ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番・第2番【聴いてみよう】Rachmaninov: Suite No. 1 in G Minor, Op. 5 “Fantaisie-tableaux”& Suite No.2 For 2 Pianos, Op.17

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ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲【YouTube】

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 ニコライ・ルガンスキー ワディム・ルデンコ 
Rachmaninov: Suite No. 1 in G Minor, Op.5 “Fantaisie-tableaux”: Nikolai Lugansky Vadim Rudenko

出典:YouTube LIVE: Фортепианный дуэт − Николай Луганский и Вадим Руденко || Nikolay Lugansky & Vadim Rudenko Moscow Philharmonic Society | Московская филармония
出典:YouTube Rachmaninov – Suite for two pianos n°1 – Rudenko / Lugansky incontrario motu

2021年11月25日のコンサートの模様です。2021/11/26 にライブ配信されている映像です。全部で2時間余りのコンサートなので途中から。過去にCDを出しておられたようです。CDカップリング:組曲第1番、ラ・ヴァルス(作品72b)、2台のピアノのためのソナタ(Fp.156)、組曲第2番(レーベル:Triton)

セルゲイ・ババヤン ダニール・トリフォノフ

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲 セルゲイ・ババヤン ダニール・トリフォノフ 2015年ライブ
Rachmaninov: Suite No. 1 in G Minor, Op.5 “Fantaisie-tableaux”: Sergei Babayan Daniil Trifonov
★第1楽章のみの掲載です。

ダニール・トリフォノフさんと師匠のセルゲイ・ババヤンさんの演奏は、アルゲリッチ・ラビノヴィチさんの演奏とは異なり、2人の動きは、波のように凸凹した動きとなっており、動的、静的と蠢きます。揺らめく舟歌です。2015年のヴェルビエ音楽祭 ライブです。この1曲だけで充分聴き応えがありました。約8分の演奏です。出典:YouTube Rachmaninoff: Suite No. 1 for 2 Pianos, Op. 5 “Fantaisie-tableaux” – I. Barcarole (Live from Verbier Festival / 2015) セルゲイ・ババヤン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番【名盤・おすすめ】

マルタ・アルゲリッチ アレクサンドル・ラビノヴィチ 🤩

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番 マルタ・アルゲリッチ アレクサンドル・ラビノヴィチ 1991年
Rachmaninov: Suite No.1 in G Minor, Op.5 “Fantaisie-tableaux”: Martha Argerich Alexandere Rabinovitch

ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲第1番「幻想的絵画」は、4つの曲で構成されています。
1:バッカロール(舟歌) Barcarolle 2:夜と愛と La nuit, l’amour 3:涙 Les larmes 4:復活祭 Pâques

すごいテクニックのお二人が連弾しているわけで、当然と言えば当然ですが、バッカロール(舟歌)は、煌めき度が半端なく、水面がキラッキラ! 水面というより、樹氷が太陽の光にあたって煌めいているみたい。空気中の塵が氷になって舞っているかのようです。常に緊張感があり、息を呑んで高揚していきます。ここでは草書体ではなく、キッチリ粒立ちを揃えた一心同体で動くピアノです。動的ですが、四手ではなく、二手という感じですね。精緻な精密機械のような演奏だと思います。

また、第4曲「復活祭」は、ウルサイほどに同じ音型で、カツカツした音が鳴ってきます。「らし ふぁ~ふぁし ら~らし らしらし ら~らし」教会の鐘の音を模したものらしいのですが、徐々に、金属的に鳴り出して、おっそろしいほど、うるさくて。耳にキツく、ツラくなってやめてと叫びたくなるほど。頭のなかで、キンコンカンコン状態になっていきます。

