団 Ph
1994年 ミュンフン パリ・バスティーユ管 G
1995年 デュトワ モントリオール響 Dec
1997年 コリン・デイヴィス シュターツカペレ・ドレスデン R

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