ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」【聴いてみよう】Stravinsky: L’Oiseau de Feu

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ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」【YouTube】

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版1919年版 ミッコ・フランク指揮 フランス放送フィルハーモニー管弦楽団(2019年4月26日 コンサートの模様です。約23分の動画です。出典:YouTube Stravinsky : L’Oiseau de feu (Orchestre philharmonique de radio France / Mikko Franck) France Musique 

ストラヴィンスキー:バレエ「火の鳥」 ディアナ・ヴィシニョーワ 「火の鳥」バレエ 約50分の動画です。現代的なスリムなバレエも良いですが、昔ながらの衣装に凝ったバレエです。長大ですが映像と音楽がマッチして勉強になります。出典:YouTube Stravinsky – Ballet “L’Oiseau de feu” – Diana Vishneva François CHAUMEIL 

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」ストラヴィンスキーご自身が「火の鳥」を振っている映像です。1965年ロンドン 約3分のサワリだけの動画です。貴重な映像ですね。出典:YouTube Igor Stravinsky conducts The Firebird (L’Oiseau de Feu) medici.tv

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」【名盤・おすすめ】

ストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」は、全曲版と組曲版があります。全曲版1911年版は、長大で、インデックス(トラック)が細かく区分されているので、YouTubeの頭出しを2つにしました。1つめは冒頭から、2つめは魔王カスチェイが登場するシーンです。組曲版は、冒頭からだけです。

クラウス・マケラ パリ管弦楽団 全曲版・1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 クラウス・マケラ パリ管弦楽団 2022年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Klaus Mäkelä Orchestre de Paris

マケラさんは1996年生まれフィンランド出身の指揮者です。30歳にもならないうちに、2021年からパリ管の音楽監督を務め、ストラヴィンスキーの春の祭典と火の鳥をリリースされています。昇り龍のごとく出世街道まっしぐら。聴くと艶っぽく勢いがあります。火の鳥の素速い動きを、繊細に描き、とってもしなやか。

間髪入れずにピシッと決めてくるところもありますし、ハープ、木管などが旋律に綺麗に絡みます。前半は、ちょっと退屈しがちな曲ですが、マケラ盤で聴くと、鮮明に聞こえてくるので休む暇がありません。魔王カスチェイの手下たちが登場する場面から、ますます面白くなります。ラストも実にスマートで堂々としたものです。インデックス(トラック)は、19に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」「火の鳥」全曲版 出典:YouTube Stravinsky: L’Oiseau de feu (1910 Version) - パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴァシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル 全曲版・1910年版 🙂 

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 ヴァシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル 2017年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Vasily Petrenko Royal Liverpool Philharmonic Orchestra

V・ペトレンコさんの演奏は、とても丁寧な進みで、ダークさや不気味さが出ています。火の鳥が飛んでいるシーンでは、力強く、とても煌びやかです。木管の存在が大きく、ゆったり幻想的に描こうとしているようです。この前半シーンで弛緩しないで乗り切るのは、なかなかに難しいけれど。三人の王女たちが登場すると勢いが出てきます。全体的にスマートな演奏です。インデックス(トラック)は、19に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」全曲版、リムスキー=コルサコフ「金鶏」組曲 出典:YouTube The Firebird, K. 10 ワシリー・ペトレンコ – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

サイモン・ラトル ロンドン交響楽団 全曲版・1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 サイモン・ラトル ロンドン交響楽団 2017年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Simon Rattle London Symphony Orchestra

ラトルさんの演奏は、ロンドン響音楽監督に就任した際に演奏されたライブです。一晩で、ストラヴィンスキーのバレエ音楽を、いっきに三曲演奏したそうです。意欲満々の気合いの入った名刺代わりの演奏です。インデックス(トラック)は、11に区分されています。ワタシ的には、音響の良いホールを拠点にするオケ、録音の良いレーベルに移籍してもらう方が嬉しかったのですが。(って言ってたら、バイエルンに行っちゃいましたね。うふ。)

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」全曲版、ペトルーシュカ1947年版、春の祭典1947年版 2017年録音 出典:YouTube The Firebird, K010 Simon Rattle Provided to YouTube by PIAS

ヴァレリー・ゲルギエフ ロンドン交響楽団 全曲版・1910年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 ヴァレリー・ゲルギエフ ロンドン交響楽団 2015年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Valery Gergiev London Symphony Orchestra

ゲルギエフさんの演奏は、ロンドン響を退任する前、アメリカツアーに出かけた際のライブ盤です。95年録音のマリインスキー劇場管との演奏の方が、ねっとりしていたように感じます。

CDカップリング:バルトーク「中国の不思議な役人」、ピアノ協奏曲第3番 ブロンフマン、ストラヴィンスキー「火の鳥」1910年全曲版、プロコフィエフ ロメオとジュリエット組曲第2番第1曲 2015年録音 出典:YouTube The Firebird, KC 10 London Symphony Orchestra Provided to YouTube by PIAS

グスターボ・ドゥダメル ロサンゼルス・フィル 全曲版・1910年 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 グスターボ・ドゥダメル ロサンゼルス・フィル 2013年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Gustavo Dudamel Los Angeles Philharmonic

ドゥダメルさんの演奏は、明るさと開放的な響きがあります。また、弦のフレージング、木管の響きには、ほのかにエロティックさを秘めています。前半部分は、眠くなってしまう演奏が多いのですが、火の鳥の踊り、イワンに捕らえられた火の鳥なんかを聴いていると、女性が火の鳥と化しているのではないかと思わせるような、妖艶な火の鳥です。これは聴き応えありっ。むふっ、ほくそ笑んでしまうような、素敵な演奏でした。インデックス(トラック)は、15に区分されています。

CDカップリング:ドビュッシー交響詩「海」、ストラヴィンスキー バレエ音楽「火の鳥」1910年原典版 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau de feu)  LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group

イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 組曲版・1919年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1919年版 イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 2010年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Iván Fischer Budapest Festival Orchestra

インデックス(トラック)は、7つに区分されています。イヴァン・フィッシャーさんの演奏は、さすがに緻密。ちょっと息苦しさを感じる前半部分ですが、カスチェイが登場すると一気に面白くなります。大太鼓(バスドラム)の響きが重くて硬いし、ちょっとトーンが暗めです。あちこちから、いっぱい音が出てくるので、耳がとても忙しいです。内心、組曲版で良かったと思いました。一点集中(金管なら金管に焦点をあてて)で聴くと、より面白くなる演奏かもしれません。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」、「火の鳥」組曲1919年版、ロシア風スケルツォ、タンゴ 2010年録音 出典:YouTube L’oiseau de feu, K. 10. Suite 1919 ブダペスト祝祭管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by IDOL

フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 全曲版・1910年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 2010年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu François-Xavier Roth Les Siècles

ロトさんの演奏は、うーん、どう言えば良いのかちょっと悩みます。とても意欲的な取り組みで、敬意を表したいのですが、さすがに、ストラヴィンスキーをレ・シエクルで演奏するのは、ちょっと~。聴くと確かに面白いのですが、どうでしょう。また聴いてコメントを書こうかな~って、逃げ腰になっちゃいました。新鮮なのですが、響きが違い過ぎて、違和感が残ります。インデックス(トラック)は、23に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」2013年、「ペトルーシュカ」1911年版抜粋2010年、グラズノフ「ライモンダ」2013年、「四季」秋バッカナール2010年、シンディング 6つの性格的小品第5曲、アレンスキー「エジプトの夜」(抜粋)、グリーグ「抒情小曲集」第3曲小妖精、ストラヴィンスキー「火の鳥」1910年原典版 2010年録音 出典:YouTube L’Oiseau de feu, K. 10 レ・シエクル – トピック Provided to YouTube by PIAS

