ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌)【聴いてみよう】Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale)

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ストラヴィンスキー 交響詩「うぐいすの歌」【YouTube】

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) ブーレーズ ウィーン・フィル  1992年ザルツブルグ音楽祭でのコンサートの模様です。出典:YouTube Stravinsky – Chant du Rossignol (Vienna Philharmonic, Pierre Boulez) EuroArtsChannel From the Salzburg Festival, 1992

使われている打楽器群、チェレスタ、フルートとピッコロ、トランペットの違いなど、みどころたくさんです。なんたって、第一人者のブーレーズさんの演奏です。楽しんでください。21分45秒の動画です。タイプスタンプがあるので、初めて聴くときに便利です。耳だけで必死になって聴いてた時代は終わり、見て聴いて音楽鑑賞(古くさいコトバ)ができます。夢みたいなお話です。

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) 3分弱の動画です。リヨンオペラ座 TVからの抜粋映像 アジアの人形劇のような雰囲気です。水辺の雰囲気、オケと人形劇、影絵などをモチーフに構成で、ナイス アイディア! とても楽しそう。出典:YouTube Le Rossignol et autres fables – Extrait du spectacle
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ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」【超簡単ストーリー】

まずは、「うぐいすの歌」について、超簡単にあらすじをお話します。オペラ、バレエ、交響詩の共通ストーリーです。(うぐいすというより、ナイチンゲールかな~と思いますが、邦訳がこうなってるのでごめんなさい。タイトルややこしいっ)

とある漁師が、森のなかでナイチンゲールの歌を聞いています。夜鳴く声が美しいと評判となり、それを聞きつけた中国の皇帝が、ナイチンゲールの歌を聴きたいと希望します。で、ナイチンゲールが、宮廷にやってきて鳴くと、その美しさに、みんなが聴き惚れました。

そこに、日本からの使節団が到着します。日本から中国皇帝へのお土産は、機械仕掛けのナイチンゲールでした。皇帝は、ホンモノの鶯と、機械仕掛けのナイチンゲールの声を聞き比べしようと思いましたが、ホンモノの鶯は、姿を消してしまいます。仕方なく、皇帝は、機械仕掛けのナイチンゲールを寝室に運ばせて、毎夜、その歌声を聞いて寝ることにしました。何年か経って、皇帝は病気になってしまいます。悪霊を音楽で追い払おうとするのですが、肝心なときに機械仕掛けのナイチンゲールは壊れてしまいました。

途方に暮れている皇帝のもとに馳せ参じたのは、ホンモノのナイチンゲールです。悪霊(死に神かな)を相手に歌い、もっと歌ってあげるので、宝物を返して~といい、憂いに満ちた歌を歌っては、悪霊を追い払ってくれたのでした。おかげで、皇帝は元気になりましたとさ・・・というストーリーです。

とてもシンプルなストーリーですが、オリエンタルチック、異国情緒たっぷりの楽曲です。主に、ロシア、ヨーロッパで活躍している作曲家ストラヴィンスキーが、よくこんな中国風旋律が創れるものだと感動します。彼は、どこかで、ヨナ抜きの曲を耳にしたのでしょうか。今のご時世だと、ネットで調べるってことは朝飯前ですが、ストラヴィンスキーさんが作曲したのは、20世紀初頭なのです。旋律、和音を、どこで耳にしたのでしょうか。聴き手の方が、虜になってしまいそうなほど、義理堅い鶯は美声なのです。

結局、うぐいすの歌を題材にした楽曲は、三大バレエのように人気にならず、さほど商業的にもヒットしなかったそうです。東洋人のワタシたちにとっては、馴染みやすいヨナ抜きの旋律、ちょっとブラックユーモア的なストーリーで、楽しめるようにも思うのですが、西洋音楽がベースの方々には、受けなかったのしょう。残念。機械仕掛けのうぐいす VS 本物のうぐいす 癒してくれたのは、さてどっちだったでしょう。 

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」【名盤・おすすめ】

ロリン・マゼール ウィーン・フィル 😘

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌)ロリン・マゼール ウィーン・フィル 1998年
Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Lorin Maazel Wiener Philharmoniker (Vienna Philharmonic Orchestra)

