ドビュッシー:交響詩「海」【聴いてみよう】Debussy: La Mer, L. 111, L. 109

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ドビュッシー 交響詩「海」【名盤・おすすめ】

ドビュッシーの交響詩「海」は、次の3つの楽章で構成されています。
1 「海上の夜明けから真昼まで」 De l’aube à midi sur la mer
2 「波の戯れ」 Jeux de vagues
3 「風と海の対話」 Dialogue du vent et de la mer

パブロ・エラス=カサド フィルハーモニア管弦楽団 🙄

ドビュッシー:交響詩「海」 パブロ・エラス=カサド フィルハーモニア管弦楽団 2018年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Pablo Heras-Casado Philharmonia Orchestra

カサドさんの海は、さっぱり系で、多少、せっかちかな~と思うテンポで、まろやかな響きとは言えないです。現代音楽のような即物的なフレージングで、細切れのよう。うねり感の少ない海です。第2楽章においても、さほど色彩感がなくモノトーンです。光が射し込まない海で、弦と木管の絡みも分離気味で、サクサクと進んで終わりって感じです。CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、聖聖セバスティアンの殉教、交響詩「海」2018年録音
出典:YouTube La Mer, trois esquisses symphoniques, L. 109 フィルハーモニア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by PIAS

フランソワ=グザヴィエ・ロト ロンドン交響楽団 😶

ドビュッシー:交響詩「海」 フランソワ=グザヴィエ・ロト ロンドン交響楽団 2018年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 François-Xavier Roth London Symphony Orchestra

ロトさんの演奏は、首席客演指揮者を務めるロンドン交響楽団 バービカン・ホールにおけるライブです。古楽器オケとは違ってロンドン響なので、オケにとっては手慣れた演奏だと思うのですが、端正すぎる気がします。旋律に膨らみがなく、ペタンとした幅のなかで、風のように流れる液体でしょうか。

音としては上がり下りするのですが、うねりが少なく、ワタシには面白味の少ない演奏です。第2楽章においても色彩感に乏しく、綺麗な響きではあるのですが、一定のリズムだけで構成されており、表面的に感じます。海に情感が漂うことはありえない~って感じです。機械的すぎて、ワタシ的には相性が悪いようです。

CDカップリング:ラヴェル スペイン狂詩曲 2019年、ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」2018年録音 出典:YouTube La mer, L. 109 London Symphony Orchestra Provided to YouTube by PIAS

エマニュエル・クリヴィヌ フランス国立管弦楽団 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 エマニュエル・クリヴィヌ フランス国立管弦楽団 2017年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Emmanuel Krivine Orchestre National de France

クリヴィヌさんの演奏は、これは~ 最初のフレーズから引き込まれます。謎めいた神秘的な海であったり、怒濤のように迫り来る迫力があり、うねりも高低差があり、ワクワクするような気持ちにさせます。ぐぐっとくる高まりが感じられます。光もあり、色彩もあり、広がりもあり、嵐が来るような気配があり、予兆できる動きが、ビンビンに伝わってきます。うん~ これぞ人が演奏する音楽です。久々にときめく演奏です。CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、管弦楽のための映像、交響詩海の第3楽章ラスト(初版)ファンファーレ付きの演奏2分15秒 出典:YouTube La Mer, L. 111 エマニュエル・クリヴィヌ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 😑

ドビュッシー:交響詩「海」 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 2012年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 François-Xavier Roth Les Siècles

ロトさんと「レ・シエクル」の海は、ガット弦、細管、パリ音楽院直伝の奏法を遵守しているとのことです。このこだわりは、個性的で、存在意義のありようだと思います。新鮮に感じるパーカッションの音も、随所に聞こえて、面白味もあるのですが、どこかPCで描かれた絵画を見ているような気持ちになったりします。

年代ものの油絵とは違う風合いで、新鮮には感じるのですが、今後、肌に馴染むかどうか、うーん、わかりかねます。もっと色彩が豊かであればより嬉しいかもしれません。CDカップリング:ドビュッシー管弦楽組曲第1番(祭、バレエ、夢、行列とバッカナール)「海」2012年 ライブ 出典:YouTube La Mer, L. 109: II. Jeux de vagues (Live) レ・シエクル – トピック Provided to YouTube by PIAS

ジョス・ファン・インマゼール アニマ・エテルナ 😶

ドビュッシー:交響詩「海」 ジョス・ファン・インマゼール アニマ・エテルナ 2012年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Jos van Immerseel Anima Eterna Brugge

インマゼールさんの演奏は、当時の楽器と奏法を突き詰めているらしいのですが、うーん、よくわかりません。古楽器での演奏です。機械的というか淡々としているというか。キツイ音は、海には馴染まないのかと思います。
CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、海、映像、 2012年ライブ 出典:YouTube La mer, trois esquisses symphoniques, L. 109 アニマ・エテルナ – トピック Provided to YouTube by IDOL

ダニエレ・ガッティ フランス国立管弦楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 ダニエレ・ガッティ フランス国立管弦楽団 2011年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Daniele Gatti Orchestre National de France
CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、管弦楽のための映像 出典:YouTube La mer, L. 109 ダニエレ・ガッティ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ヤニク・ネセ=セガン グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 ヤニク・ネセ=セガン グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団 2007年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Yannick Nézet-Séguin Orchestre Métropolitain

ヤニック・ネゼ=セガンさんの演奏は、力強く波打ち、底から湧きあがり、そして色彩的な音が流れてきます。従来からの延長線上にある演奏で、特に新鮮味があるわけではないのですが、力強い流れが出ており、さらっと薄めの風合いかと思えば、なかなかに重さのある動きもあって、重さも多層的です。

細かい弦の動きにも力があり、木管の響きも埋もれることなく、煌びやかな金管とのバランスも良いのではないでしょうか。ゆったり気味の海で、心地よさを感じます。茫洋な海を、ぼーっと眺めていたいワタシには相性が良いかもです。CDカップリング:ドビュッシー「海」、牧神の午後への全奏曲、ブリテン 4つの海の間奏曲、メルキュール 万華鏡 出典:YouTube Debussy: La mer, trois esquisses symphoniques pour orchestre , L. 109 Yannick Nézet-Séguin Provided to YouTube by Universal Music Group

