マーラー:交響曲第1番【聴いてみよう】Mahler: Symphony No.1 in D Major “Titan”

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マーラー:交響曲第1番【YouTube】

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ファビオ・ルイージ シュターツカペレ・ドレスデン 2008年ミュンヘンでのコンサートの模様です。58分14秒の動画です。活き活きと颯爽とした演奏です。Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan”  Fabio Luisi Staatskapelle Dresden 典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 | Staatskapelle Dresden & Fabio Luisi 2008 (full symphony) DW Classical Music

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Rafael Kubelik Bavarian Radio Symphony Orchestra 出典:YouTube Mahler – Symphony No 1 in D major – Kubelik Classical Vault 1 

マーラー:交響曲第1番「巨人」【名盤・おすすめ】

セミョン・ビシュコフ チェコ・フィル 🙄

マーラー:交響曲第1番「巨人」 セミョン・ビシュコフ チェコ・フィル 2021年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Semyon Bychkov Czech Philharmonic

ビシュコフさんの演奏は。歯切れが良く、フレージングが短いように感じます。ピリオド奏法を意識し、それを取り入れているかのようです。ティンパニも大きく叩かれています。第1楽章だと気づかないのですが、ラストの第4楽章に入ってくると、キレ良く、威勢よく、バンバン弾む感じでフレーズが切れていきます。

また、旋律を均等に扱い、主従関係の旋律にはならないです。副旋律から格上げって感じの場面が多く見受けられます。違和感がないとは言わないのですが、全部を均等にするわけではないよね~ チェコ・フィルなので、艶のある弦の滑らかで、豊かな響きを期待していたので、その点、ちょっと意表を突かれました。何か考えがあるにちがいないと思います。交響曲全集になると思うので、今後も、聞き続けてみます。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by PIAS

フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 😙

マーラー:交響曲第1番「巨人」 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル 2018年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” François-Xavier Roth  Les Siècles

ロトさんの演奏は、マーラーをピリオド楽器で弾くというもの。また、花の章(Blumine)付きで、第1楽章の後に入れて、2楽章として全体で第5楽章に構成しています。ワタシ的には、マーラーをピリオドで演奏するなんて、到底考えられないことなのですが、花の章は魅力的です。ガット弦のかすれて気味の悪い甲高い音が、やっぱり肌に合いません。第1楽章だけで14分半程度のゆったりした演奏です。第2楽章の花の章は、穏やかなトランペットに、木管が寄り添ってくるものでチャーミングです。

第3楽章は、力強く颯爽と演奏されています。第4楽章は葬送の楽章で、メリハリのあるテンポで、すきっとした印象を受けました。この楽章は、ガット弦の音に適しているように感じます。美しくも諦念に近い心境と、コミカルさ、泣き笑いに近い表情が伺え、とても良い印象を受けました。

このピリオド楽器で「大地の歌」が収録されたら聴きたいですね。第5楽章は、冒頭の大音量の怒濤が聴きどころです。納得の迫力ですが、やっぱり普通のモダン楽器の方が、ワタシの好みでしょうか。ちょっと微妙です。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” Lorenzo Bianchi Chignoli Provided to YouTube by harmonia mundi

ダニエレ・ガッティ コンセルトヘボウ管弦楽団 😞

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ダニエレ・ガッティ コンセルトヘボウ管弦楽団 2017年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Daniele Gatti Royal Concertgebouw Orchestra

ガッティさんの演奏は、ちょっぴり、いやかなり異質です。第1楽章の冒頭から遅めで、なかなか郭公が鳴きません。おっそ。速いテンポであったり、スピードが急にあがったりするのは、馴れやすいのですが、遅いのは、何度聴いても、どうも~ どうにもこうにも馴れないですね。

5分過ぎると、流石に退屈してしまいます。で、退屈だな~と思うと弦が流れて行くので、はあ? 文句を言っていたら伝わってしまったかのように、金管が豪勢に鳴り、通常運転になりました。うーん。チェリビダッケさんの演奏を彷彿させる、いや、チェリさまは別格でした。ガッティさんは、天邪鬼です。いつもながら~ やっぱ変です。

第2楽章は、カシャカシャと綺麗に鳴っているし、三連符が心地良く、強弱大きく、身ぶりの大きい演奏で良いな~と思ったら、中間部は、猛烈に眠くなるほど遅いです。第3楽章は、蝉の抜け殻でした。第4楽章は、流石に威勢よく、バッシャーンと鳴り響き、さあようやく期待できるかと思いきや、またしても裏切られる・・・ なんで中間で遅くするんでしょう。普通に演奏してくれたら良いのにと思います。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major Royal ConcertgebouwOrchestra – トピック Provided to YouTube by Royal Concertgebouw Orchestra

マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」 マリス・ヤンソンス コンセルトヘボウ管弦楽団 2006年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Mariss Jansons Royal Concertgebouw Orchestra

ヤンソンスさんの演奏は、録音状態も良く、とても安定感があります。以前、ガッティさんの演奏を聴いて、超がっかりしたので、また、舞い戻ってきてしまいました。安定感がありすぎて、ヤンソンスさんの演奏を聴いていなかったことを猛省しました。ハイティンクさんに似て、聴く前にある程度、こんな演奏をするのだろう~って想定できちゃう指揮者だったのです。

