フランク:交響詩「呪われた狩人」【聴いてみよう】Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44

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フランク:交響詩「呪われた狩人」【YouTube】

フランク 交響詩「呪われた狩人」アラン・アルティノグリュ hr交響楽団 Alain Altinoglu 2022年2月21日 コロナ禍における無観客コンサートです。中間部分の警告音は、あっ、ホルンだったのか。魔物が登場したらしい、怪しげなもわもわ感は、ヴァイオリンのふわふわ弦なのね。ラストのカリオン(鐘)実物の大きさがわかったり、映像をみてクラシック音楽を拝聴すると、より一層理解が進みます。なにより楽しい! 約14分ちょっとの演奏です。出典:YouTube Franck: Le chasseur maudit ∙ hr-Sinfonieorchester ∙ Alain Altinoglu hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony HR-SENDESAAL

フランク:交響詩「呪われた狩人」【名盤・おすすめ】

交響詩「呪われた狩人」は、内容的に四つの情景が区分されています。

平和な日曜日の朝の風景 Le Paysage paisible du dimanche
狩 La chasse
呪い Le Chasseur maudit: La Malédiction
悪魔(鬼神)の追跡 La Poursuite des démons

フランソワ=グザヴィエ・ロト ベルギー王立リエージュ・フィル 😱

フランク:交響詩「呪われた狩人」 フランソワ=グザヴィエ・ロト ベルギー王立リエージュ・フィル 2009年
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 François-Xavier Roth Orchestre Philharmonique Royal de Liège

フランソワ=グザヴィエ・ロトさんの演奏は、久しぶりに滅茶苦茶怖い演奏に出会ってしまったという感じです。どんな打楽器を使用しているのか、かなり近接して鳴らされてリアルです。うかっと聴いていると夜に寝られなくなっちゃいます。何度も繰り返して聴くのは避けたいですね。フランクの交響詩は、ストーリーを知って聴く方が良いと思います。他の演奏とは、切迫感の次元が違います。CDカップリング:交響詩 呪われた狩人、ジン、アイオリスの人々、交響的変奏曲 ピアノ:セドリック・ティベルギアン 出典:YouTube Le Chasseur Maudit セドリック・ティベルギアン – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

ミシェル・プラッソン トゥールーズ国立管弦楽団 🥰

フランク:交響詩「呪われた狩人」 ミシェル・プラッソン トゥールーズ国立管弦楽団 1995年
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Michel Plasson Orchestre National du Capitole de Toulouse

作曲家のフランクと言えば、交響曲とヴァイオリン・ソナタがとても有名ですが、交響詩を数曲作曲しています。今日聴いたのは、交響詩「呪われた狩人」ですが、ホルンを初めとした金管演奏者にとっては腕のみせどころが続きます。ホルン2本で吹かれ、ティンパニーが、どろどろ~っとロールされます。鐘の振り子のように動きはじめ、荘厳なうねり生じます。かなり大袈裟な表現ですが、このストーリーにはマッチしています。

復活祭りに、村人が止めろというのを無視して、狩りに出てしまった伯爵が、永遠に魔物たちに襲われるという伝承が裏にあります。そして、これは永遠に続くようです。前半は、素朴で牧歌的な、日常の暮らしのなかで響く教会の鐘が印象的です。ホルンが高らかに鳴り響くところは、すごい。ホルンを吹く方にとっては、格好良い楽曲なのだろう。原野に狩りにいそいそと出ていて、途中で嵐が出てくるのか、雲行きが怪しくなり、原野に悪魔が出没したのか、木管が怪しげに吹き出す。

音型も音もシンプル。だけど、しっかり雰囲気が出ている。同じ音型が続いて~ ホルン = 伯爵さまの狩り風景フレーズなんでしょうが、シンバルまで入ってきて、同じフレーズを奏でられる。ジジジジーっと、警告音が鳴り、いったん鎮まっているが、森で迷って悪魔に追いかけられるというシーンだろうか。きっと、この場面だとは想像力を逞しくしながら聴く。ああ、怪しい もわもわ~ 空気が変わってくる。

とにかく、金管が、この作品では大活躍。特にホルンは、目立つ活躍をしている。金管の巧いオケが演奏すると、なかなかに格好良い、序曲になりえる。プラッソン盤は、音質もまずまずで、低弦の響きで、震撼させるような凄みもある。グリッサンドが多用されているが、これも機敏に反応しており、直接的にイマジネーションをかき立てるものとなっている。約15分の楽曲のなかに、スケールの大きいスペクタル要素が入っています。鐘が慌ただしく警鐘を鳴らすところは、どこかワーグナーの影響を感じます。この鐘(カリヨン)は、どんな形なのかな。