ウラディーミル・ユロフスキ ロンドン・フィル 全曲版・1910年版 😑

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 ウラディーミル・ユロフスキ ロンドン・フィル 2008年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Vladimir Jurowski London Philharmonic Orchestra

ちょっと録音状態に難があり、スカスカしています。ストラヴィンスキーの初期作品が多くカップリングされているのは嬉しいのですが、ところどころ耳障りな、ささくれが感じられます。力任せに鳴らすオケみたいで粗いですね。インデックス(トラック)は14に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー交響曲第1番、牧神と羊飼いの娘、幻想的スケルツォ、葬送の歌 火の鳥1910年版 2018年、春の祭典 2008年録音 出典:YouTube The Firebird, (Live) London Philharmonic Orchestra Provided to YouTube by PIAS

マリス・ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 組曲版・1919年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1919年版 マリス・ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 2004年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Mariss Jansons  Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

ヤンソンスさんの演奏は、組曲版です。どうせなら全曲版で演奏して欲しかったな~というのが正直な気持ち。バイエルン放送響の艶やかで豊かな音で聴きたかったです。短すぎるぅ。言わずもがなの美しさ。インデックス(トラック)は、7つに区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲1919年版、シチェドリン ピアノ協奏曲第5番 デニス・マツーエフ 2004年録音 出典:YouTube The Firebird, Suite for Orchestra No. 2 マリス・ヤンソンス – トピック Provided to YouTube by Sony Classical/Sony Music

パーヴォ・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 組曲版・1919年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1919年版 パーヴォ・ヤルヴィ シンシナティ交響楽団 2002年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Paavo Järvi · Cincinnati Symphony Orchestra

パーヴォさんの演奏は、テラーク特有の残響がありますが、軽やかで機敏です。さほど個性的でもないし、ド迫力で迫ってくるわけでもないし、言葉は悪いのですが、バタバタ感はありますが、そつなくまとめたという感じでしょうか。
この時期は、大きく飛翔する前に、いろんな楽曲を、オケで演奏しておこうという段階かもしれません。2001年~11年までの間、シンシナティ響との録音は、16枚組BOXとしてまとめられています。インデックス(トラック)は、6つに区分されています。Ⅱ火の鳥の踊り、Ⅲ火の鳥のヴァリアシオンが、Ⅱに、まとめられています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」1947年版、ロシア風スケルツォ、「火の鳥」組曲1919年版 2002年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird Suite (1919 Version) パーヴォ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ロリン・マゼール バイエルン放送交響楽団 組曲版・1919年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 ロリン・マゼール バイエルン放送交響楽団 1999年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Lorin Maazel Bavarian Radio Symphony Orchestra

マゼールさんのバイエルン放送響とのライブ盤です。弦の細かい動きが整然としており、色彩感も超豊かで綺麗です。また、パーカッションと金管は、さすがに鋭い。短くスパッスパッと気持ち良い切れ方をしています。リズム感抜群、弦の響きの良さなど、かなりの極上品だと思います。飽きさせない小気味よい動きが印象に残りました。

もっと、どす黒いアクの強い演奏を期待していましたが、カスチェイが登場しても、魔王の威厳はあるものの、悪魔的要素は少なめ。燃え立つような雰囲気があり、さすがにバイエルン放送響では、アクの強さは出ないかと~ 美しいスマートさを追求した綺麗な火の鳥です。インデックス(トラック)は7つに区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲1919年版 1999年、「春の祭典」1998年録音 出典:YouTube The Firebird Suite ロリン・マゼール – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 全曲版・1910年版 🥰

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 1998年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Michael Tilson Thomas San Francisco Symphony

マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)さんの演奏は、これは、すごい~ 文句なしに素晴らしい全曲版だと思います。音響効果も良いし、繊細で精密機械のようで、色彩豊かだし、ノリ感の良いリズムで、迫力もあるし、これを聴いたら~ (小声で、他の演奏が聴けません)って感じ。全曲版なので前半は、火の鳥の登場の場面から、いっきに軽やかで、色彩豊かになっていくのですが、そこまでが長いです。

でも、この前半部分でも、いろんな楽器がクリアに聞こえてくるので飽きません。ただし、かなり聞き込んだ方、経験豊富な方向けだと思います。魔王さまが登場しないと、動きが少なく、活劇風ドタバタ劇が始まらないので、面白くないんです。しかし、MTTさんの演奏は、色彩感があり、響きが立体的に聞こえ、唸るような勢いで迫ってきます。臨場感が半端なくあります。かぶりつきで劇を見ている感じです。超一流の指揮者は、前半分も聴き応えがあります。インデックス(トラック)は14に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」全曲1998年、「春の祭典」1996年録音 出典:YouTube L’oiseau de feu (The Firebird)  マイケル・ティルソン・トーマス – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル 組曲版・1945年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1945年版 ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル 1996年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Yuri Simonov Royal Philharmonic Orchestra

シモノフさんの演奏は、組曲版の1945年版です。1919年版の組曲は多いのですが、1945年版は珍しいのではないでしょうか。ウィキペディア(Wikipedia)においては、演奏機会が多いとは言えず、「終曲」の終わり方に原因があるようです。終曲の主題を繰り返す箇所で、4分音符の動きで朗々と旋律を奏でる全曲版に対し、1945年版は8分音符(または16分音符2つ)+8分休符という、とぎれとぎれのドライな響きになるので、印象がイマイチだからのようです。
↓ このフィナーレの部分です。


また、「凶悪な踊り」は、1919年版の「魔王カスチェイの凶悪な踊り」に比べると、金管楽器や打楽器が分厚くなっているなど、奏者にとっては、かなりの違いがあるようです。火の鳥のラストは、ホント聴きどころなので、長めに朗々と吹かれるタイプの方が好きです。シャイー、コンセルトヘボウ管弦楽団(1995年録音)も、同じ1945年版を演奏しています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「春の祭典」、15~25 ストラヴィンスキー「火の鳥」1945年版 出典:YouTube L’Oiseau de feu – Ballett-Suite: Danse infernale de Roi Katschei ユーリ・シモノフ – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

ロバート・クラフト フィルハーモニア管弦楽団 全曲版:オリジナル版 🙄

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 ロバート・クラフト フィルハーモニア管弦楽団 1996年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Robert Craft Philharmonia Orchestra

クラフトさんの演奏は、オリジナル版という表記があります。ん? 1910年版だと思っていたのですが、詳細には比べていません。初演時のスコアを再現したのが、この録音とのことなので、一応、参考までに。企図が理解できておらずスミマセン。CDカップリング:ストラヴィンスキー 「火の鳥」全曲(1910年完全オリジナル版、世界初録音) 「ペトルーシュカ」(1947年改訂版) フィルハーモニアオーケストラ ロバート・クラフト(指揮)The Firebird (original Version) フィルハーモニア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 組曲版・1945年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1945年版 リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1995年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

