ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)【聴いてみよう】Tippett: Concerto for Double String Orchestra

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ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)【YouTube】


ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)ダニエル・ハーディング ロンドン交響楽団の演奏です。BBCプロムス 2013 ライブの模様です。25分15秒の動画です。
Daniel Harding London Symphony Orchestra 出典:YouTube Tippett – Concerto for Double String Orchestra – Harding Classical Vault 1

ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)【名盤・おすすめ】

リチャード・ヒコックス シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア 😘

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)リチャード・ヒコックス シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア 1995年
Tippett: Concerto for Double String Orchestra Richard Hickox City Of London Sinfonia

ティペットの二つの弦楽合奏協奏曲は、お仕事疲れで、ヘトヘトになっているときとか、一呼吸入れて、ほっとしたいときの、精神安定剤のような存在です。弦楽合奏っていうと、弦楽セレナーデ(セレナード)とか、ディヴェルティメントとか呼ばれる曲があります。弦五部、つまり、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスが登場しますが、木管、金管、打楽器類は除外されているので、とっても穏やかな曲が多いです。20世紀に入ってからも活発に作曲されているジャンルで、とても落ち着けるので好きなジャンルです。そのなかでも、このティペットの二重弦楽合奏のための協奏曲は、オケが、二つも必要なのですが、厚みがあって楽しい曲です。

ヒコックスさんの演奏は、軽やかで小春日和のなかで聴く感じです。爽やか。ティペット(Michael Tippett )は、1905年生まれのイギリスの作曲家で、1998年までご存命だった作曲家なので、とても長寿です。交響曲は4曲ありますが、比較的有名なのは最後のもので、ちなみに、ショルティがシカゴ響で初演をしており、CDも発売されています。ワタシも所有しているのですが、この2つのオケを使った弦楽合奏曲に、どこか古典的、和風テイストが感じられ、聴けば聴くほどハマりました。若い頃には、クラシック音楽を、精神安定剤的に使用する必要がなかったし、むしろ、ガンガンに鳴ってくる、パワフルな音楽の方が好きだったんです。しかし、これも年齢かしらん? 仕事疲れの時には、弦楽合奏を聴くと、少し落ちついて穏やかになれるようです。

ヒコックスさんのCDは、録音状態も良く、軽やかで推進力が良いですし、エネルギッシュに演奏されています。また、第2楽章のアダージョは、しみじみ~っと泣けます。ヴァイオリンを始めとした歌謡性を感じるフレーズで綴られます。あまり知名度の高い曲ではありませんが、聴けば、どこか親しみを感じることができると思います。

CDカップリング:ティペット セリンガーズ・ラウンドによるディヴェルティメント、弦楽オーケストラのための小品、心の保証、二重弦楽合奏のための協奏曲(2つの弦楽オーケストラのための協奏曲) 出典:YouTube Concerto for Double String Orchestra リチャード・ヒコックス – トピック Provided to YouTube by PIAS

ジョン・ファーラー イギリス・シンフォニエッタ 😘

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) ジョン・ファーラー イギリス・シンフォニエッタ 1995年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra John Farrer English Sinfonia ★ YouTubeでは視聴できなくなりました。リンクが切れています。謝

ファーラーさんの演奏は、サブスクがなかった頃、海外から中古CDを取り寄せて聴いていました。録音状態は良いですし、第1楽章と第3楽章は、とっても推進力があり、不協和音を感じますが、そんなモンどこ吹く風って感じで、颯爽と格好良く進みます。この曲は、新古典主義というスタイルというか、新旧合体したかのようなテイストがあり、文字どおり、温故知新の四文字熟語のような曲、新しい風の時代~ そんな曲のように感じます。

他の演奏と比べると、とてもスタイリッシュで、どこか枯れた牧草のにおいがする演奏っもありますが、実に、都会的で、牧草のにおいなんぞ、これっぽちもしません。左右双方から豊かな弦の響きがして、とても心が豊かになっていきますし、熱く、軽く、オクターブをぴょんっと跳躍するような感覚です。

