マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲【聴いてみよう】Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings

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マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲【YouTube】

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲
ファビオボ・ルイージ ダラス交響楽団の演奏です。2019年4月19日のコンサートの模様です。映像を拝見して、おおっ!ルイージさん! ダラス響の音楽監督を2020年からされていたんですね。なんだかもったいない気分です。(ウチにも来ていただいているのに失礼しました。欧州のメジャーなオケでシェフをしていただきたいです。)演奏は、やっぱ面白いです。リズムが活き活きしてる。ノリ感が良いですね。22分15秒の動画です。出典:YouTube MARTIN Concerto for Seven Winds, Timpani, Percussion and Strings Dallas Symphony Orchestra

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲
サラステさんとフィルハーモニア・チューリッヒ(チューリッヒ歌劇場管弦楽団)の演奏です。2019年 マイナーな楽曲だと思うのですが、YouTubeで、コンサートが見られるなんてラッキーです。21分37秒の動画です。出典:YouTube Frank Martin: Concerto for seven wind instruments, timpani, percussion, and string orchestra DW Classical Music Jukka-Pekka Saraste The Philharmonia Zürich

マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲【名盤・おすすめ】

マティアス・バーメルト ロンドン・フィル 🙂

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 マティアス・バーメルト ロンドン・フィル 1993年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Matthias Bamert London Philharmonic Orchestra

バーメルトさんの演奏は、シャンドスの録音のせいか、クールではありませんが、奥行きのある暖かさが感じられます。ふわっとした空気感のなかを突き破るティンパニーの存在が大きいですね。マルタンは、ストラヴィンスキーと、さほど変わらない時代の人です。で、この曲は、1949年に作曲されているのですが、現代音楽、前衛音楽とも、ちょっと違う要素があります。抽象画っぽいのですが、聴きやすく、まだ馴染みやすい楽曲ではないでしょうか。

7つの管楽器、ティンパニー、打楽器と弦楽とありますが、管楽器って、クラリネット、オーボエ、フルート、ファゴット、ホルンに、トロンボーン、トランペットなのです。小規模のオケと、さほど変わらないのですが、ソロで扱うので、いろいろ主役が変わって面白く、よく聴くと、こじゃれた感じ、不気味な感じがするのです。

ワタシが良いな~と思うのは第2楽章です。プロコフィエフに近い雰囲気があって、闇の奥に潜む、7匹の生物みたいな感じで、うめうめ~ うふうふ~っというような声が聞えてきそうなのです。地底に潜む悪い奴らみたいな感じで、うひひ~っと出てきそう。第3楽章は、地上で遊んでいる餓鬼ちゃんみたいですかね。ニールセンのような格好良い旋律もあるので、もっと演奏されても良いのにな~と思います。身近な楽曲になっても良い筈なのですが聴衆受けしないですかね。

CDカップリング:マルタン 7つの管弦楽のための協奏曲、エチュード、エラスミ・モニュメントゥム オルガン:レスリー・ピアソン 出典:YouTube Concerto for 7 Wind Instruments Release – Topic Provided to YouTube by NAXOS of America

リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1991年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

シャイーさんの演奏は、コンセルトヘボウとの演奏なので、全体的に明るめの色彩感と、柔らかい響きが特徴です。アンセルメ、マルティノンさんの演奏は硬派でダイナミック。荒々しくコワモテな面を持っていますが、さて、どうでしょう。ワタシは、録音状態が良いので嬉しいですね。

ティンパニーや小太鼓のリズムに乗って、木管や金管群が、華やかに明るく、快活に弾んで、聴き応えバッチリ。瑞々しい音が、奥行きあるホールに広がっています。全体的にコミカルで陽気。オーボエ、クラリネット、バスーンも、テンデバラバラに吹いて主張しています。小雨降るなか寂しい露地を、傘もささずにお調子者が歩いている。いきがって歩いてるぅ~って感じがします。

第2楽章 トランペットのソロが登場すると痛快に響きわたり、弦やティンパニーは、時計の振り子のように刻んでいきます。想像を逞しく聴くことのできる楽曲なので、その世界は地底だったり水中だったり、寒々しい雪の光景かもしれません。シャイーさんの演奏は、重い足取りで進む人物のように聞えます。光が射し込んでくるように願う人の希望みたいなものを感じます。不思議な和音で、すーっと消えていきますね。

第3楽章 コミカルに徹しています。行進曲のなかを軽やかなアップテンポで進みます。トランペットの軽快なフレーズがあり、金管も木管も、弦も弾んでて、明るさがあります。賑やかさが人々のプチプチとしたお喋りみたいで、洒脱が効いてます。バラバラだけど、バラバラではない統一感があり、多様性を認め合う雰囲気ががあります。