シャイーさんの演奏は、1945年版です。シモノフ ロイヤル・フィル(1996年録音)のところでもご紹介したのですが、1919年版は多いのですが、1945年版は珍しいのではないでしょうか。ラストの金管の動きが大きく違います。1945年版は8分音符(または16分音符2つ)+8分休符 ドライな響きです。聴き比べてみてください。

↓ 組曲版1945年版のフィナーレ部分です。

金管が朗々と歌いあげていく、ラストは、大きな見せ場です。腕のみせどころですよね。一番の聴かせどころなのに、なんてことをしてくれるんだ~と、嘆く金管奏者も多いかもしれません。あとは、スネアが追加されたり、イングリッシュ・ホルン(コーラングレ)のソロを、オーボエに置き換えている箇所もあります。編成は、1919年版とほぼ同じですが、オーケストレーションが異なる箇所が、ところどころあります。

シャイーさんの演奏は、録音状態も良く、とても美しい演奏なのですが。ラストは、朗々と吹いて欲しいかなあ~。いや、この8分音符の短いパッセージは、超難しいのではないかと思ったりします。いずれにしても聴きどころです。
CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥、ミューズの神を率いるアポロ、カルタ遊び 1996年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird, 1945 Suite, K10 Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドリス・ネルソンス バーミンガム市交響楽団 全曲版:1910年版 😅

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 アンドリス・ネルソンス バーミンガム市交響楽団 1995年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Andris Nelsons City of Birmingham Symphony Orchestra

ネルソンスさんの演奏は、クリアでクッキリ。丁寧で明晰な演奏という感じがします。内声部の奥まで彫り込んだ感じで聞こえます。これが面白いかと言われたら、うーん、相当に聞き込んでおり、スコアを見て聴くなら面白そうです。ネルソンスさん自身が、曲を分解・分析して、構造を再構築した結果を、数値化したような演奏のように感じました。玄人好みだと思います。ひとつひとつ解きほぐすのが、面白そうな作業ではありますが、ワタシのレベルでは、あっはは~っ、無理、ムズイです。また、聴いてみたい演奏ですが。インデックス(トラック)は、24に区分されています。
CDカップリング:ストラヴィンスキー火の鳥全曲版、詩篇交響曲 2009年録音 出典:YouTube The Firebird
バーミンガム市交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 全曲版:1910年版 😂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 1995年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Valery Gergiev Mariinsky Orchestra

ゲルギエフさんの演奏は、こってり濃厚な演奏です。旋律の中押し、後ろ押しって感じで粘りがあり、うぉ~んと一回転して音が出てくるような独特の節回し、身振り手振りの大きい演奏です。ぐぃ~っと圧がかかって、ぐにゅ~っと出てくる音が出てくるようで、うぷぷ~っ。そして、魔王カスチェイが登場すると、どんちゃん騒ぎのようです。

そして、前のめりで走ります。大太鼓(バスドラム)は、どっ ドスンっと響き、濃厚で重い金管が咆哮します。ラストの場面も音量が大きく、粘っこく吹かれています。N・ヤルヴィさんの演奏と聴き比べてみたいと思います。少し個性的な演奏でした。インデックス(トラック)は、15に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥(1910年版)1995年 スクリャービン 交響曲第5番「プロメテウス」1997年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau de feu) ヴァレリー・ゲルギエフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

フランツ・ウェルザー=メスト ロンドン・フィル 全曲版:1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 フランツ・ウェルザー=メスト ロンドン・フィル 1993年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Franz Welser-Möst London Philharmonic Orchestra

メストさんの演奏は、キビキビとした動きで運動能力も高いし、エッジも効いてて、スピード感もあり、派手に鳴っています。これで録音状態がもう少しクリアだったらな~と、惜しいです。若い年代に振ると、やっぱりシャープですね。聴いているうちに、すごく前のめりでスピードがあがるので、びっくりします。メストさんって、こんなに熱い演奏する指揮者だったっけ~。インデックス(トラック)は、23に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥、感Gン額のための交響曲 1993年録音 YouTubeにおけるカップリング 歌劇「エディプス王」、火の鳥全曲版、管楽器のための交響曲1947年版 2枚組BOX 出典:YouTube The Firebird London Philharmonic Orchestra Provided to YouTube by Warner Classics

チョン・ミョンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 組曲版:1919年版 🥰

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 チョン・ミョンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 1992年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Myung-Whun Chung Orchestre de l’Opéra de la Bastille

ミョンフンさんの演奏は、滑らかな曲線美と色彩感を持っており、ところどころテンポアップして、軽妙です。全曲版1910年版を聴いたあとに、組曲版1919年版を聴くと、あっという間に終わってしまい、短く感じられます。ストーリーの継続性を確保しつつ、美味しいところをつまみ食いしている気分です。インデックス(トラック)は、7つに区分されています。

第1曲「序奏」では、チェロとコントラバスの低弦、低音木管が、静かに鳴っているところからスタート。弦が細かく動きはじめ、火の鳥の踊りにスムーズに変化します。旋律の曲線美はおみごと。第2曲から第3曲は、火の鳥のすばしっこさが描かれ、高音域の木管とハープが柔らかいです。機能的なパーカッション群、幻想的な弦、滑らかさと粘りけが適度にあって気持ちが良いです。キレもありますが、やっぱり豊かな色彩感でしょうか。うーん、綺麗っ。

第4曲「王女たちのロンド」も、ふくよかな木管、甘いチェロ。細身の体躯でありながら、さらっと膨らみを持たせ、胸の鼓動のように自然に膨らみます。息を吸い込んで~ 吐いて~っというリズム感、第5曲「カスチェイ王の魔の踊り」では、柔らかい金管の鳴りが、明るくはじけています。魔王にしては、品が良すぎる感じですが、滑稽さも感じられ、トロンボーンのグリッサンドと共に楽しく聴けました。

第6曲「子守歌」と第7曲「終曲」では、ゆったりとした、海のような広がりがあります。トロンボーンの音が少し長めに吹かれ、静寂さを保ちながら、弦と木管が、何層にも分かれていくように感じます。時間の流れと共に、段々と厚みを増してくる響き。とても、大きな広がりが体感できました。とても素敵な組曲版の演奏です。

CDカップリング:R=コルサコフ シェエラザード、ストラヴィンスキー火の鳥1919年版 1992年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau De Feu) – Suite (1919) パリ国立歌劇場管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 全曲版:1910年版 🥰

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1992年Stravinsky: L’Oiseau de Feu Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、うーん、面白いかと言われたらイマイチなのですが、完璧なんだろうな~という明晰さとか、精緻さを感じて、文句を言う隙がないって感じです。劇的効果も高いし、演奏も巧いし、録音も良いし。ただし、かなり上級者向け、玄人好みだと思います。この細かい前半部分の火の鳥の動き、ピタッとついていこうと思ったら、聴く時間もそれなりに必要で、経験値も高くないと、アカンような気がします。クラシック音楽にタイパ(タイムパフォーマンス)なんて言葉は、あまり関係がないような気がします。

うーん、結構、ムズイ楽曲なんですよねえ。誰が聴いても、最初っから最後まで、面白いと感じるわけじゃないと思います。ワタシは、今でも、はやく魔王カスチェイが登場してこないかな~ なんて思ってるぐらいなので、いつまでも、成長しないリスナーです。(そのくせ、偉そうに感想を書いててスミマセン。)