テンションがマックス状態のまま執拗に繰り返すため、なにかに呪われているのかと思うほど。狂気を孕んでいくところが凄いですね。教会の鐘ならぬ、終末観漂う警告の鐘のように変貌して怖いです。パラドックス的に考えると、面白いって言えば面白いかもしれません。前半は、ロマンティックに歌いながら演奏され、ラフマニノフの甘い色彩が濃く出ていますが、後半、怒りの日 ディエス・イレのように変貌していきます。やっぱり~ アルゲリッチさんのピアノは、火がついて燃えて、狂気が混じった熱っぽさ。

CDカップリング:ラマニノフ 2台のピアノのための組曲第1番「幻想的絵画」、ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲第2番、ラフマニノフ 交響的舞曲 出典:YouTube Rachmaninov Suite No. 1 in G Minor, Op. 5 “Fantaisie-tableaux” マルタ・アルゲリッチ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

マルタ・アルゲリッチ ガブリエレ・バルドッチ 😊

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番 マルタ・アルゲリッチ ガブリエレ・バルドッチ 2008年
Rachmaninov: Suite No. 1 in G Minor, Op. 5 “Fantaisie-tableaux” Martha Argerich Gabriele Baldocci

アルゲリッチさんと、28歳のイタリア人ピアニストとの共演です。引き立て役に徹するというわけではないんですけどね。気に入った新人とコラボして知名度をあげるということに尽力されておられるのだと思います。

CDカップリング:モーツァルト 2台のピアノのためのソナタ、ショスタコーヴィチ コンチェルティーノ、ラフマニノフ 組曲第1番、ミヨー スカラムーシュ、ラヴェル:ラ・ヴァルス(2台ピアノ版)2008年 出典:Fantaisie tableaux – Suite No. 1, Op. 5: I. Barcarolle マルタ・アルゲリッチ – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ブリジット・エンゲラー オレグ・マイセンベルク 😊

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番 ブリジット・エンゲラー オレグ・マイセンベルク 1989年
Rachmaninov: Suite No. 1 in G Minor, Op. 5 “Fantaisie-tableaux” Brigitte Engerer Oleg Maisenberg

アルゲリッチとラビノヴィチさんたちの演奏が、あまりに強烈だったので、トラウマになっていたのですが、YouTubeで、他の演奏を探して拝聴しました。結論から言うと、どんなピアニストが弾いても、第4曲「復活祭」の鐘の音は、執拗でツンツンしているのだと判明しました。

HMVのCD紹介コメントによると、「楽器の底から鳴り響くような濃厚な音色と、まさに完璧な技巧、そしてラフマニノフの音楽がもつロシア的要素と西洋的要素が見事に汲みとられた演奏で、世界中で絶賛された名演です。(輸入元情報)」と書いてあり、とても魅力的だったのですが、CDは2枚組で、六手まであるっていうので、ひえ~っ、もうこれ以上聴けませんってことで購入は諦めました。

CDカップリング:ラフマニノフ ロシアの主題による狂詩曲(2台ピアノのための)、2台ピアノのための組曲第2番(作品17)、イタリア風ポルカ(4手のための)、ロマンス・ト長調(4手のための)、4手のための6つの小品(作品11)、2台ピアノのための組曲第1番(作品11-5)幻想的な絵画、6手のための2つの小品 ワルツ、ロマンス、交響的な舞曲(作品45a)(2台のピアノのための)1988年~89年録音 出典:YouTube Suite No. 1, Op. 5 – “Fantaisie-Tableaux” ブリジット・エンゲラー – トピック Provided to YouTube by harmonia mundi

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第2番【名盤・おすすめ】

アルトゥール・ユッセン、ルーカス・ユッセン 😚

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第2番 アルトゥール・ユッセン ルーカス・ユッセン 2020年
Rachmaninov: Suite No.2 For 2 Pianos, Op.17 Arthur Jussen Lucas Jussen

