バルトーク:ハンガリーの風景(ハンガリーの5つのスケッチ)【聴いてみよう】Bartok: Hungarian Sketches

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バルトーク:ハンガリーの風景【名盤・おすすめ】

バルトークの「5つのハンガリー・スケッチ」(ハンガリーの風景)は、村の夕暮れ、熊の踊り、メロディ、ほろ酔い、豚飼いの踊りという小品で構成されています。田舎のおじちゃんの日常生活って感じで、音で、どこにでも存在するような日常風景が描かれています。素朴でコミカル。懐かしい日本の風景を思い浮かべてしまうような楽曲です。へんてこりんなタイトルそのまま。想像力を逞しくして、楽しく聴いてくださいね。

イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 😘

バルトーク:ハンガリーの風景(ハンガリーの5つのスケッチ) イヴァン・フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 1996年 Bartok: Hungarian Sketches Iván Fischer Budapesti Fesztiválzenekar (Budapest Festival Orchestra)

第1曲:「村の夕暮れ」 冒頭のフレーズは、クラリネットですが、これが和風。 まるで、NHKで日本の風景紹介をしている映像をみている気分です。村のお祭りフレーズが、フルートで奏でられます。うむっ。これ、ホントにハンガリーっ? ウチの国の風景が浮かぶんですけど。バルトークの村というのは、トランシルバニア地方の夕暮れ時の風景だそうです。約3分程度の小さな作品ですが、そうだっ田舎に帰ろう!っていう気分になります。

第2曲:「熊の踊り」 滑稽なベア・ダンスで。ティンパニーとチューバ、木管の不協和音の二重奏。鼻が詰まった木管や弦が、へんてこりんな音が鳴ってくるんです。小太鼓が、小さく音を鳴らしていたり、同じフレーズを金管で鳴らしてくるんですけど、これがまた、不協和音です。想像できない和音の一音を持続して奏でいます。「そぉそぉそぉ ふぁふぁ~ そぉそぉ ふぁふぁ~」とチューバが鳴ったり、「ふぁっみみ ふぁふぁっ そそっ」とファゴットが吹いてて、ほんとケッタイな楽曲。合いの手が入ってくるんですよ。トライアングルも密やかに鳴ってるんですけど、お子ちゃま風のお遊びみたいな楽曲です。妙に面白い。会社の上司を思い浮かべて憂さ晴らし・・・なーんて。あはは~

第3曲:「メロディ」 木管のフレーズが幻想的なフレーズで、妙な和音で構成されています。怪しい、妖しい音で、茫洋としています。とにかく予測不能な和音で、ドビュッシーの海のようなフワフワした楽曲で~。弦と木管が違う音色で奏でています。二種類は存在しているようですね。織り込まれていく音が、パタパタとはためいている感じ。最後、音階を奏で、グリッサンドで、ぱらららららら~ ハープが入ってくると幻想的。この和音は独特です。

第4曲:「ほろ酔い」 酔っぱらって、ヒックっ!と、しゃくりしているような雰囲気の音も出てきて、ふふふ。憎めないですねえ。木管の使い方が巧いし、酔っぱらいさんは寝ちゃったようで、プロコフィエフか、ショスタコのように、チューバが、ぼぉ~ぼぉ~っと入ってくる。チューバの「ぶほぉ~ ぶほっ」っていうのは、イビキですかねえ。うんうん。こりゃイビキですねえ。とにかく、音のなかの木管や金管が合いの手を入れて、なかなか、描写力の凄い楽曲です。ハハハ~ これ面白いわ。

第5曲 「豚飼いの踊り」 タイトルは、豚飼いになっているけど、クラリネットのフレーズを聴く限り、村人たちのお祭シーンです。フルート 「し~ふぁし らそふぁ みっれみれ ふぁふぁ~」何拍子なんだろっ。「ンっタラ タッタ ッタラ ラッラ ら~ら~」 あまり派手には演奏されないが、熱いモノが走るんじゃーないだろうか。以上、イヴァン・フィッシャーさんの演奏は、11分21秒の演奏です。

五音音階独特の音の持つ音色と、リズムが特徴で、ぎゅーっと圧縮されたように、ハンガリーの風景が入っています。あっという間に通り過ぎてしまう風景ですが、妙に懐かしい気分。和音が独特で面白く、速めでスイスイ演奏されて、もったいない気分だけど、腹八分目で、ちょうど良いのかも。ローカル色の強い楽曲は、ハンガリー出身の指揮者、東欧出身のオクニモノになるので、あたりはずれはないように思います。