今更ながらに反省しています。美音で迫力もあって、聴き応えがあります。収まるところに収まっている、とても安心して、繰り返して聴ける良い演奏です。拍手が入っています。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major, “Titan” Concertgebouworkest Provided to YouTube by Royal Concertgebouw Orchestra

ミヒャエル・ギーレン SWR南西ドイツ放送交響楽団 😨

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ミヒャエル・ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 2002年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Michael Gielen SWR Symphony Orchestra

ギーレンさんの演奏は、透明度の高いクールな演奏です。尊厳があり静かな気持ちで聴けます。冒頭のラ音は、シーンとした空気のなか、超音波を発する蝉の鳴き声のように持続して鳴り、舞台裏のトランペット(バンダ)にも奥行きがあるので、広々とした空間に居るようです。

マーラーの長大で複雑な交響曲が、録音の良い状態で聴けるのは、とても嬉しいことです。のびやかで、艶があり、低弦の底力もあります。金管とティンパニーの連打から迫力が増しています。ミュート付きのトランペットは鋭く、コントラバスの呻きが怖いほどに響き、メリハリがついています。

第2楽章は、テンポが速いです。さらさらと音が流れます。ミュート付きのトランペットが、カシャシャシャシャーーー! 一陣の風のように勢いの良い軽めのスケルツォです。 中音弦の「タっタ タタタ~ タっ タタタ タタぁ~」この「タッタ」の前に、わずかですが、巻き舌のように、たらんという音が聞えます。これで、ふわっと一歩前に出てくるように感じます。第3楽章は、葬送行進曲のはずですが、ここも速い。葬列に追い越されて拍子抜け。「さすらう若人の歌」の「彼女の青い眼が」歌謡風フレーズは、スマートすぎて困ってしまうほど。

第4楽章は、鳴りっぷりが凄く、いきなりシャーン、ドーンっ! ごろごろごろ~と、猛烈に響きます。銅鑼とティンパニが大音量でリアルです。金管と弦が、急上昇&急降下を繰り返しますが、粗野で荒々しい演奏とは異なり、冷静沈着なのです。第2主題であるヴァイオリンが美しく、チェロに受け継がれていく旋律に、とろけます。

交響曲第2番の「復活」にも垣間見られる天上への憧れが、この1番巨人でも聴けるのは嬉しいですね。ティンパニの一撃のあとは、ミリタリー調に変わり、軍靴の響きのように聞えます。鐘というより軍靴で鳥肌状態になります。ギーレンさんの演奏は、佇まいのキチンとした演奏で、クールですました表情をしています。ストライプの背広を着たエリート風情なのですが、一歩間違えると、軍服に変わりそうです。ある意味、怖いです。

出典:YouTube Mahler-Symphony-1in D Major “Titan” SWR Sinfonieorchester des Südwestrundfunks – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 😍

マーラー:交響曲第1番「巨人」 マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 2001年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Michael Tilson Thomas San Francisco Symphony

マイケル・ティルソン・トーマスさんのマーラーは、品良く軽やかに飄々と演奏されます。これが持ち味でしょう。緻密で、バランスの整った八頭身の彫刻のようです。情に溺れすぎたり、情緒不安定だったりしません。崩れない佇まいですが、厳密すぎないので心地良いです。

張り詰めた空気のなかを微動で進み、空気の流れのような音が、静かに流れだしてきます。流麗なフレージングで、リズミカルです。人が心地良いと感じる三拍子を、間合いをふっと伸ばしています。この微妙な心持ちが気持ちよいですね。変わらないアルカイックスマイルのような演奏で、静的で美しいフォルムが約束されています。

第4楽章は、大音量で響きますが、楷書体で型が整って綺麗です。美しい盛りあがりを見せられ、鳥肌が立ってきます。音楽を聴いてゾクゾクする高揚感って、なかなか感じられないものですが、この演奏は、最後まで、ゾクゾクしながら、息を潜めて、ずーっと聴いていられます。エロティックで陶酔的な面も見せる演奏です。久々に聴いて、1番巨人で、ウルウル感動しました。1番で泣く演奏ってあったかしらん。

出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major San Francisco Symphony Provided to YouTube by SFS Media

ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 🙄

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1998年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

ブーレーズさんの演奏は、さっぱりした演奏です。全ての音が、音として成り立っているというか、内声部が綺麗に入っており、情報量の多さに驚かされます。最初に聴くのはどうかと思いますが、多くの演奏を既に聴いてこられた方や、分析的に聴こうした場合は楽しめるかと思います。金管やティンパニの響きが強く、弦のフレージングは、情感をひきずらないクールなもの。カッコウの啼き声が、ホルンの響きの上にクッキリ浮きあがり、ミュート付きの金管はとっても鋭い吹き方をしています。

マーラーの楽曲を、ゲンダイオンガクのように演奏しているような気がします。嫌みはありませんが、畳みかけるような速さで、テスト前の一夜漬け、ゴール前のテスト勉強のように、ラストスパートのように直線的に走ります。また、第2楽章のスケルツォのテンポも速いです。とっても速い。シカゴ響の分厚い響きを保ちながら、リズムを刻み、シャカシャカシャカ シャーっと鳴らして進みます。ワルツ風の場面では、まどろみ感を持たせていますが、変わり方が大きいですね。意表を突かれて、野球だと空振り三振に終わってしまいそうです。第3楽章においても、葬送の歩みですが、さっぱり、そんなことはおまかいなし。

