ラヴェル:組曲「クープランの墓」管弦楽曲版【聴いてみよう】Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68a

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ラヴェル:組曲「クープランの墓」管弦楽曲【YouTube】

ラヴェル:組曲「クープランの墓」パヴロ・ヘラス=カサド カラヤン・アカデミー(ベルリン・フィル)
2019年6月9日コンサートの模様です。20分48秒の動画です。Pablo Heras-Casado Karajan-Academy of the Berliner Philharmoniker

ラヴェル:組曲「クープランの墓」【名盤・おすすめ】

クープランの墓 Le tombeau de Couperin は、当初、ピアノ曲として作曲されていますが、後年、ラヴェル自身に管弦楽曲に編曲されています。ピアノ版(全6曲)プレリュード(前奏曲)、フーガ、フォルラーヌ、リゴドン、メヌエット、トッカータ、管弦楽版(全4曲)プレリュード(前奏曲)、フォルラーヌ、メヌエット、リゴドン
次表のとおり、元は6曲だったのが4曲になって、順番も変更されました。2番目のフーガと、6番目のトッカータが、管弦楽版では除外されています。

【ピアノ版】6曲 Le Tombeau de Couperin, M. 68【管弦楽版】4曲 Le Tombeau de Couperin, M. 68a
プレリュード(Prelude)プレリュード(Prelude)
フーガ(Fugue)フォルラーヌ(Forlane)
フォルラーヌ(Forlane)メヌエット(Menuet)
リゴドン(Rigaudon)リゴドン(Rigaudon)
メヌエット(Menuet)
トッカータ(Toccata)
クープランの墓 ピアノ版と管弦楽曲版 曲数・曲順・作品番号

サカリ・オラモ ロイヤル・ストックホルム・フィル BIS 🤩

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 サカリ・オラモ ロイヤル・ストックホルム・フィル 2021年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Sakari Oramo Royal Stockholm Philharmonic Orchestra

オラモさんの演奏は、衝撃的です。こんな颯爽と速くてキラキラした演奏は聴いたことがない~です。びっくり、びっくり、大びっくりです。別の曲のような感じがします。なお、ピアノ曲から管弦楽曲版に編曲された際に除外されたフーガ、トッカータの2曲を、ケネス・ヘスケスさんが編曲し、管弦楽曲として演奏しています。↓ 下の2曲です。

CDカップリング:ラヴェル クープランの墓、道化師の朝の歌、海原の小舟、亡き王女のためのパヴァーヌ、古風なメヌエット、ラ・ヴァルス 出典:YouTube Le Tombeau de Couperin, M. 68a ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Naxos Digital Services

ステファヌ・ドゥネーヴ・シュトゥットガルト放送交響楽団 😉

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ステファヌ・ドゥネーヴ シュトゥットガルト放送交響楽団 2012年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Stéphane Denève Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR

シュトゥットガルト放送交響楽団っていうと、チェリビダッケさんの演奏の印象が、強く残っています。チェリさま以降の首席は、N・マリナー、ジェルメッティ、ノリントンさんと続きます。で、ドゥネーヴさんは1971年フランス生まれ。シュトゥットガルト放送交響楽団の2011年~16年まで首席指揮者だった方です。ドイツの放送局の交響楽団って合併しているので、現在はSWR響という名称に変更。フランス出身の指揮者は多数ご活躍ですが、今後楽しみの指揮者です。

プレリュードは、速めのテンポで、サクっとした感覚で進みます。まるで、さらっとした乾いた風のようです。ドイツのオケが、これほど軽やかに演奏されるのは驚きました。12/16拍子だと思うのですが、まるで三拍子が、トライアングル型ではなく、二拍子のように、下半分の円を描いているようで語尾があがっています。

マキが入ったみたいに、これだと加速気味に進みますね。フォルラーヌでは、アタマに、心持ちアクセントがついてて弾みます。二拍子スキップという感じ。メヌエットは、もう少し粘って欲しい気がしますが、拍子優先のような演奏です。小股の切れ上がった雰囲気がしていますが、もう少し優美な感じが欲しいかも。木管のフレーズがか細く聞えちゃいます。