サイモン・ラトル ベルリン・フィル 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 サイモン・ラトル ベルリン・フィル 2004年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Simon Rattle Berliner Philharmoniker

ラトルさんの演奏は、低弦の重いうごめきから軽やかさまで、幅広い響きを出しながら、リズミカルに昇ってきます。ダイナミックさに事欠かない演奏でありながら、各パートの動きが、見通し良くブレンドされています。第1楽章のチェロの「どれっらぁ~」という中間部のフレーズにさしかかると、もののみごとに、深海に引きづり込まれます。

第2楽章の波の戯れは、しなやかで滑らか、エロティックさもあります。瞬間的に表情が変化するところが面白く、木管が浮きあがってくると、午睡を楽しむ牧神のように、幻想的で夢幻的です。魚の鱗のように、個々の楽器がキラキラ輝いてて、表情が多彩でなまめかしいものとなっています。

第3楽章の風と海との対話では、打楽器の柔らかな響きのなかで、金管が鋭く、不気味さを醸します。響きは柔らかいのですが、総体的に、ガッチリした骨格が浮かびあがります。鰯の大群のように、小さな音が、いっぱい集まって一緒に動いているかのようで、瞬時に形が変わります。うねりながら色が変わり、拍子が変わり、一撃があったり、めまぐるしいです。大きな波、縦に揺れる大きな波間に放り込まれた感じで、船酔いした面持ちにまりました。茫洋な海を想像していると、すごいしっぺ返しをくらいます。

CDカップリング:ラトル ドビュッシーとラベル作品集5枚組BOX 牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」、おもちゃ箱A・カプレ編曲版、前奏曲第1巻、前奏曲第2巻C・マシューズ編曲 出典:YouTube Debussy La Mer, CD 111, L. 109 Simon Rattle Provided to YouTube by Warner Classics

マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

ドビュッシー:交響詩「海」 マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ管弦楽団 2007年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Mariss Jansons Royal Concertgebouw Orchestra

ヤンソンスさんの海は、オケの美音でゆったり描かれています。いつも聴いてて安心するようなコンセルトヘボウの音で満たされます。CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、デュティユー ヴァイオリン協奏曲「夢の樹」、ラヴェル ラ・ヴァルス 2007年録音 出典:YouTube La Mer, L. 109 (Live) Concertgebouworkest Provided to YouTube by Royal Concertgebouw Orchestra

準・メルクル フランス国立リヨン管弦楽団 

ドビュッシー:交響詩「海」 準・メルクル フランス国立リヨン管弦楽団 2007年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Jun Märkl Lyon National Orchestra
CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への全奏曲、交響詩「海」、遊戯、子供の領分 2007年 ★ YouTubeにおいては54本の動画が掲載されています。出典:YouTube La mer, L. 109 Lyon National Orchestra – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

シルヴァン・カンブルラン バーデン=バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 シルヴァン・カンブルラン 南西ドイツ放送交響楽団 2004年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Sylvain Cambreling SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg

CDカップリング:ドビュッシー 管弦楽のための映像 2001年、神聖な舞曲と世俗的な舞曲 2004年、交響詩「海」2004年録音 出典:YouTube La mer, L. 109: II. Jeux de vagues バーデン=バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

クラウディオ・アバド ルツェルン祝祭管弦楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 クラウディオ・アバド ルツェルン祝祭管弦楽団 2003年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Claudio Abbado Lucerne Festival Orchestra
CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、マーラー 交響曲第2番 2003年録音 出典:YouTube Debussy: La mer, CD 111 ルツェルン祝祭管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 😫

ドビュッシー 交響詩「海」 ダニエル・バレンボイム シカゴ交響楽団 2000年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Daniel Barenboim Chicago Symphony Orchestra

バレンボイムさんの演奏は、最近は、軽やかにスピーディな演奏が多いように思いますが、ヌケがイマイチで、重く平板で暗い縁巣です。躍動感が少なめなので、主題が変容して波を描いていても、楽器の特性が生きてない感じです。木管も、トレースされたような感じではなく、全体的にどんよりと曇り空となっています。第1楽章ラストのホルンの主題も、太陽の光が射し込んできたというよりは、悲劇の幕開けのような~。どんより、どどどぉ~っと響きます。

第2楽章の細かい動きも、ハープ、木管の響きが俊敏ではなく、主題が重層的に描かれる場面も重いですね。高揚感も少なめです。第3楽章では、ごろごろ暗い風雨の海で、リアル感はあるのですが、デッドな響きで、まったくいかさない演奏でした。ごめんなさい。CDカップリング:ストラヴィンスキー春の祭典、ドビュッシー 交響詩「海」、ブーレーズ ノタシオン第7番 出典:YouTube Debussy La Mer, L. 111, L. 109 Daniel Barenboim Provided to YouTube by Warner Classics International

ロリン・マゼール ウィーン・フィル 😂

ドビュッシー:交響詩「海」 ロリン・マゼール ウィーン・フィル 1999年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Lorin Maazel Wiener Philharmoniker

マゼールさんの演奏は、動かないものでも、力づくで動かしてみよう~って感じです。鳴かねばコロしてしまえ~的な、幾分強引なうねりを作りだしてきます。これじゃー海ではなく、大型プールの人工波じゃんという感じでしょうか。まあ面白がって聴けちゃうんですけどね。せっかく、VPOの演奏なのだから、もっと艶っぽく、うねって欲しいのですが、弦もハープも木管も綺麗なのに、何故なんでしょう流麗には聞こえなかったです。変だなあ。作為的すぎたのかもしれません。もしかしたら、ワタシの感性がイマイチなのかもしれませんので、また、聴いてみます。
CDカップリング:ドビュッシー バレエ音楽遊戯、交響詩「海」、夜想曲 1999年録音 出典:YouTube La mer: Dialogue du vent et de la mer ロリン・マゼール – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

