レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第7番「南極交響曲」【聴いてみよう】Ralph Vaughan Williams: Symphony No. 7, “Sinfonia Antartica”

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レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第7番「南極交響曲」【名盤・おすすめ】

ベルナルト・ハイティンク ロンドン・フィル 😭

レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:「南極交響曲」交響曲第7番 ベルナルト・ハイティンク ロンドン・フィル 1984年 Ralph Vaughan Williams: Sinfonia Antartica, Symphony No.7 Bernard Haitink London Philharmonic Orchestra ソプラノ:シーラ・アームストロング Sheila Armstrong オルガン:マルコム・ヒックス Malcolm Hicks

ハイティンクさんの演奏は、録音状態が良いのですが、かえって~逆効果というか、かなり悲痛です。夏だから涼しい楽曲をと、最初は、お気楽な気分で聴き始めたのですが、大失敗!

この映画の主人公であるロバート・スコット大佐のプロフィール、南極大陸へ上陸してから南極点を目指すルート、ノルウェーのアムンセン隊に先を越されたこと、パーティの遭難という結果に至るまでを知ってしまうと、うぐっ。と喉が詰まりまる。映画のストーリーについても読んでみたのだが、ちょっと~ いや、かなり凍り付いてしまった。とても気楽に聴けません。限界に挑戦する人の壮絶な戦いなのです。(ワタシはアホでした。)

映画「南極のスコット」(Scott of the Antarctic)は、ご縁がないので拝見してないし、探検モノは、どうも苦手で。ドンビキしながら、冷静に客観的に聴こうと思って、ハイティンク盤を聴いたのですが、第1楽章から、すでに怖ろしい世界が広がっています。ソプラノの声は凍り付いた大地で、朦朧としつつ、歩いている探検家が、ゆらゆら~と見えてきそうだし、ウィンドマシーンは、凍る大地の上を滑るように流れる風を描いて鳥肌が立ちます。

第2楽章は、キラキラした夜空を仰ぎ見ているような気もするし、宇宙にいるような雰囲気もあり、こりゃ~ 地球じゃないでしょうという感じの世界です。そうかと思ったら、まだ生物が住んでいるかのような大地も見えてきたり、自然の営みが描かれているような場面もあります。まあ、どうしてそう感じるの? と言われら、う~ん、何かが歩いているような、ポッコポッコ ポッコポッコという木管フレーズが出てくるからです。これが、探検隊の姿か、ペンギンが歩いているシーンなのでしょう。

第3楽章は、もう絶壁に立っているというか、大きな壁を仰ぎ見るというか、クレパスにハマりそうな気分で、ぞっとします。もはや退路を断つという絶望の気分の時に、パイプオルガンが聞こえてくるのです。ワタシは、この楽曲を聴いてて、椅子に座っているのに腰が抜けそうになりました。色彩を感じない暗闇の世界という雰囲気がします。

第4楽章は、ノスタルジックな楽章で優しいのですが、なんだかねえ~ 帰るに帰れない閉じ込められている閉塞感というか、絶望的な心情が、落ち込んでいくようなフレーズで奏でられます。不協和音の木管フレーズに打楽器の音が、そして鐘が鳴る。時が止まる・・・感じです。

第5楽章は、金管ファンファーレが登場し、えっ! 帰還すれば、英雄視されファンファーレで迎えてもらえるのだろうが、その後、凍りの世界に閉じ込められて身動きできない場面が、音楽で描かれています。で、ラストは、南極大陸は、何事もなかったように、ウソのように静寂を取り戻すのです。ハイティンクさんの演奏は、かなりリアルに忠実に演奏されており、レクイエムのように感じるものとなっていました。涙なしでは聴けません。出典:YouTube Symphony No. 7 “Sinfonia Antartica” ベルナルト・ハイティンク – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

アンドレ・プレヴィン  ロンドン交響楽団 😢

レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:「南極交響曲」交響曲第7番 アンドレ・プレヴィン  ロンドン交響楽団 1969年
Ralph Vaughan Williams: Sinfonia Antartica, Symphony No.7 André Previn London Symphony Orchestra
ソプラノ:ヘザー・ハーパー Heather Harper 合唱:アンブロジアン・シンガーズ The Ambrosian Singers
朗読:サー・ラルフ・リチャードソン