冒頭の日曜日の教会場面より、後半が聴き応えがある。教会の鐘が、前半とは異なり、この後半では、怒ったかのように、恐ろしい警鐘の鐘に変貌する。プラッソン盤では、ドイツ臭い、沈み込んだ深く、黒っぽい森には至らない。

フランクが、フランスと言いつつホントは、ベルギー出身だっだし、多少、色彩的に明るく演奏されている。軽快で鮮やかだ。ちなみに、このプラッソン盤には、デュパルク作曲の「レノール」を収録しているが、このレノールも、ビュルガーさんのバラード(詩)を元にした曲である。フランス(?)の作曲家たちが、ドイツの詩を元にした曲を作るってことも面白い。この詩を知っていたり、バックボーンを知っていればもっと楽しく、世界が広がるのだろうと思います。ドイツ文学を専攻している学生さんだったら、ご存知かもしれません。

CDカップリング:デュカス「魔法使いの弟子」、フランク「呪われた狩人」、ラッザーリ「夜の印象」、デュパルク「レノール」、同「星たちに」、サン=サーンス「死の舞踏」 出典:YouTube Le Chasseur maudit, ‘ (The) Accursed Huntsman’ トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ヘスス・ロペス=コボス シンシナティ交響楽団 😘

フランク:交響詩「呪われた狩人」 ヘスス・ロペス=コボス シンシナティ交響楽団 1990年
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Jesús López Cobos Cincinnati Symphony Orchestra

ヘスス・ロペス=コボスさんの演奏は、不気味というより美しい音の響きで、最初の部分は祝祭的です。録音状態が良いので、金管群が美しい倍音を響かせています。きっちりとしたリズムで、段々と暗雲が垂れ込め、辺りがヤバイ雰囲気に包まれていく、ストーリーに沿った描写が綺麗です。シンシナティ交響楽団の金管の音色は、明るめですが、リズム感が良いため、どんよりした息苦しさはありません。弦のすわーっとした風が流れ、そのうちに一陣の怪しげな風となる描写も細かく描かれています。

中間部分で、神の怒りに触れてしまったのか雲行きが悪くなり、まるで嵐のように風が巻き起こる雰囲気がするのですが、金管の切迫感は良いですね。弦の主題をかき消してしまう勢いで、何度も何度も繰り返して、畳みかけて圧をかけてきます。アメリカのオケの演奏ですが、軽やかにすぎず、ベッタリした湿気がないため聞きやすい演奏です。

CDカップリング:フランク交響曲ニ短調、交響詩呪われた狩人 1990年 出典:YouTube Franck: Symphony in D Minor, FWV 48 シンシナティ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 🥰 

フランク:交響詩「呪われた狩人」 リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1983年
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Riccardo Muti Philadelphia Orchestra

ムーティさんの演奏は、ゆったりと鷹揚に始まります。幾分、ゆったりめのテンポなのですが、華やかでありながら、渋めの音でくすんでおり、悲劇的な面を垣間見せています。テンポが上がり始めると、一気呵成に襲い始めます。打楽器と金管に威勢の良さがあり、金管のフレーズを短く切り詰め、幾分前のめりにすることで猛烈な切迫感を与えます。このあたりの進め方は、やっぱり巧いっ。また、木管と弦の風を巻き起こす音、シーンと静まるところの間合いも手慣れたモンです。

ムーティさんの演奏は、劇的な要素を満喫することができます。行間の使い方も巧いですし、息の深さもあり、まるでオペラの序曲を聴いているかのようです。思わずのめり込んで聴いてしまいました。CDカップリング:フランク 交響曲ニ短調、交響詩「呪われた狩人」1981年 出典:YouTube Le chasseur maudit, FWV 44 フィラデルフィア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ダニエル・バレンボイム パリ管弦楽団 🥰

フランク:交響詩「呪われた狩人」 クリュイタンス ベルギー国立管弦楽団 1962年 
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Daniel Barenboim Orchestre de Paris

バレンボイムさんの演奏は、クレッシェンドの強い演奏で、鐘の音も強めに入ってきます。ホルンの音色も強調されており、聴き応えのある立体的な演奏です。YouTubeにおける視聴でネックになるのは、途中で区分が入ること。あーっなんとかなりませんか。短い楽曲にインデックスが要るのかな。気分よく演奏に浸っているときに、途切れると興ざめです。ムーティさんの演奏も劇的で良かったのですが、バレンボイムさんの演奏は、ブラスの迫力勝ちという感じがします。この録音状態も奥行きがあり、劇効果があります。この押しつけがましい音の繰り出しには、なんとも抗しがたいものがあります。出典:YouTube Franck: Le Chasseur Maudit  パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドレ・クリュイタンス ベルギー国立管弦楽団 🙂