第2楽章は、しんみり~ 第3楽章になると、またまた、スタイリッシュにチェロで主題が奏でられます。曇り空の多い、一日のなかで変わりやすいイギリスのお天気模様のように、すぐに曇る演奏もあるのですが、ファーラーさんの演奏は、さらっとしており、秋の空のようです。ノスタルジックですが、ジメジメしない、未来を感じるような力強さがあり、のびやかなフレージングが印象的です。しなやかな中音域の弦が活躍しており、活力をもらえます。今後、演奏される機会が増えることを祈る曲です。

CDカップリング:ブリテン シンプル・シンフォニー、ラクリメ ダウランドの歌曲の投影(作品48a)
前奏曲とフーガ(作品29)、ティペット 2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)
出典:YouTube Concerto for Double String Orchestra John Farrer – トピック Provided to YouTube by IIP-DDS

アンドルー・デイヴィス BBC交響楽団 🙄

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) アンドルー・デイヴィス BBC交響楽団 1993年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra Andrew Davis The BBC Symphony Orchestra

アンドルー・デイヴィスさん(アンドリュー)の演奏は、サッパリ系の秋風のような演奏です。少し残響が多めでヌケがあまり良くないのですが、乾いた風がそよいでいる感じがします。ティペットの二重弦楽合奏のための協奏曲。 英語で言うと、「Concerto for Double String Orchestra」ですが、ちょっぴり古風な雰囲気を持った曲です。冒頭は、調性が感じられますが、そのうち、ころりん~っと不協和音がさりげなく入ります。

快速で突っ走っていくリズミカルな曲で、弦が奏でていくスピード感が爽快です。ところどころ、ふわっとした長音が入ってきて、一瞬の快感を味わせてくれます。スピードアップしたあと、息をついて呼吸を整えるかのようにオチが来ます。

アンドルー・デイヴィスさんの演奏は、枯れた牧草の匂いがして懐かしい気分にさせてくれます。その渋さっていうのが、多分、五音階という色調なんだと思います。弦のフレーズは、シンコペーションのリズミカルさがありますが、色調は渋い、くすんだものなのです。まっ、弦のフレーズが、織物のように感じられますね。

第3楽章は、どこか盆踊り的で、ンパンパっというリズムがあり、ちょっと引きずった合いの手が入ってくるところが面白いです。ちょっと素っ気ない感じがしますし、1971年に録音されたマリナーさんのCDの方が、録音状態は良いかもしれません。サブスクが利用できる前は、メディア数が少なく、選択肢が増えることを期待していました。

CDカップリング:ティペット 二重弦楽合奏のための協奏曲(2つの弦楽オトラのための協奏曲)、ティペット コレルリの主題による協奏的幻想曲、ティペット 真夏の結婚からの典礼の踊り曲 出典:YouTube Tippett: Concerto for Double String Orchestra アンドルー・デイヴィス トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

ウィリアム・ボートン イギリス弦楽オーケストラ 🙂

ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) ウィリアム・ボートン イギリス弦楽オーケストラ 1991年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra William Boughton English String Orchestra

ボートンさんの演奏は、第2楽章がゆったりとして、ホント、しみじみします。緩急のメリハリのついた演奏だと感じます。うねるような第3楽章も、楽しく拝聴することができました。
CDカップリング:ティペット 二重弦楽合奏のための協奏曲(2つの弦楽オーケストラのための協奏曲)、五つの黒人霊歌、マニフィカトとヌンク・ディミッティス 出典:YouTube Concerto for Double String Orchestra: III. Allegro molto English String Orchestra – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

マイケル・ティペット スコットランド室内管弦楽団 😅

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) マイケル・ティペット スコットランド室内管弦楽団 1987年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra Michael Tippett Scottish Chamber Orchestra