インデックス(トラック)は、15に区分されています。CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥全曲版、幻想曲「花火」、管弦楽のための4つの練習曲 1992年録音 出典:YouTube Stravinsky: L’Oiseau de feu, K010 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル 組曲版:1919年版

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル 1995年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Klaus Tennstedt London Philharmonic Orchestra

CDカップリング:ストラヴィンスキー ペトルーシュカ1947年版、火の鳥組曲1919年版 1992年録音 出典:YouTube The Firebird Suite: Introduction (1919 Version) クラウス・テンシュテット – トピック Provided to YouTube by PIAS

ケント・ナガノ ロンドン交響楽団 全曲版:1910年版

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 ケント・ナガノ ロンドン交響楽団 1991年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Kent Nagano London Symphony Orchestra

インデックス(トラック)は、24に区分されています。 出典:YouTubeL’Oiseau de feu: Introduction (1910 Version)
London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Warner Classics

アレクサンダー・ラハバリ ベルギー放送フィル 組曲版:1919年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 アレクサンダー・ラハバリ ベルギー放送フィル 1990年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Alexander Rahbari Belgian Radio and Television Philharmonic Orchestra

ラハバリさんの演奏は、柔らかい包み込むような、ゆったりとした響きが特徴で、あっさり系です。ラハバリさんという指揮者は、このCDを購入するまで存じ上げなかったのですが、小管弦楽組曲を聴きたかったので購入したように記憶しています。ベルギー国営放送フィルハーモニー管弦楽団とか、ブリュッセルBRTフィルとか、表記されているようですが、ベルギー放送局のオケです。迫力よりも、ふわっとした空気感が漂って、まろやか。キレや鮮烈さよりも包み込むような大きさを感じます。ラストも、テンポをゆったり神々しく消えていきます。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥 組曲版、ペトルーシュカ ピアノ:ロベール・グロロ、小管弦楽のための組曲第1番、第2番 出典:YouTube Stravinsky: L’Oiseau de Feu(The Firebird)Brussels Philharmonic Orchestra – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ベルナルド・ハイティンク ベルリン・フィル 全曲版:1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 ベルナルド・ハイティンク ベルリン・フィル 1989年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Bernard Haitink Berliner Philharmoniker

ハイティンクさんの演奏は、奥行き感たっぷりで明晰で、各楽器の巧さが目立ちます。「導入部」では、静かに始まるイントロ部分での低弦や木管が、細かなフレーズとして綺麗に聞こえます。低音の分離が良いですね。木管の受け渡しもスムーズ。魔法の庭園では、チェレスタが神秘的に響き、音だけの世界から映像が、なかなかに生まれないのですが、ゆったりとしたテンポで、情景を伝えてくる気概を感じます。想像力をかきたててる演奏と言えばよいでしょうか。木管と弦だけで、これだけ雰囲気が作れたら良いですね。

イワンが、館に入ってきて、忍び寄ってくる場面とか、火の鳥が出現してくるところは、緊張感がたっぷり。楽器の巧さが光ります。色彩の豊かさ、音の艶、火の鳥の登場してくる場面でのスピード感。ふわっと舞いあがる空気感を感じたり、音の上昇が、羽根の動きのように感じられます。王女たちのロンドから夜明けにかけては、絶品の美しさ。こんなフルートで演奏されたら、天上の世界で、うっとりです。

天上の世界から、カスチェイたちが登場してくる魔王の世界へと、天地返しのように、凶悪な世界が待っています。ハイティンクさんの演奏は、ブラスの重々しい咆吼はありません。オケの演奏者たちは、全てオリンピック選手という感じのアスリート集団だし、魔王と魔王の手下たちもアスリートって感じです。ラストにかけては、いったんテンポを落とし、十分な間合いをとって盛り上げていきます。演奏は巧すぎです。でも、意外と面白くないんですよね~ これが困ったところで、曲自体の面白さ、オケの巧さ、表現の奥深さなど、三拍子以上、揃って欲しいです。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典1947年版 1995年、火の鳥全曲版88年、ペトルーシュカ原典版 1988年、プルチネッラ1965年改訂版 95年、ロシア風スケルツォ88年録音 2枚組BOX 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’Oiseau de feu) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

エリアフ・インバル フィルハーモニア管弦楽団 全曲版:1910年版

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 エリアフ・インバル フィルハーモニア管弦楽団 1989年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Eliahu Inbal Philharmonia Orchestra

CDカップリング:ストラヴィンスキー ペトルーシュカ1911年版、幻想曲「花火」、春の祭典、火の鳥全曲版、幻想的スケルツォ 1989年~90年録音 出典:YouTube The Firebird: Introduction エリアフ・インバル – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

カルロ・マリア・ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 組曲版:1919年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 カルロ・マリア・ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 1989年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Carlo Maria Giulini Royal Concertgebouw Orchestra

ジュリーニさんの演奏は、コンセルトヘボウならではの芳醇さ、巧さが際立っています。組曲版なのが、もったいないぐらい。とても瑞々しい音で彩られています。イントロ部分では、ゆったりと怪しい不気味さがあり、火の鳥の出現から以降は、退屈さと感じる暇もなく、色艶のある旋律で、細部まで丁寧に描き込まれている、とても美しい演奏です。馥郁とした響きにうっとりします。特に、ロンドが良いですね。優美な歌い方で、これぞジュリーニさんの真骨頂という感じがします。

カスチェイが登場すると、音量が一気にパワーアップします。少し硬さの感じるシカゴ響とは異なり、コンセルトヘボウの奥行きのある響きは、シルキーに金管が響きます。ちょっとトロンボーンのグリッサンドは下品ですけどね。まあ、ラストは、じっくり金管が盛り上がって、綺麗な終わり方をしています。69年シカゴ響との演奏があるので、よかったら聴き比べてください。

CDカップリング:ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」90年、ストラヴィンスキー組曲「火の鳥」1919年版 1989年録音 出典:YouTube The Firebird Suite (1919) カルロ・マリア・ジュリーニ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

エサ・ペッカ・サロネン フィルハーモニア管弦楽団 全曲版:1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 エサ・ペッカ・サロネン フィルハーモニア管弦楽団 1989年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Esa-Pekka Salonen The Philharmonia Orchestra

サロネンさんの演奏は、スピーディで精緻です。魔王のカスチェイが登場を満を持して待っていると、ちょっと快速なので驚きます。複数の旋律を、繊細に浮きあがらせ、すっきり見通の良さが特徴でしょうか。この楽曲を、最初に聴く場合や、大づかみに知りたいという方には、ちょっと難しいかもしれません。ビジュアルが、なかなか立ってこないので、冗長に聞こえ、多少ツラクなるかもしれません。細密画のように書き込まれていると、余計に耳が疲れるみたいな感覚です。素人には、難しすぎるぅ。

カスチェイが登場するまでの前半は、木管が活躍するので、つぶさに聴こういう意気込みで聴いてみてください。魔王や手下が登場する場面では、冒険活劇風に、チャンチャンバラバラ。快速で駆け抜けてしまいます。やっぱり昔っからサロネンさんは、速くてスマートです。インデックス(トラック)は、22に区分されています。

CDカップリング:火の鳥全曲版1910年88年、カルタ遊び 1988年録音 出典:YouTube The Firebird (Original Version) イーゴリ・ストラヴィンスキー – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ネーメ・ヤルヴィ ロンドン交響楽団 組曲版:1945年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1945年版 ネーメ・ヤルヴィ ロンドン交響楽団 1988年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Neeme Järvi London Symphony Orchestra

