バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番・第2番【聴いてみよう】J.S. Bach: Violin Concerto,BWV1041-1042

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バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番【YouTube】

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ヒラリー・ハーン オメール・メイア・ウェルバー ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団 Bach: Violin Concerto in A minor BWV1041 Hilary Hahn Omer Meir Wellber Deutsche Kammerphilharmonie Bremen 出典:YouTube Hilary Hahn plays Bach Violin Concerto No.2 in E Major BWV 1042- Deutsche Kammerphilharmonie Bremen Bachology

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ヒラリー・ハーン オメール・メイア・ウェルバー ブレーメン・ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団Bach: Violin Concerto No.2 in E Major BWV 1042  Hilary Hahn Omer Meir Wellber Deutsche Kammerphilharmonie Bremen 出典:YouTube Hilary Hahn plays Bach Violin Concerto No.2 in E Major BWV 1042- Deutsche Kammerphilharmonie Bremen Bachology

ハーンさんの完全に近い演奏です。CDを購入していないのですが、クレーメルさんの演奏で味わえなかった多彩で奥深い演奏だと思いました。まだまだ聞き込む必要がありますが、しなやかで逞しい、鋭いけれど優しい、そんな両面を合わせ持った演奏だと感じました。こんな演奏を拝聴すると、ワタシの駄耳を鍛えないとダメじゃん! 猛省です。

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番【名盤・おすすめ】

シギスヴァルト・クイケン ラ・プティット・バンド 😍

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 シギスヴァルト・クイケン ラ・プティット・バンド 1981年
Bach: Violin Concerto in A minor BWV1041 La Petite Bande Sigiswald Kuijken

第1楽章 ラ・プティット・バンドさんの演奏は、透き通る空気感のなかで、艶やかに楽しげに奏でられています。適度にアクセントがついて、推進力があり、なによりも、のびやかなのです。艶っぽさのあるヴァイオリンで、軽やかだが品が良く、ピュアな音を空間に放り投げて余韻を残している感じです。宮廷音楽のサロン的な雰囲気がたっぷりあり、バランス良くフレーズが流れてきます。まずもって、この心地良く響いている音に、うっとり~。オリジナル楽器を使用していますが、専門家ではないので、さほど楽器に興味がわかないものの、バッハの楽曲に苦手意識があって、なかなか近づけません状態を打破してくれる演奏です。

第2楽章 ゆったりしていますが、バックでリズムを刻む音に、心地よさを感じます。柔らかく、よく響くチェロの音が、うたた寝したくなるほど。まどろみもあって、午睡を促してきますが、ヴァイオリンの甘く通る音に耳を奪われます。いつもなら、なんて、かったるい音楽なんだ~と言いたくなるのですが、これは妙にツボにはまりました。自分でも意外でしたね。抑揚がついた柔らかい呼吸に合わせているうちに、相性が合ったのでしょう。

第3楽章 前楽章とはちがって、とっても快活な楽章です。スキップする感覚に、品良く抑揚がついて、密やかにワクワクしている感覚があります。むふっ。内心ウキウキさせてくれる弾力です。ラ・プティット・バンドさんの演奏は、大きな身振りで、これ見よがしには演奏されていません。どこか、おとなしく、転ぶ装飾音のフレーズも派手には鳴らないのですが、奥ゆかしくて清楚ですが、眼力があるというか~ 訴求力が高いように感じます。

ホント、もう少し楽しげに演奏してくれても良いのにな~と思うのですが、これぐらいが、腹八分目のように良いのかもしれません。何度聴いても飽きない演奏のようい思います。ピノックさんの演奏と比べると、テンポはゆったり、少し太めの艶ある音ですが、ずーっとBGMで流しても邪魔になりません。(もったいない聴き方ですが)

CDカップリング:バッハ ヴァイオリン協奏曲集第1番BWV1041 ヴァイオリン協奏曲第2番BWV1042 2つのヴァイオリンのための協奏曲BWV1043  第2ヴァイオリン:ルシー・ファン・ダール 出典:YouTube Violin Concerto No. 1 in A minor, BWV 1041 シギスヴァルト・クイケン – トピック Provided to YouTube by Deutsche Harmonia Mundi

サイモン・スタンデイジ トレバー・ピノック イングリッシュ・コンサート 🥰

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 サイモン・スタンデイジ トレバー・ピノック イングリッシュ・コンサート 1983年 Bach: Violin Concerto in A minor BWV1041 Simon Standage Elizabeth Wilcock Trevor Pinnock, and English Concert

