スクリャービン:ピアノ協奏曲【聴いてみよう】Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20

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スクリャービン:ピアノ協奏曲【名盤・おすすめ】

ダニール・トリフォノフ ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 🥰

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ダニール・トリフォノフ ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 2019年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Vladimir Ashkenazy Lorin Maazel London Philharmonic Orchestra ★ 第2楽章は変奏曲なので、4つにインデックス(トラック)が区分されています。

今をときめくトリフォノフさんの演奏は、そこはかとなく甘みがあり、悲しみが底に沈んでいます。やっぱり綺麗なフレージングで流麗さが際だっていますね。低音の響きは一瞬強いものの、打音後は、すっとあがってきて消えていきます。水が流れているような雰囲気がします。オケとの関係性も、調和がとれており、スピード感も速めで淀みなく、一緒になって大河になりたくて流れて行くよう。

第2楽章は、しずかーに進みます。静寂感があり北欧の雪景色のようです。ゲルギエフさんの降っているオケとは思えないほど。木管フレーズが余韻を残しているなかでピアノが弾かれます。変奏曲部分も、飛び跳ねても、小動物が走っているかのような可愛いらしさ。沈み込む音にも、優しさが感じられるという叙情性が感じられます。(ちょっと、褒めまくり状態になってきました。)第3楽章は、付点のリズム感が強めで、インパクトがありますが、軽やかに進みます。歌謡風フレーズも、さほど粘らず、さほど甘みもありませんが、ピュアさが基本にあり、綺麗、ホント綺麗な音だな~と思いつつ拝聴しました。ピアノの打音が、全体的にスッキリしており透明度が高いのが、気持ち良く聴ける要因だと思います。いつもなら、ショパン+ラフマニノフのようだと言うところですが、トリフォノフさんの演奏は、グリーグのピアノ協奏曲に近い雰囲気を感じました。

CDカップリング:「シルヴァー・エイジ」2枚組BOX ストラヴィンスキー イ調のセレナーデ、プロコフィエフ 風刺(サルカズム)、ピアノソナタ第8番、シンデレラからの6つの小品第2曲シンデレラ、ストラヴィンスキー 火の鳥組曲(アゴスティ編曲版)、ピアノ協奏曲第2番、ペトルーシュカからの3楽章、スクリャービン ピアノ協奏曲 2019年録音  出典:YouTube Scriabin: Piano Concerto in F Sharp Minor, Op. 20 Daniil Trifonov Provided to YouTube by Universal Music Group

コンスタンティン・シチェルバコフ イーゴリ・ゴロフスチン モスクワ交響楽団 😋

スクリャービン:ピアノ協奏曲 コンスタンティン・シチェルバコフ イーゴリ・ゴロフスチン モスクワ交響楽団 1996年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Konstantin Scherbakov Igor Golovschin  Moscow Symphony Orchestra

シチェルバコフさんの演奏は、とても繊細なピアノで、ほの暗さが終始つきまといます。甘さは控えめですが、内気で、誠実そうな青年が弾いているようなピアノです。思春期のもやもやした悩みを抱えながら、年上の女性に恋心を抱いているかのような胸の高まり~ そんな感じです。平凡な感想でスミマセン。

音源が遠い感じで柔らかい響きがします。ポルタメントが多く、タメ過ぎって感じですね。かなり昔のメロドラマを見ている感じがしてて、第1楽章が終わる頃には、聴いてて、ちょっと恥ずかしくなってしまいます。第2楽章は、残響を感じつつ物思いに浸りきることができそうです。第3楽章は、もう少しテンポが速いほうが好きですが、物思いから、まだ脱却できていないのか、ふふっ、ナルシストだな~ と思いつつ拝聴しました。

全編が、濃厚なロシア風味です。これで、煌びやかで華麗に弾かれると、うぷぷ~ 完全満腹状態になるのですが、音の響きが少し暗めだったことで相殺されたのか、少しは甘さが控えめに感じられたようです。なんだか久しぶりに聴いた、濃厚さで、大柄で古風な演奏ですが、スクリャービンなので、ワタシ的には許容範囲です。あっはは~と、最後のクライマックスで笑いそうになりましたが、これぐらい、たっぷり気味に演奏されたら満足できます。