R・シュトラウスのアルプス交響曲も、壮大な音絵巻ですが、V・ウィリアム(RVW)の南極交響曲も負けていません。すごい盛り沢山のストーリーで、多彩な音が、これでもかと詰め込まれており、楽器の動員も圧巻です。山に登って降りてくるアルプスと、どこまでも続く氷の大陸、場所は違えども極限状態です。覚悟が必要かなあ。聴いているなかで、段々と凍り付いていくかもしれません。最高気温35度超えの真夏に聴いたのですが、凍り付いちゃった。 

プレヴィンさんの演奏は、穏やかで、まだ聴きやすいかな~と思います。楽章の合間に、ナレーションが入っているので、ここが楽章の切れ目なんだとわかるだけでも、ありがたいです。アルプス交響曲は、無事に下山してくるので安心して聴けるのですが、V・ウイリアムズの南極交響曲は、ストーリーの関係上、最後は悲痛な感じになってしまいます。ただ、プレヴィンさんの演奏で聴いた感想としては、ガチガチに凍って、えぐりだすかのような悲愴感がないように感じられます。

何度か繰り返して、どんな楽器が使われているのだろう~ ここは、どのような描写なのだろう~と、音を聴いてみようという感じになるかもしれません。風景や光景を主体にして演奏しているか、人物描写に徹しているのかの違いだと思うが、他盤で聴いたときは、怖くて~ ガチガチに凍りついて、身動きでができなかったからね。

また、V・ウイリアムズ(RVW)の楽曲は、ヨナ抜き風の旋律が、穏やかで魅力的です。第1楽章のラストは、ところどころに顔を出しているが、さすがに当楽曲では、その魅力は氷に閉じ込められがちです。氷の世界といえども、白一色ではなく、小動物の動きや風景の描写は、楽器を多彩に使って表現されているし、プレヴィン盤は、穏やかに表現されているように感じました。少し録音が古いため、和音の響きは濁りがちですが柔らかいです。第3楽章で聴かれるパイプオルガンは、多少平べったい金属的な音ですが、ウィンドマシンも良く聞こえています。

CDカップリング:V・ウィリアムズ 南極交響曲、交響曲第8番 ヴォーン=ウィリアムズ交響曲全集(1番~9番)6枚組BOXがあります。出典:YouTube Sinfonia Antartica (Symphony No. 7) アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第7番「南極交響曲」【解説】

南極交響曲は、イギリスの作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズが、1947年に作曲した、第7番目の交響曲です。元は、映画「南極のスコット」のために作曲された音楽を、交響曲の形に改作したもので、ソプラノ、合唱、パイプオルガン付きの楽曲です。で、この作品は、もともとのタイトルが「南極交響曲」なので、交響曲 第7番「南極」のように、副題として扱うことは適切ではないとの意見があります。

さて、ロバート・スコットの南極探検隊を描いたイギリス映画「南極のスコット」を1947年に作曲したのですが、これを再編成して交響曲としています。1953年には、バルビローリ指揮ハレ管弦楽団により初演が行われています。チェレスタ、ピアノ、パイプオルガン、さまざまな種類の打楽器やウィンドマシーン、さらに女声合唱とソプラノ独唱のヴォカリーズが用いられるという大編成で、五つの楽章で構成され、第3楽章と第4楽章は繋がっています。

また、各楽章の開始に先立ち、文学作品の引用句が掲げられているとのこと。(参照:Wikipedia)
1楽章 前奏曲:アンダンテ・マエストーゾ(引用句:シェリーの詩『鎖を解かれたプロメテウス』)
2楽章 スケルツォ:モデラート~ポコ・アニマンド(引用句:詩篇第104篇)
3楽章 風景:レント(引用句:コールリジ『シャモニー渓谷の日の出前の讃歌』)
4楽章 間奏曲:アンダンテ・ソステヌート(ジョン・ダン『夜明けに』)
5楽章 終幕:アッラ・マルチア、モデラート(ノン・トロッポ・アレグロ)(スコット大佐の最後の日記より)

レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第7番「南極交響曲」【ディスク情報】


1969年 プレヴィン ロンドン交響楽団 R
1984年 ハイティンク ロンドン・フィル EMI

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