バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番【聴いてみよう】Bartok: Violin Concerto No.2

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バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番【YouTube】

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 アウグスティン・ハーデリッヒ ヴァシリー・ペトレンコ デンマーク国立交響楽団 2017年5月4日 出典:YouTube Augustin Hadelich plays Bartók Violin Concerto Nr. 2 LIVE Augustin Hadelich 

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番【名盤・おすすめ】

イザベル・ファウスト ハーディング スウェーデン放送交響楽団 🤩

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 イザベル・ファウスト ハーディング スウェーデン放送交響楽団 2012年 
Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Isabelle Faust Daniel Harding Swedish Radio Symphony Orchestra

ファウストさんの演奏は、冒頭のオケの部分だけで、ゾクゾクしてくる曲で、このリズムに乗ってクールだけど暖かいヴァイオリンが聞こえてきます。抑揚はさほど大きくないのですが、透き通る音色のなかで跳躍する姿は、ほのかに優しさを感じます。そのくせ、オケと一緒に悲鳴を上げるところは、まるでムンクの叫びのよう。ひぃぃ~ 

中間部分はオチャメ。小太鼓にのってリズミカルに呼応します。ホント忙しい曲で、どこで悲鳴をあげるか、嘆きが出るか、泣き叫ぶか、わからないという予測不能のようなところが妙に面白いです。気を許している(つまりぼーっとしている)と、突然襲われます。まあ、ファウストさんの演奏が、どうのこうのという以前の段階で、ようやく、ワタシとしては、面白さに気づいたレベルでしょうか。

CDカップリング:バルトーク ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番 2012年録音 出典:YouTube Violin Concerto No. 2, Sz 112 イザベル・ファウスト – トピック Provided to YouTube by harmonia mundi

ギル・シャハム ブーレーズ シカゴ交響楽団  😔

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 ギル・シャハム ブーレーズ シカゴ交響楽団 1998年 
Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Gil Shaham Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

シャハムさんの演奏は、クールで繊細で、剛柔を使い分けて裏返った感じで歌われうちゃうと、背筋がゾクゾクしちゃいます。バルトークのヴァイオリン協奏曲は、一聴すると難しいと思います。弦のポンポンというつま弾く音のなかから、哀愁を漂わせたヴァイオリンが登場します。シャハムさんのヴァイオリンを聴いていると、緻密に演奏され、気持ち良いほどに、ピタッと音が収まっている感じがします。

ブーレーズさんの振るオケも、木管が綺麗に聞こえ見通し良く、もしかしたらシャハムさんの演奏を食っちゃうかのような見事さかも。 ヴァイオリンは、すわーっと音が細くなったり太くなったり、変化して高音域に昇っていくところは鳥肌モノです。するっと形を変えて逃げて行ってしまいます。

楽曲が、多様に変化しており、すぐに変容します。気体になって蒸発するかのように逃げていく。そんなとらえられない、まどろっこしさを感じます。単にワタシの脳みそが 場面展開に追いついていけないのでしょうが~ 20世紀を代表するヴァイオリン協奏曲ということですが、聴き始めた頃は、う~ 唸ってしまいました。何度か聞くことで、どうやら慣れて、いっときマイブームになりました。

第2楽章は、12半音階の用法が使われるというし、正直、お手上げです。第1楽章と第3楽章は、抒情的で、繊細で、綺麗な内省的なフレーズがあり素敵なのですが、すぐにす黒い雲に覆われてしまい、なーんかねえ。いろんな要素がパツンパツンに詰め込まれすぎて~ しんどくなっちゃうのです。シャハムさんの演奏は、聴きやすいとは思いますが、まだまだ聞き込まないと。ハイ、ワタシの能力不足でございます。

CDカップリング:バルトーク ヴァイオリン協奏曲、ラプソディ第1番、ラプソディ第2番 出典:YouTube Bartók: Violin Concerto No. 2, BB 117 (Sz. 112) ギル・シャハム – トピック Gil Shaham – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴィクトリア・ムローヴァ エサ=ペッカ・サロネン ロサンゼルス・フィル 😑