マゼールさんとVPO(ウィーン・フィル)の演奏は、重みがりまろやかで繊細です。ブーレーズさんの演奏と比べると、ヒンヤリ系で明晰な雰囲気はないのですが、機械仕掛けの鶯の存在よりも、愚弄されていく人の存在を感じます。弾力性の感じるリズムで、音だしの強い癖のある中国風旋律に厚みがあります。

冒頭、悲鳴があがり、ひょろひよろぉ~っと木管が鳴ったあとチェレスタの音と、「みれ~ふぁみ~しぃ~みれ みれ~そらみぃ~し~」という、風変わりなチャイナ風の旋律が出てきます。ヨナ抜きかと思いますが、ふわっとした空間の幕開けです。柔らかいフルートの音色が、夜鳴き鶯(うぐいす)で、ジャンっ!

ギィエンっ ヒェンっというような軋んだ弦、ドンっ ドンっ という打楽器、ピアノ、チェレスタ、金管などで奏でられていきます。ついつい、エグミのある個性を爆発させた演奏を期待しますが、ここでは、さほど爆発していませんでした。中国風旋律を、太く隈取りのようクッキリと描き、打楽器をバンっと打ち鳴らして、攻めてくると思っていたのですが、さにあらず。機械仕掛けの鶯も、さほど無機質ではなかったです。ウィーン・フィルの演奏に、そんな~ 無機質感を求めないでくださいと言われちゃいそうです。

CDカップリング:ストラヴィンスキー ペトルーシュカ(1911年オリジナル版)、交響詩「ナイチンゲールの歌」、幻想曲「花火」出典:YouTube Le Chant du Rossignol: Presto Herbert von Karajan Provided to YouTube by RCA Red Seal

シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 😄

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1986年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Charles Dutoit Orchestre symphonique de Montréal

デュトワさんの演奏は、豊かな色彩感、これにつきます。多くの色をパレットに出して、油絵を楽しむような素敵な演奏です。この演奏には、重い湿気た泥臭さとか、粘りとかネガティブな要素はなく、明るく煌びやかで、のびやか、健康的で、華やかで楽しい演奏です。まー お天道さまがアタマの上に燦然と輝いている。そんな感じの演奏です。

なので・・・ この楽想に合うのかと言われたら、、、むむむぅ~なんですけれど。でも、最初に聴く演奏としては、断然お薦めなのです。まずは聴くこと。聴いて馴れて、どんなストーリーか知って、もういっかい聴いて~を繰り返していくと、ん? ということになるかもしれませんが、それまではアナタの相棒として、うってつけだと思います。
CDカップリング:ストラヴィンスキー ペトルーシュカ 1911年版、交響詩 うぐいすの歌、管弦楽のための4つのエチュード 出典:YouTube Stravinsky: The Song of the Nightingale (Le chant du rossignol) モントリオール交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 🥰 

第1部:中国の宮殿の祭 I. Introduction – The feast at the Emperor’s palace

第2部:2羽のうぐいす(本物のうぐいすと、機械仕掛けのうぐいす)II. Marche chinoise

第3部:中国の皇帝の病気と回復 Chant du Rossignol III. Chant du Rossignol

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) ピエール・ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 1996年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Pierre Boulez Cleveland Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、色彩的で、軽やか、不気味さもあって、奥が深い。ブーレーズさんにとっては、1980年にフランス国立管弦楽団(原盤:エラート)と収録したCDがあるので、2回目になる録音。録音状態は極めて良く、バッチリだし、美しく、綺麗な演奏で、とても満足できると思います。

歌劇「夜鳴き うぐいす」の第2幕以降を編曲して、交響詩にしたものなので、とても手軽に聴きやすい。ナイチンゲールの物語は、まあ、あまり楽しいストーリーではないし、仮想空間的というか奇想天外な、現実ありえないストーリーなので、イマイチ解りづらい楽曲ですが、ワタシ的には、バレエ音楽の火の鳥のように聴いています。