ラフマニノフの楽曲のなかでも、マイナーな四手なのですが、最近ラッシュのように演奏が増えているような気がするのは、ワタシの気のせいでしょうか。アルゲリッチさんが、若手育成を兼ねて、ライブ演奏、CD発売を繰り返してくださったせいか、マイナー曲から、メジャーに昇格したかもしれません。イケメンのユッセン兄弟も、組曲第2番を演奏しています。いいですね。瑞々しいという決まり切った語彙しか出てきませんが、ピアノ・ディオの楽曲も、こんなにあるとは。また聴く曲が増えちゃって悩ましいです。

CDカップリング: ショスタコーヴィチ 2台のピアノのためのコンチェルティーノ、ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第2番、ストラヴィンスキー 2台のピアノのための協奏曲、アレンスキー 組曲第2番第2曲、アレンスキー 組曲第1番第2曲 出典:YouTube Rachmaninoff: Suite No. 2 for 2 Pianos, Op. 17 Lucas & Arthur Jussen Provided to YouTube by Universal Music Group

マルタ・アルゲリッチ ネルソン・フレイレ 🥰

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第2番 マルタ・アルゲリッチ ネルソン・フレイレ 1982年
Rachmaninov: Suite No.2 For 2 Pianos, Op.17 Martha Argerich Nelson Freire

ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲第2番は、4つの曲で構成されています。
第1楽章 序奏 第2楽章 ワルツ 第3楽章 ロマンス 第4楽章 タランテラ

ラフマニノフが、交響曲第2番を作曲していた同時期に書いているらしいので、叙情的だと思いこんでいたが、意外や意外。結構、激しく熱い演奏で、あっけにとられました。 ラフマニノフだから、きっと甘いだろうと思って聴きだしたのだが~ うっ!難しい曲だ、 音が多すぎ速すぎて、頭んなかで、オタマジャクシが飛び交ってしまって、こんがらがって収拾がつきません。何度も繰り返して聴いて、ようやく、ふぅ~ なんとか、耳に馴染んだ感じです。スピード感あふれる演奏で、あっけにとられますが、わりと冷静で繊細な曲です。

この盤は、アルゲリッチとフレイレの対決かと思いましたが、色彩的で繊細で、かつダイナミックな演奏でした。文字どおり疾風怒濤。4つの楽章にわかれており、序奏、ワルツ、ロマンス、タランテラ それぞれ個性的な楽曲です。

第1楽章 序奏 ゴンゴンゴンと走っていく演奏で男性的です。するり~と変身して、甘い調べが入ってきます。全体的に打楽器で、オネゲルのパシフック機関車みたい。それでも中身はソフトです。

第2楽章 ワルツですが、プレストという速度なので速っ!おおよそワルツではありません。パラパラパラ~っ音がいくつあるのか見当がつかないほどに動きます。あーっ 目が回りそう! また中間部は甘いのです。まるで、ロートレックの絵画のように娼婦に囲まれている気分です。また主題が戻ってきました。せわしない。

3楽章 ロマンス 今度は、甘いフレーズが長く続きます。冗長的な傾向は、交響曲と似ています。モニョモニョ、クネクネしている感覚は、寄せる波のごとく。永遠に続いて~と懇願するか、もう止めて~と懇願するかはアナタ次第です。大きなうねりと小さなうねりが、交互にやってきますが一台のピアノで充分な感じ。うねり感が半端ないです。

第4楽章 タランテラ タラン ラッタタタ~ タランチュラという毒蜘蛛かと思っていましたが、イタリアの舞曲。刺されたら踊ったって毒が抜けるわけでもないし、毒がまわって狂ったように踊るって感じでしょうか。ダイナミックな左手で、「らふぁそみっ らふぁそみっ」と、豪快に音が鳴っています。この楽章は圧巻ですね。テンションは、いやがうえにもあがります。響きは繊細で、沈着冷静そのもの。 ラフマニノフの楽曲の二面性を見せられ、驚かされました。

この後、アルゲリッチ、ラビノヴィチとの競演、ラフマニノフ、モーツァルト、ブラームス等、四手、2台のピアノのための楽曲CDがあります。しかし、フレイレさんとは、これっきりで第2番しかないみたい。クールでダイナミックな演奏でで良かったのですが、どうやらコンビ解消だったみたいですね。残念~。