第1楽章 イングリッシュ・コンサートの演奏は、繊細で艶やかな音にうっとりさせられます。爽やかな音で軽さが命とばかり、ふわ~っと奏でられていきます。スタンデイジさんのヴァイオリンに、やられた! ホント、やられました。ヴァイオリンが天上的に響き、羽根が生えたように自分が天使にでもなった気分です。とっても優美。まるで高貴な美しい細身の女性って感じがします。全体でバランス良く演奏されており、つるんっと滑ったような装飾音は、特に綺麗です。主旋律がヴァイオリンからオケに移っていく時の入れ替わりが面白いですね。

第2楽章 ヴァイオリン協奏曲というより、チェンバロ協奏曲って感じの曲だと思っていたら、後にチェンバロ協奏曲の第7番になっていたのだそう。編曲されているのです。「そっ しっ みぃ~ふぁそどぉ~ ふぁ~そらどぉ~ しぃ~どれふぁ~ どぉ~れみらぁ~」ゆったりした旋律が、たらん~と重量を移動させ、一音目の引きずる感覚も、物悲しくうちひしがれている天使のように想像できます。

第3楽章 リズムの面白い楽章です。拍は9/8 ん? 途中で拍が変わるように感じつつ、トリルがいっぱい入ってくる軽快な曲で、各声部が複雑に絡みつつも、インテンポで進むのが面白いです。縦糸が合うことに面白さを感じ、繰り返して聴いて、ヴァイオリンの小節まわしに聞き惚れ~ 終了。あれっ、もう終わってしまった。永遠に続くような気分になり、合わせ鏡のなかに立っているような気分です。繊細で軽妙。清涼感の漂う弾力性ある演奏で、特に、ヴァイオリンの音でうっとり~でした。

CDカップリング:バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番~3番(3番は、2つのヴァイオリンのための協奏曲 エリザベス・ウィルコック)、J・S・バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番 出典:YouTube J.S. Bach: Violin Concerto No. 1 in A Minor, BWV 1041 サイモン・スタンデイジ トピック Simon Standage – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴィクトリア・ムローヴァ ムローヴァ・アンサンブル 😐

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ヴィクトリア・ムローヴァ ムローヴァ・アンサンブル 1995年  
Bach: Violin Concerto in A minor BWV1041 Viktoria Mullova Mullova Ensemble 

第1楽章 ムローヴァさんのヴァイオリンは、透き通る音色で軽やかです。チェンバロの音は、少し奥まっています。チェンバロのリズムに乗せられるので、チェンバロとヴァイオリンのバランスの配置、音量調整は難しいですね。ムローヴァさんが果敢に挑戦しているバッハなので、しっかり聴かなきゃ~と思いますが、タタタ タタタ タタタというリズムよりも、抑揚のあるヴァイオリンに揺れてしまいます。最後の語尾が消えかかっているところも、ちょっと困ります。

素人ながら、バッハは、しっかり最後の一音まで、同じ音量で弾いて欲しい。音量や抑揚はつけず、タタタ タタタ タタタ・・・と奏でる。連続する音がリズムを生み、高揚を段々と生んでいく~ そんな気がします。感情は入れすぎず、むしろ無機質っぽく奏でる。すると自然に、音が浮き上がり、線となって、弾みはじめ、熱く高揚させてくる。あっはは~。(なんという妄想)この演奏は、少し中途半端な感じがしました。(なにを偉そうに)

第2楽章~第4楽章 ムローヴァさんのヴァイオリンは、線が細く、響きの層が薄いように感じます。そして、チェンバロの響きがほとんど消えてしまって~ 調和が取れていないような気がするのです。ヴァイオリンの旋律が、主になってしまっては、つまらないかもしれませんね。全体的に合奏をしているところも、縦糸の合わせ方、声部が入れ替わる場面転換は、あまりスムーズではないのかもしれません。もう少し大きなつかみで、俯瞰したいかな~ それに、あまり楽しげに弾かれていない気がして、まだこなれていないのかもしれないと感じました。

CDカップリング:バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番(BWV.1041)、2番(BWV.1042)、ヴァイオリン協奏曲ト短調(BWV.1056a)、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲ニ短調(BWV.1060a)ちなみに、ヴァイオリン協奏曲ト短調(BWV.1056a)は、チェンバロ協奏曲第5番と同じ。収録されているのは、ヴァイオリン版です。 出典:YouTube J.S. Bach: Violin Concerto No.1 in A minor, BWV 1041 ヴィクトリア・ムローヴァ – トピック Viktoria Mullova – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ギドン・クレーメル アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ 😑