ジャン・フルネ チェコ・フィル

ドビュッシー:交響詩「海」 ジャン・フルネ チェコ・フィル 1999年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Jean Fournet Česká filharmonie
CDカップリング:ドビュッシー 夜想曲、交響詩「海」1963年録音、映像 1965年録音 出典:YouTube La mer. Trois esquisses symphoniques チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Supraphon 

エサ=ペッカ・サロネン ロサンジェルス・フィル 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 エサ=ペッカ・サロネン ロサンジェルス・フィル 1996年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Esa-Pekka Salonen Los Angeles Philharmonic Orchestra

サロネンさんの演奏は、想像どおり、とってもクールです。でも、静かな雰囲気を持ちつつ、意外と活き活きとした動きが垣間見られて面白いです。落ち着いた面を見せつつ、細やかな音の動きがとらえられると、随所に面白く感じられます。煌びやかな色彩感たっぷりの海ではないし、光が射し込んできたとわかると、さらっと音を浮かび上がらせては、すーっと沈み込みます。息づかいも、さらっとしていながら、キレのあるリズムで、サクサクと進みます。音が多彩で、奥行きも広がりもあり、見通しの良いものです。

細い音の糸があちこちに見えるのですが、すっきりした色合いで、雑駁な感じを与えないところが凄いです。こまかな音が合わさると、綺麗な海になるんだ~という感じが、すごくします。音が混濁しないので、驚きのマナコで聴いてしまいました。(アハハ~っ、ちょっと変な表現だけど)静かな海を見ているようで、海の底では、いろんな出来事が起こっているんだよ~と言っているみたいで~ 見え隠れする音の積み重ねを、総体的に聴くことができるような感じです。面白いです。

CDカップリング:ドビュッシー 管弦楽のための映像、牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」 出典:YouTube La mer, L. 109 Esa-Pekka Salonen Provided to YouTube by Sony Classical

カルロ・マリア・ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

ドビュッシー:交響詩「海」 カルロ・マリア・ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 1994年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Carlo Maria Giulini Royal Concertgebouw Orchestr

第1曲「海上の夜明けから正午まで」:ジュリーニさんの「海」は、このCDが3度目の録音になるようです。1962年フィルハーモニア管弦楽団、1979年ロス・フィルとの演奏があります。少し音像ピント甘めのようで、ティンパニの音が大きく、ゆったり、おおらかな豊穣な海です。奥まったところから、ボボボ・・・っと鳴っています。

夜明け間近の雰囲気のなか、楽章のラストで、太陽が姿を現し、光が射し込んできたところのシーンに焦点があたっており、ホルンで盛りあがってからのティンパニは、怖いほどリアルな音で、パパンっ タタァ~ん! おおっ、日の出! ここんところは面白いですね。ティンパニと銅鑼のシャーンという音がリアルです。

第2曲「波のたわむれ」:波打ち際で耳を澄ませていると、多彩でリズミカル。揺れる感じの表情が細やかです。テンポはゆったりしていますが、音が細分化されて、緻密な音を構成している楽器の音が聞こえます。

第3曲「風と海との対話」:ゆったり、もわっとしたなかで対話が始まります。低弦の迫力、ティンパニの音はインパクトがあります。金管が、もう少し立体的に響いてくると嬉しいかなあ。きっと細部にこだわった演奏なのでそうが、全体的にほんわかしています。

CDカップリング:ドビュッシー交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、ラヴェル 亡き王女のパヴァーヌ、組曲 マ・メール・ロワ(1989年) 出典:YouTube La mer, L. 109 カルロ・マリア・ジュリーニ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1993年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Riccardo Muti Philadelphia Orchestra 

CDカップリング:リッカルド・ムーティ・コンダクツ・フィラデルフィア管弦楽団 シューベルト交響曲第9番1986年、第4番、第6番1987年m第3番、第5番 1988年、8番未完成、1番 1990年、第2番、ロザムンデ1993年、1997年ニューイヤーコンサート VPO、2000年ニューイヤーコンサート VPO 出典:YouTube La Mer, CD 111, L. 109 フィラデルフィア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics 

ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 😘

ドビュッシー:交響詩「海」 ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1993年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Pierre Boulez Cleveland Orchestra

第1曲「海上の夜明けから正午まで」:ブーレーズさんの演奏は、見通しが良く、多彩な音が精緻に聞こえます。太陽が昇ってくるまでの時間は、深夜の月を映し出すかのように青白く光って、静寂さ、冷えた海水がイメージされます。木管、高音域のヴァイオリンが妖しい雰囲気です。低弦の響きが、密やかにまろやかに波うっています。

チェロの響きが人の声に聞こえ、神聖なもので護られているかのよう。近寄ってはいけないように感じます。ここは鳥肌モノです。夜明けが近づくにつれ、動きが激しさを増していく描写は、リアルです。繊細な「どれっふぁ~ どれっふぁ~」と奏でる柔らかい響きがたまりません。ティンパニが、神社でのお祓いの太鼓にも感じられます。幽玄って感じでしょうか。水の粒が、ふつふつと立って、銅鑼は、シャン~っと煌びやかに余韻を残します。

第2曲「波のたわむれ」:ミュート付きのトランペット 短いパッセージが、メチャメチャ巧くて印象的です。パーカッションの響きが鋭く、スパイスのように効いてきます。鉄琴も、キラキラ~ 色彩感がありすぎて、耳がうるうるしちゃいます。明度は高いが彩度は控えめ。でも、情熱的な演奏で耳がピクつきます。多彩な音が、我が部屋に響き渡って、南欧の海辺に飛ばされてしまった感じです。

第3曲「風と海との対話」:低弦が、海の底をゴロゴロ。暴れうねっています。トランペットが強く印象的に聞こえてきます。オケの音量を調整して、海の深さを感じさせる演出でしょうね。ティンパニ、銅鑼は遠く、木管や金管は、近いところで聞こえてくる感じです。