リゴドンは、金管が入っており、華麗な音色で煌びやか。透明度は高いのですが、質感が軽くて~ 羽根が生えて飛んじゃうみたいです。うーん、重かったら当然のごとく文句を言うし、軽ければ軽いと文句を言う(ワタシのこと)加減が難しいですね。CDカップリング:ラヴェル ラ・ヴァルス、クープランの墓、道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲、ボレロ 2012年 出典:YouTube Le tombeau de Couperin シュトゥットガルト放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 😍

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1999年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Pierre Boulez The Cleveland Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、これは~ 素晴らしい幻想的な響きを聴くことができます。幻想的と言えば茫洋としているイメージがあるのですが、いやいや、この演奏は違います。隅々まで細かい音が詰まっている感じです。プレリュードからして、音が波打ち、踊るような音が自律的に波打っているようです。そして1つ1つの音の粒が光を放ち、色を作り全体で織りなす色彩の世界というのでしょうか、あまりの格の違いにビックリです。目から鱗~でした。振幅の幅が大きく豊かです。

CDカップリング:ラヴェル 歌曲集シェエラザード、クープランの墓、亡き王女のためのパヴァーヌ、古風なメヌエット、ドビュッシー 神聖な舞曲と世俗的な舞曲、ボードレールの5つの詩第3曲噴水、フランソワ・ヴィヨンの3つのバラード 出典:YouTube Ravel: Le tombeau de Couperin, M. 68 ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

エマニュエル・クリヴィヌ フランス国立リヨン交響楽団 🙂

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 エマニュエル・クリヴィヌ フランス国立リヨン交響楽団 1999年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Emmanuel Krivine Lyon National Orchestra

クリヴィヌさんの演奏は、オーボエのペタンとした音が、水車の軸のように回っています。そして、水面に風が舞っている感じがしてきて~ あっ、オーボエは、ミズスマシだったんだと思うような、滑る勢いがあります。個々の楽器が一斉に動いた運動体というよりは、個々の楽器の働きが見えている感じです。2曲目のフォルラーヌは、夜の雰囲気がします。くすんだ風合いの音が、艶めかしい。スピード感はありませんが、おっとりしつつも、それぞれの曲に、ストーリーが感じられて楽しめます。

CDカップリング:ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調、左手のためのピアノ協奏曲 ピアノ:フセイン・セルメット、クープランの墓(管弦楽版)出典:YouTube Le tombeau de Couperin, M. 68a: Prélude. Vif リヨン国立管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by naïve classique

ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 😘

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1989年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Yan Pascal Tortelier Ulster Orchestra

トルトゥリエさんの演奏は、爽快で、さらり。中間色が美しく見え、色合わせを楽しんでいるかのような演奏です。 1 プレリュード(前奏曲)は、重みを感じさせることなく、風がそよいでいる雰囲気です。低めの音や、弦の1音目にアクセントを置いているクリュイタンス盤に比べると、揺りかご的な揺れは生じていませんが、大きな波をことさらに描くことはない。

この点は、全然アプローチが違うようです。知らず知らずに、音の大きさが変わってくる。同じ音型が、繰り返し使われているようなところじゃ~ やっぱり自然に盛り上がって気持ちが良い。それと、木管の使い方が、ボショボショボショと呟き的に響く。これが妙に面白いですね。

2 フォルラーヌ 跳ねる旋律と低音で伸びる音色が、マッチングしています。音の重ね塗り。ちょっと旋律が透けるところで、下地が見える。この下地が見えるところが面白いかも。平安貴族の衣のようだなあって。重ねた色から、浮かび上がってくる下地の色。重ね色の風合いを楽しむ楽曲なのかもしれないです。

3 メヌエット、4 リゴドン さらっと演奏しているのだが、染み渡ってくるような横笛的なイメージです。東洋風の色彩が濃いように聞こえます。音の並びが、なーんとなく中央アジアっぽいというか、この平板な音が、じわ~っと響いて、和のテイストを味わっているような気になりますね。「ど~しら~そ ど~みしどみし~」 どこの国のメヌエットですか?と、問いかけてみたい気分です。短い楽曲なのだが、めちゃ、この情緒たっぷりの演奏にやられちゃいました。

CDカップリング:ラヴェルの管弦楽全17曲4枚組BOX 出典:YouTube Le Tombeau de Couperin, M. 68a: I. Prélude. Vif (Version for Orchestra) Yan Pascal Tortelier – トピック Provided to YouTube by PIAS

クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 😐

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 クラウディオ・アバド ロンドン交響楽団 1987年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Claudio Abbado London Symphony Orchestra

アバドさんの演奏は、ちょっと硬くて重めの色彩感です。プレリュード(前奏曲)は、オーボエが大活躍する楽曲で、すいすい~と風のごとく急ぎ足で駆け抜けていきます。 深い森の間を、縫うように風が走るようです。音自体は明るめなのですが、旋律に自由度が少なく、音のあがりくだりだけで平板に感じます。また、爽やかさ暖かさという点では少ないように感じます。

2 フォルラーヌ 今度は、弦が風になるようです。ハープは、あまり聞こえないのですが、クラリネットとコーラングレが入ってきて、木管が可愛く囁いています。 冒頭の変な和音が、気になりますが、どんな風景がイメージできるでしょう。陽気になりきれず、クラリネットが少し影を落としています。

3 メヌエット 明るくて平和的、牧歌的な印象のフレーズで、オーボエが大活躍します。フルート、ハープの音が響き、弦はサポート役にまわっていますね。途中、だれないようにテンポアップして膨らみます。音が、ふわっと空中で消えるようです。

4 リゴドン 最後を飾る華やかな曲で、全合奏で、「みっそ みっれっど」 弦が、ようやく活気づいてきます。ホルン、トランペットの金管も、ようやく合流してきます。中間部分は、なにやら~ 夜の気配で低弦がボンボンと響くなか、怪しげな官能的な響きするのです。

南フランスの2/4拍子の舞曲。跳ねたり飛んだり、元気~!  最後のフィナーレ的なので、分厚い響きになっています。この組曲「クープランの墓」は、アバド盤で16分18秒という短い曲ですが、色彩感覚の豊かな楽曲です。しっかり聴けば、色彩の豊かさ、違いに気づくのですが、アバドさんの演奏で聴くと、何度聴いても、すっと流れちゃってしまうところがあって、耳が、ピクピクと動いてくれません。何故なんでしょう~ コワモテのおじちゃんたちが、精一杯合奏している感じで、ちょっぴり重くて流麗ではないのかもしれません。

アバド&ロンドン交響楽団のラヴェル管弦楽作品は、全集として3枚組BOXで発売されていました。1981年から88年の録音です。カップリング:ラヴェル ピアノ協奏曲ト長調、左手のための協奏曲(ピアノ:ベロフ 1987年)、バレエ音楽「ジャンヌの扇~ファンファーレ~」、古風なメヌエット、クープランの墓(管弦楽版) 出典:YouTube Ravel: Le tombeau de Couperin, M. 68 マルタ・アルゲリッチ – トピック Martha Argerich – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 😘

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1983年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal

デュトワさんの演奏は、カラフルで元気、明るすぎるような勢いがあります。プレリュード(前奏曲)は、とてもチャーミングで、フレーズの膨らませも大きく、ダイナミックで痛快です。あれ、この曲、こんなに楽しかった?っと驚いてしまうほど、オシャレで、おちゃめな演奏です。抑揚も音量も大きく膨らんで、パラララ~っと終息します。テンポの良さと膨らみの大きさで面白く感じます。色彩的で鮮やか。アバドさんの演奏とは色が違います。ダイナミックで、ちょっとオーバーだなあと思うほど、演出的です。

2 フォルラーヌ 不協和音的に吹かれている低い木管の音が、アクセントになっており、メリハリがあります。「タッタラ タ~っラ タッタ タ~っラ~」と、結構アクセント強め。ちょっと倦怠感があっても良いのですが、巻き舌風で、スイスイと乗せられちゃいます。

明るさと暗さの不協和音、違和感なく聞けちゃうところが凄いですね。開放的でリズミカルでオチャメ。 いろんな木管の音が、混濁せずに存在しているし、バラバラにならず、全体でトーンが整えられているようです。絵画的には、点描的にも思えます。近づいて見ると、何が描かれているのか、わからないのですが、遠くから見ると、ちゃんと形になっているって感じでしょうか。木管の群生地のようで醍醐味です。近視眼的にならず、聴く方が良いのかなあ。