CDカップリング:管弦楽曲全集は5枚組BOX ハンガリー農民の歌Sz.100、ハンガリー・スケッチSz.97、ルーマニア民俗舞曲Sz.68、トランシルヴァニア舞曲Sz.96、ルーマニア舞曲Sz.47a、中国の不思議な役人p.19, Sz.73 
出典:YouTube Bartók: Hungarian Sketches, Sz. 97 ブダペスト祝祭管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 🥰

バルトーク:ハンガリーの風景(ハンガリーの5つのスケッチ) ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1993年
Bartok: Hungarian Sketches Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ここでご紹介するのは、ショルティ ハンガリー名曲集と題されたCDで、ライブ盤である。ショルティさんって、ずっとシカゴ交響楽団のシェフをされていたので、すっかりアメリカ人っぽく感じていたが、元々は、ハンガリー生まれの方。さて、バルトークの「5つのハンガリー・スケッチ」は、 「ハンガリーの風景」とも表記されるが、ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら、バルトークがピアニストとして、演奏会でよく演奏していた曲を5つ選んで編曲したものらしい。

さて、ショルティ盤・・・。演奏会を収録したCDなので、とびっきり良い録音とは言えないが、熊の踊りなんぞ、この変わった和音構成のなかで、パンチが効いた打楽器は、特に楽しい。 自然な演奏で、するり~っと耳に、カラダに浸みてくるような感覚が味わえる。重厚さがあり、温かみのある空気感があって、フィッシャー盤とは違ってて、野外でのコンサートを聴いているような感覚だ。

まるで、夕暮れ時のワンシーンのように感じられるし、草原に座って、ふわーっとした気分で聴いているような感じがする。バルトークの楽曲を分析してやろうとか、理詰めで聴くなら、フィッシャー盤がお薦めかもしれないが、ふわーと、ぼけ~っとしながら、夕暮れ時に聴いてみるなら、ショルティ盤がお薦めです。録音状態は良い。ショルティの最晩年のライブ盤。ふわっとした夕暮れ時、野外コンサートを聴いているような気持ちに。

CDカップリング:リスト メフィスト・ワルツ、ハンガリー狂詩曲第2番、バルトーク 5つのハンガリー・スケッチ、バルトーク ルーマニア民俗舞曲、コダーイ  ハーリ・ヤーノシュ、ヴェイネル チョンゴルと悪魔、序奏とスケルツォ 出典:YouTube Bartók: Hungarian Sketches, Sz. 97 シカゴ交響楽団 – トピック Chicago Symphony Orchestra – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 🥰

バルトーク:ハンガリーの風景(ハンガリーの5つのスケッチ) ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1992年
Bartok: Hungarian Sketches Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

第1曲 トランシルヴァニアの夕べ 別名は、セーケイ人との夕べ、セークレルとの夕べ、とも呼ばれているようだ。 クラリネットが導き出す五音音階の主題と、フルートが導き出す活発な主題が、交代しながら出現する。ラストでは、最初の主題が現れて静かに幕を閉じるが、民謡を引用したような旋律に、どことなく、日本の原風景を垣間見るようで、日本の民謡をベースにしたものだと言われても、さほど違和感がない。いやいや、日本の時代劇映画のバックに流しても、そのまま使えそうな雰囲気がある。バルトークの自作だそうだ。

第2曲 熊踊り この曲は、めちゃくちゃ印象に残る楽曲で、面白すぎる。熊のの足音をイメーいしたリズムを、ティンパニー、チューバが表現している。ブーレーズ盤で聴くと、チューバの音が、迫力あり、ドスコイ、ドスコイと、節まわしが面白い。このハンガリーの5つの風景のなかでも、際立って、ユニークな楽曲になっている。

第3曲 メロディ 民謡調の五音音階的なメロディが、カラフルなオーケストレーションで演奏されるとされている。う~ん、穏やかな曲だが、ゲンダイオンガクのようで、かなり抽象的だ。ブーレーズ盤は、さほどローカル色の濃いものではないので、すっきり。

第4曲 ほろ酔い 千鳥足で歩く、(おじちゃんの)酔っぱらう姿を描いたものだそうだが、木管のフレーズとしては、面白く感じる。で、チューバの音は、何を表しているのだろう。クラリネットの音色は、やっぱりコミカルな表現に最適だ。千鳥足というより、駆け足に近いかも・・・ 酔っ払いが、そんなに速く走れないでしょ。