底辺では、ミリタリー風にシャキシャキした感覚があるので、テンデバラバラでも、楽しめちゃいます。スネアとティンパニーが要所を締めており、ニールセンの不滅交響曲みたいに開放感を与えてくれます。このシャキシャキ感は良いですね。この楽曲は、演奏で印象がかなり変わります。これだから同曲異盤は、やめられない~ですね。

CDカップリング:マルタン フルート、ピアノと弦楽のためのバラード、サクソフォーン、ピアノと管弦楽のためのバラード、ピアノと管弦楽のためのバラード、トロンボーン、ピアノと弦楽のためのバラード、7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽器のための協奏曲 出典:YouTube Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Percussion & Strings Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ティエリー・フィッシャー ヨーロッパ室内管弦楽団 🙂

マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 ティエリー・フィッシャー ヨーロッパ室内管弦楽団 1990年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Thierry Fischer Chamber Orchestra of Europe

フィッシャーさんの演奏は、プーランクの牝鹿を聴いているのかと、勘違いしちゃう華やかな出だしです。明るく木管が吹かれ、ふわっとしているのですが、フルートが元気です。付点のリズムが快活です。ファゴットも暗すぎないで、リズムを与えてくれています。クラリネットも前に出ておどけています。もう少しクールな録音でも嬉しいのですが、暖かみの感じさせる演奏です。

第2楽章~第3楽章 少し重めで沈んでいくところが、軽かったり明るかったり、楽器によって色彩が異なります。さらっと演奏していますが、色彩的には少しグレーがっかっているでしょうか。あまり不気味さは感じません。第3楽章は、リズムが活き活きとした表情に戻ります。主役がコロコロ入れ替わり、ティンパニーの鋭い打音で、沸き立つ雰囲気になっていきます。他盤よりは、太めで少しおとなしい演奏ですが、開放的な感覚があり楽しいです。

CDカップリング:マルタン 7つの管楽器のための協奏曲、ポリプティーク ヴァイオリン:マリエケ・ブランケスティン、エチュード集 出典:YouTube Martin: Concerto pour sept instruments à vent, timbales, batterie et orchestre à cordes (1949) ヨーロッパ室内管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アルミン・ジョルダン スイス・ロマンド管弦楽団 😘

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 アルミン・ジョルダン スイス・ロマンド管弦楽団 1989年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Armin Jordan L’Orchestre de la Suisse Romande

ジョルダンさんの演奏は、速くて小声、スマートな演奏です。見通しが良く、軽やかに飛び跳ねています。ファゴットなどの木管も、スピーディですし、ティンパニーの鋭い打音が決まっています。細い足で飛び跳ねているスレンダーなダンサーを見ているみたい。他盤の演奏では、暗くて~ まるで、ショスタコーヴィチの室内楽を聴いている気分だったものもあったのですが、さすが、ジョルダンさんの演奏は、おフランスです。洒脱、コミカルという言葉を、カラダが知っています~という感じでしょうか。

第2楽章は、深海や、地底に暮らすような重苦しさは皆無です。ちょっと仕事に疲れたらしい後ろ姿がイメージされますが、それでも、くすぶっているような雰囲気はありません。まあ、このイメージは受け取る方、受け取るタイミングによっても左右されそうですが、明るさと軽さは、忘れずに残っています。木管の明るい音色が救いですね。

第3楽章は、ジョルダンさん&スイス・ロマンド管の本領発揮という気がします。木管のコロコロ回っていく回転率も高く、金管も巧いですし、スネア、ティンパニーの音もクリアで歯切れ良く、格好が良いですね~。弾む力も強いですが、軽やかです。不協和音が支配しているのですが、いろんな楽器が出番を待ち、ひょいと登場してくる、弾力ある動きが気持ち良いです。ティンパニの連打も決まってて、小気味良い、気持ちの良い演奏でした。

CDカップリング:マルタン 小協奏交響曲、イェダーマンからの6つのモノローグ、7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 1989年、1991年録音 出典:YouTube Martin : Concerto for 7 Wind Instruments アルミン・ジョルダン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International

ジャン・マルティノン シカゴ交響楽団 😊

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 ジャン・マルティノン シカゴ交響楽団 1966年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Jean Martinon Chicago Symphony Orchestra

第1楽章 マルティノンさんがシカゴ響を振っているという演奏です。60年代の録音ですが、ウソみたいにクリアーです。また、木管も巧い~ 流石に巧いわ~ 余裕を感じさせる軽妙さです。各楽器のソロに耳が釘付けです。シカゴ響も、さすがに軽やかに吹いています。スピードもあり、ちょっと速いんじゃーと思うほどに快速で進みます。

第2楽章 表情が細かいですね。神妙で内省的な演奏です。多彩な響きというか、アップテンポのところもあれば、甘いゆったりしたトロンボーンの響きが入ってくるし、ショスタコ風の小太鼓が入ってきて、行進曲風になってくるし~ クラリネットやフルートとのセッション、軽妙な節回し、付点のリズミカルな跳ね具合が、なんとも言えない。木管が頑張ると、次に、金管も負けてないよぉ~っと、軽やかに転ぶ。

