ヴァレーズ:イオニザシオン(電離)、アルカナ、インテグラを【サクッと】聴いてみよう。Varèse: Ionization, Arcana, Intégrales, etc

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01 ヴァレーズ:イオニザシオン(電離)

アンサンブル・アンテルコンタンポラン

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) アンサンブル・アンテルコンタンポラン
Varèse: Ionisation Ensemble Intercontemporain 出典:YouTube Edgard Varèse, Ionisation – Ensemble intercontemporain
さかりのついたような猫の声に似たサイレンの音には、ちょっと笑えてしまいました。にゃぁぁぁ~っ! いろんな楽器が登場して、カメラワークも大変そうですが、現代音楽には視覚情報が必要だと痛感しちゃいました。というより、目で見た方がずーっと楽しめます。全体的に引き締まった音で、硬質感のある演奏だと思います。

パスカル・ロフェ フランス国立管弦楽団

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) パスカル・ロフェ フランス国立管弦楽団
Varèse: Ionisation Pascal Rophé l’Orchestre philharmonique de Radio France
出典:YouTube Varèse : Ionisation France Musique  ピアノ:フランツ・ミシェル Franz Michel ここのサイレンは、低くて硬めの音で唸っているのですが、全体的にあまり響かないし、もっと硬めの打楽器の音が欲しいように思いました。カチっとした硬質感のある演奏とは違いますね。開放感を狙っているのかなあ。

ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 🙂

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1995年~96年
Varèse: Ionisation Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

ブーレーズさんとシカゴ響の演奏は、打楽器が、あちらこちらで響き渡り、銅鑼の大きな音でびっくりしたり、あっという間に5分58秒が過ぎ去っていきます。広がりのある残響のおかげで、嫌な気分にはなりませんが、何度か繰り返しても、このリズムにのれず、意表をつかれます。CDカップリング:ヴァレーズ アメリカ、アルカナ、砂漠、・イオニザシオン(13人の打楽器奏者のための)出典:YouTube Varèse: Ionisation シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 😘

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) ピエール・ブーレーズ ニューヨーク・フィル 1977年
Varèse: Ionisation Pierre Boulez New York Philharmonic

ブーレーズさんの演奏は、最初に聴いたヴァレーズだったと思います。聴いて、びっくり、なんじゃーこりゃ! それ以降、ワタシには、ついていけない楽曲の一つとなり、うるさいわ、どこがクラシック音楽なのさ、あれは騒音じゃんと決めつけて、CD棚の奥に、速攻でお蔵入りになってしまいました。騒音音楽だと確定しちゃったのです。

あれからかなりの時間が経過して、他にもケッタイな楽曲が増え、耳が慣れてきたようです。シカゴ響よりも、ずっとスマートで見通しの良い演奏です。サイレンも、さほど五月蠅くないですね。CDカップリング:イオニザシオン1977年、アメリカ75年、デンシティ21.5 75年、オフランド83年、アルカナ77年、オクタンドル83年、アンテグラル83年 出典:YouTube Ionisation ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1992年
Varèse: Ionisation Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

シャイーさんの演奏は、ゆったりとした空間に広がる原初的な楽曲。音響の広がりが半端なく大きいため、暖かみのある柔らかい音として聴くことができます。救急車の「うぅ~っ うぅ~」というサイレンが、いきなり流れてきて、空襲警報発令、逃げろぉ~って感じがします。チャイコフスキーのように綺麗な旋律はないし、心地良い響き、共鳴しあって美しい和音が響くってことにはご縁のない曲です。初稿の演奏らしいのですが、うーん、イマイチわかりません。

CDカップリング:ヴァレーズ作品集2枚組BOX チューニング・アップ、アメリカ、ポエム・エレクトロニク、アルカナ、ノクターナル、暗く深い眠り(アントニー・ボーモン編曲 管弦楽版)、暗く深い眠り(オリジナル版)、オフランド、ハイパープリズム、オクタンドル、アンテグラル、エクアトリアル、イオニザシオン、密度21.5、砂漠、バージスの踊り 出典:YouTube Varèse: Ionisation Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ケント・ナガノ フランス国立管弦楽団 🥰

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) ケント・ナガノ フランス国立管弦楽団 1991、92、96年
Varèse: Ionisation Kent Nagano Orchestre national de l’ORTF

ナガノさんの演奏は、間合いが巧いですね。なんだか雰囲気がある~って感じ。打楽器がメインで、普段、騒音としか聞こえてこないような賑々しい音が、イッパイ詰まっており、はじめて聴くと、これが騒音音楽なのかと驚くのですが、サイレンの音の後に、うぅ~ わぁ~ チャカチャカ チャッチャンっていう小太鼓の音、パコパコ、パパっ、小さな木魚のような音が聞こえたり、拍子木のような音や、チンっ。

ハワイアンのギーシギーシ、ギザギザ音を出す楽器や鈴の音、チューブラベルもあるようで、重層的に鳴ってきます。わずか6分程度の曲ですが、ケント・ナガノさんの演奏は、爽やかな環境音楽のように聞こえてきます。これはパーカッションの勉強素材として良いです。