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ギドン・クレーメル アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ 1982年
Bach: Violin Concerto in A minor BWV1041 Gidon Kremer Academy of St. Martin-in-the-Fields   

良い録音で響きは美しいのですが、なにせ速いっ。ホントに快速で~ あっという間に終わってしまいます。もう少し、ほんのもう少しテンポを緩めてくれていたら嬉しかったのに。なんで、こんなにも速いのか、泣きそう。美音に浸る暇もないほど、繰り出されてくる音に、いっぱいいっぱいになりました。優美で典雅な演奏が多いなか、クレーメルさんの演奏は、速さで勝負ってところでしょうか。

躍動感があるというより野球のピッチャーが、打者に対してバンバン投げ込んでくるって感じ。充分な間合いが少ないので苦しくなります。ゆったり、フルコースを食しているのに、次々に間髪入れず、次の料理が運ばれてくるような気分です。

声部が、太くなったり細くなる妙を楽しむ。拍の合間を楽しむ。単調なくせに、のびやかで~ 音が弾んでくる感覚を楽しむ。まあ。いろんな楽しみ方ができると思うのですが、その楽しみを充分に味わう暇を与えてくれないので、ちょっと恨めしい気持ちがします。歯切れは良いが、ワタシとは呼吸が合わない~ ノリはあるが愉悦感が少ない。

呼吸間隔が短すぎて、窮屈なまま畳みかけてくるセカセカ感。楽しいはずの演奏ですが、単なる小さな振幅運動になっちゃったような気がしました。天の邪鬼で、なんか変な人です。(天才バイオリニストを、変な人って言っていいのかあ~)よくまわるアタマで回転率は高い。でも、愛想のなさが腹立たしく感じてしまいました。(ゴメン、嫌いです)

CDカップリング:バッハ 2つのヴァイオリンのための協奏曲(1人2役) ヴァイオリン協奏曲第1番、2番、ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲出典:YouTube J.S. Bach: Violin Concerto No.1 in A minor, BWV 1041 ギドン・クレーメル – トピック Gidon Kremer – Topic Provided to YouTube by Universal Music Group

ちなみに、演奏タイムをみてみましょう。

演奏団体第1楽章第2楽章第3楽章
ラ・プティット・バンド盤3:416:373:34
クレーメル盤3:085:183:24
ピノック盤3:367:143:28
ムローヴァ盤3:216:193:16

バッハ ヴァイオリン協奏曲第2番【名盤・おすすめ】

シギスヴァルト・クイケン ラ・プティット・バンド 😘

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ラ・プティット・バンド 1981年
Bach: Violin Concerto No.2 in E Major BWV 1042 La Petite Bande  ヴァイオリン:シギスヴァルト・クイケン 第2ヴァイオリン:ルシー・ファン・ダール

第1楽章 透き通る録音で、艶やかな音質で、楽しげに奏でられています。ラ・プティット・バンドの演奏は、当時、オリジナル楽器による先駆的決定盤ってところでしょうか。確かに、整った旋律と演奏に惚れ惚れ~。作曲当時のケーテンの宮廷楽団を踏まえた編成だそうで、ソロも含めて13人 忠実に再現しているそうです。美音で、均整がとれた素晴らしい調和の演奏を聴くことができます。ソロヴァイオリンは、弦楽合奏さならがらの調和ぶり。芳醇な演奏でした。

第2楽章 神妙なフレーズが流れ、低音の音型が続くソロヴァイオリンの哀愁をおびた美しい旋律が登場します。深い嘆きのアリアだと言いますが、ヴィイオリンのソロが入ってくると胸が締めつけられるようです。低音の音が無いところをとおり、弦の和音が聞こえるところで、するっと調性が変わります。

第3楽章
この楽章は舞曲で、明るいジークのリズムで、明るすぎず元気すぎず、品格を保って演奏されています。リズミカルですが、全体の均質感を保ちつつ、高音のヴァイオリンが、のびやかに奏でられています。トリルがとくに美しいですね。「ふぁらどふぁ っふぁ ふぁみそふぁみれ どれみふぁ っらっらぁ~ らそしらそふぁ みふぁみれど~」と、下手な鼻歌を歌って雰囲気をぶち壊してしまいそう。急~緩~急という均整のとれた三つの楽章、両端は主調で、中間楽章は平行調です。拍子は三つの楽章とも異なり、独奏ヴァイオリンと弦合奏と通奏低音という楽器の編成は、従来のどおりですが、ソロの主張よりも、調和型のような気がします。弦楽合奏のようにも思えるのですが~ みなさんは、どう感じましたか。