静まった後の木管が、細かな弦の波動を、すーっと通っていきます。金管の短いパッセージを伴っての奏でられる弦は、思わず声をあげたくなるような多彩な色を放っています。また、テンポのあげかたが絶妙で、やばっ。これは拍手拍手ですね。細やかな表情で、多層的な響きが素敵な演奏でした。見どころ聴きどころが、随所にあり、ドビュッシーの海って、こんなに綺麗だったのと改めて驚きました。

CDカップリング:ドビュッシー夜想曲、クラリネットと管弦楽のためのラプソディ第1番(1991年)クラリネット: フランクリン・コーエン Franklin Cohen、バレエ「遊戯」、交響詩「海」 出典:YouTube Debussy: La mer, L. 109 クリーヴランド管弦楽団 – トピック Cleveland Orchestra – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 ヤン・パスカル・トルトゥリエ アルスター管弦楽団 1991年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Yan Pascal Tortelier Ulster Orchestra

ドビュッシーの海っていうと、どこかほの暗く、夜明け前から始まるのだと思っていたのですが、トルトゥリエさんの演奏は、とっくに朝日は昇ってきており、キラキラした感じがします。推進力があり、爽やかで明瞭な演奏です。パーカッションが活発で、賑やかで豊かな色合いで煌めいています。薄雲のなかに、太陽が顔を出すか出さないか気を揉むこともなく、スイスイっと湖面を渡っていく水鳥の足取りのように太陽が明るくなります。

トルトゥリエさんのパパは有名なチェリストで、フランス人だから、茫洋ともわっとした演奏かと思っていたのですが、イタリア人かしらんと思うほど、抜けるような明るい青空がイメージされます。まるでラヴェルみたいなんだけど~ それが楽しいです。理屈抜きに楽しく聴けちゃう演奏でした。

CDカップリング:ドビュッシー管弦楽作品全集4枚組BOX CDカップリング:交響詩「海」、夜想曲、交響組曲「春」、牧神の午後への前奏曲、映像3曲、遊戯、カンマ、おもちゃ箱、子供の領分、小組曲、民謡の主題によるスコットランド行進曲、スティリー風タランテッラ、幻想曲、クラリネットのための第1狂詩曲、神聖な舞曲と世俗の舞曲、サクソフォンと管弦楽のための狂詩曲、サラバンド、喜びの島、レントより遅く、ベルガマスク組曲月の光 出典:YouTube Debussy La Mer, L. 109 Yan Pascal Tortelier – トピック Provided to YouTube by PIAS

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1989年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal

第1曲「海上の夜明けから正午まで」テンポよく、輪郭がとろけたような響きがあります。爽やかで、春の海のイメージでしょうか。まろやかな響きと豊かな色彩を持っています。リズミカルで、テンポよく、ふわふわ~っと奏でられており、明るめで軽めの重量感です。とても柔らかく伸びがあって、弾力性があります。段々と太陽が昇ってきているのが感じられる木管の響き。華やかな春の海という印象を受けます。

第2曲「波のたわむれ」は、フルートやクラリネットの音色が、鮮やかです。クリーミーな音でありながら濁らないで次々と速いフレーズを繰り出してくる手腕に驚かされます。第3曲「風と海との対話」では、コントラバスとティンパニの響きで、嵐なんだ。嵐が来るんだ~と緊張します。低弦が、「タタタタ タン タタタタ タン・・・」ゴロゴロと鳴っています。ミュート付きのトランペットが、風の到来なのでしょうか。波の間を鋭く抜けていきます。風と海の対話というタイトルですが、予感・予言のように、風が強く前からの兆候を感じます。その兆候の役割をしているのが、木管でしょうか。木管の役割が大きいですね。複数の旋律美を追いかけ、響きを楽しむことができます。

CDカップリング:ドビュッシー 海、遊戯、聖セバスチャンの殉教、牧神の午後への前奏曲 出典:YouTube Debussy La Mer, L. 111, L. 109 チャンネル:モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

レナード・バーンスタイン 聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団 😅 

ドビュッシー 交響詩「海」 レナード・バーンスタイン 聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団 1989年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Leonard Bernstein Orchestra dell’Accademia Nazionale di Santa Cecilia

バーンスタインさんの演奏は、重量感があり、重みを感じる波が大きく打ち寄せてきます。夜明け前のシーンは、ゴロゴロした海底の蠢きが、「波の戯れ」では、大きなうねる波の映像が、「風と海との対話」では、嵐にもみくちゃにされて、勢いある波が襲いかかってくるかのようです。ダイナミックな、波のバッシャーン!という音が感じられます。

CDカップリング:ドビュッシー 映像、牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」1989年ライブ 出典:YouTube Debussy: La mer (Live) サンタ・チェチーリア国立アカデミー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

マルク・スーストロ フランス国立ロワール管弦楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 マルク・スーストロ フランス国立ロワール管弦楽団 1986年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Marc Soustrot Orchestre philharrmonique des pays de Loir

CDカップリング:ドビュッシー海、ラヴェル ダフニスとクロエ組曲第2番、ドビュッシー牧神の午後への前奏曲、ラヴェル 亡き王女へのパヴァーヌ 出典:YouTube La mer, trois esquisses symphoniques: Dialogue du vent et de la mer フランス国立ロワール管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Believe SAS

ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 

ドビュッシー:交響詩「海」 ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 1986年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Vladimir Ashkenazy The Cleveland Orchestra 
CDカップリング:牧神の午後への前奏曲、夜想曲、交響詩「海」出典:YouTube Debussy: La Mer, L.109 クリーヴランド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1985年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Herbert von Karajan Berlin Philharmonic Orchestra

カラヤンさんの演奏は、豊穣で華麗、綺麗な海だと思います。弦の響きは透き通った細い絹糸みたいだし、フルートは、輝いています。音に艶があるのは、みごとだと思います。特に高音域になると輝きが増して、ピンっと張った音の質感が綺麗です。低弦は太めに響き、それが深さを感じさせます。チェロのセッションが柔らかく、泡立つような波を描いていきます。最後、荘厳的に奏でられ、天高く正午の海を迎えましたという感じがします。