中国が舞台になっているようなので、5音階的なフレーズで、中国風のフレーズが満載だが、わりと身近に感じられるペンタトニック(5音階)なので、さほど違和感はない。華麗なるオーケストレーションで、息をつかせる間を与えず、次から次へと繰り出してくる音の煌めきに、目眩がしそうなほどで~ この難しいリズムと、アクセント、そして、軽やかな動きを演奏している方々に、脱帽しちゃう。出典:YouTube Stravinsky: Le Chant du Rossignol – Poème symphonique クリーヴランド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ストラヴィンスキーのピアノ編曲版の序文による区分によると、
第1部: 中国の宮殿の祭
第2部: 2羽のうぐいす(本物のうぐいすと、機械仕掛けのうぐいす)
第3部: 中国の皇帝の病気と回復 となっている。

当盤のブーレーズ盤では、全体で20分32秒の演奏です。そうそう、このインデックスですが、演奏者によって違うんですよ。メチャわかりづらいです。トラック(インデックス)なし、3つの筈が4つ以上だったり、大迷惑っ!オペラ版よりも縮小された2管編成になってて、オケの構成は、次のとおり。

フルート2 (ピッコロ1持ち替え) オーボエ2 (コーラングレ1持ち替え) クラリネット2 (Es管クラリネット1持ち替え)ファゴット2 ホルン4 トランペット3 トロンボーン3 チューバ1 ティンパニ 打楽器 (トライアングル、タンブリン、シンバル、銅鑼、バスドラム、スネアドラム、テナードラム)チェレスタ ピアノ ハープ2 弦五部 となっています。

前半は、動きが素速く、煌めき感がたっぷりで、聴いてても愉しい。ハープのグリッサンド、細かなチェレスタの音などが、とても綺麗です。コミカルなフレーズもあり、ミュート付きの金管など、多彩な楽器が散りばめられています。後半は、うってかわって~ 不気味さが漂い、機械仕掛けのウグイスのカクカクした動きは、かなり気持ちの悪いモノ。一気に闇の世界で、悪霊が漂っている感じがします。

特に、3部の部分は、わかりづらいです。神秘的で、悪霊を退散させる部分が、ちょっとわかりづらいですね。一部の再現(中国風フレーズが出てくるので、宮廷場面だとわかりますが)、皇帝陛下の病気と回復については、ちょっとわかんないです。コーラングレは、何の働きをしているのか、ティンパニーと金管の鳴っているところはとか、ストーリーをアタマに入れて聴き進まないと、迷子になってしまいます。

楽器に役割を与えていることはわかりますが、なかなかに複雑で一筋縄ではいかない。上級者向けの楽曲ですね。わずか20分程度の曲ですが、かなり聞き込まないとダメだなあ~と、改めて思いました。特に、後半が、動きがなさそうで~ 心理描写として聴けたら、もっと楽しめる要素が増えると思います。

カップリング:ストラヴィンスキー 幻想的スケルツォ 1994年、 カンタータ「星の王」1996年、交響詩「うぐいすの歌」1996年、組曲「兵士の物語」1996年

リッカルド・シャイー ベルリン放送交響楽団 😄

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) リッカルド・シャイー ベルリン放送交響楽団 1984年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Riccardo Chailly Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin

シャイーさんの演奏は、奥行きの広いホール感があり色彩的です。交響詩「うぐいすの歌」は、初めて聞いたら、ん? ハルサイと、火の鳥の作風と似ています。ばんっ!と打ち鳴らされたあと、金管の咆吼があり、弦が忙しく動き、弦と木管が、ピコピコっと鳴っているなか、金管の線の細いケッタイな旋律が登場します。金管のウパウパっリズム、オルゴールのようなチェレスタ、多彩な音を使った色彩世界です。ナイチンゲールの鳴き声のようなフルートが登場します。ケッタイな賑々しい音と、金管の「ぱぉ~ん」と消える音が、場面展開を意味します。

で、今度は機械的な音がでて、かしげた音で進んできます。木管の金属音で、機械仕掛けの鶯が登場します。ヨナ抜き中国風旋律と、パンっバンっ!と大きくなって、機械仕掛けの鶯が宮殿に到着します。チェレスタのフレーズ。コミカルな金管フレーズ、民謡風の踊りなど、まぜこぜになって聞こえてきます。

ささやかなお祭り騒ぎ的なフレーズで、盆踊りのような、耳慣れたような民謡風フレーズが登場です。舞台が日本じゃ~ないんだけど、日本からの贈り物でーす、という感じでしょうか。フルートの不気味な風が起こり、華やかなピアノが登場し、パンっ ウパウパ、ピアノが弾かれ、ききき~っと軋んだ音、金管のプラッター音が鳴ります。う~ん、今、どこの場面なんだろ?(迷子になりました)