ネーメ・ヤルヴィさんの演奏は、どや顔で演奏しているみたいに思えて楽しいです。パパ・ヤルヴィさんの演奏は、子供たちでも楽しめるような、ちょっとオーバーアクション気味に演奏し、いろんな楽曲に取り組んで、音源をたくさん世に出してくださっています。ある意味とても偉大な存在です。

なんでも振る~みたいな指揮者のように言われがちだけど、とてもわかりやすい演奏です。ここではロンドン響との演奏ですが、ダイナミックで開放的です。オケの起用趣旨も解ります。1945年版の組曲で、インデックス(トラック)は、12に区分されています。ラストは、金管が短いパッセージで吹いていく45年版です。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥組曲版1945年版 1988年、リャードフ 交響詩バーバー・ヤガー、キキモラ、交響詩「魔法にかけられた湖」、R=コルサコフ ドゥビーヌシカ(作品62)1987年録音 出典:YouTube The Firebird Suite, KC 10 ネーメ・ヤルヴィ – トピック Provided to YouTube by PIAS

サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 全曲版:1910年版 😅

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1987年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra

ラトルさんとバーミンガム市響の演奏は、近未来的な雰囲気を感じるスマートさ。前半は、パーカッションが爽やかで、見通しの良いものです。軽やかで鮮やか。「カスチェイ一党の凶悪な踊り」あたりから、テンポがあがります。ちょっぴりクールで客観的です。他の演奏のように、劇的要素とか、アクが強いとか、精緻で明晰な演奏だとか、いろんな形容詞があるのですが、ラトルさんのこの演奏は、うーん。とりわけ何かに秀でている感じはしません。

表現しづらいのですが、軽妙で立ち回りの速さ、残響がひんやりして、無機質です。すーっと消えていく感覚があり、舞台で演じられるバレエのための音楽ではなく、SFX映画音楽っぽく感じます。情緒を排除した機能性の高いものでしょうか。火の鳥は、実は、宇宙から来た謎めいた生命体でした~って感じです。アハハ~ 想像しすぎなのでしょうが、一度、騙されたと思って聴いてみてください。

最後の終曲 フィナーレよりも、一歩手前に描かれている闇、神秘性、奥の深さが感じられて、なかなかに意味深です。ダークサイド、ブラックホールのような存在、すーっと何かに吸い込まれるような、謎めいた穴みたいな存在が、あるかのよう。背筋ゾクゾクします。インデックス(トラック)は、23に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 春の祭典87年、ペトルーシュカ47年版 ピアノ:ピーター・ドノホー86年、火の鳥全曲版87年、ミューズを率いるアポロ 1947年改訂版 1988年録音 出典:YouTube L’Oiseau de feu Simon Rattle Provided to YouTube by Warner Classics

ギュンター・ヴァント ベルリン・ドイツ交響楽団 組曲版:1945年 😂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1945年版 ギュンター・ヴァント ベルリン・ドイツ交響楽団 1987年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Günter Wand Deutsches Symphonie-Orchester Berlin

ヴァントさんの演奏は、カッチリ、鋼鉄の翼を持つ火の鳥って感じです。(なんちゃってオーバーですが)ストラヴィンスキーも振るんだって、とても珍しく感じます。不滅の名盤ってことで生誕100年没後10年記念(2012年)の音盤らしいのですが、ワタシは、サブスクで見つけて拝聴しました。ひねりのきいた45年版組曲で、極めつけは、ラストでしょうか。金管のキレ味鋭い火の鳥でした。気持ち良いぐらいのスッパリ感です。↓ 終曲フィナーレ部分です。

CDカップリング:ストラヴィンスキー組曲「火の鳥」1945年版、チャイコフスキー交響曲第5番 出典:YouTube The Firebird Suite (1945 Version) ベルリン・ドイツ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 全曲版:1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1984年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Charles Dutoit Orchestre symphonique de Montréal

デュトワさんの演奏は、暖かみのある響きと煌めき、身のこなしの優雅な演奏です。ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽のうち、火の鳥が最初の作品です。火の鳥、ペトルーシュカ、春の祭典で作曲されています。火の鳥は、前半、鳥が、飛び回っているシーンがたっぷり描かれていますが、抽象的な音楽かもしれません。

導入部から、なんとなく茫洋と聴きつつ、カスチェイの登場を待ちわび、ラストの大団円を気持ち良く聴いて終わるという、なんともお粗末な聴き方をしていました。変拍子、素速く動く複雑な旋律、なかなかイメージも湧かず、手強い楽曲でした。久々に聴いてみたのですが、やっぱり魔王カスチェイの登場が待ち遠しい~。「カスチェイ一党の凶悪な踊り」は、確かにハイライトですが。なーんも変わってない、ワタシの子供みたいな聴き方。(恥ずかしいっ)
デュトワ盤のインデックス(トラック)は、15に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥全曲版、幻想スケルツォ、花火 1984年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau de feu) (1910) モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

小澤征爾 ボストン交響楽団 全曲版:1910年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 小澤征爾 ボストン交響楽団 1983年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Seiji Ozawa Boston Symphony Orchestra

小澤さんの演奏は、客観的に、さらっとした演奏のように聞こえます。パーカッションや木琴は、奥に位置している筈ですが、とても良く聞こえます。重量感やねばっこさはあまり感じず、細かい弦の動きなど、繊細で、多層的に響いています。その点、滋味でおとなしいと感じるかもしれません。インデックス(トラック)は、23に区分されています。1972年パリ管(全曲版)とのCDもあります。出典:YouTube The Firebird 小澤征爾 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

アンタル・ドラティ デトロイト交響楽団 全曲版:1910年版 🥰

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 アンタル・ドラティ デトロイト交響楽団 1982年 
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Antal Dorati Detroit Symphony Orchestra

ドラティさんの演奏は、温かみのある録音で、煌めきを放つダイナミックな演奏です。インデックス(トラック)は、15に区分されています。ワタシが所有している輸入盤CDは、英語とフラン語とドイツ語の併記です。読めないんだったら、国内盤を買ったらよかったのにと思うのですが、輸入盤の方が安価だったりしたんだよね~ その頃は。

さて、ドラティさんの演奏は、芸が細かく、じっくり聴くには聴きどころ満載のようです。貧しいワタシの想像力を補ってもらえます。特に、木管とハープのグリッサンドは、とても綺麗ですし、飛翔する鳥の羽ばたきが、しなやかに柔らかく音化されています。こりゃ、すごいわ~と、息を呑むシーンが何度も登場します。ラストの金管は、もっと迫力あっても良いとは思いますが、これ以上鳴らすと下品になりそうなところで、留まってる感じです。バランスの良い、細部にも興味が湧く演奏でした。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥(全曲版)、プルチネッラ アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団1956年録音 1984年録音のバレエ音楽「ミューズをつかさどるアポロ」(1928年版)とカップリングされているCDもあります。出典:YouTube Stravinsky: The Firebird デトロイト交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クリストフ・フォン・ドホナーニ ウィーン・フィル 全曲版:1910年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 クリストフ・フォン・ドホナーニ ウィーン・フィル 1979年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Christoph von Dohnányi Wiener Philharmoniker