3 メヌエット 木管が頑張ってます。オーボエのスマートな音が素敵。シャイなくせに歌うオーボエ、もちろんフルートも。綺麗なフレーズが描かれています。歌心があり、聴き手を、くすぐってくる、誘うところがナイス。ハープや弦が、鐘のように風のように、蠢いて膨らんで~ コーラングレが、からみつく。音の鮮やかさに、やられちゃう。 

4 リゴドン 最後を飾る華やかな曲で、全合奏で、「みっそ~ みっれっど」と、カラフルな音が響きます。透明度の高い余韻が特徴。金管の音が、短くサッパリしてて綺麗に切れています。 速く、巻き舌風に演奏されているので、コミカルです。 オチャメなんですよねえ。中間部は沈みますが、クラリネットが、光と影を描きわけており、しっとりと聴くことができます。仕掛けがいっぱい詰まっている曲だと改めて感じました。短い楽曲なのに風味が違っててワクワク、楽しませていただきました。

CDカップリング:ラヴェル「マ・メール・ロワ」、「亡き王女のパヴァーヌ」、組曲「クープランの墓」、「高雅にして感傷的なワルツ」出典:YouTube Ravel: Le Tombeau de Couperin, M.68 シャルル・デュトワ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 😅

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1976年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティさんの演奏は、無骨な集団が、頑張ってお洒落している感じです。ちょっぴりスピードが速く、マッチョ。倦怠感を含んだアンニュイな雰囲気が欲しいところですが、各楽器の運動会みたい。

プレリュード(前奏曲)テンポが速くて、100メートル競走のように、あっという間に、さーっと走って行ってしまう。そのスピードの速さに、めちゃくちゃ驚きます。あの冒頭からのスピードは何だったのだろう。クラリネットの音が明るく、音響の良さに救われています。雰囲気がねえ~ ないんだわ。

フォルラーヌ なだらかなレガートが感じられず、アクセントが、三拍子のアタマだけについている風と言えば、わかりやすいでしょうか。確か6/8拍子だったと思うのですが、動きが硬いです。明確で健康的なのですが、独特の倦怠感はないんですよね。アンニュイって言葉からは、ちょっ縁遠い。ですよね。

メヌエット オーボエは、スッキリとした音で、輪郭を鮮やかに描いています。ふわっとした、ぼんやりした空気感ではなく、涼しげで秋の夜長という、鈴虫が鳴いているかのような感じです。冷たく感じる空気のなかで、すーっと通っていく感じで、弦が入ってくると、暖かい空気に入れ替わります。和風テイストの和音と、コーラングレの音が、膨らみ萎み、また膨らんでいく。ここでは情緒があります。

最後は、快速の可愛いリゴドンです。あまりの速さに、余韻が感じられないほど、次々と音が押しかけてくる。もったいない。幻想的に浸る間もなく駆け抜けちゃいます。 中間は、ちょっぴり夜の気配で感じられるのですが、あっさり。もう終わり? ショルティ盤で聴いていると、四季折々~というわけにはいかず。元気すぎ~。

CDカップリング:ムソルグスキー 組曲「展覧会の絵」、ラヴェル 組曲「クープランの墓」、ドビュッシー 海~3つの交響的スケッチ~ 出典:YouTube Ravel: Le Tombeau de Couperin, M.68 シカゴ交響楽団 トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

セルジュ・チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団 🙄

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 セルジュ・チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団 1978年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Sergiu Celibidach Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR

チェリビダッケさんの演奏は、超遅いというのが定説ですが、このクープランは、普通のテンポです。いつもより速いぐらい。パララ パララ ぱ~ぱ~ あれれ。とても快速です。三段飛びみたいに、はずんでいて、いつもより、ずーっと柔らかい感じがします。金管が合わさってくると、余計にソフトな感じになるので不思議。ニュアンスがソフトで、縦糸ガッシリと組み合わされた感じがしません。

第2曲のフォルラーヌは、た~タラ タッタタ。フルートにノビがあり、他の演奏より、ノビている感じがします。ワクワク感は皆無に近いのですが、柔らかい舞曲です。第3曲のメヌエットは、陰影を含んで渋いです。色彩的に彩度の高い演奏が多いなか、超シック。コーラングレまで渋いので驚き。悲しいっ。古色蒼然としているというか、骨董品を見ているような気分に。第4曲のリゴドンは、華やかな楽曲だと思うのですが、湿気て暗い。重い。四角四面でやっぱ硬い演奏でした。

