プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第2番【聴いてみよう】Prokofiev: Piano Sonata No. 2 in D Minor, Op. 14

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プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第2番【名盤・おすすめ】

イエフィム・ブロンフマン 😘

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第2番 イエフィム・ブロンフマン 1995年
Prokofiev: Piano Sonata No. 2 in D Minor, Op. 14 Yefim Bronfman

プロコフィエフのピアノ・ソナタは、全部で9曲あります。第2番は作品14だから、若書きだろうと気軽に聴いてみましたが、アイタタタ・・・。学生時代(1912年21歳)に書いたものだそうです。4つの楽章構成で堂々としており、もう既にできあがってるやん! 打楽器として使われるピアノ、緩やかな深海魚(ワタシが勝手にイメージした)スタイルは、栴檀は双葉より芳しという諺がありますが、もう既に双葉どころか茎が伸びて成長中です。

第1楽章:中間部分にさしかかると、プロコフィエフのピアノ協奏曲の雰囲気が漂い、深海魚になったようなフレーズが登場します。ブロンフマンさんの演奏は、冒頭の部分が速めで、タッチの強さがありますね。明確な鍵盤への押し込みが力強いです。しかし、中間部分の柔らかさは別人です。夢見るふわふわ感は、フランス系楽曲かと思わせるなだらかさ。

第2楽章:滑稽な匂いを振りまきながら、タタン た タッタンとシンコペーションが弾んでいきます。この楽章はスピードより、跳ねっ返り感は味わえますが、ブロンフマンさんは、どこまでも端正で理性的です。

第3楽章:和声が複雑で、えっ、嬰ト短調? 右手は黒鍵ばかりを叩いているような感じです。いえいえ、右手ばかりではありません左手の音も、摩訶不思議な音を重ねていきます。水の底に沈んで、青白く光っている軟体動物を見ているかのようです。

ブロンフマンさんの演奏は、ひやっとしているようで生暖かい。弱音になると温度感覚が、研ぎ澄まさていきますが、努めて常温を保っているようで、温度が下がっていくわけではないようです。水族館の小さな水槽を覗き込んでは、ほくそ笑みながら、底ではりついている小さな魚を、ずーっと見ている大人のようです。さほど怖い気持ちにはなりませんが、水槽のなかでしか生きられない軟体動物に、同化しそうな気分を味わうことができます。

第4楽章:無窮動で快速で飛ばしていきます。スケールの練習をしているみたいですね。ブンチャチャ ブンチャチャと聞えますが、中間部分で、柔らかい旋律が登場して水中に沈みます。再び走り始めると、水しぶきをあげて、スケールの練習の快速バージョンに戻ります。たった4分半の楽章ですが、れーっ れーっ という長音が印象に残るほど、細かく刻みが入ります。

そして、聴いているうちに無窮動のリズムが快感になっていきます。ブロンフマンさんの演奏は、抑揚が最小限に抑えられ、クールに整理された心地良さがあり、幾何学的、数理的に徹したリズムが刻まれているようです。数式で遊んでいる子供のようにも感じられ愉悦性も感じられますね。CDカップリング:プロコフィエフ ピアノソナタ第2番、第3番、第5番、第9番 出典:YouTube Piano Sonata No. 2 in D Minor, Op. 14 イェフィム・ブロンフマン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ミハイル・プレトニョフ 😘

プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第2番 ミハイル・プレトニョフ 1997年
Prokofiev: Piano Sonata No. 2 in D Minor, Op. 14 Mikhail Pletnev

第1楽章:ゆったっりと鷹揚な感じで始まります。ブロンマンさんの演奏とは異なり、クールな表情をしていますが、詩情というのが、じわっと染み出てくる感じです。暖かみのある録音だからかもしれませんが、緩やかな姿の大型深海魚になっており、特に1楽章の中間部になると、もわっとした空気が感じられます。もう少し冷たい温度があれば良いのかもしれませんが、意外と、のっぺりした表情に感じます。語りたいことがあれば、覇気を持って身ぶり手振りで伝えて欲しい気がします。

第2楽章:前楽章と同様に、メリハリがついていたら、もっと楽しく聴けたかもしれません。中庸とは言いませんが、いやいや弾いているわけでもないだろうに、シンコペーションのリズムなのだから、活発に動いて欲しい気がします。圧に対する反抗とか、やっつけてやるぅ~という、アグレッシブに欠けている気がします。

第3楽章:やはり、ゆーったりと大型の深海魚が泳いでいる感じです。冷たい水中での生活というのではなく、草原での椅子に座って考えごとをしているかのようです。ゆらゆらした音が聞えますが、さほど神秘的ではありません。内省的で、ひとり世界に籠っている気がします。綺麗な音が綴られているので、良くいえば、控えめな抒情性を感じます。

第4楽章:激しく動き回っています。怒りとか攻撃的という言葉は、プレトニョフさんの演奏からは、あまり感じません。細かいリズムですが、音を刻むというより、どこか、ふんわりした浮遊感がありますね。中間部の緩やかさは、他楽章とさほど印象が変わりません。ぷわっとした泡になりたいのかな~ 音が丸く、水中で、プチプチとはじけていくようです。ブロンフマンさんとプレトニョフさんでは、今回、全く異なる印象を受けました。両方良いですね。

CDカップリング:プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第7番、第2番、第8番 出典:YouTube Prokofiev: Piano Sonata No. 2 in D minor ミハイル・プレトニョフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第2番【解説】

プロコフィエフのピアノ。学生時代(1912年21歳)に書第1番、第3番は、単一楽章で、過去の習作を改作したものですが、第2番は4つの楽章からなっており、軽快なリズムやシンコペーション、和音にプロコフィエフの個性が現れています。栴檀は双葉より芳しという諺を絵(音楽だけど~)に描いたような作品です。まるで数式で遊ぶ子供のよう~

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ ニ短調 4/2拍子 ソナタ形式
第2楽章 スケルツォ アレグロ・マルカート イ短調 4/4拍子 三部形式
第3楽章 アンダンテ 嬰ト短調 4/4拍子 三部形式
第4楽章 ヴィヴァーチェ ニ短調 8/6拍子 自由なロンド形式

プロコフィエフ ピアノ・ソナタ第2番【ディスク情報】

1995年 イェフィム・ブロンフマン SC
1997年 ミハイル・プレトニョフ G

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