ドホナーニさんの演奏は、精緻で、もうちょっと遊び心が欲しくなるような演奏だと言うと、お叱りを頂戴するかもしれません。貴族的な火の鳥とでも言うのか、すっきり端正で、前半部分は、颯爽と飛ばして行くので、ついていくのに必死です。眠くなっている暇は与えられません。魔王が登場しても、これまた端正で、品良く演奏に徹しているという感じです。VPOというよりBPOに近い硬質感があります。綺麗な音ですが、ウィーン・フィルのわりには、かなり引き締まった雰囲気を与えます。玄人好みの演奏のような気がします。インデックス(トラック)は、14に区分されています。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥全曲版79年、春の祭典 マゼール VPO74年、ペトルーシュカ 1947年版77年、バルトーク二つの肖像画79年、中国の不思議な役人77年録音 ハルサイ以外はドホナーニとVPOです。2枚組BOX 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird – Ballet (1910) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック
Provided to YouTube by Universal Music Group

リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI 組曲版:1919年版  🤩 

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1978年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Riccardo Muti Philadelphia Orchestra

ムーティさんの演奏は、軽妙でスマート、キレの良い、彩り鮮やかな演奏です。まるで、スポーツカーに乗っているような火の鳥って感じです。インデックス(トラック)は6つに区分されています。1978年、EMIというわりには、意外とホント意外にも録音が良いです。フィラデルフィア管の華麗な音を楽しむことができ、スピード感あふれる演奏で、スカっとしています。

「火の鳥の踊り」は、すばしっこく、少し角張っている羽ばたきです。「王女たちのロンド」は、フルートがとても綺麗。第4曲「魔王カスチェイの踊り」は、軽量級ですが、流線系のスマートさ、ビジネススーツをピシっと着こなした魔王という感じ。昭和時代の下町の親分という魔王ではありません。第7曲「終曲」は、燦然と輝いて飛翔する火の鳥です。速すぎて、ごちゃっとする場面もありますが、直線的なスマートさで、キラッとした演奏です。

CDカップリング:ムソルグスキー「展覧会の絵」、ストラヴィンスキー「火の鳥」1919年組曲版 1978年録音 チャイコフスキーの序曲1812年がカップリングされているCDもあります。出典:YouTube Stravinsky Suite from the Firebird リッカルド・ムーティ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

コリン・デイヴィス コンセルトヘボウ管弦楽団 全曲版:1910年版 😘

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版:1910年版 コリン・デイヴィス コンセルトヘボウ管弦楽団 1978年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Colin Davis Royal Concertgebouw Orchestra 

コリン・デイヴィスさんの演奏は、76年録音「春の祭典」、77年録音「ペトルーシュカ」、78年録音「火の鳥」としてシリーズのように登場したもので、アナログ時代最後の録音です。デュトワ盤のような華やかさ、ドラティ盤のしなやかなダイナミックさ、ゲルギエフ盤のような泥臭さなど、ひとことで表現できるような特徴があるわけではないのですが、芳醇さ、豊穣さという、響きの面で優れていると思います。

奥行きの深さ、全体的な色彩感、じっくり聴くと、思わず見入って(聞き入って)しまう要素も多いように思います。地模様が織り込まれた織物のようなのような~ じっくり見ると浮かびあがってくる美しさがあるみたい。まだまだ、お子ちゃまなワタシには、熟成された感覚を十分に味わいつくしているとは言えないので、今後も聴いていきたい演奏の一つです。出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau de feu) – Ballet (1910) Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 全曲版:1910年版 🤩

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版 1910年版 ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 1975年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Pierre Boulez New York Philharmonic

ブーレーズさんの演奏は、キレ味とスピードが抜群です。情報量も多くスタイリッシュ。定盤として、まだまだ君臨できそうな演奏です。1992年録音のシカゴ響との演奏もありますが、春の祭典(クリーヴランド管弦楽団)、ペトルーシュカの演奏と共に、ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽は、ブーレーズさんの演奏価値は大きいです。

「イワン王子に追われた火の鳥」では、ハープが上昇し、ぐるっと回って下降する流れがあり、魔法にかけられた感じがします。「火の鳥の踊り」は、木管とミュート付きの金管が、ぴたっとハマって、カラフルに飛びだします。たっぷりとした響きが、ふわっと出てくる感触。パーカッションがストレートに弾き出される感触、そしてスピード感が生命線となっており、冷たい空気のなかで、シュワーッと出てきます。

「王女たちのロンド」は、ヒンヤリした絹のような肌触り。「夜明け」のトランペットは、右左に広がる動き、カスチェイの番兵の怪物たちが登場する場面は、パーカッションが美しく、チューブラベルと鉄琴が細やかに反響しています。「王女たちのとりなし」は、いつもなら眠気を誘われるところですが、耳が立ち、「火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り」では、木琴などのパーカッション軍団の速さに驚きます。

もちろん、「カスチェイ一党の凶悪な踊り」に至っては、もっとスピードがあがり、圧倒的な音量で金管の咆哮となります。透明度の高い、流線型の近未来的な航空機が、こっちに向かって飛来してくるかのよう。うーん、かなり興奮気味で喋ってしまいました。最後の大円団は、ちょっとテンポを落として盛りあがりを形づくります。ここだけ、幾分、時代がかっているのですが、いっきに解き放たれた感覚に。やっぱり何度聴いても興奮します。拍手っ!

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」1910年版、バルトーク 中国の不思議な役人 YouTubeにおけるカップリング Pierre Boulez Conducts Stravinsky 3枚組BOX 火の鳥1911年版BBC響1967年、プルチネルラ、幻想スケルツォ ニューヨーク・フィル1975年、小管弦楽のための組曲第1番、第2番 アンサンブル・アンテルコンタンポラン 1980年、ペトルーシュカ1911年版 ニューヨーク・フィル1975年、春の祭典クリーヴランド管弦楽団 1969年録音、管弦楽のための交響曲、ナイチンゲールの歌、火の鳥 1910年原典版全曲 ニューヨーク・フィル1975年録音 出典:YouTube The Firebird (Original Version 1910) ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 組曲版:1919年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 1972年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Claudio Abbado London Symphony Orchestra

アバドさんの演奏は、元気溌剌~って感じで、ノビノビ自由に、楽しそうに振っておられた気がします。暖かみのある録音で分厚い響きです。金管のふぁ~んという響きが凄みがあり、オーボエのソロ、クラリネット、ファゴットの木管が、より一層、不気味さを醸し出しています。荒ぶる金管、軋む弦、ゴツさ。ザックとした感触が、カスチェイたちが登場すると、かなり良い感触を与えてくれます。もっとラフでも良いかも。

王女たちのロンドは、ハープのグリッサンドが、太い響きとなり、ホルンも、ぼわ~んと響き、多少緩さが感じられますが、歌いあげていく膨らみを持ったフレージングは、やっぱり心が動きます。精緻とは言えないけど、魔王が登場すると効果的に作用します。ぶおんっと迫力ある金管になるし、バンバン、ジャンジャンと、アバレハッチャク的に勢いがあります。原始的、土俗的な風合いもあり、おちゃめで勢いがあります。

アバドさんがロンドン響を振ったストラヴィンスキー作品 2枚組BOX。春の祭典1975年、火の鳥1919年版72年、カルタ遊び 74年、ペトルーシュカ 1911年版 80年、プルチネルラ(プルチネッラ)1947年版 1978年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird, 1919 Suite, London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group