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 ヴィクトリア・ムローヴァ エサ=ペッカ・サロネン ロサンゼルス・フィル 1997年 Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Viktoria Mullova Esa-Pekka Salonen Los Angeles Philharmonic Orchestra

第1楽章 ハープなどの弦が、つま弾いたのちに、ヴァイオリンが出てきます。「らしどぉ~ そぉ どし~ みどぉそぉ~ ふぁしら そみぃ~ふぁ れ~ふぁ みれどぉ~」「そぉ~どそれ~ しらぁ~みぃ~ ふぁどしら れぇ~ ど れれれ~ しらそぉ~」と、壮大な雰囲気で、五音階のフレーズが奏でられる。(あっ、音は正確ではありません 謝)

この部分は、恰幅が良く太い声で、懐かしい古き良き時代のような雰囲気を持っており、一度、耳にしたら染みつくような雰囲気があります。しかし、そこからが五音階風、ゲンダイオンガク風になってわかりづらい迷路に入ります。途中で悲鳴をあげて、ひぃ~ きっ~っという音が鳴り響き、へんてこりんな断片が挿入されています。金管のフラッター音が唐突に入り、すぐに五音階フレーズに戻るとか出入りが多い。ころころ変わるんです。

間合いがあいて、ぽっかり空間が空く。そんな気持ちが悪さもあり、田舎の風景を見ているのに、突然、都会の喧噪が入ってくるような。音が無くなって、えっ? とか。突然、ヴァイオリンが、浮かれてパラパラパラ。金管「らぁ~そふぁみ どれっみ ふぁぁ~そっ」と世俗的なフレーズが入ってきたり、断片的に組み合わせてあるようで、どうなっているのか? これを黄金比率で区切っているんです~という説もあるそうですが、絵画だとわかりますけど、耳だけで理解するには限界がありますよねえ。

五音階の主題は、確かに気持ち良いものなのだが、う~ん 遮るモノが多すぎ。で、その遮り方が、えぐい。大衆受けはしないでしょうねえ。金管のファンファーレのような、モールス信号でも打電しているようなフレーズがあったり。突然、クレパスにハマったような感じになるところもあって、不可解な組み合わせで緊張感が強いられます。最後は、ヴァイオリンのソロとなりますが、オケは世俗的フレーズが顔をだしており、懐かしい雰囲気の旋律も織り込まれてはいますが、短すぎて続かないという状態で、目眩がしそうなほど忙しいです。

第2楽章 アダージョのような楽章です。長調のような明るさと、短調のような暗さの両面を持っており、明るく昇ると思ったら、すぐに沈む太陽のようです。緩やかなテンポなので、まだ聴こうという気持ちにはなります。前楽章のように断片的ではないため、感覚的には入っていきやすいかも。中間部は、打楽器、金管が入ってくるものの、ヴァイオリンのフレーズを邪魔するものではありません。木管と一緒になってヴァイオリンが跳躍するシーンもありますが、さほど可愛いモノではなく、蠅や昆虫が飛んでいるかのような、光に虫が集まってきているかのようです。ちょっと気味の悪さ。途中でダレて、どーでもよくなってしまって、耳がお留守になってしまうところもあり、あーっ。これではイカンと思うのですが~。6つの変奏曲なのだ言うのですが、えっ、元になるテーマはありましたっけ?(という有様です。)

第3楽章 低弦の滑るようなフレーズがあり、ティンパニーが寄り添うように、しらしらしら しらしらっ ふぁっ ふぁっ れどしら パラパラ・・・音を切るような、ふぁっ! どどどど どどどど ふぁっ! う~ん わかんないなあ。民俗舞踊らしいのですが、かつて聴いてきた舞踊とはちょっと印象が異なります。今度は蛾でも飛んでいるのかと、パラパラした音を聞いていたら・・・ 突然、歌い始めます。「ふぁら~ そどぉ~っし らそ~れ らそ~れっ」というフレーズを繰り返し始めるのです。で、しばらく歌っていたと思ったら、蛾が飛び始める主題になります。少なくとも人が踊るような、舞踏の旋律ではないように思うのですが。崩れたようなファンファーレを聴いては、う~ん。(唸ってばかり)