作曲家ご自身のタクトによる演奏です。まっ、最近の演奏の方が、ぶっちゃけ良いと思いますが。石造遺跡のなかで風の吹くなかを散策しているような感じで、お聴きすることができました。過去を振り返るのような感じで、最初の主題が戻ってきて、心地良かったです。歌謡風というより、声楽の雰囲気がありますし、中音域の安定した穏やかな響きがやはり心地良いです。

第2楽章は、叙情的で、まるで教会で聴いているような雰囲気がします。さほど整った感じはしませんが、チェロのソロが入ってくるところは、ふわーっと幻想的です。艶やかな弦の響きではないのが、かえって良いのかもしれません。少し暗くて重めの演奏のように感じました。出典:YouTube Concerto for Double String Orchestra: I. Allegro con brio
マイケル・ティペット – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ネヴィル・マリナー アカデミー室内管弦楽団 😘

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) ネヴィル・マリナー アカデミー室内管弦楽団 1971年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra Neville Marriner Academy of St. Martin-in-the-Fields 

マリナーさんの演奏は、録音年は古いものの、温かみのある音で、表情づけが繊細です。伸びやかに抑揚を豊かにつけて進みます。フレーズの伸縮が凝っていて古風的な演奏です。最近の演奏は、どこか直線的ですが、この時期は、表情が豊かで、揺れる感じがします。平板な感じになりがちな旋律を、ちょっぴり強めのアクセントをつけている感じで、音の弾け具合が大きいです。高音域のフレーズに耳がいきがちですが、重心が低く、柔らかい厚みがあります。適度な粘りもあります。

第2楽章は、聴き手の心情に、どのようにも寄り添ってくれるようなアダージョです。第3楽章は、チェロとヴァイオリンの「んチャカチャカ」と奏でる音が、強弱つけてうねっています。優しい色彩を感じるところが、他の演奏と違うところでしょうか。リズム感は、さほど強くありませんが、彫りが柔らかいのに、旋律が自然と浮かびあがってくるところがあり、妙にくすぐられます。

カップリング:ティペット  コレルリ(コレッリ)の主題による協奏的幻想曲。弦楽オーケストラのための小品、二重弦楽合奏のための協奏曲(2つの弦楽オーケストラのための協奏曲) 出典:YouTube Tippett: Concerto for Double String Orchestra Academy of St Martin in the Fields Provided to YouTube by Universal Music Group

ルドルフ・バルシャイ モスクワ室内管弦楽団・バース祝祭管弦楽団 😆

ティペット:2つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲) ルドルフ・バルシャイ モスクワ室内管弦楽団 バース祝祭管弦楽団 1962年 Tippett: Concerto for Double String Orchestra Rudolf Barshai Moscow Chamber Orchestra · Bath Festival Orchestra

バルシャイさんの演奏は、古い録音年のわりには、録音状態が良いので嬉しいです。サッパリ、鋭く進む演奏です。第2楽章は、もの悲しいフレーズが続きますが、第3楽章に入ると、一気呵成に、ノリノリに走ります。ラストに、駆け抜けていくところが好ましく、サクサクっと聴いて、毎日の垢を流していたり~(えっ、音楽で流せるの?)いや、ウザい人間関係を、いつまでも憂いたって、ダメなものはダメじゃん~という風に、キッパリ。

聖なる音楽をこんな風に聴いちゃって良いのかどうか。とても問題ですが、ワタシなりに勢いをつけて、夜に聴くことで、雑念を洗うこともありますね。祈りのような第2楽章のアダージョが終わると、懺悔終了! 第3楽章で、ノリノリで走る姿が格好良く、開放感に浸れます。(おっと、いけない。つい吐露してしまいました)

マイケル・ティペット(Sir Michael Kemp Tippett)は、1905年生まれのイギリスの作曲家です。交響曲を4曲作曲されていますが、最後の交響曲第4番は、1977年、ショルティ指揮のシカゴ交響楽団が初演をしています。
弦楽合奏のための協奏曲は、コレルリの主題による協奏的幻想曲と同様に、新古典主義の風潮を呼び込んで、古き良き時代のフレーズを参考に、斬新な曲になっています。古いけど同時に新しい。もっと聴き進まれるようになる曲ではないかと、ワタシは思います。また、次回は、コレルリ主題~も聴いてみたいと思います。