第2曲「波のたわむれ」は、さわ~っと、ほの温かいフルートやクラリネットの音に、トライアングルが重なってきます。細かいフレーズが寄せ集まって、波の戯れとなっていますが、クールで緻密。低弦は、幾分硬さがありますが、高音域にスポットが当たっているようです。リズムカルで楽しげだし、歌心があります。

第3曲「風と海との対話」は、海の底での蠢きがあり、威力が増しています。被さってくる金管の響きが、神々しく音に照りがあります。自然の対話というよりは、機関車のような運動機能性を感じます。ちょっと機械的ですが、荘厳で、ハレの海だと思います。CDカップリング:ドビュッシー交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、ラヴェル 亡き王女のためのパヴァーヌ、ダフニスとクロエ第2組曲 出典:YouTube Debussy La Mer, L. 111, L. 109 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1983年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 André Previn London Symphony Orchestra

プレヴィンさんの演奏は、上昇しながら滑らかなフレーズで、ふわーっと膨らんでくるところが巧いです。音色は渋いのですが、これが良さだと思います。音の粒立ちが明瞭で、輪郭がはっきり。しかし、柔らかな響きが残ります。デュトワ盤のように、形、輪郭がなくなって風景にとけ込むという感じではなく、各声部が良く聞こえ、ヴァイオリンの高音域は、唸ってしまうほど際立って聞こえます。弦の響きがメインで、あまり目立たないがチェロに色艶があって、深みを増してきます。所謂、フランス風な音ではないのですが、絹のような肌触り(耳触り)が感じられます。

で、ラストでは、猛烈なパワーと音量で、いきなり大波がやってきます。ざばーんっ! 退潮していき、サワサワと波がいっせいに引いて、パワーを溜め込んでの大波です。演出が細かいです。CDカップリング:ドビュッシー交響詩「海」、夜想曲、ラヴェル 高雅にして感傷的なワルツ、道化師の朝の歌(ロイヤル・フィル) 出典:YouTube Debussy La Mer アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

マイケル・ティルソン・トーマス フィルハーモニア管弦楽団 🤩

ドビュッシー:交響詩「海」 マイケル・ティルソン・トーマス フィルハーモニア管弦楽団 1982年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Michael Tilson Thomas Michael Tilson Thomas The Philharmonia Orchestra

MTT(マイケル・ティルソン・トーマス)さんの演奏は、ちょっぴり速めに展開され、シャリ感のある風の心地良い演奏です。とても、スマートで颯爽としており、ハープ、シンバルの音などがリアルです。かなり色彩が豊かで、表情が豊かです。そして、すごく綺麗なのです。波間に浮かぶ光が綺麗です。さすが、繊細な美意識が立っていますね。

田舎くさい海って感じではなく、どこかリゾート地の海辺のようでもあり、まるで、サーファーが喜びそうなウェーブが出現したかのようです。つま弾くハープの音も、キリッとして透明度の高い演奏で、音型の繰り返しに勢いがあり、快感を覚えます。風に乗った鳥のように木管が吹かれ、そよぐ風に乗っかって自在に飛ぶカモメのよう。

すごい!すわーっと、勢いよく、波が立って、風が渡っていくような風景がイメージされます。金管と弦のきらめく音が、斜めに折り重なって、光を反射するような感じですし、縦に揃うのではなく、妙に斜めに被さってくるように聞こえます。ワタシには、光よりも風を感じました。楽しく戯れる様相です。

第3楽章「風と海との対話」では、大太鼓、低弦の響きが大きく、暗澹たる海が表現されています。金管がけたたましく、警告を発しているような感じで鳴ります。速いテンポで畳みかけ、折りたたまれたフレーズに、劇的な効果が生まれます。まるで、サーフィンを楽しむように、次々に繰り出される音の波を楽むことができます。CDカップリング:ドビュッシー「海」「夜想曲」 出典:YouTube La Mer, L. 109 マイケル・ティルソン・トーマス – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

アラン・ロンバール ストラスブール・フィル 😅

ドビュッシー:交響詩「海」 アラン・ロンバール ストラスブール・フィル 1978年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Alain Lombard rchestre Philharmonique de Strasbourg

ロンバールさんの演奏は、明るく元気です。さほど立体的には響かないのですが、圧倒的な打楽器軍団にやられます。この迫力は、意図した録音なのでしょうか、ライブだとはこうはならないと思います。ティンパニの打ち込みが強烈ですし、弦よりパーカッション、弦よりトランペットと、全体でまったり響くのではなく、その時に活躍してほしい楽器に焦点をあてている感じがします。ラストは、イルカショウで、バッシャーンっと水しぶきをかぶった感じでした。ちょっとやり過ぎかもしれません。

CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲1975年、交響詩「海」、夜想曲 1978年、アラン・ロンバール ストラスブール・フィル、クラリネットと管弦楽のための第1狂詩曲 1980年頃 ジョルダン モンテカルロ劇場管 出典:YouTube La Mer, CD 111, L. 109 アラン・ロンバール – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

ダニエル・バレンボイム パリ管弦楽団

ドビュッシー:交響詩「海」 ダニエル・バレンボイム パリ管弦楽団 1978年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Daniel Barenboim Orchestre de Paris
CDカップリング:ドビュッシー 夜想曲、牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」1978年録音 出典:YouTube Debussy: La mer, L. 109 パリ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ベルナルド・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 😥

ドビュッシー:交響詩「海」 ベルナルド・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 1976年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Bernard Haitink Royal Concertgebouw Orchestra