ラストは、華やかに鳴りそうで鳴らない。焦らされます。春の祭典のように原始的な旋律、カモメが鳴いているかのような、ひゅ~う ふゅう~っと鳴っていたりします。えっ、これ弦? オンドマルトノじゃないよねと思ったり、パッチワークのような楽曲ですが、ムローヴァさんの演奏は、平板な感じがします。濃淡感、メリハリ感が薄いようで、凹凸が感じられないので、ワタシにはわかりづらい演奏です。この演奏を何度聞いても、この曲は、わからないかもしれません。そう思うほど。(偉そうに言ってごめんなさい)

コンサートの模様を、TVや動画等で見て、聴覚だけでなく視覚で補えたほうが、わかりやすいかもしれません。CDカップリング:ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲、バルトーク ヴァイオリン協奏曲2番 出典:YouTube Bartók: Violin Concerto No.2, BB 117 (Sz.112) ヴィクトリア・ムローヴァ – トピック Viktoria Mullova – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

アンネ=ゾフィ・ムター 小澤征爾 ボストン交響楽団 🙄

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 アンネ=ゾフィ・ムター 小澤征爾 ボストン交響楽団 1991年 
Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Anne-Sophie Mutter Seiji Ozawa Boston Symphony Orchestra

第1楽章 冒頭から、五音階のフレーズが奏でられますが、オケとヴァイオリンの旋律が絡み合うところから面白さを感じます。「どぉ~そどぉ~し みど そ ふぁしらそぉ~」という主題は、耳触りなものではありませんが、オケの音が気持ち悪く、不思議な音として感じられます。ムターさんの演奏は、濃密で蔦のように絡みつき、オケはスッキリとせず、もっさり。バルトークの独特の静謐さ、冷たさ、怜悧さが少ないようで、オケの悲鳴は金属的です。金管のプラッター音は、軋み、騒然として騒音のように聞えます。もう少しハープの音が、よく通ってくれば、ひや~っとした空気が漂ってくるのに。整理された感じがしません。

短く断片的なフレーズの寄せ集めのような曲だと思うが、断片が緩いように思うのです。生暖かいので、ワタシには、鋭い躍動感や、不条理のような生理的に合わない感覚、ニヒヒ~っと笑える諧謔のニヒルさ、裏返った面白さには、至らないですね。タイトでありながら、遊び心が少ないのでしょうか。単にゴツイ感じがします。打楽器の音に、鋭さや躍動感が少なく、ボコボコした感じです。自由に飛び跳ねるヴァイオリンが可愛そう。ヴァイオリンは、スピーディなのにオケが重く感じます。

第2楽章 ぷわっとした浮遊感のある弦の歌謡風フレーズが美しいのですが、録音のせいか、生ぬるく感じます。ティンパニーの不可思議な音が、明瞭に聞こえてきません。ハープとヴァイオリンの掛け合いも、神秘性には少し欠けるかも。旋律に絡む蔦が茂って~ ねばっこく、むっとした熱気が籠もっています。水蒸気が立ちのぼってくる湖というより、むっとした沼のほとりに立っている感覚です。ジャングルに潜む野獣ではないが、どことなく野生の匂いがしますが、ちょっと雰囲気が違うでしょう~という気になりますね。ティンパニーの残響が多め~かもしれません。

第3楽章 低弦の序奏のあと、民俗的なフレーズが奏でられます。キレのある楽想なのにキレが少なく、軋みが面白いのに軋まないという、う~っ。なんとも中途半端な気がします。 疾風感が少なく乗り切れません。中間部は、静謐な神秘的な場面ですが、疾風感のある、ん タータ、ん タータっというリズム感が生まれてく筈なんですが。パーカッション軍団が、奥の方に沈み込んで、躍動感と色彩感に精彩を欠いているように感じました。