第4楽章は、爆発的なフレーズで始まりますが、ここでもクールでスマート。全ての音が、きちんと均等に耳に届けられている感じでしょうか。打楽器の大音量のなかでも、弦がしっかり聞こえきます。情報量の多さには感心しますが、この情感のなさ~には、ちょっと辟易します。せっかくマーラーを聴いているのに、まるで別の曲みたいでした。
出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 😐

マーラー:交響曲第1番「巨人」 リッカルド・シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 1995年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Riccardo Chailly Royal Concertgebouw Orchestra

シャイーさんの演奏は、暖かい空気感のなか、「ラー」の響きが聞こえ、柔らかいホルンの音が入ってきます。テンポは、ゆったりめ。牧歌的に歌われていきます。いつもながらに、スポーティに進むのかと思っていましたが、意外と穏やかに綴られており、やまなりのフレージングで美しく歌っています。

ティンパニが入ってくる場面からテンポアップされます。各楽器がしっかり聞こえ、木管は繊細です。音響のバランスが、細かく調整されているようで、ホルン柔らかく奥まって聞こえてきます。弦よりも木管や金管に神経が行って、弦より管に耳が張りつきます。楽章最後は、怒濤のようなテンポで走っていきます。ヴァイオリン、低弦が、少し埋もれてしまった感があります。

第2楽章は、軽やかなリズムを踏みますが、前楽章と同様に、弦よりも金管の方が優勢です。カシャカシャ シャ~ カシャカシャ シャ~っ というパーカション群が良く響きます。耳が大忙しいです。中間部のレントラーは、美しく粘り、舞踏会のようです。木管が入ってくると木管が強調され、弦が脇役にさがります。細部にこだわりすぎて、全体としての音の響きが阻害されている気がします。カッコウが鳴き出すと、テンポがあがり、燃焼して猛烈に速く、ラストスパート状態となります。

第3楽章は、オーボエが主役で綺麗なのですが、ここでも、弦の存在が希薄です。第4楽章では、シンバルの一打と、ティンパニのロール、金管の咆吼で始まります。ちょっと打楽器が大きすぎて、弦の存在が忘れがちです。うーん、ここにきて、どうも変だと思い始めました。バラバラに鳴ってて、全体としてのまとまりが悪いような気がします。

舞台裏のトランペットの音は、綺麗に入っているし、雪崩落ちてくる迫力もあるし、金管の和音も美しいのですが、低弦の響きが薄く、弱く、ピラミッド構造が崩れている感じがするのです。細部にこだわって調整しすぎたのでしょうか。違和感が残りました。出典:YouTube Mahler: Symphony No.1 Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル 🤣

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル 1994年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Yuri Simonov Royal Philharmonic Orchestra

シモノフさんは、漫才のツッコミみたい。第3楽章は、葬列の場面だけど、えっ、テンポアップしてくるの。第4楽章のラスト、コーダ部分は、うはあぁ~ こうくるのかっという感じで進みます。変化球ですよね。空振り三振にうち取られちゃった気分です。

録音状態も良いし、乗せられちゃう感がありますが、これは、わかったうえで乗せられちゃいましょうという演奏です。ある意味、ガッティさんの真逆でしょうか。つかみどころは、テンポアップして一気呵成に行って聴かせちゃう、強いところはより強く強打して、相手を打ちのめす。

演出が徹底してます。このテンポアップしちゃうツッコミどころは、計算尽くで、漫才のシナリオのセンスですよね。わかっているけど笑う感じ。まあ、詳細に、ここがこうだったよ~というと、ネタバレで面白くないので、一度、お聴きしてください。不思議と不満や怒りの感情は湧きません。出典:YouTube Symphony No. 1 in D (‘Titan’) ユーリ・シモノフ – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises

レイフ・セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 花の章付き 😅 

マーラー:交響曲第1番「巨人」 レイフ・セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 1993年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Leif Segerstam Danish National Radio Symphony Orchestra
★ 1番の演奏終了後、別途、花の章を演奏しています。花の章 Andante allegretto, “Blumine” 

第1楽章
セーゲルスタムさんの演奏は、超スローで丁寧で、録音が良いという個性的な演奏ということで有名でした。で、ワタシはリアルタイムでは購入していなかったので、中古CDを買い求めようとしていたのですが、目玉がびよーんと飛び出ちゃうほどに高額になってて、諦めちゃった時がありました。まあ、値段が落ち着いたときに買い求めたのがほとんどです。(今じゃー サブスクリプションで聴けちゃうのにねえ~ 涙涙涙涙です。)

テンポは揺れるし、振幅の差がダイナミックで、シノーポリさんの演奏で酔ったワタシは、それ以上で、ぐらぐら~っ二日酔いのようになりました。かなり変わり種の演奏なので、避ける方もおられると思います。セーゲルスタムさんのテンポは、ちょっと~ 思わぬところでギアが変わります。

しかし、深々とした息づかいで、堂々とした歩き方というかアプローチなので、常に緊張感が漂っています。この弛緩させないところは正直すごいと思います。静謐感漂うなかで、思わず引きずり込まれて耳を澄ましてしまう。カッコウの鳴き方1つでも微妙に違います。「かぁっ こうぉ~」「かぁっ こう~」3回鳴くところで、最後だけが微妙に長くのばしていたりします。