フランク:交響詩「呪われた狩人」 アンドレ・クリュイタンス ベルギー国立管弦楽団 1962年 
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 André Cluytens Orchestre national de Belgique

参考までに掲載します。サブスクを利用して聴取させていただきました。出だしのホルンは、少し速めです。出典:YouTube Le chasseur maudit, FWV 44 アンドレ・クリュイタンス – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 😨

フランク:交響詩「呪われた狩人」 シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 1962年
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Charles Munch Boston Symphony Orchestra

ワタシが所有しているCDは、カップリングが、フランク交響曲ニ短調、交響詩呪われた狩人、魔法使いの弟子、イベール交響組曲「寄港地」になっているものですが、まあ重低音の多く入った録音で、どんより、ベッタリした空気で覆われています。初めて聴くには、ちょっとタジタジしてしまうものですが、昔からの定盤という扱いになっています。録音年がさすがに古いので、お薦めできませんが、参考に掲載しておきます。

「呪われた狩人」は、ミュンシュさんの演奏では、3つに区分されています。インデックスの区分が、うーん、わかりづらいですね。これで合っているのか、バレンボイム盤、ミュンシュ盤 困ります。もしかしたら順番が間違っているかもしれません。ご了承ください。平和な日曜日の朝の風景 Le Paysage paisible du dimanche 狩 La chasse 呪い Le Chasseur maudit: La Malédiction 悪魔(鬼神)の追跡 La Poursuite des démons 出典:YouTube Le Chasseur maudit: La Poursuite des démons シャルル・ミュンシュ – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

エルネスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 🙂

フランク:交響詩「呪われた狩人」 エルネスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 1961年 
Franck: Symphonic Poem “Le Chasseur maudit”,FWV 44 Ernest Ansermet Orchestre de la Suisse Romande

参考までに掲載します。サブスクを利用して聴取させていただきました。出典:YouTube Franck: Le Chasseur Maudit スイス・ロマンド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

フランク 交響詩「呪われた狩人」【解説】

ヨハン・ヴィルヘルム・コーデス ワイルドハント

フランクの交響詩「呪われた狩人」(Le Chasseur maudit)(FWV 44)は、晩年の1882年に作曲されています。
フランクは、教会交響詩を5曲残しています。アイオリスの人々、呪われた狩人、プシシェ(プシュケ)、ジン(Djinns=鬼神)、交響的変奏曲 で、交響詩「呪われた狩人」は、ビュルガーさんという人のバラード(詩)「Der wilde Jäger」が、元ネタとしてあるようです。Gottfried August Bürger (ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー)というと、ほら吹き男爵(ミュンヒハウゼン男爵)の冒険の著者?として有名な方です。

ワイルドハント(英語: Wild Hunt、ドイツ語: Wild Jagd)は、ヨーロッパの大部分の地域に、古くから伝わる伝承で、伝説上の猟師の一団が、狩猟道具を携え、馬や猟犬と共に、空や大地を大挙して移動していくもの。猟師たちは死者あるいは妖精(民話の中で、死と関連する妖精)で、猟師の頭領は亡霊、多神教の神、あるいは精霊(男女を問わない)、または歴史上や伝説上の人物であると言われているそうです。

この狩猟団を目にすることは、戦争や疫病といった、大きな災いを呼び込むものだと考えられており、目撃した者は、死を免れなかった。他にも、狩猟団を妨害したり、追いかけたりした者は、彼らにさらわれて冥土へ連れていかれたといわれる。また、彼らの仲間に加わる夢を見ると、魂が肉体から引き離されるとも信じられていたようです。

単純に、復活祭りに、村人が止めろというのを無視して狩りに出てしまった伯爵が、永遠に魔物たちに襲われるというモノと思っていたのですが、もっと深い意味があるようです。感謝を忘れ、日曜日に狩猟で罪を犯した狩人は、夜の狩猟で罪を償う(自分の領地、領民たちが撲滅する)ことになるぞ!ということのようです。ひぇなんとっ!戒めのような楽曲だったのですね。詳細は、別途、Wikipediaをご参照ください。リンクしておきます。

フランク 交響詩「呪われた狩人」【ディスク情報】

1961年 アンセルメ スイスロマンド管 Dec
1962年 ミュンシュ ボストン響 R
1962年 クリュイタンス ベルギー国立管弦楽団 E
1983年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI
1990年 ロペス=コボス シンシナティ交響楽団 TELARC
1995年 プラッソン  トゥールーズ国立管 EMI
2009年 フランソワ=グザヴィエ・ロト ベルギー王立リエージュ・フィル Cypres

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