ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番【YouTube】
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 チェロ:ソル・ガベッタ Sol Gabetta 1981年アルゼンチン生まれ
ピアノ:チョ・ソンジン Seong-Jin Cho 1994年韓国生まれ 期待の星二人の演奏です。ガベッタさんは、ソニーからCDも出ているし、ソンジンさんは、2015年第17回ショパンコンクールの優勝者です。室内楽にも取り組んでおられるんですね。重々しい演奏も良いですけど、若い演奏家の弾むようなリズムを聴くと、元気もらえるし、応援したくなりますね。出典:YouTube Beethoven: Cello Sonata in A Major & Mendelssohn: Lied ohne Worte in D Major / Gabetta / Cho Hochrhein Musikfestival Productions
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番【名盤・おすすめ】
ゴーティエ・カピュソン フランク・ブラレイ 😊
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 ゴーティエ・カピュソン フランク・ブラレイ 2016年
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Gautier Capucon Frank Braley
ベートーヴェンのチェロ・ソナタは、「新約聖書」と言われています。「旧約聖書」って例えられるのは、もちろん、バッハの無伴奏です。調べて見たら、ベートーヴェンの以前にも、チェロ・ソナタ作品は数多くあるんですね。ウィキペディア(Wikipedia)で見ると、こんなにあるのかと驚くほど。モーツァルトはないようですから、名曲として有名な第3番を、チェリストはこぞって演奏しています。このカピュソンさんも、いろんな表情を見せて演奏しています。
冒頭からものの数分で、弱音と強い打音のコントラストが色濃く出ています。特に、カピュソンのチェロが、寂しそうな雰囲気や、うつむいた表情、物憂げそうな表情などを見せています。第1楽章の静かな雰囲気のところで、ぐいっと引き込まれますね。ベートーヴェンのチェロ・ソナタは、5曲ありますが、第3番がイチバン有名です。
冒頭から、とっても美しい調べが登場するのは、間違いないところ。主題が、とっても素敵です。チェロの甘くて渋い色彩と香りが、もうすでに冒頭で花開いてて、あらまぁ~素敵じゃん。という感じなのです。主題が、何度となく登場するので、耳に定着しますし、ピアノも重なってて、さりげないが華やかです。
で、いったん静まって、大胆にイ長調からイ短調に変化する。は? あれぇ~ えっ あのチャーミングだった子が、あらまっという感じで変化します。チェロとピアノの二人で、じわっと熱く変化していくところが、聴いてて楽しいですね。内気そうなピアノと、多彩な表情を持つチェロのコラボは、聴いてて飽きません。また、第3楽章は、後半のアレグロ・ヴィヴァーチェでは、ピアノに負けないようにチェロが頑張っている姿が、彷彿とさせられ、いつも興味深く拝聴します。互いに遠慮はしていませんが、ちょっとおとなしい演奏です。
CDカップリング:ベートーヴェン チェロ・ソナタ第1番~5番、モーツァルトの魔笛の恋を知る男たちはの主題による7つの変奏曲、同 魔笛の娘か女かの主題による12の変奏曲、ヘンデルのマカベウスのユダの「見よ、勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 出典:YouTube Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Gautier Capucon Provided to YouTube by Erato/Warner Classics
アンナー・ビルスマ ジョス・ファン・インマゼール 🙄
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 アンナー・ビルスマ ジョス・ファン・インマゼール 1998年
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Anner Bylsma Jos Van Immerseel