大芝居がかっていることも確かで、人工的とも策士とまで言わないまでも、やっぱり作為的ですかね。テンポが変わったり、息づかいや間のとりかたの個性が気になってしまって、「巨人」を、のめり込んでは聴けていません。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major レイフ・セーゲルスタム – トピック Provided to YouTube by PIAS

エド・デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 😉

マーラー:交響曲第1番「巨人」 エド・デ・ワールト  オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 1993年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Edo de Waart Radio Filharmonisch Orkest

エド・デ・ワールトさんの演奏は、ふかぶかとしたマーラーです。コンセルトヘボウ(ホール)でのライブ演奏です。個性的ではないのですが、聴きやすいタイプです。オケ全体的が、アルトの音色のようで、ふかぶかとした暖温系で、のびやかな音がします。落ち着いた表情で穏やかに「朝の野原を歩けば」の旋律を爽やかに歌います。

中庸といえば中庸ど真ん中という感じでしょうか。美化するつもりはありませんが、デ・ワールトさんの演奏は、暖かく、たおやかさ。落ち着いた色気を感じさせるものです。もちろん、天国的なフレーズでのお話ですが。最終楽章ですら、おおよそ岩山のような「巨人」であったり、強烈・峻烈でもなく、破壊的な「巨人」ではありません。巨人というより、これは、火の鳥って感じです。飛翔していくような美しいラストでした。

出典:YouTube Mahler Symphony #1 – de Waart, Netherlands Radio Philharmonic Digital Classics(公式ではないので消えたらごめんなさい。ご了承ください。)

サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 花の章付き 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」 サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1991年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra
★ 第1楽章前に花の章が演奏されます。

ラトルさんの演奏は、リズムが小気味良く、サッパリしています。第1楽章に花の章 Blumine. Andanteを持ってきて独立して演奏しています。「花の章」は、当初第2楽章として構想されていたものなので、第2楽章扱いにしている演奏もあります。この章は、カッセル歌劇場で朗読上演されたシェッフェルの「ゼッキンゲンのラッパ手」のために書かれた付随音楽が原型とされているそうです。

トランペットの穏やかな旋律に、ヴァイオリンが甘美に寄り添うもので、中間部は、オーボエが儚げに歌います。この演奏は、ラトルさんが、まだ30代だったのですが、既に、しっかりとした美意識を感じさせるもので、甘く陶酔的な演奏として聴くことができます。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” Simon Rattle Provided to YouTube by Warner Classics

ガリー・ベルティーニ ケルン放送交響楽団 😉

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ガリー・ベルティーニ ケルン放送交響楽団 1991年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Gary Bertini WDR Sinfonieorchester Köln
★ YouTubeにおいて、動画はありませんでした。

ベルティーニさんの演奏は、サントリーホールでのライブ録音です。暖かい空気感が漂う、ホールの広がり感のなか、バーンスタイ型のように陶酔できるのだが、スピード感があるためか、だれません。主題も綺麗にメリハリをつけて描かれており、テンポの変え方も巧い、策士だ~と思います。ライブ盤ですが、録音状態は良いし見通しも良いし。スピードの速い演奏で、熱いし、良い演奏だと思います。

ジュゼッペ・シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 😂

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ジュゼッペ・シノーポリ フィルハーモニア 1989年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Giuseppe Sinopoli Philharmonia Orchestra of London

シノーポリさんの演奏は、弱音と強音、テンポの速さ遅さ、剛柔の差など。振幅の大きい演奏です。また、濃厚で、ドラマティックで、エロティックな演奏だと思います。ここまで濃厚に演奏されちゃうと、ちょっと驚きです。歌謡風の主題の歌い方は巧く、「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」は、ホント、よく歌ってくれて嬉しいです。

弦の響きが優しく柔らかく、まろやかに溶け合っています。 そうかと思えば、金管ファンファーレが鋭く吹かれた後、コントラバスの低弦が、ものすごいゴリゴリ音で迫ってきます。オケ全体で鐘が鳴り、咆吼してくると、まるでオペラのようです。テンションの盛りあげ方は、尋常ではなく、一気に昇っていく感じです。

第3楽章の葬送行進曲は、重々しくならず低弦に余韻があり、トランペットの気怠い吹き方は快感です。葬送のなかで、こんな気怠いベタベタなエロチックなフレーズが奏でられるとは、すご~い。肉感的過ぎるけど、死の恐怖に怯えながらエロスを感じるなんて!