CDカップリング:アメリカ、オフランド、ハイパープリズム、アルカナ、デンシティ21.5、イオニザシオン、エクアトリアル、ノクターナル、インテグラル(質量)、デセール(砂漠) 出典:YouTube Varèse : Ionisation
ケント・ナガノ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 😘

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 1972年
Varèse: Ionisation Zubin Mehta Los Angeles Philharmonic Orchestra

メータさんの演奏は、遊び心を刺激する演奏で、なんでも良いので、叩くモノをつかんで飛び入り参加したくなってしまう。そんな楽しさを感じます。ヴァレーズのイオニザシオン(電離)は、1931年、西洋音楽史上初のパーカッション・アンサンブルだとされています。

改めて聴くと、少し素朴で楽しげな感じが伝わってきます。最初は、のけぞって、これは何?これが音楽? うっそぉ~と、言っていたサイレンの音は、もう、さほど驚かなくなってしまったのです。慣れ~って、面白いですね。1972年録音ですが、大変クリアで、眼の前の舞台で、打楽器が叩かれているかのようなリアルさがあります。これは、飛び入り参加したくなってしまうかも。子供に戻ってパンカ パンパカしたくなるので、騒音音楽って感じがしませんね。

CDカップリング:ヴァレーズ アルカナ、インテグラル、イオニザシオン(電離) 出典:YouTube Varèse: Ionisation LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group

マリス・ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 😙

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離) マリス・ヤンソンス バイエルン放送交響楽団 2010年
Varèse: Ionisation Mariss Jansons Bavarian Radio Symphony Orchestra

幻想交響曲にカップリングされていたのですが、まさかバイエルン放送響でイオニザシオンが聴けるとは! パーカッションの音が、とても綺麗に収録されており、ぽかんっと鳴るのが面白くって。空き缶を叩いているみたいです。サイレン音は、イマイチ大きくないのですけど、几帳面な演奏ですが~ 想像しながら楽しめました。
CDカップリング:ベルリオーズ 幻想交響曲 2013年録音、ヴァレーズ イオニザシオン 2010年録音 出典:YouTube Symphonie fantastique, Op. 14 バイエルン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

02 ヴァレーズ:アルカナ

リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

ヴァレーズ:アルカナ リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1992年
Varèse: Arcana Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

アルカナは、ストラヴィンスキーの春の祭典に、馴染んで耳にしているとダイジョウブ。ハルサイは、もはや古典であるけれど、よく似た雰囲気が散見されます。「しどれ しどれ  しっどぉ~れ  しど (パッパ ぱぁ~)」と、ティンパニーと金管が吹かれている。この「しどれ しどれ・・・」というティンパニーが、象徴のように繰り返して叩かれており、多彩な打楽器が、そこに連なってくる。

ムチがしなるかのような、ポンポコっと鳴る打楽器もあるし、打楽器好きな人には、面白いんだろうなあ。途中で、人の声じゃーないの? 「ぶ ぶ ぶ~ん」って言うのは、人の声でしょ。これっ! なにやらケッタイな音楽ですが、マーチングバンドのような軽やかな雰囲気も。銅鑼も大きく響いており、アハハ~ ストラヴィンスキーハルサイ第二番って感じの様相が出てきます。おもしろがって聞ける楽曲にはなりますが、夜に、大音量であげて聴くと、そりゃーダメです。

シャイー盤では、18分30秒というクレジット。フランス語版のウィキでは、オケの構成は、ヴァイオリンとヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、ピッコロ、ファゴット オーボエ、クラリネット、バスクラ、ホルン トランペット トロンボーン、チューバ、トライアングル、ギロとあったが、シャイー盤では、これ以上に、楽器は使われているように思います。もっと、いろんな種類を使ってるよんと、言われそうな気がします。

CDカップリング:モソロフ「鉄工場」1992年、プロコフィエフ「交響曲第3番」1991年、ヴァレーズ「アルカナ」 1992年 YouTubeにおいては、カップリングが異なります。出典:YouTube Varèse: Arcana チャンネル:Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 😘

ヴァレーズ:アルカナ ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 1972年
Varèse: Arcana Zubin Mehta Los Angeles Philharmonic Orchestra

メータさんの演奏で聴いてみます。ティンパニの音が柔らかく、トロンボーンをはじめとした金管群や木魚のような音が鳴っていますが、やっぱり、口々に叫ぶような金管のフレーズが楽しそう。チューバの低音の響きなどが、勇壮です。迫力ありますね~ CDのブックレットには、冒頭の三音のモチーフからなる全音階的な11音の旋律が、この作品の構造を支える低音主題であると書いてありました。解説を読ませていただいて気づいた点も多いです。