CDカップリング:パーセル 弦楽のための2つのファンタジー 1959年、ブリテン:シンプル・シンフォニー1961年、ティペット:二重弦楽オーケストラのための協奏曲1962年、ティペット:真夏の婚礼から「儀式の踊り」1984年 モスクワ室内管弦楽団ほか ルドルフ・バルシャイを讃えて20枚組BOX 第17巻にも収録されているようです。出典:YouTube Concerto for double string orchestra モスクワ室内管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)【解説】

マイケル・ティペットの二重弦楽オーケストラのための協奏曲(2つの弦楽合奏のための協奏曲、二重弦楽合奏のための協奏曲)は、1939年に作曲されています。ティペットの楽曲のなかでも人気があり、よく演奏されます。タイトルとおり、二つのオケを均等に分割し対峙させ、シンコペーション等を用いて、リズミカルな作品となっています。次の三つの楽章で、構成されています。

第1楽章 ソナタ形式 オクターブを飛ぶ推進的な主題と、ヴァイオリン、チェロによる軽やかなモチーフが対比されます。1小節から8小節までは二部構成の対位法が、8小節から10小節目にかけては逆になっています。21小節から30小節はメロディー主催のホモフォニー 30小節目からはアルペジオの伴奏が入ってきます。

第2楽章 アダージョの楽章で、低音のソロヴァイオリンの旋律から始まります。フーガは半音階のもので、チェロの独奏による冒頭の主題に戻ります。

第3楽章 ロンド形式 ノーサンブリッッジのバグパイプのフレーズが素材となっているようです。高揚感あふれるクライマックスつくります。

どことなく懐かしい雰囲気がするのは、二つのモノを対峙させる手法が、バロック時代の合唱音楽に見られるものと似ているだからそうです。斬新さとしては、シンコペーションと、異なるリズムを重ねているからだそうです。音楽における不規則で、予測不可能なアクセントの蓄積によって、その効果が決まる一種のリズムとか、音楽のリズミカルな自由、強弱やフレーズの長さなどの伝統的な概念からの喜びに満ちた解放が、音楽の活力に大きく貢献しているという意見があるそうです。ふむ、なるほどな~とは思いますが、わかったようなわらんような。心地良さの裏側には、作曲家の明確な意図、詳細な設計があるのだろうと思います。ワタクシ専門家ではないのでご容赦ください。

改めて、弦楽合奏とはなんぞや。というのを、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、次のように書かれていました。・・・弦楽合奏は、クラシック音楽によく見られる編成である。19世紀には、弦楽セレナードを作曲している作曲家に、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、エルガーがいる。そのほか、メンデルスゾーンは弦楽合奏のための交響曲を作曲している。20世紀には重要な作品が多く、バルトークの「ディヴェルティメント」、ストラヴィンスキーの「ミューズを率いるアポロ」、ブリテンの「シンプル・シンフォニー」などが知られる。ティペットは「2つの弦楽合奏のための協奏曲」を作曲しているとありました。弦楽合奏曲は、穏やかな曲が多いので、聴き疲れせず、静かにリフレッシュしたい時に聴くのにお薦めです。

ティペット:二つの弦楽オーケストラのための協奏曲(二重弦楽合奏のための協奏曲)【ディスク情報】

1962年 バルシャイ モスクワ室内管弦楽団、バース祝祭管弦楽団 EMI
1971年 マリナー アカデミー室内管弦楽団 Dec
1987年 マイケル・ティペット スコットランド室内管弦楽団 E
1991年 ウィリアム・ボートン イギリス弦楽オーケストラ NIMBUS
1992年 アンドルー・デイヴィス BBC交響楽団 TELDEC
1995年 ジョン・ファーラー イギリス・シンフォニエッタ CARTON
1995年 ヒコックス シティ・オブ・ロンドン・シンフォニア CHANDOS

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