小澤征爾 パリ管弦楽団 全曲版:1910年版 🙂

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲版・1910年版 小澤征爾 パリ管弦楽団 1972年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Seiji Ozawa Orchestre de Paris

小澤さんの演奏は、30代の演奏です。録音状態も思った以上に良く、煌びやかでしなやか。自由度の高い、のびやかな演奏です。83年録音のボストン響に比べて、色彩感がとても豊かだと感じました。出典:YouTube The Firebird 小澤征爾 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

カルロ・マリア・ジュリーニ シカゴ交響楽団 組曲版・1919年版 🤩

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1919年版 カルロ・マリア・ジュリーニ シカゴ交響楽団 1969年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Carlo Maria Giulini Chicago Symphony Orchestra

ジュリーニさんの演奏は、04年にリマスタリングされているので、とても録音状態が良く、うはは~。EMIからWARNERにかわって嬉しい気分になります。(スミマセン) 謎めいた不気味さ、奥まった木々のざわめき、蠢きが丁寧に表現されています。音が出てこないと、この演奏では慌てることはありません。キレが抜群にあり、シカゴ響の煌めきで、面白く演奏されています。ぼんやり聴く演奏もあるんだけど、ここは刺激的。

カスチェイが登場するところは、金管が大炸裂するので驚かされますが、これがシカゴ響の良さ。破壊力が半端なく、美しい旋律だった王女さまたちのロンドがぶっ飛びます。ラストまで、金管に耳を傾けながら聴いていただけたら~と思います。全曲版ではないのですが、満足度高いです。

CDカップリング:ストラヴィンスキー組曲「火の鳥」、ペトルーシュカ1947年版 出典:YouTube Suite from the Firebird(1919 Version) カルロ・マリア・ジュリーニ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ピエール・ブーレーズ BBC交響楽団 組曲版・1911年版 😮

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1911年版 ピエール・ブーレーズ BBC交響楽団 1967年
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Pierre Boulez BBC Symphony Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、全曲版からの抜粋になりますが、8曲のところが5曲です。導入部 イワンに追われた火の鳥の出現 金のリンゴと戯れる王女たち 王女たちのロンド カスチェイ一党の凶悪な踊り 以上でした。ラストの美しい金管のハーモニーは割愛です。なんでー。資料としてお聴きください。ちょっと短くて涙です。

CDカップリング:ストラヴィンスキー「火の鳥」BBC響1967年、ペトルーシュカ1911年版ニューヨーク・フィル1971年、春の祭典クリーヴランド管1947年版 1969年録音 出典:YouTube The Firebird – Ballet Suite (1911) ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ロリン・マゼール ベルリン放送交響楽団 組曲版・1919年版 🤩

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版:1919年版 ロリン・マゼール ベルリン放送交響楽団 1957年 
Stravinsky: L’Oiseau de Feu Lorin Maazel Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin 

マゼールさんのベルリン放送響との演奏は、1919年版(組曲版)演奏時間は約21分です。若い頃、おそらく20代後半のピチピチしていたマゼールさんの演奏で、ステレオ録音です。序奏部は、スピードが遅めにとられていて、じっくりと聴かせます。第2曲「火の鳥の踊り」は、ピアノも弦のピチカートはリアルで、残響も良く録れています。第3曲「王女たちのロンド」は、ホルンの響きもテンポゆったり。透明度が高く、怜悧な印象を受けます。深く息づかいで、場面展開に気遣いが見られ、丁寧に描かれているようです。

第4曲「魔王カスチェイの踊り」は、ガツンと一発、インパクトがあり、勢いよく音が四方八方に飛びだしてきます。 飛び出す絵本みたいで、破裂音の衝撃が強く、リアルで驚かされます。これが1957年の演奏とは。現代のライブ盤の方が、がっかりする場合がありそう。割れ音気味の金管に、目の前で叩かれているようなシロフォン、くだけて滑るグリッサンドのコミカルな響き。で、最後、急にテンポアップして、聴いててハラハラ、ドキドキ。手に汗握るスリリングさがあり笑ってしまう。

第5曲「子守歌」は、いっきに弱音でスローテンポ。オーボエや弦の音が見通しよく、終曲に入ってくる直前の、何とも言えない緊張感が伝わってきます。金管は鋭利で、まろやかさに溶け合った響きとは言えませんが、完全無欠の演奏とならないところが妙にリアルです。聴いててドキドキしちゃいます。生オケ演奏のように楽しめました。

CDカップリング:ファリャ「恋は魔術師」、「三角帽子」抜粋版 1965年 メゾ・ソプラノ:グレース・バンブリー、ストラヴィンスキー「火の鳥」1919年版(組曲版) 1957年 出典:YouTube L’oiseau de feu, suite pour orchestre: Final (1919 Version) ベルリン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Believe SAS

ピエール・モントゥー パリ音楽院管弦楽団 組曲版・1919年版 😆

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」組曲版・1919年版 ピエール・モントゥー パリ音楽院管弦楽団 1956年 Stravinsky: L’Oiseau de Feu Pierre Monteux Paris Conservatoire Orchestra

かなり古い録音ですが、モントゥーさんは、ストラヴィンスキーのハルサイ(春の祭典)の初演者で、ステレオ録音で残っており、YouTubeにも掲載されていました。音の明るさとか開放感などを、素直に感じることができ、また資料的な価値の高いものだと思います。魔王カスチェイの踊りにおいては、弦のキレもあり、金管、打楽器も、スピードアップされていく場面で緊張が走っています。結構スリリングです。

フィナーレにおいては、同時期に録音されたマゼールさんとの演奏とは異なり、ふわっとした大らかさが感じられ、ほっとしたような開放感を感じる演奏でした。CDカップリング:モントゥー デッカ&フィリップス・レコーディングス 1956-1964 7枚組BOX 出典:YouTube Stravinsky: The Firebird (L’oiseau de feu) – Suite (1919) – Finale ピエール・モントゥー – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ストラヴィンスキー:「火の鳥」全曲版と各組曲版との比較表です。

ストラヴィンスキーのバレエ「火の鳥」は、1910年に作曲されています。全曲版と、組曲版三種類 合計四種類が存在します。演奏されることが多いのが、組曲版の1919年版と全曲版。1911年版、1945年版があります。比較するために次表を作表してみました。

★全曲版(1910年版)組曲1911年版★組曲1919年版組曲1945年版
1導入部導入部序奏序奏
2カスチェイの魔法の庭園カスチェイの魔法の庭園序奏序奏
3イワンに追われた火の鳥の出現イワンに追われた火の鳥の出現火の鳥の踊り火の鳥の前奏と踊り
4火の鳥の踊り火の鳥の踊り火の鳥のヴァリアシオンヴァリアシオン(火の鳥)
5イワンに捕らえられた火の鳥パントマイムI
6火の鳥の嘆願火の鳥の嘆願パ・ド・ドゥ(火の鳥とイワン・ツァーレヴィチ)
7魔法にかけられた13人の王女たちの出現パントマイムII
8金のリンゴと戯れる王女たち金のリンゴと戯れる王女たちスケルツォ(王女の踊り)
9イワン王子の突然の出現パントマイムIII
10王女たちのロンド王女たちのロンド王女たちのロンド(ホロヴォード)ロンド(ホロヴォード)
11夜明け
12魔法のカリヨン、カスチェイの番兵の怪物たちの登場、イワンの捕獲
13不死の魔王カスチェイの登場
14カスチェイとイワンの対話
15王女たちのとりなし
16火の鳥の出現
17火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り
18カスチェイ一党の凶悪な踊りカスチェイ一党の凶悪な踊り魔王カスチェイの凶悪な踊り凶悪な踊り
19火の鳥の子守歌子守歌子守歌(火の鳥)
20カスチェイの目覚め
21カスチェイの死、深い闇
22カスチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円終曲終曲の賛歌
全曲版 22曲
4管編成
1911年版 8曲
全曲版からの抜粋
1919年版 7曲
2管編成
1945年版 12曲
2管編成
ストラヴィンスキー:「火の鳥」全曲版と各組曲版との演奏の比較表