シチェルバコフさんは、1963年生まれのロシア出身のピアニストです。技巧派で知られており、カツァリスさんも弾いていたリスト編曲のベートーヴェン交響曲全集がNAXOSから出ています。CDカップリング:プロメテウス、前奏曲(作品11-6ほか)、たよりなさ(作品51-1)葬送行進曲 出典:YouTube Piano Concerto in F-Sharp Minor, Op. 20
Konstantin Scherbakov Provided to YouTube by NAXOS of America

アナトール・ウゴルスキ ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 🥰

スクリャービン:ピアノ協奏曲 アナトール・ウゴルスキ ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1996年
Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Anatol Ugorski Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

ウゴルスキさんのピアノは、均整が取れてて彫刻のフォルムのようです。ブーレーズさんとの相性が良いのか、さっぱり系の演奏なのですが、弱音部分がことのほか綺麗です。整いすぎて、もう少し甘さも欲しくなるところですが、腹八分目というのがちょうど良いのかもしれません。オケの方も、ピアノ以上に、きっぱりしています。特に第2楽章は、静寂が立ちこめてくるような弱音から始まります。変奏部分は、曲想によって変化しますが、基本は、内省的な姿勢でしょうか。リズムも跳躍も、抑制された美意識の高さを感じます。

第3楽章においても、ストイックです。うーん、これほど厳しくしなくても~ もっとアマアマでも良いのに~ と言いたいところですが、いや、ウゴルスキさんのピアノは、決して自分の姿勢を崩さないです。ワタシは、甘さを求めてしまいがちで、実際、甘い演奏が好きです。曲想としても、世俗的に流れてしまいそうな曲ですが、ウゴルスキさんは、この曲を品のあるピアノ協奏曲に仕上げています。アシュケナージ盤と共に、昔から聴いているのですが、改めて拝聴して、駄耳のワタシは反省しきりでした。成長しておりませんでした。

CDカップリング:交響曲第4番「法悦の詩」、ピアノ協奏曲、交響曲第5番「プロメテウス」 出典:YouTube Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 アナトール・ウゴルスキ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ペーテル・ヤブロンスキー ヴラディーミル・アシュケナージ ベルリン・ドイツ交響楽団 😘

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ペーテル・ヤブロンスキー ヴラディーミル・アシュケナージ ベルリン・ドイツ交響楽団 1995年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Peter Jablonski · Deutsches Symphonie-Orchester Berlin · Vladimir Ashkenazy 

CDカップリング:スクリャービン交響曲全集、ピアノ協奏曲3枚組BOX 交響曲第1番、第5番プロメテウス 1994年、交響曲第2番、ピアノ協奏曲 1995年、前奏曲「夢」、交響曲第3番「神聖な詩」、交響曲第4番「法悦の詩」1990年録音 ピアノ:ヤブロンスキー メゾ・ソプラノ ブリギッテ・バレイズ テノール セルゲイ・ラーリン ベルリン放送合唱団 YouTubeにおいては、交響曲第2番とピアノ協奏曲のカップリングになっています。出典:YouTube Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 ベルリン・ドイツ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲルハルト・オピッツ ドミトリー・キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 😣

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ゲルハルト・オピッツ ドミトリー・キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 1993年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Gerhard Oppitz Dmitri Kitajenko Radio-Sinfonie-Orchester Frankfurt

オピッツさんの演奏は、力強くダイナミックに演奏され、さっぱり系です。21世紀になって聴いているので、まあ、この程度で良いのかもしれません。でも、内心は寂しーい。せっかくスクリャービンの初期作品を聴いているのに~と思っている自分がいます。ショパン+ラフマニノフの味を知ってしまったので、少し甘めに弾いて欲しいと思います。しかし、第2楽章のアンダンテは、このさっぱり風合いが妙にマッチしており、オケのフレージングが、風がさらっと吹いている雰囲気を醸し出しています。