ビルスマさんとインマゼールさんによるバロック・チェロとフォルテ・ピアノの共演です。まったく別の楽曲を聴いているかのような違いがあります。でも聴き進めていくにつれて、馴れてきて、さらっと聴くことができました。古楽器、ピリオド奏法等には、苦手意識があるので、サブスクを利用しました。出典:YouTube Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 アンナー・ビルスマ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical
ミッシャ・マイスキー マルタ・アルゲリッチ 🤩
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 ミッシャ・マイスキー マルタ・アルゲリッチ 1992年
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Mischa Maisky Martha Argerich
第1楽章 やっぱり語り口が巧いと思う演奏で、マイスキーさんも、アルゲリッチさんの伴奏で活き活きしています。また、ピアノが巧いですよね~ 冒頭から1分も経たないのに既にノックアウト。優しい語り口のチェロになっており、いつもなら、これ見よがしに表情をつけすぎるぐらいつけちゃう歌舞伎役者風情のマイスキーさんのチェロが、ぐっと抑え気味で演奏されています。えっ、嘘みたいにおとなしい。抑え気味の方が、深みが出てきて良い味が出ています。
第2楽章 ピアノの明るさと、ほの暗さを含んだチェロの跳躍が、とっても魅力的です。なんという間合い語り口なのでしょう。やっぱりピアノが巧いと、チェロが生きてきますね。何度も聞きたくなっちゃうシンコペーションのリズムです。手が飛び跳ねた後に、くるん~っと空中で一回転したくなるような、ぷるんとした弾力性のあるリズムです。極上の白玉粉で作った大福餅のような、もちっとした風合い。それでいてキレがあります。
第3楽章 短いアダージョで、1分59秒で、続けて後半に。柔らかいフレーズで、なでるようなピアノが印象に残ります。水面をすーっと通り過ぎるようなチェロの足並みは、さりげないが深みがあります。後半のアレグロ・ヴィヴァーチェ(Allegro vivace)は、最初は小声でつぶやいていますが、ピアノの軽やかでころころした音が、とって魅力的です。階段状のスケールは、やっぱりアルゲリッチさんの楽しい熱っぽさが、ふふふっ、巧いっ巧いっ!チェロを立てつつ、自分のピアノのキラっと光る演出が絶妙で、独壇場になっていくところが、おもしろいです。やっぱりマイスキーさんは、食われちゃいましたね。
CDカップリング:ベートーヴェン チェロソナタ第3番、第4番、第5番、マカベウスのユダの主題による12の変奏曲です。魔笛の主題による7つの変奏曲が、カップリングされているCDもあります。出典:YouTube Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 ミッシャ・マイスキー – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
リン・ハレル ウラディーミル・アシュケナージ 😊
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 リン・ハレル ウラディーミル・アシュケナージ 1984年
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Lynn Harrell Vladimir Ashkenazy
第1楽章 この時のリン・ハレルさんは、アシュケナージさんとのコラボ演奏が多かったですね。意外と、愉悦性の高い演奏で、第2楽章のシンコペーションの面白さ、ラストのピアノのリズミカルさが楽しい。リズミカルに付点のリズムとなって、活発になっる変化は面白い。すぐに主題が戻ってピアノとチェロのフレーズとなり、ボンボンっとチェロが叩かれる。瞬間で、勇壮で開放的に変わるところ面白いです。
第2楽章 ピアノとチェロが、シンコペーションのリズムを刻みます。シンコペーションのオンパレードみたいなテーマは、互い違いに、ピアノとチェロが掛け合うリズムを生みます。ウパパ ウパパ~ 斬新で面白いですね。いつ聴いてもワクワクします。
第3楽章の前半は、小声のピアノで、チェロは伴奏にまわっています。続いて、同じ主題をチェロで、しっとりとした情感になります。甘くて、かすれた声で囁かれてアダージョの部分は、1分46秒で終わり。アダージョ・カンタービレ、つづいてアレグロ・ヴィヴァーチェとなって変化します。軽快に変わり、ピアノが、ババババ・・・。チェロとピアノの細かなスケール部分が4回ほどありますが、痛快です。