ハイティンクさんの演奏は、もっと艶のある音が出るはずなのに、地味です。コンセルトヘボウなのに、こんなに、全体的に暗く、闇の海という感じで終始するなんて~ もったいないと思います。くすんだ色彩感覚で、決してこの指揮者は、マルティノンのように、キラキラと派手には演出しません。もわ~っとした夜の雰囲気が残る夜明け前で、まろやかで柔らかいトーンで満足してしまいます。三連符がもっさりしています。多分、低弦の響きが籠もっているのではないでしょうか。ホルンきが、とても柔らかくて美しいのですが、ちょっと混ぜすぎかもしれません。

ホント、いつになった夜明けになるのやら。 急峻な崖が続くアイスランドや、バイキングが出てきそうな北海という感じでしょうか。乗っていた船は、巌にぶつかり沈没しました~って、海で漂って不安げな気分です。

CDカップリング:ハイティンク・コンセルトヘボウ ドビュッシー管弦楽集2枚組BOX 英雄的な子守歌 エドゥアルト・ヴァン・ベイヌム指揮1957年、映像 1977年、遊戯 79年、スコットランド行進曲、牧神の午後への前奏曲、夜想曲、交響詩「海」、クラリネットと管弦楽のための狂詩曲 1976年、神聖な舞曲と世俗的な舞曲 77年出典:YouTube Debussy: La mer, CD 111 Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 🤩

ドビュッシー:交響詩「海」 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1976年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティさんの交響詩「海」は,後年1990年に再録されています。ここではシカゴ響の76年の録音ですが、各パートも良く聞こえ、繊細かつダイナミック。第1楽章の「海上の夜明けから正午まで」では、曲の立ち上がりが俊敏で速い。つま弾くハープの音も良く聞こえ、金管の通りも良いですね。

シカゴ響の音は、ちょっと乾いてて明るめ。くっきりしており、ドライな感じですが、機能的で高音域の弦が、硬く鋭く響きます。気持ちが良いほどキレが良く、バックの弦であるトレモロが鋭利なリズムを刻みます。メインとなるフレーズと、リズムを刻むフレーズが絡み合っていますが、リズムを刻む方がキッパリした口調です。

第2楽章「波のたわむれ」では、色彩が豊かで、官能的で、ミュート付きのトランペットが眠気を吹っ飛ばします。オチャメで天真爛漫。運動体としての波が、みんな元気~って感じで鳴っています。第3楽章「風と海との対話」では、海底の蠢きが表されており、キレ良く、パンっ。パンっと区切りがついて面白いです。ミュート付きの金管が、舞台裏の遠くから吹かれ、とても効果的です。弦が波を大きく描き、管が風を細かく、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」ビックウェーブを見ているようです。

CDカップリング:ムソルグスキー組曲「展覧会の絵」、ラヴェル組曲「クープランの墓」、ドビュッシー交響詩「海」 出典:YouTube Debussy: La Mer, L.109 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

カルロ・マリア・ジュリーニ ロサンゼルス・フィル 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 カルロ・マリア・ジュリーニ ロサンゼルス・フィル 1979年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Carlo Maria Giulini Los Angeles Philharmonic Orchestra

ジュリーニさんの演奏は、海のうねりよりも、波に反射する光に焦点があたっている感じがします。多彩な音の響きが良く聞こえます。しかし、低弦の響きはイマイチ埋もれがち。総体的に腰高な響きでしょうか。ロス・フィルとの演奏は1994年のコンセルトヘボウ管弦楽団とのようには、重くも、まったりもしておらず、シャリ感のある金管、刻む弦の響きも明確です。ティンパニの打ち込みも、ここっ!という時に、しっかり叩かれています。彩度が高めで、木管の輪郭線が強いことが、明るい太陽のもと、燦々と降り注ぐ太陽がイメージされています。

湿度の少ない、さらーっとした空気と青い空の広がる海というイメージです。「ジュリーニ・イン・アメリカ」とタイトルされた、ロス・フィルとの6枚組BOXがあり、ドビュッシーの海と、ブリテンの「テノール、ホルンと弦楽のためのセレナーデ」、「テノールと弦楽オーケストラのためのイリュミナシオン」が、カップリングされたCDもあります。CDカップリング:ドビュッシー交響詩「海」、管弦楽のための映像 マイケル・ティルソン・トーマス ボストン響1971年録音 出典:YouTube Debussy: La mer, L. 109 LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group

ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 😍

ドビュッシー:交響詩「海」 ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 1973年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Jean Martinon Orchestre National de l’ORTF

マルティノンさんの海は、さすがに、痛快というほどにシャリ感があります。瑞々しさと色彩感は、昔から定評のある名盤ってわけです。まあ、ここから抜け出せずにいるとも言えるのですが~ 刷り込まれた感覚は、そう簡単には拭えないです。ピリオド奏法のチャレンジ演奏がありますが、ワタシ的には違和感がありすぎです。

ヴィヴラートをかけた音の波動が伝わってくる感覚や、ティンパニの震える残響が、面白く感じられる要素です。これがないと~ ねえ。マルティさんの演奏は、南欧のちょっぴり陽気で、よく喋るお洒落なマダム風の海という感じです。CDカップリング:ドビュッシー、ラヴェル管弦楽曲集8枚組BOX La Mer, CD 111, L. 109 ジャン・マルティノン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

エルネスト・ブール 南西ドイツ放送交響楽団 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 エルネスト・ブール 南西ドイツ放送交響楽団 1968年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Ernest Bour Sinfonieorchester des Südwestfunks

ブールさんの海は、カラフルで、どこかミンシュ盤の演奏を思い出します。パーカッションが目立つ演奏で、それが面白いのですが、大柄で身ぶりの大きいフレージングです。少し残響が多めで、水しぶきを多めにかぶってしまいそう。第3楽章では、悲痛な叫び声のように金管が叫びます。甲高い金管に、および腰になってしまいました。CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、カンマ、遊戯 出典:YouTube La mer, trois esquisses symphoniques, L. 109 Sinfonieorchester des Südwestfunks – トピック Provided to YouTube by naïve classique