重く感じる筈の音が、ふわっと広がるところが、下に向かった重量感から解放されて、前の方に体重移動するかのような推進力を感じます。編成の大きな曲で、約40種類の打楽器だと書いてあった。あへっ、演奏会には不向きですね~ ちょっとコスパが良くない。アルカナっていう意味は、ラテン語らしく、神秘、秘密などという意味らしいです。野蛮なジャングルの奥地にいるようでもあり、空中に浮かぶ不思議な物体、マグリットの絵画、海に浮かぶ岩、宙に浮かぶ岩のような感じもします。聴く人のイメージを膨らませます。CDカップリング:ヴァレーズ アルカナ、インテグラル、イオニザシオン(電離) 出典:YouTube Varèse: Arcana LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group

03 ヴァレーズ:インテグラル

ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 😘

ヴァレーズ:アルカナ ズービン・メータ ロサンゼルス・フィル 1972年
Varèse: Intégrales Zubin Mehta Los Angeles Philharmonic Orchestra

インテグラル(積分)は、 弦楽器なしの室内オケと打楽器のために書かれた作品で、17種類の打楽器で構成されているのだそうです。 木魚のような音と、ローマ史劇に出てくるような長いトランペット「そら れっれぇ~っ みそ らっらぁ~ ぽわ~ん」という青銅の小さな釣り鐘のような音が聞こえます。クラリネット、オーボエ、ホルンとトランペットが旋律を出すというか、どうもワタシには、小さな釣り鐘のような音が~。ぽわーん、ぽわ~んという音が、除夜の鐘みたいで、いや、お寺の木魚の横に置いてある、大きなお椀のような磬子(きんすORけいす)が、鳴っているような感じです。

音が鳴るたびに、ぼよよ よぉ~んと、音の波が、生まれ出てくるような気がします。メータ盤だと、アルカナが18分39秒、インテグラルが10分36秒、イオニザシオンが5分9秒で、わずか35分ぐらいのCDだが、正直言って、これ以上演奏が収録されていても~ ちょっと困ってしまうかも。これぐらいの長さが、ちょうど飽きさせないのではないかなあ。想像以上に楽しめちゃいましたね。今日は、これにて終了。いろんな作品を聴いてみます。CDカップリング:ヴァレーズ アルカナ、インテグラル、イオニザシオン(電離) 出典:YouTube Varèse: Arcana LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離)【解説】

エドガール・ヴァレーズ(Edgar Varèse)は、 1883年フランス生まれで、アメリカに帰化した作曲家です。初期は、ドビュッシーらと親交を持ち、後期ロマン派や印象主義の影響を受けていましが、初期作品を廃棄するなど、心機一転し、イタリア未来派、ブゾーニ、ストラヴィンスキーの影響を受け、1920年に作曲した「アメリカ」以降は、打楽器を多用した作品を多数発表しています。

打楽器の使用、電子楽器の使用など、それまでの音楽とは、はっきりと一線を画した斬新な音響空間は、現代作曲家達に大きな影響を与えています。残された作品は少ないのですが、個性的で色彩的、エネルギーに満ちた楽曲です。

代表作であるイオニザシオン(電離)は、1931年に作曲された、13 人の打楽器奏者のための楽曲です。リズミカルな細胞のようなモノの拡大と変化、分子レベルのような物理の世界か?というようなイメージ作品です。作曲家は、「私は自然物や物理現象ほどには作曲家から影響を受けなかった」と言っているそうですが~ どうでしょう。お弟子さんにアンドレ・ジョリヴェ、周文中、ウィリアム・グラント・スティルらがいます。

ワタシは、てっきりクセナキスやシュットックハウゼンたちと同世代だと思っていたのですが、実際には1920年代生まれの彼らより、一世代前(ストラヴィンスキーと同じ世代)の作曲家です。

ヴァレーズの作品について

ヴァレーズの主な作品は、全15曲(歌曲を除いた作品リスト14曲)です。

01  アメリカ(1920)二つの打楽器群とサイレン付きの管弦楽曲
02 オフランド(捧げ物)(1921)
03 ハイパープリズム(1923)
04 オクタンドル(8弁雌雄両性花)(1924)
05 アルカナ(1927)
06 インテグラル(積分)(1928)
07 イオニザシオン(電離)(1931):西洋音楽史上初のパーカッション・アンサンブル曲
08 エクアトリアル(赤道地帯)(1932)
09 密度21.5(1936):題名は白金の密度
10 チューニング・アップ(1947)
11 「空間」のためのエチュード(1947)
12 バージスの踊り(1949)
13 砂漠(英語版)(1954):初めてテープ音楽を導入した作品
14 ポエム・エレクトロニク(1957):1958年ブリュッセル万博で、425個のスピーカーから流された電子音楽
Wikipediaを参照しました。

ヴァレーズ:イオニザシオン(電離)等作品集【ディスク情報】

1972年 メータ ロサンゼルス・フィル Dec
1977年 ブーレーズ ニューヨーク・フィル SC
1991年 ケント・ナガノ フランス国立管弦楽団 E 
1992年 シャイー コンセルトヘボウ Dec 
1995年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G

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