アダージョは、チェロの出番なのですが、アレグロになると、俄然、ピアノの方が面白いのです。ワタシの耳には、ラストのピアノの軽快さ。リズミカルさは、やっぱり、チェロより、ピアノでしょう~っていう感じです。アシュケナージさんも、チェロの存在を忘れて燃えている感じでした。アンタは伴奏だろうに。ハレルさんの恨み言が聞えそう。
CDカップリング:ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 1984年、第4番、1984年、第5番 1986年 他に、ベートーヴェン チェロ・ソナタ全曲とホルン・ソナタ(タックウェル)をカップリングした2枚組BOXもあります。
出典:YouTube Beethoven: Sonata for Cello and Piano No.3 in A, Op.69 リン・ハレル – トピック Lynn Harrell – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group
ヨーヨー・マ エマニュエル・アレックス 🙂
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 ヨーヨー・マ エマニュエル・アレックス 1983年
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Yo-Yo Ma Emanuel Ax
ソニーのうたい文句が、若い日のマさんの代表作で、世界中でベストセラーを記録したとあった。そのためか、とても期待して聴いたのだが、意外とおとなしい演奏で、躍動感、のびやかに歌いあげたという感じを受けない。この3番は、運命、田園、皇帝の作曲された時期と重なってて、中期の傑作の森の1つなのだ。
えーっ いつもマさんの演奏とは、ちょっと別人のようで、意外や意外。もっと楽しい、もっとノビノビしているかと思ったのに、あれれ~なのだ。特に、スリリングさを求めているわけではないのだが、冒頭からして暗いし、ピアノも粒立ちの良さも特筆するほどでもないし。オツヤ状態なのだ。
2楽章のスケルツォも。3楽章のアダージョも、少し期待したほどではなかった。するっと、5番に移っていき、5番の3楽章なんぞは、抜け殻状態に思ってしまう。ちょっと困ってしまった。CDカップリング:ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番 1983年、チェロ・ソナタ第5番 1984年、魔笛の主題による7つの変奏曲 1985年、魔笛の主題による12の変奏曲 1985年
ピエール・フルニエ ヴィルヘルム・ケンプ 🥰
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 ピエール・フルニエ ヴィルヘルム・ケンプ 1965年 ライブ
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Pierre Fournier Wilhelm Kempff
フルニエさんのチェロは、、表情が豊かですね。波打つようなフレーズで、主題を奏でていきます。歌心のある豊かな柔らかい声で、太くなったり細くなったり、ボーイングの巧みさが表情になって盛り上がります。ケンプさんのピアノは、キラキラしてて、波打つ光のように彩りを添えて、色彩が豊かになっています。
この二人の巨匠は、柔らかいです。ロストロポービチさんとリヒテルさんの演奏と聴き比べると、硬さが全く違うし、フレーズの歌い方も、色彩感も、かなり違います。ワタシ個人としては、フルニエさんの豊かな表情が、とても魅力的です。ロストロさんの無骨で、素朴で、表情の硬い野武士のようなチェロも良いですが、柔らかい長い髪の女性のようなフルニエさんのチェロは、とても魅力的です。力の抜き方が絶妙で、押したり引いたりする恋の達人みたい。聴いてて楽しいですね。ホント、なんて上品な女性なのだろう~と、フルニエさんのチェロにぞっこん。
ベートーヴェンのチェロが、サロンの主役のようで、取り巻きの男性が、周囲に集まってきて話を聞こうとしているかのような雰囲気が広がります。ふわっとした雰囲気で暖かさがあるし、余裕のある幾何学模様という感じというか、アラビア文字を眺めているみたい。草書体の雰囲気で、密やかな遊び心がありますね。演奏家の言いたいことが、伝わりやすい楽曲だし、ベートーヴェンのチェロ・ソナタって、楽しいですね~ 第3番は、いろんな表情を見せてくれるので面白いです。ライブ演奏なので、大人の余裕を感じさせる演奏になっているように感じます。
CDカップリング:ベートーヴェン チェロ・ソナタ全集2枚組BOX(ライブ盤) 出典:YouTube Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 ピエール・フルニエ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ スヴャトスラフ・リヒテル 😘
