ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)【聴いてみよう】Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79

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ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)【YouTube】

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:アレクセイ・ヴォロディン Alexei Volodin ディマ・スロボデニウク 南西ドイツ放送交響楽団 2016年10月コンサートの模様です。16分31秒の動画です。

Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Dima Slobodeniouk WRSymphonieorchester
出典:YouTube Volodin | Carl Maria von Weber: Konzertstück für Klavier und Orchester | SWR Symphonieorchester Klassik | SWR Kultur

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲【名盤・おすすめ】

マルティン・ヘルムヒェン クリストフ・エッシェンバッハ ベルリン・コンツェルトハウス 🥰

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:マルティン・ヘルムヒェン クリストフ・エッシェンバッハ ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 2020年
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Martin Helmchen Christoph Eschenbach Konzerthaus Orchester Berlin

ヘルムヒェンさんの演奏は、なーんかメチャ暗く始まります。そんな悲劇的に表現しなくても良い気がするのですが、ポツン ポツンっとピアノが出てきます。まあ、エッシェンバッハさんでは、明るい演奏にはならないので、気乗りしなかったんだけど。意外に、プレトニョフさんのように化けるかもしれず。

付点のリズムが、はあ、暗いわりには跳ねるなあ~っと驚き、大袈裟な左手のフレーズに驚き、曲が進むにつれ、柔らかさと粒立ちの高い音が表れ、甘さも出てきます。行進曲のところは、オケが嬉しさを醸し出します。で、ピアノのダイナミックなグリッサンドをひきだしてくれています。ラストには、喜びが満ちあふれてきます。聞き応えありっ。

マーティン・ヘルムヘンさんは、1982年ドイツ出身のピアニストです。2001年ハスキル国際ピアノコンクールで優勝されています。室内楽が専門のようですが、CDがたっくさん!(今まで出会えず失礼しました)サブスクを利用すると、いままで存じ上げなかったピアニストに出会う機会が格段に増えます。拝聴できて、とても嬉しかったです。

CDカップリング:ウェーバー 序曲精霊の支配者、ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュトゥック)、魔弾の射手 序曲、ソプラノ2曲、オベロン序曲 2020年、2021年 出典:artin Helmchen – トピック Provided to YouTube by IIP-DDS

ミハイル・プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 🤣

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)ピアノ:ミハイル・プレトニョフ ミハイル・プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 1996年 
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Mikhail Pletnev Russian National Orchestra

プレトニョフさんの演奏は、愉悦性の高いロマンティックな雰囲気にはまります。ピアノは、まるでショパンのように可愛いいものの、幾分、素っ気なく登場します。ちょっとつれない感情で、そっとしておいて~と言わんばかり。ほの暗さを持ちながらも、甘さもあり、少女のような自分の感情に反する行動が垣間見られます。モーツァルトの嫁さんが、ウェーバーのいとこで、このコンチェルトシュテュックは、ロマン派のどまんなかの作品です。

第2楽章は、金管の小さな咆吼があり、間髪入れず速めのスタートになります。プレトニョフさんの弾き振り、ピアノは、快速で登場。細かい、粒立ちの良いピアノが、軽やかに、超テクで走ります。主となる木管をほったらかし。風のように、パラパラ・・・軽やかなグリッサンドが聞こえます。第3楽章は、軽やかなクラリネットから、ファゴットへの受け渡しがあります。可愛い木管だと思っていると、ばぁ~ん!と一発、ピアノの強烈な和音が聞こえ、強烈なグリッサンドとなり、まるで、びっくり箱が開いたかのようです。

十字軍の甲冑を身にまとい、旗をはためかせた騎士たちと従者、まちのみんなが、帰ってきた十字軍を迎え、称賛の声をあげています。お嬢さまは、自分の夫を見つけます。で、おかえりなさーい、彼女は、彼の胸に飛び込んだ! 

あっ そういうこと。そういうシーンなの?! ピアノのグリッサンドは、ダンナの胸に、ダイブしたってわけらしいです。はりゃー なんと活発なお嬢さま(奥様)。ダイナミックなのよ、表現が。逢いたかったダンナの胸に、ホント、ダイビングしたかのように描かれ、感情が一直線。あっけらかん~ としてます。解説コーナーのストーリーを読んでね。

第4楽章も、ピアノのグリッサンドが快速に奏でられ、跳躍して、テンションマックス。祝祭的なオケの演奏を背景に、ピアノは単純明快、お子ちゃま風に走り回って、パンパンパン!っと終わります。呆気にとられるほどの単純な感情表現で、振り回されちゃう感がありありです。あまり優美な演奏ではありませんが、微笑ましい表現でした。