ワタシ的には、青白く光る発色が欲しいのですが、ツーンっとした刺激が少なく、自ら光るかのように生きてこないような気がします。ラストの金管のファンファーレ風のところで、小太鼓が鳴り大円団かと思いきや沈み込んしまう。
あのぉーーーーっ、うねりを持って上昇するようなヴァイオリンのフレーズが気の毒ですよぉ。オケが、鈍い音で終始している気がします。(偉そうに言ってごめんなさい)

ちなみに、今日は、ムター・モデルン 現代ヴァイオリン作品集 3枚組BOXの方を聴いたのですが、1枚モノのCDも所有しています。録音状態を比較してもいいのですが、またにします。(文句タラタラ書いてしまったのですが、ムター盤を聴いて、この楽曲に結構はまりました。感謝です。)

CDカップリング:デュティユー 同じ和音の上に ~ヴァイオリンと管弦楽のためのノクターン~ マズア フランス国立管弦楽団(2003年)、バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 小澤征爾 ボストン交響楽団(1991年)、ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲 パウル・ザッハー フィルハーモニア管弦楽団(1988年)

ムター・モデルン 現代ヴァイオリン作品集 3枚組BOX(既に発売されているものを集めたもの)
CD1:ストラヴィンスキー ヴァイオリン協奏曲 パウル・ザッハー フィルハーモニア管弦楽団(1988年)、ルトスワフスキ パルティータ ピアノ:フィリップ・モル(1988年)、ルトスワフスキ チェーン2 ルトスワフスキ BBC交響楽団(1988年)CD2:バルトーク ヴァイオリン協奏曲第2番 小澤征爾 ボストン交響楽団(1991年)、モレ 「夢に」(1991年)CD3:ベルク ヴァイオリン協奏曲 レヴァイン シカゴ交響楽団(1992年)、リーム 「歌われし時」 ~アンネ=ゾフィー・ムターに捧ぐ~(1992年) 出典:YouTube Bartók: Violin Concerto No.2, BB 117, Sz.112 Anne-Sophie Mutter Provided to YouTube by Universal Music Group

チョン・キョンファ サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 🥰

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 チョン・キョンファ サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1990年
Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Kyung-Wha Chung Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra

第1楽章 メリハリがあって、場面展開が素早い。スピーディで立体的なので、ムズカシイ~ と思いつつも、結構、ノリノリで聴きやすいと思います。ハープが和音を、ボンボン ボンボン ボンボンとつま弾いたのちに、低弦が、そしてヴァイオリンが出てきます。壮大な雰囲気で、五音階のフレーズが奏でられています。オケの響きが、重厚壮大です。オケの動きが、とても素早くリズミカル。

主題を分厚く鳴らしていたと思ったらヴァイオリンのすーっと通る音に変わったりします。キョンファさんのヴァイオリン、ラトルさんのオケ、双方ともに、変わり身の素早いスピーディーさを持っている。オケの見通しはとても良く、情報量が多いですね。オケが、悲鳴をあげているところも、ホントに絶叫~って感じだし、金管のプラッターは、大きな音で、素早くパラパラパラ~っと吹かれていますし、メリハリ感があり、これは楽しい! これは良いわ~ とても個性的で面白さに開眼しました。

オケの大きさを感じつつ、キョンファさんのヴァイオリンも、ころころ変わる雰囲気に素早く対応し、膨らみを持たせ、大きな身振りで抑揚をつけてきます。次の音に繋げるところの間合いがとても巧い。歌謡風で情感がたっぷり。短くて鋭い断片的なフレーズの寄せ集め的な楽曲だけに、こういう歌うフレーズは、とっても貴重なのです。そこを、たっぷりめに歌ってくれるのは、とっても嬉しいっ!! あ~ なんとなく、バルトークの面白さに開眼した感じで、オケの不協和音が、とても自然に聞こえます。