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第3番 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ スヴャトスラフ・リヒテル
Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 Mstislav Rostropovich Sviatoslav Richter
巨匠二人のベートーヴェンのチェロ・ソナタは、やはり圧巻です。第3番は、冒頭から美しい調べが登場します。主題が、とっても素敵で、それも何度となく登場します。渋くて硬めで演奏される主題は、力強いです。リヒテルさんのピアノも最初は、ガツンっと入ってきます。でも、大人なのでチェロを邪魔せず出たり入ったり。チェロは不動で基軸を守りますが、ピアノは前に出てきたり、背景に徹したり、立体的に動くので奥行きが出ます。
この辺りの、心構えのような、巧みな技は見習わないといけませんね。主役二人とは言いませんが、自分をPRするところは、しっかりガツンとピアノは主張します。このさりげない華やかな役回りは、ピアノの方が重要かもしれません。(そんなこと言ったらチェロに怒られますけど)ずーっと楽しくピアノの役回りを拝見しつつ、力強く渋いチェロのフレーズを聴いていると、あっという間に終わりました。何度も聞く価値の高い演奏です。やっぱりすごいな~ 巨匠二人の相乗効果は抜群です。確かにね~名盤と言われるだけのことありますね。
CDカップリング:ベートーヴェン チェロ・ソナタ第3番~第5番 1961年~63年 出典:YouTube Beethoven: Cello Sonata No. 3 in A Major, Op. 69 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番【解説】
ベートーヴェンのチェロソナタ第3番(イ長調 作品69)は、1808年に作曲されています。ベートーヴェンは、5曲のチェロ・ソナタを作曲していますが、初期、中期、後期にわかれていて、初期に作品が集中しているヴァイオリン・ソナタとはちがって、各形式を代表するような傑作となっています。このソナタ第3番は、特に運命、田園、皇帝の作曲された時期と重なって、中期の傑作の森を代表する室内楽です。
チェロ本来の低音とカンタービレの能力を生かしながら、高音なども、積極的に用いていて、従来のチェロ作品よりもチェロの持つ可能性を大きく拡張したものになっているそうで、一方、ピアノも、オクターブ重複など豪快かつ自由な歌いをしています。作曲技法においても、チェロとピアノの、両手による精緻な対位法的処理が随所に用いられるなど、この時期のベートーヴェンの作曲技法の高さを示しているものです。
第1楽章 イ長調 2/2拍子 ソナタ形式 チェロが雄大なイ長調の第1主題を奏し、ピアノもそれを受けて曲は始まります。ホ短調の第2主題は、チェロ、ピアノの両手による調性を変えながらの3声の対位法によって展開されます。展開部においても、チェロとピアノの有機的な関係が示されており、再現部を経て、第1主題の動機を用いたコーダが始まります。ここでは、動機圧縮の手法が用いられ、曲は盛りあがりを強め、チェロとピアノが第1主題を奏した後に、チェロの旋律で曲を閉じるもの。
第2楽章 イ短調 4/3拍子 A-B-A-B-A形式 ピアノがかなり鋭く用いられた勢いのあるスケルツォと、明るいトリオによるもの。
第3楽章 優美で大らかなホ長調の序奏部から始まり、チェロのソステヌートの能力が存分に発揮されています。イ長調の属七の和音から雰囲気が変わり、チェロが、軽やかな第1主題を奏でます。イ長調の2/2拍子に変わり、ソナタ形式の提示部で、ピアノも加わって主題は大きな盛りあがりを見せます。短い展開部と、再現部を経てコーダに至り、ピアノの華々しい旋律が大きくクレッシェンドし、クライマックスを合奏で演奏した後、堂々と全曲を終わります。
ベートーヴェン:チェロソナタ第3番【ディスク情報】
1961年~63年 ロストロポーヴィチ スヴャトスラフ・リヒテル Ph
1965年 ピエール・フルニエ ヴィルヘルム・ケンプ G
1983年 ヨーヨー・マ エマニュエル・アレックス SC
1984年 リン・ハレル ウラディーミル・アシュケナージ Dec
1992年 ミッシャ・マイスキー マルタ・アルゲリッチ G
1998年 アンナー・ビルスマ ジョス・ファン・インマゼール SC
2016年 ゴーティエ・カプソン フランク・ブラレイ E
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