CDカップリング:「フランス管弦楽作品集 チェリビダッケ ドビュッシー・ラヴェル」4枚組BOXより カップリング:ドビュッシー 夜想曲 、海、管弦楽のための映像~イベリア~、ラヴェル 道化師の朝の歌、スペイン狂詩曲、ダフニスとクロエ第2組曲、ラ・ヴァルス、海のリハーサル 出典:YouTube Ravel – Le Tombeau de Couperin – Celibidache, SWR Stuttgart Radio Symphony (1978) 1Furtwangler

ジャン・マルティノン パリ管弦楽団 😅

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ジャン・マルティノン パリ管弦楽団 1974年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Jean Martinon Orchestre de Paris

マルティノンさんの演奏は、ひらぺったい形態で、スイスイ~っと泳いでいるような演奏で、振り幅はさほど大きなものではないのですが、勢いがありますね。良い意味でざっくり、開放感のある演奏で、スイスイと進みます。金管の鋭さがあったり、ツッコミの強い演奏です。

第2曲のフォルラーヌは、不可思議なフレーズです。躍動感があるのですが、沈み込むフレーズがあります。フォルラーヌとは北イタリアの6/8拍子の舞曲で、和風的ティストも感じる和音が続きます。不協和音なのだけど、とことなく懐かしい気分になる楽曲です。

第3曲のメヌエットは、ボン ボンっと響く低音、なんの楽器だろう~ 語尾だけに活躍しているんだけど~っと、マルティノンさんの演奏を聴いて思いました。この色合いや風合いを楽しむような曲なのでしょう。ある旋律が浮かび上がると、バックの色彩は濃い色で、表の旋律を引き立てるような感じです。単にフルートの音を楽しむだけでは、もったいないですね。

第4曲のリゴドンは、とっても元気よく飛び出してきます。リゴドンは、北イタリアの風合いが強いようですが、輝くフレーズと物悲しいフレーズが組み合わさってできています。マルティノンさんの演奏は、極彩色的です。トルトゥリエ盤のような中間色よりも、彩度が高いですし~ 自己主張が強め。パステルカラーに近い中間色が、ちょっと隠れ気味でかもしれません。色の組み合わせを楽しみたいところですが、金管のキラキラ音が目立っています。

CDカップリング:ラヴェル 管弦楽曲集全集2枚組BOX 1974年 出典:YouTube Le Tombeau de Couperin, M. 68a パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 1973年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 Pierre Boulez New York Philharmonic Orchestra

出典:YouTube Le tombeau de Couperin, M. 68a ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

アンドレ・クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 😘

ラヴェル:組曲「クープランの墓」 アンドレ・クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 1962年
Ravel: Le Tombeau de Couperin, M. 68 André Cluytens Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire

クリュイタンスさんの演奏は、色彩豊かで、自由に大きく響きます。太い流れのなかで、ソロ楽器の彩りが調和されてて、懐の大きいおおらかな演奏。オーボエとクラリネットが活躍する楽曲で、クラリネットの重みのある明るい音色がアクセントになっており、揺りかごに入って揺られている気分になります。

この年代で、こんなに速く吹けるのかと思うほど、パララ パララ ぱ~ぱ~ と、畳みかけるように演奏されており、思わず、のけぞって驚きました。立て続けに、オーボエが吹かれ、弦も快速です。低い音で奏でられる「パララ~」という重い響きが、大きな波を描き出しています。

まろやかでふくよかな響きが特徴です。輪郭は少し甘いし、ソフトフォーカス気味ですが、ふわっとした感覚があるので、大きく膨らんだ感じです。音の波に大きく包まれる心地よさ。暖かく、熱い息吹を感じる心地よさ。音の響きにくるまれる快感を感じます。

フォルラーヌは、底辺に流れるファゴットが、まーったく合わない和音フレーズを吹いてて、へえ~っと感じるのですが、摩訶不思議な音に溶け合うんですねえ。「タン タララ ラッタタ タ~」音符の跳ね具合が面白く、「らしら ふぁっれれ ふぁ~」って跳ねている楽器と、底辺で流れる楽器があって、全体的で跳ねているんだけど、やっぱ裏側では、しっかり地盤が出来てて~ 微妙なバランス感覚が、不可思議な感覚を生んでいます。面白い!