ピエール・ブーレーズ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 🥰

ドビュッシー:交響詩「海」 ピエール・ブーレーズ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 1968年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Pierre Boulez New Philharmonia Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、音型が見えてくるような動きをします。規則正しく音符がならんで登場してくるような、なんていうか理系の脳味噌タイプの演奏って感じで、スマートで見通しの良いものです。特に、ダイナミック、シンフォニックに演奏されていないので、雰囲気はクールなのですが、なんか面白そうって、覗き見たくなるような秘密の扉みたいなものがあるかのよう。涼しげな表情で、普通に演奏しても、こんな風に波が立って来るんだぜーって言われているみたいです。隣に座る秀才が、綺麗に整理されたノートを見せてくれたみたいで~ だはっ。そうなんですね。妙に納得する自分がいます。(凡才の駄耳だから~ これだけ整理されてくれたら、わかりやすいーっ 単純に喜びます)

CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、遊戯 1966年録音 出典:YouTube La mer, L. 109 ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 🤩

ドビュッシー:交響詩「海」 ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリン・フィル 1964年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Herbert von Karajan Berliner Philharmoniker

カラヤンさんの海は、1985年で都合4回録音しているとのことで、1953年、64年、77年(EMI)85年の録音があります。さすがに53年録音のCDはないように思いますが、まあ~CD棚にあったらご紹介します。で、ダイナミックな演奏に仰天します。木管も綺麗に入っていますが、ガツンっとティンパニが叩かれ怖いくらいです。海というよりも、岸壁に建つ堅牢な城という感じです。第2楽章は明るく色彩的ですが、フルートやハープがキレキレに入って素早い運動をしています。メッチャ忙しく働く上司を見ているようで、あちゃー厳しいっ。

第3楽章は、雷が海面に落ちそうなくらい、キリキリ胃が痛くなるような演奏で、緊張感が漂い、畏怖を抱くような海です。頭脳明晰な演奏で、ワタシの駄耳には、タイトだーっ! ホント茫洋と聴いてたら、怖い上司の雷が落ちそう~ 眼から火花が出そうです。CDカップリング:ドビュッシー 交響詩「海」、牧神の午後への前奏曲、ラヴェル ダフニスとクロエ組曲第2番 1964年 出典:YouTube Debussy: La mer, L. 109 Herbert von Karajan Provided to YouTube by Universal Music Group

エルネスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 😣

ドビュッシー:交響詩「海」 エルネスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 1964年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Ernest Ansermet Orchestre de la Suisse Romande

アンセルメさんの演奏は、冷たい海水温で光が届かない感じがします。即物的だとは言わないまでも、やっぱクールでしょうか。いつまでも夜明け前という感じですね。CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」1964年、夜想曲、交響組曲「春」ビュッセル編曲版 1957年録音(海を除く)出典:YouTube Debussy: La Mer, L.109 スイス・ロマンド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

イーゴリ・マルケヴィチ ラムルー管弦楽団 😣

ドビュッシー:交響詩「海」 イーゴリ・マルケヴィチ ラムルー管弦楽団 1959年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Igor Markevitch Orchestre des Concerts Lamoureux

マルケヴィッチさんの演奏は、オケ奏者のしごきが始まって、ビシッとなったオケらしいです。アニメの「のだめカンタービレ」を思い出しちゃいます。ゴリゴリという感じもしますが、カッチリ演奏されています。でもなあ。ちょっと怪しく怖い感じがします。ハープの音は、まるで神降ろしのお琴のようです。ワタシの偏見かもしれませんが。
CDカップリング:マルケヴィッチ 9枚組BOX グノー シオ第2番、ビゼー 組曲子供の遊び、ドビュッシー 海、神聖な舞曲と世俗的な舞曲 出典:YouTube Debussy: La Mer, L.109 イーゴリ・マルケヴィチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

エドゥアルト・ファン・ベイヌム コンセルトヘボウ管弦楽団 😉

ドビュッシー:交響詩「海」 エドゥアルト・ファン・ベイヌム コンセルトヘボウ管弦楽団 1957年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Eduard van Beinum Royal Concertgebouw Orchestra

ベイヌムさんの演奏は、海というより女性を描いたもののように感じられます。エロティックな海という感じです。なんか木管のフレーズって、こんなくねっとしてましたっけ。ちょっとビックリ。ハイティンクさんがコンセルトヘボウ管に抜擢された経緯で(ベイヌムさんが急逝されてしまったので~)名前は存じ上げていたのですが、中古で買ったとおぼしきCDが、棚の奥に複数あった程度で聴いてこなかったんですよね。で、今回、サブスクを利用して拝聴して、くにゃっとした曲線の波を感じます。

CDカップリング:ドビュッシー 夜想曲、交響詩「海」1957年、映像 1954年録音 デッカ、フィリップス両方のレーベルから発売されたCD44枚組BOXがあります。多過ぎっ! YouTubeでは、6枚組BOXからの掲載です。出典:YouTube Debussy: La Mer, L.109 エドゥアルト・ファン・ベイヌム – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 シャルル・ミュンシュ ボストン交響楽団 1956年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Charles Munch Boston Symphony Orchestra

ミュンシュさんの演奏は、ステレオ録音で、リマスタリングされています。渋いちょっと重めの恰幅の良い演奏ですが、意外と第3楽章は速いです。第1楽章「海上の夜明けから正午まで」は、ミュート付きのトランペット、ハープが前に出てきていますし、弦は太めに響きます。オーボエは、ひらべったい特徴のある響きです。低音域が響きますが、弦と木管の見通しが良く、いろんな楽器が登場してくるのがわかります。さざ波を描く音が、語尾が短めでキレが良く、輪郭線が明確です。ティンパニを推進力にして、ガッシリ。

第2楽章「波のたわむれ」においては、幻想的です。色彩は、さほど豊かではありませんが、ハープとホルンが、とろけるように弦に乗ってきます。各楽器間での対話が楽しいです。第3楽章「風と海との対話」においては、コントラバスとティンパニが、海底でゴロゴロ~ 怖さが感じられるほどに鳴ります。風のようなミュート付きのトランペット。うねりの高低差が大きく、小刻みに吹かれるミュート付きのトランペットが、せわしく波立てています。速いですね~。この年代でこの速さ。疾走感ある力強い演奏です。