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」【聴きどころ】

上表の比較表は、Wikipediaを元に作表しています。Wikiにも書かれているとおり、演奏者によってトラックが変わる場合があります。ストーリーと共に、Wikiの該当項目をご参照ください。下にリンクを貼っておきます。

全曲版(1910年版)は、全22曲のうち、主に次の8曲が聴きどころです。かなり割愛してありますが、入門編としてお薦めです。

01 導入部 I. Introduction
02 カスチェイの魔法の庭園 II. Le Jardin enchanté de Kachtcheï
03 イワンに追われた火の鳥の出現 III. Apparition de l’Oiseau de feu, poursuivi par Ivan Tsarévitch
04 火の鳥の踊り IV. Danse de l’Oiseau de feu
10 王女たちのロンド X. Khorovode (Ronde) des princesses
18 カスチェイ一党の凶悪な踊り XVIII. Danse de la suite de Kachtcheï, enchantée par l’Oiseau de feu
19 火の鳥の子守歌 XIX. Danse infernale de tous les sujets de Kachtcheï
22 カスチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円 XXII. Mort de Kachtcheï~ XXIII. Profondes ténèbres

組曲版(1919年版)は、全7曲なので、そのまま7曲が聴きどころです。


第1曲:「序奏」 第2曲:「火の鳥とその踊り」 第3曲:「火の鳥のヴァリエーション」 第4曲:「王女たちのロンド」 第5曲:「カスチェイ王の魔の踊り」 第6曲:「子守歌」 第7曲:「終曲」 いずれも、魔王のカスチェイが出てこないとお話が盛りあがりません。で、朗々と金管で締めていただく大団円、終曲がハイライトになります。

ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲1919年版の仏語と英語表記です。 

YouTubeは、楽章(火の鳥だと各場面ごと)に、区分されてアップされていることが多いので、特定の場面を聴こうとすると検索して探すのが大変です。また、ストラヴィンスキーの作品は、仏語表記がメインで、英語表記と混在しています。なので、仏語と英語の表記を掲載しておきます。例えばこんな感じです。
タイトル:ストラヴィンスキー火の鳥 仏語:Stravinsky L’Oiseau de Feu  英語:The Firebird
例)組曲1919年版 Stravinsky:L’oiseau de feu, suite pour orchestre (1919 Version)

日本語表記仏語表記英語表記
第1曲「序奏」 IntroductionIntroduction
第2曲「火の鳥の踊り」Introduction. Variation de l’oiseau de feu– The Firebird and its dance –
The Firebird’s variation
第3曲「王女たちのロンド」Rondes des princessesThe Princesses’ Khorovod (Rondo, round dance)
第4曲「魔王カスチェイの踊り」Danse infernale du roi KastcheïInfernal dance of King Kashchei
第5曲「子守歌」BerceuseBerceuse (Lullaby)
第6曲「終曲」FinalFinal

ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」【ディスク情報】

1956年 モントゥー パリ音楽院管弦楽団 Dec  組曲版:1919年版
1957年 マゼール ベルリン放送交響楽団 G 組曲版:1919年版
1967年 ブーレーズ BBC交響楽団 SC 組曲版:1911年
1969年 ジュリーニ シカゴ交響楽団 EMI 組曲版:1919年版
1972年 小澤征爾 パリ管弦楽団 EMI 全曲版:1910年版
1972年 アバド ロンドン交響楽団 G  組曲版:1919年版
1975年 ブーレーズ ニューヨーク・フィル SC 全曲版:1910年版
1978年 C・デイヴィス コンセルトヘボウ Ph 全曲版:1910年版
1978年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI 組曲版:1919年版  
1979年 ドホナーニ ウィーン・フィル Dec 全曲版:1910年版
1982年 ドラティ デトロイト交響楽団 Dec 全曲版:1910年版
1983年 小澤征爾 ボストン交響楽団 EMI 全曲版:1910年版
1984年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec 全曲版:1910年版
1987年 ヴァント ベルリン・ドイツ交響楽団 ALTUS 組曲版:1945年 
1987年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI 全曲版:1910年版
1988年 N・ヤルヴィ ロンドン交響楽団 CHANDOS 組曲版:1945年版
1988年 サロネン フィルハーモニア管弦楽団 SC 全曲版:1910年版
1989年 ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 SC 組曲版:1919年版
1989年 インバル フィルハーモニア管弦楽団 TELDEC 全曲版:1910年版
1989年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph 全曲版:1910年版
1990年 ラハバリ ベルギー放送フィル NAXOS 組曲版:1919年版
1991年 ケント・ナガノ ロンドン交響楽団 VIRGIN 全曲版:1910年版
1992年 テンシュテット ロンドン・フィル LPO 組曲版:1919年版
1992年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G 全曲版:1910年版
1992年 チョン・ミュンフン パリ・バスティーユ管弦楽団 G 組曲版:1919年版
1993年 ヴェルザー=メスト ロンドン・フィル EMI 全曲版:1910年版
1995年 ゲルギエフ マリインスキー劇場管弦楽団 Ph 全曲版:1910年版
1995年 ネルソンス バーミンガム市交響楽団 ORFEO 全曲版:1910年版
1995年 シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 Dec 組曲版:1945年版
1996年 ロバート・クラフト フィルハーモニア管弦楽団 NAXOS 全曲版:1910年版
1996年 シモノフ ロイヤル・フィル Rpo 組曲版:1945年版
1998年 T・トーマス サンフランシスコ交響楽団 R 全曲版:1910年版
1999年 マゼール バイエルン放送交響楽団 BR 組曲版:1919年版
2002年 P・ヤルヴィ シンシナティ響 TELARC 組曲版:1919年版
2004年 ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 BR 組曲版:1919年版
2008年 ユロフスキ ロンドン・フィル LPO 全曲版:1910年版
2010年 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル HM
2010年 イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 CHANNEL 組曲版:1919年版
2013年 グスターボ・ドゥダメル ロサンゼルス・フィル G 全曲版:1910年
2015年 ゲルギエフ ロンドン交響楽団 LSO 全曲版:1910年版
2017年 ラトル ロンドン交響楽団 LSO 全曲版:1910年版
2017年 ワシリー・ペトレンコ ロイヤル・リヴァプール・フィル ONXY 全曲版:1910年
2022年 クラウス・マケラ パリ管弦楽団 Dec 全曲版:1910年版

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • こんにちは。書込み失礼します。
    明日「火の鳥」を含むコンサートに行くので「予習」がてら、読ませていただきました。タイムリーに上がっていたので(笑)
    明日は「1910年版」なのですが僕は1919年版しか所有してなくて・・・。こんなにお持ちなんですね。
    今からですと後付けになってしまいますが、こちらを参考に何枚か買ってみようかな。

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