CDカップリング:ウェーバー ピアノ小協奏曲(ピアノとオーケストラのためのコンツェルトシュテュック)、「魔弾の射手」序曲、「アブ・ハッサン」序曲、「オベロン」序曲、「精霊の王」序曲、舞踏への招待(ベルリオーズ編)、歌劇「3人のピント」間奏曲(マーラー編)、歌劇「オイリアンテ」序曲 出典:YouTube Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 ミハイル・プレトニョフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ベンジャミン・フリス プリンシアス・オ・デュイン RTEシンフォニエッタ 😘

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:ベンジャミン・フリス プリンシアス・オ・デュイン RTEシンフォニエッタ 1994年
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Benjamin Frith Proinnsías Ó Duinn RTÉ Sinfonietta

フリスさんの演奏は、繊細なピアノできめが細やかです。このコンツェルトシュテュックは、あまり多くのCDが発売されていなかったので、ナクソスで見つけサブスクを利用して拝聴しました。ウェーバーって、あまり人気がないのかもしれませんが、明るくロマンティックな曲が多くあります。で、聴きたいんですけどね。

フリスさんは、1986年ブゾーニで2位、1989年ルービンシュタイン国際コンクールで優勝された英国出身のピアニストです。今は、主に、室内楽において活躍されているそうですが、軽やかなバックに、繊細で緻密なグリッサンドが聞こえてきます。伸びやかなオケと共に、主役の女性と群衆が、晴れやかに帰還を迎え出ている風景がイメージされます。一人称的な演奏ではありませんが、光輝き、キラキラしているピアノが、とてもチャーミングで明るくなりました。

CDカップリング:ウェーバー ピアノ協奏曲第1番、第2番、コンツェルトシュテュック、リスト編曲 華麗なポラッカ 1994年 出典:YouTube Konzertstuck in F Minor, J. 282, Op. 79 ベンジャミン・フリス – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

メルヴィン・タン ロジャー・ノリントン ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ 😒

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:メルヴィン・タン ロジャー・ノリントン ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ 1994年
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Melvyn Tan Roger Norrington London Classical Players

クラシカルなピアノの響きが聞こえてきて、あっそうだ。古楽器を使用しての演奏だった! かなり古めかしい色彩で、プレトニョフさんの感情の表現とは、うって変わって、奥ゆかしく語られます。このピアノとオケの音に、好みが分かれそうです。フォルテピアノを使用されているとのことですが、ツィンバロンのような音色です。

演奏では、素早いグリッサンドが、少なくとも三回登場するのですが、このピアノでは、のろくて晴れやかさを表現しきれないように感じます。まるで、孫もいるような女性が主人公のようで、ワタシ的には興ざめです。ストーリーから考えると、まるでドライフラワーのようで~ 古けりゃ良いってワケではないですね。スミマセン。

CDカップリング:ウェーバー 交響曲第1番、ピアノと管弦楽のためのコンチェルトシュテュック、交響曲第2番、序曲オベロン 1988年、1994年 出典:YouTube Konzertstück in F Minor, Op. 79, J. 282 サー・ロジャー・ノリントン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ピーター・レーゼル ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 😍

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:ピーター・レーゼル ヘルベルト・ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン 1984年
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Peter Rosel Herbert Blomstedt Sächsische Staatskapelle Dresden

レーゼルさんの演奏は、しとやかでおとなしく、内気そうな女性が主人公のようです。楚々とした佇まいで、喜びを表現していくところが鮮やかに描かれています。レーゼルさんのピアノ、ブロムシュテットさんの指揮、シュターツカペレ・ドレスデンと揃えば、いぶし銀的な演奏であることが想像できますが、まっこと! ドンピシャ。しかし、ちゃんと、ロマンティックな要素も含まれているので、克明に描写されます。

レーゼルさんのピアノで、ワタシがイメージできたことは~  丘陵地帯に立つ城壁から、遠い彼方に目をやり、彼は無事に帰ってくるだろうかと思い浮かべる女性がいます。再会できることを楽しみに、気をもんでいる様子が健気です。傷ついた夫が、戦地で横たわり、取り残されている情景が浮かんでくる。そこまで思い詰めなくても~と、聴いているほうは、段々と切なくなってくるのです。 ん? これじゃー まるで、劇中劇だな~っと思いながら聴いていると、この演奏の聴き手である我が輩が、傷ついた彼を介抱しているってな具合に、つい、うっかり、ヒロインになっているわけです。あれっ? 