「さすらう若人の歌」の「「彼女の青い眼が」も、かなり官能的です。ティンパニが、死に神の足音のように聞こえますが、シノーポリさんの第3楽章は凄いですっ。妖艶で官能的、死と愛が表裏でくっついています。出典:YouTube Mahler: Symphony No.1 In D フィルハーモニア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウディオ・アバド ベルリン・フィル 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」 クラウディオ・アバド ベルリン・フィル 1989年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Claudio Abbado Berliner Philharmoniker

アバドさんの演奏は、ベルリン・フィル就任前のライブ演奏です。しなやかに歌うマーラーで、歌謡性がたっぷりです。活き活きとしたベルリン・フィルで、若いというか瑞々しい音が鳴っています。改めて聴いても新鮮ですね。この時期だと、こんな清々しいマーラーは珍しく感じたのではないでしょうか。

ライブ演奏ですが、録音状態も良く、緻密な響きが聞こえていますし、弦と木管、金管のバランスも良いと思います。カラヤンさん時代から、また違った風を運んでくる~ そんな覇気を感じさせる演奏です。テンポは、第1楽章ラストに、果敢に攻めて一気呵成に走ります。

第2楽章は、ゆっくり始めて急にぐっとあがり、素っ気ないほどにリズミカルです。コミカルさは薄めで、二ヒヒ~と笑っている暇はありません。速すぎかなあ。第3楽章においても、テンポの変化が激しいですね。綺麗だけど感情がくっついて行けない感じで乗り切れません。丹念に描きたい箇所があるのか、急に緩やかになってしまいます。歌謡性としては失われていないのですが、テンポに乗りきれないワタシ。

第4楽章では、鳴りっぷりは大きいし、テンポをいじっています。ラストへの一気呵成を計算してか、前半は怒濤の部分が過ぎると、ゆったり抒情的に演奏されています。少し緩んでしまった感も否めません。拡大と収縮を繰り返す曲ですが、このテンポに惑わされ、悪酔いしてしまったようでした。81年録音のシカゴ響との演奏も聴いてみます。出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major (Live) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

レナード・バーンスタイン コンセルトヘボウ 😲

マーラー:交響曲第1番「巨人」 レナード・バーンスタイン コンセルトヘボウ管弦楽団 1987年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Leonard Bernstein Royal Concertgebouw Orchestra

バーンスタインさんの演奏は、マーラー交響曲全集にも収められているコンセルトヘボウとのライブ録音です。昔ながらのファンにとっては、バーンスタインのマーラーといえば、60年代のニューヨーク・フィルが有名かもしれません。
マーラー交響曲全集は、旧録音のソニー、第2回目のグラモフォン(16枚組BOX・11枚組BOX)がありました。

粘りある情感たっぷりの演奏で、じらして~じらして~ 爆発・放出する高エネルギーい圧倒されます。泣ける演歌が好きな方には、ツボにハマりますが、肌にあわない方にはちょっと~という感じでしょうか。第1楽章も、そのうちに、ぐぐーっとテンポが遅くなり、引っ張っておいて爆発します。で、さらっとスピードあげて逃げていきます。

第2楽章においても、テンポの揺らし方が個性的です。異常なほど、ねちっこいというか遅すぎ。 音の流れとして止まるんじゃーないかと思うんですけど。やっぱ変だわ~ この指揮者のスピード感には、ワタシは、やっぱ、ついていけません。第3楽章は、速いんです。えーっ? 葬送のくせに、サクサクと歩いて行くのです。主題が変わって、コミカルな滑稽なフレーズが始まっても、ニヒルでもなんでもなく。さくさく~で、はあ?

急ブレーキ、急発進、天邪鬼(あまのじゃく)です。美しいフレーズであることは認めますが、特定の箇所、特定のフレーズに焦点があたっているようで~ 近視眼的でしょうか。全体の構成美は? エキセントリックで歪です。

第4楽章は、疾風怒濤で、最後の審判です~と言わんばかりに、ガシガシガシ・・・ マゼールさんも激しくウィーン・フィルを大型ノコギリみたいに弾かせていましたが、バーンスタインも、コンセルトヘボウを大型ノコギリで、ガシガシ、軋ませて演奏しています。第2主題は、美しい弦に焦点をあてて、スポットライトをあてて、さあ~ 舞台に出てきて頂戴と言わんばかり。ねっとり~と歌いあげていくのです。

うわぁ~ なんだか、このテンポ スピードの具合が、耽美的すぎて唖然。ここまで思い入れたっぷりに歌われても、さほど入れ込んでは、聴けないでしょう普通~。正直疲れます。第1番でこれですか~ エキセントリックで、情感の迸りを露わにしている演奏です。出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major (Live) Concertgebouworkest
Provided to YouTube by Universal Music Group

ベルナルド・ハイティンク ベルリン・フィル

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ベルナルド・ハイティンク ベルリン・フィル 1987年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Bernard Haitink Berliner Philharmoniker
出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

小澤征爾 ボストン交響楽団 😲

マーラー:交響曲第1番「巨人」小澤征爾 ボストン交響楽団 1987年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Seiji Ozawa Boston Symphony Orchestra

小澤さんの演奏は、静謐で綺麗な音でずーっと奏でられていきます。前半の二つの楽章は、抒情的です。後半の二つの楽章は、浄化しきってピュアなのだと思うのですが、かなり年齢を重ねていかないと、この胸中にはならないような気がします。まるで仙人のごとく~で、何があっても動じないので、巨人というより仙人というタイトルが相応しいのではないでしょうか。

若い年齢の頃に聴いた時は、さーっぱり、つまんない!演奏だと断言していたように思います。(えっ、ワタシが、仙人の胸中に近づいたってわけではありません)だって、以前は、小澤盤は、弱音部分は美しいのだが、そこだけ柔らかく、優しく演奏されても、やっぱり~ 少しメリハリに弱い。確かに、金管は頑張って、大音量で吹かれているし~ ティンパニも、ぶっ叩いており、雄叫びのような凱歌をあげているのは解るし、度肝も抜かれる音量なのだが。