ファンファーレ風の金管が格好良く、木管の鋭い吹きっぷり、ドスの聴いた音。パン パ パンパン パン パ パンパン・・・モールス信号的なフレーズも、メリハリ、アクセントがあって、身振りが大きく、躍動感に乗せられます。しっとり~っと五音階のフレーズと、不協和音の細切れパッセージが、サンドウィッチ状になっているのが、よくわかりますし、面白く、心地良く感じられます。神秘性を持ちつつ、野蛮に変貌するところの、変貌への期待感も感じさせるもの。いやー これほどに面白い楽曲だったとは!! 目から鱗が落ちました。

第2楽章 歌うようなフレーズなのですが、予測不可能な音が続きます。このアダージョのような、緩やかで優しいフレーズは、音の並びを耳で感じるのではなく、肌感覚を刺激してきます。奥のティンパニーと共に、ヴァイオリンは、ひろがりや、ぷわぷわ浮くような浮遊感を感じさせ、旋律という線から解き放たれれたい意思のようです。

奥のパーカッションも神秘的で、木管とバイオリンは、和音を形成するわけではなくようです。互いに勝手に進みながら、相互の音の音程の幅が、狭くなったり広がったり、不思議な時空間を作り出します。ヴァイオリンが、これだけ、不思議な空間を作るツールになるとは。う~ん、いつも旋律を奏でる主役なのにねえ。意外な使われ方です。 

第3楽章 低弦の迫力で、滑り落ちるかのように始まる楽章です。空気を切る音、ヴァイオリンは、音階を上り下り、音をカシカシカシ・・・させています。民俗的なフレーズ 「ふぁら~ そどぉ~っし らそ~れ らそ~れっ」という短いフレーズを歌うのですが、すぐに、自ら切る行為を繰り返し跳躍を始めちゃうのです。暴力的だと感じるような短い旋律ですが、展開が速すぎて、なんだか、ついていけない。

それにしても、ヴァイオリン協奏曲なのですが、オケの立体感がすごいです。民俗的な舞踏というよりも、躍動感のある演奏で、重厚な響きを持っており、場面ごとにメリハリが感じられます。パーカッションのちょっとした音とか、木管の音が、印象的に響くように工夫されているようで、繊細に織り込まれているのが感じられます。それに耳を傾けようとする気持ちが湧いてくるところが凄い。この楽曲は、とってもムズカシイ。多彩すぎるというか多層すぎるというか、断片的すぎるというか。

そんなすぐに音を聞き分けられるほどの耳や才能を持ち合わせていないので、ちょっと(かなり)辛いのですが、楽しく聞こえるというか、毎回、どこに、焦点をあてて聴こうかなって、思うところが楽しいですね。情報が多いというか幾重にも塗られた油絵を見ているようで、あっ、ここに赤色を使っているのか、あらっ、ここで青色を使う?っていう発見があります。そういう意味で、とっても興味深い演奏だと思いました。

ヴァイオリン協奏曲とはなっているが、ラトルさんのオケが、しっかりこの曲を創ってくれているように思えます。この演奏で聴くと、わかりやすく楽しく聴けました。楽曲にソロヴァイオリンが織り込まれている感じもするし、とてもお薦めの演奏です。(ワタシ的には)

CDカップリング:バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番、ラプソディ第1番、第2番 出典:YouTube Bartok Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 バーミンガム市交響楽団 – トピック City of Birmingham Symphony Orchestra – Topic Provided to YouTube by Warner Classics

チョン・キョンファ ゲオルク・ショルティ ロンドン・フィル 😘

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番 チョン・キョンファ ゲオルク・ショルティ ロンドン・フィル 1976年
Bartok: Violin Concerto No. 2 in B Major, Sz. 112 Kyung-Wha Chung Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra

チョン・キョンファさんには、1990年ラトルさんとの新しい演奏のCDがあるのですが、70年代から演奏されていたことに驚いてしまいました。斬新な挑戦ですよね。ショルティさんのガンガンに行くぞーっというオケと、コラボしてても負けてないっす。やっぱ逞しいボーイングが想像されるし、ホント力強いタッチで、強いエネルギーを感じます。出典:YouTube Bartók: Violin Concerto No. 2, Sz.112  ゲオルク・ショルティ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番【解説】

バルトークのヴァイオリン協奏曲は、2曲あります。ここでご紹介している第2番(Sz.112)は、生前には第1番とされていたのですが、近年になって、若かりし頃の譜面が発見されたので、順番が変わって第2番となったものです。この曲は、1938年に作曲され、翌年に初演されています。

三つの楽章構成と変奏曲に加え、ハンガリーの民俗舞曲であるヴェルブンコシュ(ヴェルブニュク verbunkos)の様式が取り入れられており、冒頭で、ハープが静かにロ長調の和音をかき鳴らして始まるなど調性感が出ています。しかし、その反面、12半音階の音が全て出てくる調性感の希薄な旋律も登場するなど、とても複雑な感じがします。全楽章で、約40分の楽曲です。

ちなみに、ヴェルブンコシュ(verbunkos)とは、ウィキペディア(Wikipedia)によると、募兵活動で使われた男性のダンスで、18世紀の終わりから19世紀中頃まで、ハンガリーで展開したダンス音楽のスタイルだそうです。歴史的な多くの要素の複合の中で生まれたらしい。たとえばヴェルブンコシュ音楽に使われている旋律要素の起源を辿って行くと、ハンガリー民俗器楽音楽の伝統的要素の他、イスラム世界・中近東諸民族・バルカンの要素、スラブ諸民族の要素、ルーマニアの要素、更にウィーン、イタリアの要素などを見い出せるという。でもね、こんな説明されても、さ~ぱり解りません。ひぇ~ん。(涙)

第1楽章 おおむねロ調(ロ短調) ソナタ形式 独奏ヴァイオリンが弾きはじめる第1主題は、ハンガリー民俗舞曲ヴェルブンコシュを踏まえた五音音階風ですが、次第に音が増えていき、第2主題は12半音階の音がすべて登場します。終わりは、ヴァイオリンのソロとなります。第2楽章 ト調 6つの変奏曲 第3楽章 おおむねロ調 ソナタ形式 民俗舞曲的な疾走感が強く、1楽章の素材に基づいた主題が多用されるとのこと。

バルトークの楽曲は、暗くて鋭く険しく、ムズカシイという感じがします。この楽曲の前年(36年)には、「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」が作曲されていますが、このヴァイオリン協奏曲は、断片的で、ころころ雰囲気が変わります。五音階の安定したフレーズと鋭さと激しい気持ちの悪いフレーズが交錯しており、折衷しないまま断片的に残ってしまったような感があります。愉悦性の少ない楽曲に思いますが、聞き込めば、苦みやざらざら感が、癖になるように思います。とっつきづらいかもしれないので、動画を見て、聴いていただくと馴染めるように思います。

バルトーク:ヴァイオリン協奏曲第2番【ディスク情報】

1976年 キョンファ ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1990年 キョンファ ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI
1991年 ムター 小澤征爾 ボストン交響楽団 G
1997年 ムローヴァ サロネン ロサンゼルス・フィル Ph
1998年 シャハム ブーレーズ シカゴ交響楽団 G
2012年 イザベル・ファウスト ハーディング スウェーデン放送交響楽団 HM
2015年 ギル・シャハム ステファヌ・ドゥネーヴ シュトゥットガルト放送交響楽団 CANARY 未掲載
2017年 ルノー・カピュソン フランノワ=グザヴィエ・ロート ロンドン交響楽団 E 未掲載
2017年 テツラフ ハンヌ・リントゥ フィンランド放送交響楽団 ONDINE 未掲載
2017年 バイバ・スクリデ アイヴィン・オードラン ケルンWDR交響楽団 ORFEO 未掲載

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