ティンパニーが鳴って、ハルサイのような雰囲気が漂い、チューバが鳴ってくるあたりから、皇帝がご病気ってところなんでしょうか。きっと死霊がやってきて~ 死霊は、やっぱチューバが担当でしょうか。凡人が、アタマのなかで精一杯イマジネーションを膨らませてはいるのですが、その想像を超えてくる楽曲なので、あっはは~ なんともむなしい気分に陥ります。

って、ぼやいていたら、バレエの動画を、YouTubeで、拝見することができました。でも、著作権に問題ないのかどうか、公式ではないので、ちょっと~ なので、ここにはペッタンしません。かなりシンプルで動きの少ない、象徴的な画面ですが、 まあ、雰囲気だけでもつかめると思うので、どうぞ、ご興味のあるかたは、Le Chant du Rossignol で検索してみてください。鶯、ナイチンゲールというより、どうみても、ニワトリじゃん!って感じなんですけどね。こんなカブリモノで、バレエを踊るのは、気の毒で笑えませんでした。

CDカップリング:詩篇交響曲、幻想曲「花火」、カンタータ「星の王」、交響詩「うぐいすの歌」 出典:YouTube Stravinsky: The Song of the Nightingale (Le chant du rossignol) ベルリン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ヘルベルト・ケーゲル ドレスデン・フィル 😢

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) ヘルベルト・ケーゲル ドレスデン・フィル 1983年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Herbert Kegel Webpräsenz der Dresdner Philharmonie

ケーゲルさんの演奏は、クールですっきりした見通しの良い演奏です。ストラヴィンスキーは、1908年に、アンデルセンの「小夜鳴き鳥と中国の皇帝」をもとに、3場のオペラを創ろうと思っていたらしい。モスクワ自由劇場の委嘱によるものだが、劇場が倒産したらしく上演は中止。で、三幕の歌劇「夜鳴きうぐいす」の第1幕は1907年~9年に、残り部分は1913年~14年にかけて作曲されています。

その間に作風は変わってしまったようで、第1幕は、R・コルサコフやムソルグスキーの影響を受けた作風。第2幕以降は、バーバリズム つまり、春の祭典のようなドンスカ、バンスカっという野趣あふれる打楽器を使う作風となったそうです。作曲家ご本人が進化したことで、作風の違いが発生。でも、あえて統一しなかったそうです。うーん、すごいですねっ。伸びしろが充分にあった~ 毎年、成長できない凡人とは大違いです。

ワタシたちは、ストラヴィンスキーのその後の曲を聴いているため、ピカソのように、青の時代、ばらの時代、キュビズムの時代、シュールレアリズムってな感じで、作風がカメレオンのように変わっていくことを知っています。そのことも踏まえ、約20分の交響詩を楽しんでみてくださいね。客観的というか、所詮空想の世界なんでしょって、突き放したようなクールさ、いやシュールな演奏です。

CDカップリング:ストラヴィンスキー プルチネルラ(1949年改訂版)1981年、交響詩「うぐいすの歌」1983年 出典:YouTube Stravinsky The Nightingale: Song of the Nightingale ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media

ピエール・ブーレーズ フランス国立管弦楽団 😘

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) ピエール・ブーレーズ フランス国立管弦楽団 1980年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Pierre Boulez Orchestre national de France

ブーレーズさんの演奏は、どっ ひゃ~ん!って感じで、慌ただしい幕開けです。クリアで、鮮やかでキラキラ輝いており、音の洪水のようにいろんな楽器が登場してリズミカル。つかみの良い演奏です。鼻が詰まったような中国風旋律が登場し、舞曲のようでもあり、コミカルでもあります。多彩な楽器が使われており、美音の代表的なチェレスタも登場します。

ストーリーの展開は速くリズミカル。フルートの軽やかな動きと、トロンボーン、ファゴットが入って目まぐるしく展開していきます。ティンパニーが入って行進風となり、銅鑼も鳴らされ、地味な音色ながらも華やかです。パーカッション軍団もあり、飽きさせることがありません。いろんな楽器が登場し、調子はずれ的な主題が、ストラヴィンスキーの個性でしょう。ここがミソという感じがします。機械仕掛けの鶯を登場させ、真偽のほどを問う世界です。