世俗感が無いというか、綺麗なんだけどなあ。ダークな世界とは、ちょっと違うかもしれない。テンシュテット盤のようなダークな世界を描いて欲しいと言っても、まあ、性格的な面や考え方の相違があるので、それは無理ってなモンでしょう。鐘が鳴る場面も、あっさり~ スルーされちゃった感があって、少し残念でした。

総体的には、前二つの楽章が、小澤さんの持ち味なのでしょう。激しい暗澹たる世界を、うごめき、かいくぐってくるようなパワーは感じではないので、世俗感のある闘争的なエネルギーは、皆無という気がします。盛りあがってはいるんだけど、ちょっと平凡な感じで終わってしまい、達成感は薄いかもしれません。最後は、ちゃぶ台をひっくり返すぐらいの勢いが欲しかった~! 以前のワタシは、こんなコメントを書いていたぐらいです。恥ずかしい~っ。

小澤さんの1番は、1977年(ボストン響 花の章1984年録音付き)、当演奏の1987年ボストン響、サイトウ・キネンと2008年(ライブ盤)があります。全集になっているのは、この80年代の演奏です。出典:YouTube Mahler: Symphony No.1 in D マックス・ホウバート – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

若杉 弘 シュターツカペレ・ドレスデン 😐

マーラー:交響曲第1番「巨人」 若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン 1986年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Hiroshi Wakasugi Sächsische Staatskapelle Dresden

若杉さんの演奏は、自然と同化しているような演奏です。ホルンとヴァイオリンの透き通る音色に驚きです。ごく自然な旋律なのですが、まるで仙人の住むような世界観です。桃源郷かという雰囲気すら漂います。

ダークな世界や世俗的な世界を求めていたのでしょうか。二極化する世界観とは、次元の異なる世界観のように感じます。若杉さんの演奏を聴くと、日本人DNAが蘇るようです。で、ドロドロの世界は、ここには存在せず、菜食主義者のようなマーラーで、血もしたたるレアな肉なんぞ食べてないでしょって感じです。悲鳴をあげたり泣き叫んだり、怒髪天のように怒ったりしません。二面性の 両極端の世界でも、自然に座っている感じでしょうか。静か。

自然と同化したいと思うときには、第1楽章を聴くと、沁みてきます。しかし、精進料理のような演奏は、マーラーに相応しいのでしょうか。ちょっと違うかも~と思います。 泣きわめきたい時には、泣かないと~ 泣いていいんだよと思います。出典:YouTube Mahler, Symphony no 1, 1st mov, wakasugi, cond serioso serioso (公式ではないので消えたらご了承ください。YouTubeに掲載してもらって、ワタシ的には感謝です。ありがとうゴザイマス。)

ズービン・メータ イスラエル・フィル 花の章付き 🙂

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ズービン・メータ イスラエル・フィル 1986年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Zubin Mehta Israel Philharmonic Orchestra
★ 第2楽章として 花の章 II. Andante allegretto, “Blumine” が演奏されます。

メータさんの演奏は、可もなく不可もなしって感じで、少し覇気が感じられません。74年にもイスラエフ・フィルとの演奏があるようですが未聴です。花の章付きというのが、珍しいのでそこが魅力です。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” ズービン・メータ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ロリン・マゼール ウィーン・フィル 😏

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ロリン・マゼール ウィーン・フィル 1985年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Lorin Maazel Wiener Philharmoniker

マゼールさんの演奏は、録音状態がイマイチだと言っていたんですが、最近(2023年)全集12枚組BOXとしてリマスターされて超舞いあがってしまいました。うれしーっ! その昔、中古盤を買っていたのです。でもね、今やサブスク時代なのです。大泣き。演奏は、一風変わっています。第1楽章は、メチャ遅いです。ティンパニが鳴り出すとスピードアップします。「朝の野原を歩けば」のところも、わざとテンポを落として歌います。珍しく抒情的ですが、ティンパニの音、変じゃない?

第2楽章のスケルツォは、変にタメがあり、リズムが揺れて船酔い気分。中間部では、図太いレントラー風の舞曲で、ギクシャクした骸骨踊りとなっています。突然ブレーキをかけて弱音に、強奏するところはガンガンです。第3楽章の葬送行進曲は、コントラバスが弱音で、遅い~っ。「彼女の青い眼が」は、儚げに歌います。退廃的で鬱々しており、あまりのリアルさに、うろたえてしまいます。

第4楽章は、疾風怒濤の楽章で、んじゃーっん! 最後の審判です。閻魔大王が入場されますと言わんばかりに、ティンパニが、バン! 聴いた感想としては、擬音の羅列になりそうなので、もう止めますが、激しいアタック攻撃で、歯ぎしりを常時している人のよう。不快極まりなく、なんとも個性的なことで、それまでためていた鬱憤を吐き出すかのようです。野性的、暴力的、破壊的です。やっぱマゼールさんです。

第2主題は、破壊的行為のあとには天国的な旋律が流れてくるのですが、えっ、細切れ! ウィーン・フィルを振っているくせに、細切れとは。なんで~。ギクシャクした下降線をたどり、再度、怒濤の波が押し寄せ、断末魔のように悲鳴をあげます。鐘の音は速くて貧相だし、愛想が全くありません。