ピアノの、ふわっとしたフレーズが、どうも遠い世界に誘ってしまうようです。ピアノの音は、幻想的で、聴いている人の心を十字軍の帰還、遠い世界へと運んでしまいます。この点は、プレトニョフさんのピアノとは異なり、あの方の演奏は完全一人称です。でも、レーゼルさんは、そこに時空間を飛ばす要素があります。

で、行進曲が流れると、クラリネットの軽やかなフレーズによって、気持ちの高ぶり、群衆の歓迎ムードが広がります。まあ、このシーンが、オケの活躍場面なのですが~ ティンパニが高らかに打たれ、勇壮な演奏になります。オケは、兵士たちの行進を、ピアノは、夫を待つ女性の心情を表わしており、夫を見つけた彼女は、小走りに帰還してきた夫の元へと走って行くのでした・・・。えへっ、とっても喜んでいるシーンで終わります。(ワタシの妄想かも)

このコンツェルトシュテュックの一番華やかな場面は、ピアノのグリッサンドです。プレトニョフさんのように、男性の胸に派手にダイビングしました~に比べると、いかいも、オーソドックスですが、ピアニストの心情が如実に、投影される場面のように思うので、ぜひ、聴き比べてみてくださいね。

CDカップリング:ウェーバー ピアノ小協奏曲(ピアノとオーケストラのためのコンツェルトシュテュック)、ピアノ協奏曲第1番、第2番 出典:YouTube Konzertstück in F Minor, J. 282, Op. 79 ペーター・レーゼル – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH

アルフレート・ブレンデル クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 😅

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:アルフレート・ブレンデル クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 1979年 ★ インデックス(トラック)は二つに区分されています。短い楽曲なのに不便です。
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Alfred Brendel Claudio Abbado London Symphony Orchestra

ブレンデルさんの演奏は、意外にも、イケイケ、ドンドン風に、かなり草書体で描かれています。カップリングされているシューマンのピアノ協奏曲を聴いた時も思ったのですが、アプローチが、ピアノとオケでは、息が合ってないのではないでしょうか。冒頭こそ、ゆったりと弾かれているのですが、素っ気ないほどにクールだし、気取った貴婦人風の女性のような気がします。で、速い、速い~ ソロの部分になると、アルゲリッチさんのごとく、一人勝手に燃えてる!

オケが、遅れまいとして必死で追っている感じです。階段を転がり落ちそうな勢いで、ピアノが駆け回っており、行進曲風のフレーズが登場すると、オケは、かなり控えめムードに。えっ、ここしか、オケの出番がないというのに、ここで引っ込む? 愉悦性の高いフレーズなのに、ピアノがガツンっ。勇ましく行進していくのです。なんで~? 行進曲風フレーズが終わった途端に、ピアノが、解き放たれたように宙に舞い、興奮状態で駆け回ります。

ブレンデルさんの一人舞台の始まりとなり、勢いあまって、う~ん、オケも聴衆も、おいてけぼり。唖然としているなか、弾き飛ばしていき、まるで、怒っているかのようです。ツンツン尖ってて、女城主の逆鱗に触れたみたいで。うそっ! ブレンデルさんの別の一面を見た感じです。これは女人天下という感じで、苦笑い。ライブ演奏ではないのですが、ブレンデルさんは、この曲が好きじゃないのかもしれませんね。

CDカップリング:シューマン ピアノ協奏曲、ウェーバー コンッチェルトシュテュック(ピアノ小協奏曲)出典:YouTube Weber: Konzertstück in F Minor, Op. 79 アルフレート・ブレンデル – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アンネローゼ・シュミット、クルト・マズア ドレスデン・フィル 🙂

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:アンネローゼ・シュミット クルト・マズア ドレスデン・フィル 1969年 
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Annerose Schmidt Kurt Masur Dresdner Philharmonie

シュミットさんの演奏は、好きな人の帰りを待つ、見つけて喜ぶという感情を、細やかに表現されています。ここで登場する女性は、ロリコン少女でも、理想化された女性像でもなく、いたって普通の感情表現だと思います。だって、あまりに、男性ピアニストの表現が、オーバーなんですもん。これは、自分(ピアニスト)が理想とする女性像だな~って思うのです。そう想像すると、おかしくって。

でも、シュミットさんは女流ピアニストなので、その表現は、聴き手にとっては普通の主婦が旦那の帰りを待っている、ありふれた日常、でも、そこに愛はあるんか? と問われたら、ハイあります。てな具合です。勿論、芸術的センスのつまった演奏なので、ご安心を。みごとなグリッサンドでした。軽やかで華やかな笑みがイメージされます。

CDカップリング:ウェーバー ピアノ協奏曲イ短調(作品16)、ピアノ小協奏曲(作品79)1969年 YouTubeではグリーグのピアノ協奏曲になっています。出典:YouTube Konzertstück in F Minor, Op. 79, J. 282 アンネローゼ・シュミット – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH

フリードリヒ・グルダ フォルクマール・アンドレーエ ウィーン・フィル 😘

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック) ピアノ:フリードリヒ・グルダ フォルクマール・アンドレーエ ウィーン・フィル 1955年
Weber: Konzertstück in F minor, Op. 79 Friedrich Gulda Volkmar Andreae Vienna Philharmonic