CDカップリング:ドビュッシー「海」1956年、「牧神の午後への前奏曲」、夜想曲~雲・祭 1962年、映像~イベリア 1957年 出典:YouTube La Mer, L. 109 シャルル・ミュンシュ – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

ポール・パレー デトロイト交響楽団 🙂

ドビュッシー:交響詩「海」 ポール・パレー デトロイト交響楽団 1955年
Debussy: La Mer, L. 111, L. 109 Paul Paray Detroit Symphony Orchestra

パレーさんの演奏は、ダイナミックな波が襲ってくる感じで、とても力強い演奏です。55年というかなり古い録音ですが、マーキュリーレーベルの素晴らしい録音テクに驚きます。ご参考まで。CDカップリング:ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲、交響詩「海」1955年、夜想曲「イベリア」1961年録音 出典:YouTube Debussy: La mer, L. 109 デトロイト交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ドビュッシー:交響詩「海」【解説】

ドビュッシーの「海」~管弦楽のための3つの交響的素描~(La Mer)は、1905年に完成されています。第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」、第2楽章「波の戯れ」、第3楽章「風と海との対話」というように副題がついた3つの楽章で構成されています。循環形式で、第1楽章と第3楽章は緊密な関係にあります。

第1楽章「海上の夜明けから真昼まで」De l’aube à midi sur la mer
低音の「ロ」音の上に、ハープが完全5度(嬰ヘ音)、長6度(嬰ト音)の響きを作り、チェロが16分音符+付点8分音符のリズムと、2度の音程の動きを持つ動機を提示します。コーラングレとミュートをつけたトランペットによって、アーチ型の主題が提示され、木管による主要主題、ホルンによる主題の前半と、四部に分かれたチェロによって奏される後半に大きく二分されていきます。動機がいろんな楽器に現れ、合わさって行くところが面白いです。

第2楽章「波の戯れ」Jeux de vagues
一種のスケルツォ楽章で、全音音階的な主要主題がコーラングレによって提示されます。トリルを伴った弦楽器による主題やホルンによる経過句からの派生、トランペットの動機が、形を変えて複雑に組み合わされるものです。

第3楽章「風と海の対話」Dialogue du vent et de la mer
ティンパニとバスドラムのロールに始まり、チェロとコントラバスが、半音階で上行する三連符を含む主要動機を提示します。コーラングレとクラリネットが、第1楽章の主題を再現し、トランペットも再現します。木管が新しい第3楽章の主要主題を提示し、繰り返しながら展開していきます。途中、第1楽章のコーダで登場したコラール風の主題が現れ、2回目のコラール風主題の後、コーダとなって「変二」音で全曲を締めくります。主題の形が変容していく姿は、波模様のようで~ 最期にはオスティナートとなります。

波が光っているかのようにキラキラとしており、とても魅力的な楽曲です。主題を追っかけて聴くのも良いですが、ぼーっと聴いても、エネルギッシュな海、穏やかで内省的な海など、演奏家によって表現が異なり、音楽の多様性を満喫できる曲のひとつだと思います。

ドビュッシー:交響詩「海」【ディスク情報】

1955年 ポール・パレー デトロイト交響楽団 MERCURY
1956年 ミュンシュ ボストン交響楽団 R
1957年 エドゥアルト・ファン・ベイヌム コンセルトヘボウ管弦楽団 Dec
1959年 マルケヴィッチ ラムルー管弦楽団 G
1964年 アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 Dec
1964年 カラヤン ベルリン・フィル G
1966年 ブーレーズ ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 SC
1968年 エルネスト・ブール 南西ドイツ放送交響楽団 SWR
1973年 マルティノン フランス国立放送管弦楽団 EMI
1974年 ジュリーニ ロサンジェルス・フィル G
1976年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1976年 ハイティンク コンセルトヘボウ Ph
1978年 バレンボイム パリ管弦楽団 G
1978年 アラン・ロンバール ストラスブール・フィル E
1982年 マイケル・ティルソン・トーマス フィルハーモニア管弦楽団 SC
1983年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI
1985年 カラヤン ベルリン・フィル G 
1986年 アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 Dec
1986年 マルク・スーストロ フランス国立ロワール管弦楽団 Forlane
1989年 バーンスタイン 聖チェチーリア国立音楽院管弦楽団 G
1989年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec 
1991年 トルトゥリエ アルスター管弦楽団  CHANDOS 
1992年 チェリビダッケ ミュンヘン・フィル EMI 未掲載
1993年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 G 
1993年 クリヴィヌ リヨン管弦楽団 DENON 未掲載
1993年 ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 EMI
1994年 ジュリーニ コンセルトヘボウ管弦楽団 SC
1996年 サロネン ロサンジェルス・フィル SC 
1999年 フルネ チェコ・フィル Ar
1999年 マゼール ウィーン・フィル R
2000年 バレンボイム シカゴ交響楽団 TELDEC
2003年 アバド ルツェルン祝祭管弦楽団 G
2004年 カンブルラン 南西ドイツ放送交響楽団 SWR
2007年 準・メルクル リヨン国立管弦楽団 NAXOS
2007年 ヤンソンス コンセルトヘボウ管弦楽団 RCO
2004年 ラトル ベルリン・フィル EMI 
2007年 ヤニク・ネセ=セガン グラン・モントリオール・メトロポリタン管弦楽団 ATMA
2011年 ガッティ フランス国立管弦楽団 SC
2012年 インマゼール アニマ・エテルナ・ブリュッヘ Zig-Zag
2012年 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル HM
2017年 エマニュエル・クリヴィヌ フランス国立管弦楽団 E
2018年 フランソワ=グザヴィエ・ロト ロンドン交響楽団 LSO
2018年 パブロ・エラス=カサド フィルハーモニア管弦楽団 HM

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