コーダ部分での金管の炸裂音は、とてもVPOとは思えず、ひぃーっ。ウィーン・フィルのマーラーは少ないのですが、狂気に満ちた感じで壊れてます。あんなにリマスタリングされて喜んでいたのに、聴いた後は、意気消沈でした。

CDカップリング:交響曲全集12枚組BOX 1番巨人1985年、2番復活1983年、3番1985年、4番1985年、5番1982年、6番悲劇的1982年、7番夜の歌1984年、8番一千人の交響曲1989年、9番1984年、10番アダージョ1984年 亡き子を偲ぶ歌1985年録音 出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” ロリン・マゼール – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団 😉

マーラー:交響曲第1番「巨人」エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団(現、hr響)1985年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Eliahu Inbal Frankfurt Radio Symphony

ワンポイントマイク(ホール1本マイクで)収録したものだったように思います。日本コロンビア、DENONから発売されていたCDです。ものすごく細かくインデックスが入ってて(1曲4楽章なのに、22カ所に入っているので、少し隙間が生じます)専門家のように聴かないワタシには、豚に真珠状態でした。

改めて拝聴すると、メチャメチャ精緻な演奏でビックリ仰天。確かに抑揚が少なくて、地味な演奏なのですが、楽譜に書かれた音符が全て聞えるんじゃーないかと思うほどの演奏&録音です。若かりし頃に購入したCDですが、あはは~(滝汗)その頃は、豪華絢爛で、多くの演奏家が競うようにマーラーをCDに録音している頃だったのです。

なので~ 威勢良く雄渾なショルティの演奏とか、身もだえしちゃうようなバーンスタイン盤を愛聴してました。もっと、しっかり聴いておけばよかった。(今頃、猛省しても遅いかも。)出典:YouTube Symphony No. 1, Ia. Langsam, Schleppend hr交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 😍

マーラー:交響曲第1番「巨人」 リッカルド・ムーティ フィラデルフィア管弦楽団 1984年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Riccardo Muti Philadelphia Orchestra

ムーティさんの演奏は、ちょっと驚きの色彩感あふれるものです。ムーティさんは、マーラー作品が好きでないのか、あまり演奏されておらず、かなり珍しい演奏になります。オーマンティさん時代のサウンドが残っているとは思うのですが、響きが煌びやかで豪勢です。また、朗々と歌うところは言わずもがな。ホンマ、綺麗やわ。

第1楽章では、チェロが奏で始めると、一気に、草原の花々が開花したみたいで~ もう天国行き確定って感じです。金管の力強い粘りのある咆哮は、何とも言えない開放感を与えます。表面張力の液体が溢れ出るような、喜びに満ちています。(なんという例えでしょう~)

第2楽章は、ちょっと速めで、重くならないので良いです。木管の合いの手が忙しそうに鳴っており、気の毒な気がしますが、金管の吹きっぷりに押されて、ぐいぐい、ちょっと強引かも~ 颯爽と、推進させていきます。第3楽章は、物憂げな気配はするのですが、重たい足を引きずることはありません。感傷に浸ることなく、サッパリ。そのかわり諧謔的なフレーズなのですが、カッコウ!と吹かせているのかと思うほど、のどかさが顔を出します。テンポを変えて淀むことなく、流麗な流れを感じます。

第4楽章は、ガツンと一撃を食らうのですが、かなりゴージャスな響きで、嬉しい悲鳴をあげて音の洪水に呑み込まれていきます。どどどぉ~っとティンパニのロールが響くなか、サラッとした独特の音の響きで、軽くて煌びやかです。でも薄っぺらくなく、かなりの重量があります。このシンバル、なんだかコロコロ回転する玉が入っているような鳴り方で面白いです。重厚な響きだけど軽いという不思議な響きで、金管の持続した響きのなか、上昇する気流に乗っていける感じなんです。いったい、どうなってるんでしょう~ しなやかで、残響のなかで陶酔しちゃいます。この演奏には、いつも痺れます。はぁ~ 気持ちいい~。ワーグナーのオペラでも、聴いている気分でラストを迎えます。

出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” フィラデルフィア管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1983年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティさんの演奏は、鳴りっぷりの良いダイナミックな演奏で、スポーティです。速めで格好良く、快速で走って行きます。木管のカッコウは、速い鳴き方で、カッコッ カッコゥ! 「ラー」音が、ずっと底辺に流れているため緊張感が続き、奥行き、左右の広さがあるので雄大です。

第2楽章は、ガシガシ言ってて速いです。機能美が満喫できるスケルツォで、二度めの繰り返しでは、さらにテンポがあがります。 レントラー風の舞曲は、乾いた不気味さがあり、ちょっと骨っぽい感覚です。ガシガシギシギシと、かすれた弦が唸ります。鋭い咆吼の金管が入ってくるので、エッジの立った演奏でした。

第3楽章は、葬送行進曲ですがドライ。不気味な明るさ、感情のウラハラを感じます。精一杯の皮肉を表しているようで、泣き笑いの表情のよう。コミカルで、ニヒル、一筋縄でいかない二面性が、良く出ているように思います。