基本的には、ピアノが、地面に踏ん張って、仁王立ちしているかのような逞しい農夫のようです。最初は煌めきもあるのですが、変奏している間に、熱い血がたぎるようです。弾み始めると、元気を取り戻してきますが、ピアノの表情の差が大きくって戸惑います。第3楽章のロンドも同様で、逞しいピアノの演奏でした。あのね~ もうちょっと細やかな表情ってできないんでしょうか、うーっ、繊細さが足らんやろって気がします。ラストの華やかさは、もはや蛇足。

CDカップリング:スクリャービン交響曲全集3枚組BOX 交響曲第1番1992年、第2番1992年、第3番1994年、第4番1991年、第5番1993年 ピアノ:ウラジーミル・クライネフ、ピアノ協奏曲1993年 ピアノ:ゲルハルト・オピッツ、前奏曲「夢」1993年 出典:YouTube Piano Concerto in F-Sharp Minor, Op. 20 hr交響楽団 – トピック Provided to YouTube by RCA Red Seal

ローランド・ペンティネン レイフ・セーゲルスタム ロイヤル・ストックホルム・フィル 😅

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ローランド・ペンティネン レイフ・セーゲルスタム ロイヤル・ストックホルム・フィル 1990年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Roland Pöntinen Leif Segerstam Stockholm Philharmonic Orchestra

ローランド・ペイティネンさんは、1963年生まれのスウェーデン出身のピアニストです。ピアノは良いと思うし、タメ感もあって盛りあがりもするのですが、せーゲルスタムさんの振るオケと相性が悪いのか、いや、ピアノとオケの音響のバランスがイマイチなのか、ダイナミックに演奏されているんだけど、ピアノの音像がぼんやりしてて、高音域が音が割れている感じです。オケが奥まっています。BISなんだよね~と確認しちゃったほどです。

第3楽章は、派手に、威勢のよい山場を作ります。オーバーすぎるほどの盛りあがりを見せるのですが、巨漢セーゲルスタムさんのオケと共倒れしちゃった感じもします。CDジャケットのデザインは、ロックかと思うし、甘く流れすぎて品を落としている嫌いがあります。出典:YouTube Piano Concerto in F-Sharp Minor, Op. 20 ローランド・ペンティネン – トピック Provided to YouTube by PLATOON LTD

ギャリック・オールソン リポル・ペシェク チェコ・フィル 😥

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ギャリック・オールソン リポル・ペシェク チェコ・フィル 1985年 Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Garrick Ohlsson Libor Pešek Česká filharmonie

オールソンさんのピアノは、ゆったり~ ゆっくりと進みます。甘さというよりは、憂鬱な表情が色濃く描かれており、恋に破れた傷心状態という気がします。あらまっ。オケの音も心なしか、悲しげでつらそう。でも、なーんか曲が違うように感じられ、オケとマッチしているんだろうかと不安になります。

オケが主題を弾いているときも、ピアノは、ガンガンに自分のフレーズを弾いているので、あれま。相容れない仲だったようです。うーん。オールソンさんの強靱な左手のタッチが気になり、鉄杭を打つかのような音で甘さがぶっ飛んでしまいがちです。歌謡風の主題も、崖っぷちという感じすらします。強い風に煽られて、あっ 危ないっ! なにも、そんな崖っぷちに立たなくても~ 第3楽章も、オケと仲良くできず分離状態で、心を通わせることができず、気持ち良く聴くことができずじまいでした。CDカップリング:スクリャービン 法悦の詩 交響的楽章「夢」出典:YouTube Concerto for Piano and Orchestra in F sharp minor, Op. 20 ギャリック・オールソン – トピック Provided to YouTube by Supraphon

ウラディーミル・アシュケナージ ロリン・マゼール ロンドン交響楽団 😘

スクリャービン:ピアノ協奏曲 ウラディーミル・アシュケナージ ロリン・マゼール ロンドン・フィル 1971年
Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 Vladimir Ashkenazy Lorin Maazel London Philharmonic Orchestra