グルダさんの演奏は、サブスクでお名前を見つけたので拝聴しましたが、かなり古い録音であるにも関わらず、やっぱり巧いな~ 軽やかで楽しそう、品良くコロコロとチャーミングに転がり、転がりながらキラキラしてて。ホント、羨ましくなるような花が咲いています。この高音域の輝きは絶品。粒立ちが高いというか。宝石のよう。

全体的に、高貴でエレガント。ウィットも効いてて、おみごと。さすがにウィーン・フィルですね。古い録音ですが、これはグレードの高い演奏です。さすがです。

CDカップリング:ベートーヴェン ピアノソナタ第28番1950年、エロイカの主題による15の変奏曲とフーガ1951年、ウェーバーピアノ小曲集1955年 YouTubeでは、シューマンのピアノ協奏曲です。出典:YouTube Konzertstück in F Minor for Piano and Orchestra フリードリヒ・グルダ – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)【解説】

カール・マリア・ウェーバー(Carl Maria Friedrich Ernst von Weber)は、1786年生まれのドイツのロマン派初期の作曲家です。モーツァルトの妻コンスタンツェは、父方の従姉にあたる関係にあります。モーツァルトによるドイツオペラの伝統を継承し、「魔弾の射手」によって、ドイツ・ロマン派のオペラ様式を完成し、R・ワーグナーへと流れを導いた作曲家で、指揮棒を初めて用いた人物 としても知られています。

ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)(作品79)は、1812年に作曲されています。元は、ピアノ協奏曲第3番として構想されていたそうですが、明快な筋書きを持たせ、「協奏曲」ではなく「コンツェルトシュテュック (Konzertstück)」としたそうです。

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)【ストーリー】

ストーリーは、4つに分かれています。
1 ラルゲット・アッフェトゥオーソ ヘ短調 ある婦人が遠くを見つめながら、一人バルコニーに腰掛けている。彼女の愛する騎士は十字軍としてパレスチナへ遠征しているのである。既に戦争が始まって数年の月日が経った。彼は生きているのだろうか。彼女は彼に再会できるのだろうか。

2 アレグロ・アッパッショナート ヘ短調 彼女の脳裏には、傷ついた彼が戦地に横たわり、取り残されている情景が浮かんでくる。彼の元へと飛んでいき、彼と命を共にできたなら。彼女は不安に押しつぶされ、倒れこむ。そこへ遠くからトランペットの音色がこだまする。森の中 、陽の光に輝くなにかが少しずつ近づいてくる。

3 テンポ・ディ・マルチャ ハ長調 十字軍の甲冑を身にまとい、旗をはためかせた騎士たちとその従者たちに、群集が称賛の声を上げている。そしてその中にいるのは彼女の夫である。彼女は彼の胸に飛び込んだ。

4 プレスト・ジョコーソ ヘ長調 終わることのない幸せ。木々と波が愛の歌を歌い、あまたの声が愛の勝利を宣言する。女が騎士のことを想いこがれ、離別と喜びの再会を果たすという主題は、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第26番「告別」に似ています。

この曲で用いられるピアノ技巧で特徴的なのは、オクターブのグリッサンドで、1度目は第3の部分に、残りの2回はフィナーレに登場します。約16分の楽曲で、シンプルですが、しっかりとしたストーリー性があり、チャーミングで、 愉悦性の高い素敵な小品です。ピアノ協奏曲なんですけどね~ 楽しい短編小説みたいな楽曲です。

ウェーバーのピアノに関する主な協奏曲は、次のとおりです。
ピアノ協奏曲第1番 作品11 J.98
ピアノ協奏曲第2番 作品32 J.155
ピアノと管弦楽のためのコンチェルトシュトゥック(小協奏曲) 作品79 J.282
協奏的大二重奏曲(クラリネットとピアノのための) 作品48 J.204 1816年作曲 室内楽曲に区分されるかもしれませんが、一応記載しておきます。

ウェーバー:ピアノと管弦楽のための小協奏曲(コンツェルトシュテュック)【ディスク情報】

1955年 フリードリヒ・グルダ アンドレーエ ウィーン・フィル ARCHIPEL
1969年 アンネローゼ・シュミット クルト・マズア ドレスデン・フィル BERLINN
1979年 ブレンデル アバド  ロンドン交響楽団 Ph
1984年 レーゼル ブロムシュテット シュターツカペレ・ドレスデン BERLINN
1994年 デミジェンコ マッケラス スコティッシュ HYPERION
1994年 タン ノリントン ロンドン・クラシカル・プレーヤーズ EMI
1994年 ベンジャミン・フリス プリンシアス・オ・デュイン RTEシンフォニエッタ NAXOS
1996年 プレトニョフ ロシア・ナショナル管弦楽団 G
2020年 マルティン・ヘルムヒェン エッシェンバッハ ベルリン・コンツェルトハウス ALPHA

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