第3楽章 ティンパニーとスネアが大活躍して、まるで、ニールセンの交響曲第4番のティンパニーの連打のようです。アンセルメ盤も迫力がありすぎて、驚きますが、このマルティノン盤も、かなりパーカッションには重点を置いているようです。聞き応えありでした。

ジャン・マルティノン&シカゴ交響楽団 コンプリート・レコーディングズとして、10枚組BOXが発売されていたようです。HMVでのPR文には、シカゴ響音楽監督時代のマルティノンの音楽作りは「リズムとフレージングの絶妙な感覚で、オーケストラのテクスチャを見事に浮き上がらせる」と絶賛されました。マルティノンは5年間のシカゴ響在任中にRCAに、LPにして9枚分の録音を行なっています。・・・との記載がありました。そのなかの1つとして、当曲が収録されています。出典:YouTube Concerto for Seven Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings ジャン・マルティノン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

エルメスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 😅

フランク・マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲 エルメスト・アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 1962年
Frank Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Timpani, Percussion and Strings Ernest Ansermet
L’Orchestre de la Suisse Romande

第1楽章は、「7つの管楽器、ティンパニー、打楽器と弦楽のための協奏曲」は、マルタンの有名な曲です。さほど、前衛的、抽象的な楽曲ではないので聴きやすいと思います。アンセルメさんの演奏は、押しの強い演奏で、確固たる意思を感じさせる演奏です。特に、ティンパニーの大きな音に驚きます。木管、金管、パーカッション群には、各ソロがいます。ガッチリした印象です。

第2楽章は、穏やかですが暗い世界です。時計の針が進んでいくなか、時代が変わるような不気味さが感じられます。暗黒の時代って感じで、不安な気持ちにさせられ、ショスタコみたいな感じで冷たい演奏です。底で、れっしっ れっしっ、と同じようなフレーズが繰り返され、軋んでいます。

第3楽章は、行進曲風の旋律も入ってきて、聴き応えありの面白さ。その昔、北●路欣也さんの出ていたTV「三匹のおっさん」みたいに、町内をうろつき、自警団みたいに行動するおじちゃんたちのように、コミカルに、悪をただすぞーって感じで、力強く演奏されます。アンセルメさんの演奏は、録音年が古いものの、斬新な曲をオクニモノとして取りあげて収録しており、まとめて聴くにはうってつけですが、少し熱くて重め名演奏なので、好き嫌いが分かれてしまうかもしれません。

CDカップリング:7つの管楽器、ティンパニー、打楽器と弦楽のための協奏曲1962年、弦楽合奏のための練習曲1963年、小協奏交響曲 1951年 モノーラル、弦楽合奏のためのパッサカリア ミュンヒンガー Stuttgart Chamber Orchestra 1957年 モノーラル、ヴァイオリン協奏曲 ヴァイオリン: ウォルフガング・シュナイダーハン 1956年 モノーラル、オラトリオ「地には平和を」1963年 出典:YouTube Martin: Concerto for 7 Wind Instruments, Percussion & Strings エルネスト・アンセルメ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲【解説】

フランク・マルタン(Frank Martin)は、1890年生まれのフランス語系スイス人作曲家です。大規模な交響曲、2つのピアノ協奏曲、クラヴサン(チェンバロ)協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲のほか、作者自身が「バラード」と名づけた一連の協奏的作品があります。

7つの管楽器とティンパニ、弦楽器のための協奏曲は、1949年に作曲されています。第1楽章は、弦楽奏者のみで始まり、打楽器が徐々に前面に出てきます。第2楽章は、神秘的でエレガントだと評され、弦楽器のオスティナート奏法が特徴です。最初はピチカートで、その後、アンサンブルに組み込まれていきます。

二拍子に基づき、時には穏やかに、時には暗く暴力的な旋律の伴奏として機能していきます。ファゴットは高音域で、抒情的なフレーズが、トロンボーンによって繰り返されます。アンセルメは、第2楽章は、バッハのアリアを思い起こさせると同時に、非常に現代的であると述べたそうです。第3楽章のフィナーレには、各楽器のソロ演奏が用意されています。

マルタン:7つの管楽器、ティンパニ、打楽器と弦楽のための協奏曲【ディスク情報】

1962年 アンセルメ スイス・ロマンド管弦楽団 Dec
1966年 ジャン・マルティノン シカゴ響 R
1989年 アルミン・ジョルダン スイス・ロマンド管弦楽団 Apex
1990年 ティエリー・フィッシャー ヨーロッパ室内管弦楽団 G
1991年 シャイー コンセルトヘボウ Dec
1993年 マティアス・バーメルト ロンドン・フィル CHANDOS

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