第5曲 豚飼いの踊り 弦楽器のシンコペーションするようなリズムを背景に、笛が吹かれ、軽やかに舞う。マジャールの舞踏だと思うのだが、スキッとしたリズム感で、粘着性は少なめなので、違和感は少ない。でも、どーして、豚飼いの踊りなのだろう。ブーレーズ盤の存在があったから、バルトークの管弦楽曲を聴くことになったので、その意味では、ありがたいと思っている。あまり他盤と聴いて比較するまでには至らないけれど。

CDカップリング:バルトーク 舞踏組曲、2つの映像(作品10)、ハンガリーの風景、ディヴェルティメント
出典:YouTube Bartók: Hungarian Sketches, Sz. 97 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

フリッツ・ライナー シカゴ交響楽団 😘 

バルトーク:ハンガリーの風景(ハンガリーの5つのスケッチ) フリッツ・ライナー シカゴ交響楽団 1958年
Bartok: Hungarian Sketches Fritz Reiner Chicago Symphony Orchestra

フリッツ・ライナーさんっていえば、20世紀を代表するハンガリー生まれの名指揮者で、バルトークといえばライナー盤でしょう~というぐらい、弦チェレやオケコンは、昔からの名盤となっている。ワタシは、1996年に収録されたフィッシャー指揮のブダペスト祝祭管弦楽団で、5つのハンガリー・スケッチを初めて聞いたが、ライナー-さんの定番CDにも収録されてて、ちょっぴり嬉しい気分に~。

全体的には、さっぱりと演奏されているが、やっぱり五音階調にはノスタルジックに、打楽器が使われているリズミカルな曲は、弾む気分に。で、この盤では、チェレスタが使われているようにも聞こえるんだけど~ どうでしょう。もしかしたら編成にアレンジを加えておられるのかもしれません。録音状態は良くリマスタリング盤で問題なく聴けます。意外とさっぱり。この曲は厳しくありませんでした。

CDカップリング:管弦楽のための協奏曲 1955年、弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 1958年、5つのハンガリー・スケッチ 1958年 出典:YouTube Hungarian Sketches, SZ 97: An Evening in the Village フリッツ・ライナー – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

バルトーク:ハンガリーの風景【解説】

バルトークの「ハンガリーの5つのスケッチ」(ハンガリーの風景 Sz.97 BB 103)は、バルトークが、自分のピアノ曲から5曲を選び、管弦楽のための組曲として編曲したものです。1931年には、同様にトランシルヴァニア舞曲やハンガリー農民の歌をピアノ曲から管弦楽曲に編曲しています。ユニークさと、素朴さを感じるタイトルで、全5曲で約15分ぐらい楽曲です。ワタシ的には、田舎のおじちゃんの日常 ショートストーリーというか、漫画日記みたいな楽曲です。特に「熊の踊り」がおすすめ! メッチャ笑えます。

第1曲 トランシルヴァニアの夕べ
第2曲 熊踊り
第3曲 メロディ
第4曲 ほろ酔い
第5曲 豚飼いの踊り

日本人であれば、どこかで聴いたような気がする楽曲で、思わず、どこの民謡?って訊いてしまいそう。五音音階独特のフレーズと、文字どおり、ちょっぴり田舎臭い、ローカル色の強い作品です。リズミカルで、コミカルな要素を持ち合わせた楽曲で、ホント、熊踊りを聴くと大笑いしちゃいます。一度聴いたら忘れられないです。

1曲目のトランシルヴァニアという地名も、セーケイ人という意味も、さっぱり解らなかったので、少し調べてみました。バルトークは、このハンガリー王国(現、ルーマニア)を訪れて、民族音楽に触れて、民謡や舞曲をベースにして出来た曲なのだそうだ。作曲家、コダーイと一緒に採譜していたらしいです。

「トランシルヴァニア」という地方は、今は、ルーマニアになっているよう。東欧とひとくちに言っても、かなり歴史的背景があって、オスマントルコ、神聖ローマ帝国、ハンガリー王国、ハプスブルグ家のオーストリア・ハンガリー帝国等。これだけ名前を並べただけでも、日本とは大違いの侵略されやすいエリアです。ロシアも関与していたのかもしれませんが、主には、ドイツの影響を受け、実行支配を受けてきたエリアだったようです。大国に翻弄された複雑な民族の混在したエリアのように思います。また、機会があれば、ルマニア舞曲、トランシルヴァニア舞曲も聴いてみたいですね。トランシルヴァニアの地理的情報については、Wikipedia をリンクしておきます。

バルトーク:ハンガリーの風景【ディスク情報】

1958年 ライナー シカゴ交響楽団 R 
1992年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G
1993年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1996年 フィッシャー ブダペスト祝祭管弦楽団 Ph

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