CDカップリング:バッハ ヴァイオリン協奏曲集第1番 BWV1041、ヴァイオリン協奏曲第2番 BWV1042、2つのヴァイオリンのための協奏曲 BWV1043 出典:YouTube Violin Concerto No. 2 in E major, BWV 1042 シギスヴァルト・クイケン – トピック Provided to YouTube by Deutsche Harmonia Mundi

サイモン・スタンデイジ トレバー・ピノック イングリッシュ・コンサート 😘

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第2番 サイモン・スタンデイジ トレバー・ピノック イングリッシュ・コンサート 1983年
Bach: Violin Concerto No.2 in E Major BWV 1042 Simon Standage Elizabeth Wilcock Trevor Pinnock, and English Concert

イングリッシュ・コンサートの演奏は、録音状態の良さと相まって艶っぽいですね。第1番の演奏を聴いた時、第2番も、しっかり聴いておいたら、もっとバッハが好きになったかも。バッハの作品は多すぎて、どこから手を着けたら良いのか迷います。オルガンでしょうか、声楽かな~ 鍵盤でしょ~ と言っている間に終わりそう。(20分弱の楽曲なんだから、しっかり聴けよぉ~ と反省しきりですが、そうそう簡単に感想は書けないですぅ!)出典:YouTube J.S. Bach: Violin Concerto No. 2 in E Major, BWV 1042 サイモン・スタンデイジ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴァイオリン協奏曲第1番(イ短調 BWV1041)【解説】

ヨハン・ゼバスティアン・バッハのヴァイオリン協奏曲は、全部で三曲あります。1717年~1723年ケーテン滞在時に作曲されたとされており、概ね、20年代に一挙に作曲されたものです。ヴァイオリン協奏曲第1番(イ短調 BWV1041)は、後に、チェンバロ協奏曲第7番(ト短調 BWV1058)に編曲されています。約15分の楽曲。

第1楽章 (Allegro modertato) 何度も主題が演奏されますが、ソロ・ヴァイオリンは主題を弾きません。16分音符のきざみにはデタッシエ奏法が用いられています。
第2楽章 Andante ハ長調 前奏が4小節つづき、ソロ・ヴァイオリンが奏でます。アリアのようなメロディーを歌うものです。
第3楽章 Allegro assai 9/8拍子 8分音符一つ一つが重要性を持っており、26小節目からはソロになります。同音(ホ)を開放弦と別弦で弾きながら和声を変えて奏でられるもの。無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータのパルティータ第3番ホ長調プレリュードにも同様の奏法があります。

ヴァイオリン協奏曲第2番(ホ長調 BWV1042)【解説】

ヴァイオリン協奏曲第2番(ホ長調 BWV1042)は、バッハのヴァイオリン協奏曲のなかで最も親しまれ、演奏される頻度の高い楽曲です。後に、チェンバロ協奏曲第3番(ニ長調 BWV 1054)に編曲されています。約17分の楽曲です。

第1楽章 Allegro ホ長調 2/2拍子  冒頭から堂々としたトゥッティで始まり、ソロヴァイオリンと弦楽合奏・通奏低音との絶妙な協奏が傑作とされています。
第2楽章 Adagio 嬰ハ短調 3/4拍子 哀愁をおびた美しい旋律が主導する、深い嘆きのアリアです。
第3楽章 Allegro assai ホ長調 3/8拍子 何度も出てくる旋律が印象に残る楽章で、ソロヴァィオリンと弦楽合奏・通奏低音との掛け合いで、溌剌としており、とても高揚感のあるものです。

バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番&第2番【ディスク情報】

バッハ ヴァイオリン協奏曲第1番 BWV1041
1995年 ムローヴァ ムローヴァ・アンサンブル Ph
1983年 スタンデイジ ピノック イングリッシュ・コンサート Ar
1982年 クレーメル アカデミー室内管弦楽団 Ph
1981年 シギスヴァルト・クイケン ラ・プティット・バンド HM

バッハ ヴァイオリン協奏曲第2番 BWV1042
1983年 スタンデイジ ピノック イングリッシュ・コンサート Ar 
1981年 ラ・プティット・バンド HM 

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