不協和音でありながら、また、フレーズの流れ、その両面を、しっかり聴かせてながら、違和感を感じさせることなく、ハーモニーとして成り立たせる手腕ってすごいですね。音の溶け合うさま、溶け合わないさまが、面白いです。フォルラーヌは、北イタリアの6/8拍子の舞曲だそうですが、陰陽が背後にぴったり寄り添ってて、交互に浮かびあがってきます。いや、するっと変わっているというか。影がなきゃ~輝けない。絵画と同じで、背景が暗くないと煌きを感じないことを、改めて気づきました。

メヌエットは、木管全てが、ふくよかな響きです。バロック要素の強い曲ですが、平板にならず、大広間のなかで、ふわっと広がっていく感じです。バロックと浪漫派の折衷みたい。耳元に息を吹き込まれているみたいで。あ~。

リゴドンは、破裂音が刺激的で、華麗だと感じちゃう。古典的な様式美を持った楽曲ですが、かなり官能的で、色っぽいです。太めに、ふくよかに響き、柔らかい流れで演奏されます。輪郭が明瞭すぎないところが、幻想的とか夢想的という言葉に繋がるみたい。CDカップリング:ラヴェル 組曲「クープランの墓」「古風なメヌエット」「道化師の朝の歌」「亡き王女のパヴァーヌ」出典:YouTube Le tombeau de Couperin, M. 68 アンドレ・クリュイタンス トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ラヴェル:「クープランの墓」【解説】

ラヴェルの「クープランの墓」Le Tombeau de Couperinは、1914年から1917年にかけて作曲したピアノ組曲です。タイトルの Tombeau (トンボー)はフランス語で「墓石・墓碑」を意味する一般名詞ですが、音楽用語としてはバロック時代のフランス音楽に特徴的な「故人を追悼する器楽曲」を指すもので、バロック音楽の分野では Tombeau は「墓」とは訳さず「トンボー」とするのが一般的です。

このクープランの墓は、第一次世界大戦で戦死した知人たちへの思い出として、ピアノ曲6曲から構成されています。また、1919年に4曲を抜粋した管弦楽版がラヴェル自身により作られています。ピアノ曲の番号を記載しますね。

1 プレリュード(Prelude) ホ短調 12/16拍子 古典的な組曲の冒頭に置かれる前奏曲として書かれ、16分音符の無窮動的な動きが全体を支配しています。装飾音符(モルデント、プラルトリラー)は拍頭で奏されるように指示があります。

3 フォルラーヌ(Forlane)ホ短調 6/8拍子 ロンド形式 フォルラーヌとは、北イタリアを起源とする古典的舞曲のことです。ラヴェルは1914年、フランソワ・クープランの「王宮のコンセール」のフォルラーヌの編曲を行っています。そのため、当曲に影響が見られます。アレグレット(Allegretto:やや快活に)です。

5 メヌエット(Menuet)ト長調 3/4拍子 三部形式

4 リゴドン(Rigaudon)ハ長調 2/4拍子の三部形式 リゴドンはプロヴァンス地方に由来する17世紀に流行した活発な舞曲です。中間部は速度を落としてハ短調に転調します。

ラヴェル:「クープランの墓」管弦楽曲版【ディスク情報】

1962年 クリュイタンス パリ音楽院管弦楽団 EMI
1973年 ブーレーズ クリーヴランド管 ニューヨーク・フィル SC
1974年 マルティノン パリ管弦楽団 EMI
1978年 チェリビダッケ シュトゥットガルト放送交響楽団 G
1976年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1983年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec 
1987年 アバド ロンドン交響楽団 G 
1989年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS
1999年 クリヴィヌ フランス国立リヨン管弦楽団 Auvidis
1999年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 G
2012年 ステファヌ・ドゥネーヴ シュトゥットガルト放送交響楽団 SWR
2021年 サカリ・オラモ ロイヤル・ストックホルム・フィル BIS

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