アシュケナージさんの演奏は、暖かい音色で綴られていきます。煌めきもあってタメ感も適度にあります。オケも単なる伴奏ではなく、ピアノに多く絡み、木管、金管のフレーズも良く聞こえます。押し寄せる波のように、キラキラと進むピアノですが、たっぷりかと思えば、意外とあっさり進んだり、スピード展開が、ん~ メリハリというよりは凹凸がある感じでしょうか。昔から聴いていた筈なんだけど、ちょっと意外でした。

第2楽章のアンダンテは、歌謡風フレーズに耳が行って、うっかり聴いていると変奏曲であることを忘れます。オケのクラリネットが入ってくると、ピアノを聴かないと~っ。最初聴いたときは、ピアノ・ソロのカデンツァだと勘違いしてしまった記憶があります。このオケの主題が、とても懐かしいフレーズを奏でてるので、何度となく、うっとり~してしまいます。第3楽章は、歌謡風フレーズに耳を奪われ、ピアノの高音域のキラキラ感に、耳と心を奪われてしまいます。勇壮な主題は、マゼールさんのオケが前面に出てきます。

この曲を聴いていると、ラフマニノフ+ショパンという甘さがありますが、主題を奏でるオケをバックに、力強くアルペジオが弾かれています。この曲は、オケの存在が目立たないと思っていたのですが、いや~ なかなか。このオケがないとピアノだけでは、魅力が半減してしまいます。録音年が70年代なので、さすがに古いのですが、再度聴くことができて、良かったです。優しさと懐かしさに満たされました。

CDカップリング:スクリャービン 交響曲第4番「法悦の詩」、ピアノ協奏曲、交響曲第5番「プロメテウス」 レーベル:デッカ(Decca)スクリャービン作品全集18枚組BOXにも収録されています。YouTubeにおいては作品全集です。出典:YouTube Scriabin: Piano Concerto in F sharp minor, Op. 20 ウラディーミル・アシュケナージ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

スクリャービン:ピアノ協奏曲【解説】

スクリャービンのピアノ協奏曲嬰ヘ短調(作品20)は、1896年から97年に作曲されています。ピアノと管弦楽のための作品は、交響曲第5番「プロメテウス~火の詩~」があります。演奏時間は約26分です。

第1楽章 3/4拍子 序奏つきソナタ形式 伝統的な協奏的ソナタ形式によらず、オーケストラの短い導入部を経て、ピアノが登場します。初期の作品なので、ショパンの影響が表れておりいます。抒情的、情熱的な第1主題、マズルカ風の第2主題の二つの主題がありますが、オケは、ピアノの伴奏でどちらかというと存在が少し薄いです。

第2楽章 4/4拍子 変奏曲となっており、三部形式による主題は甘美なもの。四つの変奏は、古典的な装飾変奏です。第5変奏にあたるコーダで、静かに終わります。

第3楽章 3/4拍子 ロンドソナタ形式 ポロネーズ風の勇壮な第1主題、第2主題は、抒情的で歌謡的フレーズです。ピアノは、複雑なアルペジオ、ポリリズムが多く用いられています。コーダで、嬰ヘ短調から嬰ヘ長調に転じて、華やかに終わります。

スクリャービン:ピアノ協奏曲【ディスク情報】

1971年 アシュケナージ マゼール ロンドン交響楽団 Dec 
1985年 ギャリック・オールソン リポル・ベシェク チェコ・フィル SUP
1990年 ローランド・ペンティネン レイフ・セーゲルスタム ロイヤル・ストックホルム・フィル BIS
1993年 オピッツ キタエンコ フランクフルト放送交響楽団 R
1995年 ヤブロンスキー アシュケナージ ベルリン・ドイツ交響楽団 Dec
1996年 ウゴルスキ ブーレーズ シカゴ交響楽団 G
1996年 コンスタンティン・シチェルバコフ イーゴリ・ゴロフスチン モスクワ交響楽団 NAXOS
2019年 ダニール・トリフォノフ ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 G

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