CDカップリング:ラフマニノフ 2台のピアノのための組曲、ラヴェル 2台ピアノのための「ラ・ヴァルス」、ルトスワフスキ 2台ピアノのためのパガニーニの主題による変奏曲 出典:YouTube Rachmaninoff: Suite No.2 For 2 Pianos, Op.17 チャンネル:マルタ・アルゲリッチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1曲【解説】

ラフマニノフの2台のピアノのための組曲第1番「幻想的絵画」(作品5)は、1893年に作曲されています。サブタイトルとして「幻想的絵画」と呼ばれています。4つの曲で構成されており、エピグラフ(詩)が添えられています。

第1楽章 バッカロール(舟歌) Barcarolle 「舟歌」(ミハイル・レールモントフ)
おお、涼しいゆうべの波が、ゴンドラのオールを静かに打つ。あの歌がまた!またギターで鳴る!遠くでいまは、憂鬱そしてまた幸せに、聞こえるのは古い舟歌の響きか、「ゴンドラは水面を滑り、時も愛とともに飛び去る、水はふたたび穏やかになり、情熱はもはや高まらない」

第2楽章  夜と愛と La nuit, l’amour 「夜―愛」(ジョージ・ゴードン・バイロン)
ナイチンゲールの高いさえずりが 枝から聞こえる時刻に、恋人同士の誓いあう囁きが、穏やかな風や近くの水音が、孤独な者の耳に音楽となる。

第3楽章 涙 Les larmes 「涙」(フョードル・チュッチェフ)
人の懸念、おお、人の涙! お前は朝から晩まで流れ、人知れずに、目に見えずに、無限に、無数に流れる、まるで土砂降りの雨のように、秋の夜の深遠の中に流れる。

第4楽章  復活祭 Pâques 「復活祭」(アレクセイ・ホミャコーフ)
強大な鐘の音が大地を越えて鳴り、大気のすべては嘆き、おののき、苦しむ。美音の銀色の雷鳴は、聖なる勝利の知らせを告げる。

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第2曲【解説】

ラフマニノフの2台のピアノのための組曲第2番(作品17)は、1901年に作曲されています。交響曲第1番の失敗で、メンタルの弱い彼は、神経衰弱に陥り、前作「楽興の時」(作品16)との間に、5年ほどの空きが生じてしまいました。どうにか神経衰弱が治ったあと、ピアニストのアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルのために、この曲を作曲(献呈)することを思い立ちます。同時期に、ピアノ協奏曲第2番も作曲していました。曲は4つの楽章から構成されています。組曲第1番では、詩がありましたが、第2番はありません。

第1楽章 序奏、アラ・マルチャ、ハ長調、2分の2拍子。
第2楽章 ワルツ、プレスト、ト長調、4分の3拍子。
第3楽章 ロマンス、アンダンティーノ、変イ長調、8分の6拍子。
第4楽章 タランテラ、プレスト、ハ短調、8分の6拍子。、

ラフマニノフ:2台のピアノのための組曲第1番と第2番【ディスク情報】

1995年 第1番(作品5) ニコライ・ルガンスキー ワディム・ルデンコ Triton 未聴です。
2015年 第1番(作品5) セルゲイ・ババヤン ダニール・トリフォノフ G 第1楽章のみ ライブ
1991年 第1番(作品5) アルゲリッチ ラビノヴィチ TELDEC
2008年 第1番(作品5) アルゲリッチ ガブリエレ・バルドッチ Dynamic ライブ
1989年 第1番(作品5) ブリジット・エンゲラー オレグ・マイセンベルク HM
2020年 第2番(作品17) アルトゥール・ユッセン ルーカス・ユッセン G
1982年 第2番(作品17) アルゲリッチ フレイレ Ph

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