旋律を耳で追うのではなく、鮮やかな音をカラダで受け止め、雰囲気を楽しみ、自分の想像を膨らませることに終始しても、退屈しないのではないでしょうか。約20分の楽曲ですが、後半は皇帝の寝る場面、夜のシーンになります。静かななかに、鳥が飛び交うようなシーンが続き、悪霊(悪夢)と鶯の対決、ホラー映画さながらのドキッとする場面もあります。CDカップリング:ストラヴィンスキー バレエ「プルチネルラ」全曲版 1980年、交響詩「うぐいすの歌」
出典:YouTube Le Chant du rossignol ピエール・ブーレーズ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International 

アンタル・ドラティ ロンドン交響楽団 😘

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) アンタル・ドラティ ロンドン交響楽団 1964年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Antal Doráti London Symphony Orchestra

勢いある演奏です。マーキュリーの録音は、さすがに優秀です。野趣あふれる感情の表出って感じでしょうか。軋みは軋みとして、軋轢は軋轢として描く。ドラティさんの演奏は、人の感情に焦点があたっている気がします。眠れず、悪霊が出てくる後半が聴きどころです。結構、奥深く怖ーくなってます。CDカップリング:ストラヴィンスキー 火の鳥 1959年、幻想曲「花火」1964年、タンゴ 1964年、ロシア風スケルツォ 1964年、交響詩「うぐいすの歌」1964年録音 出典:YouTube Stravinsky: The Song of the Nightingale (Le chant du rossignol) London Symphony Orchestra

ロリン・マゼール ベルリン放送交響楽団 😘

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌) ロリン・マゼール ベルリン放送交響楽団 1957年 Stravinsky: Le Chant du rossignol(The Song of the Nightingale) Lorin Maazel Radio-Symphonie-Orchester Berlin

マゼールさんの演奏は、精度の高い演奏だと思います。それに鋭いです~ スッパと切れるようなリズム感です。不気味さもしっかり醸し出しており、曖昧にはしません。特に、後半の場面をじっくり聴いてみたいですね。エキゾチックな旋律を丹念に演奏している気がします。

CDカップリング:ストラヴィンスキー 組曲「火の鳥」1919年版 出典:YouTube Stravinsky: The Song of the Nightingale (Le chant du rossignol) フランス国立管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」【解説】

ストラヴィンスキーの交響詩「うぐいすの歌」(ナイチンゲールの歌 Le Chant du rossignol )は、モスクワ自由劇場の委嘱によって、3幕の歌劇を作曲したものです。原作は、アンデルセンなのだそうですが、第1幕が1907年~9年に、残りは13年~14年に作曲されています。

この1幕と、以降の間に、有名な火の鳥、ペトルーシュカ、春の祭典が作曲されているのですが、モスクワ自由劇場が倒産しちゃったため、バレエ団の主宰者ディアギレフにより、14年にオペラ座で上演されています。その後、オペラから、再構成して交響詩にしようと考えていたところ、バレエ化の話になり、バレエ用に編曲しています。ちなみに、交響詩の初演は、1919年に、バレエ初演は翌年20年に行われています。一般的には、交響詩として、演奏されることが多いようです。構成は次のとおりです。

第1部: 中国の宮殿の祭
第2部: 2羽のうぐいす(本物のうぐいすと、機械仕掛けのうぐいす)
第3部: 中国の皇帝の病気と回復

仏・英語の表記は次のとおりです。
1 Introduction
2 Marche chinoise  (Chinese March).
3 Chant du rossignol  (Song of the Nightingale).
4 Jeu du rossignol mécanique (The Mechanical Nightingale).  The Mechanical Nightingale’s Game

ストラヴィンスキー:交響詩「うぐいすの歌」【ディスク情報】

1957年 マゼール ベルリン放送交響楽団 G
1964年 ドラティ ロンドン交響楽団 Mercury
1980年 ブーレーズ フランス国立管弦楽団 E
1983年 ケーゲル ドレスデン・フィル DS
1984年 シャイー ベルリン放送交響楽団 Dec
1994年 ブーレーズ クリーヴランド管弦楽団 G
1986年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1998年 マゼール ウィーン・フィル R

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