第4楽章は、シンバルの一打と、強いティンパニのロール、そして金管の咆吼があります。疾風怒濤の状態ですが、抑制されており爆発しません。中間部の天上的な主題では歌っているますが、どうも苦手っぽい。もう一押しタメが足らず、風の神さまのよな金管によって、一気に猛烈なエネルギーを放出させます。

弦が不安定な心情を表し、金管は力強い意思を表して、複雑な心境が交錯しているように感じられます。最後には、この感情を自身で斬り棄て、けじめをつけるかのようです。スポーティな演奏ですが、内面の葛藤にも対処されており、共感を覚え、不思議な爽快さが残ります。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウディオ・アバド シカゴ交響楽団 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」クラウディオ・アバド シカゴ交響楽団 1981年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Claudio Abbado Chicago Symphony Orchestra

アバドさんの旧録シカゴ響とのセッション録音は、荒々しい演奏ですが、BPOとの演奏より自由に振っている気がします。第1楽章の冒頭は、緩やかに始まりテンポの変動は緩やかです。「さすらう若者の歌」の「朝の野原を歩けば」は、明るい表情で颯爽と進みます。第2楽章は、低弦の力強さのなかに、木管の軽やかさと共に深いリズムがあり、強めのアクセントでザクザクした感覚が生きています。

第3楽章は、オーボエのとぼけた表情も効いていますし、穏やかで密やかに笑っている感じが窺えます。なにより、テンポの変化に、しっくりきます。(BPOの演奏よりフィット感があります)第4楽章は、怒濤の勢いで、とても荒々しい演奏ですが、これってシカゴ響ならではの迫力かも。ドスンっと大太鼓が響き、ぶっ飛ばし金管の咆哮が聴けます。悲鳴をあげるような弦のカシカシ音が、木管の悲痛な叫びがあります。

良い意味で生々しい演奏です。83年録音のショルティ、シカゴ響と比べたわけではありませんが、綺麗だけのマーラーより、ザクっとした感覚の方が面白く感じるのではないでしょうか。89年のベルリン・フィルのライブより、ワタシは、シカゴ響の方が、オチャメだし、荒いけれど感情に深みがあるように感じます。なぜか全集には収録されていないのですが~ 出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウス・テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団 😱

マーラー:交響曲第1番「巨人」 クラウス・テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団 1977年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Klaus Tennstedt NDR Sinfonieorchester Hamburg

テンシュテットさんのライブは、熱っぽい演奏で、崩壊寸前というところまで走ります。客席で咳き込む音が、ほんのわずかに聞こえる程度で録音状態は良く、綺麗に舞台裏からのトランペットが響きます。チェロが主題を奏で始めると、テンポが緩やかに加速され、活き活きと歌います。頂点に達したところで、金管の爆発が起こり、猛烈な勢いで駆け抜けていきます。 畳みかける勢いは相当なモノ。ティンパニが、ガンガン叩かれ、金管の短いパッセージが、渦巻く弦を蹴散らしています。

第2楽章においては、だみ声の木管、弦の乾いた音が、ガシガシ弾かれます、ミュート付きのトランペットが、カシャカシャカシャー相当に不気味です。レガートのかかった中間部ですが、落ちぶれた貴族の館での舞踏会のよう。主題が戻ってきますが、三連符の途中から火がついて、最後には、ぼーぼー燃えている感じです。

第3楽章は、木管の羽目を外した、ひょうきんな歌い回しが独特です。 物悲しいのか明るいのか、複雑な心境で泣き笑いをしているような複雑な心境です。無理に押し込めた感情が、ストレスとして徐々に溜まっていく感じがします。

第4楽章は、シンバルとティンパニ、銅鑼が、爆発しています。シチャン!(ドロドロドロ)たたぁんたー たぁーん 落雷と猛烈な風が吹いたあと、弦がガシガシ音を立てて急下降。まあ~ スゴイ。何度も雷が落ちてバリバリしています。崩壊寸前で、バラバラに飛び散っていきそうな勢いの演奏で、割れ音が響き悲鳴をあげています。

弦が加速度をつけて走りますが、 ティンパニが叩かれるたびに、前につんのめっています。嵐が過ぎたあとは、虚脱感に陥って~脱力。 救い主が現れ、あ~これで救われたと思った瞬間に、激しい銅鑼が響きで嵐に巻き込まれるという状態です。地響きを立てて、地面が、ぱっくり割れたような演奏で、恐怖の坩堝に投げ入れられた感があります。

ここまで自分を追い込まないといけないのでしょうか。とても荒々しく刺々しい世界で、すっかり疲れ果ててしまいました。怖ろしい世界です。CDカップリング:マーラー交響曲第1番「巨人」1977年、第2番「復活」1980年 出典:YouTube Klaus Tennstedt Mahler – Symphony No.1 (1977) NDR SO classic channel N ★公式チャンネルではありませんが掲載させていただきます。

小澤 征爾 ボストン交響楽団 花の章付き 🥰

マーラー:交響曲第1番「巨人」小澤征爾 ボストン交響楽団 1977年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Seiji Ozawa Boston Symphony Orchestra

小澤さんの旧録の演奏は、これはお見事です。今でも新鮮ですし、とても迫力あり、瑞々しい演奏です。録音も古さを全く感じさせないもので、スピード感も音響も抜群っ。花の章(Blumine)は、84年の録音です。出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major マックス・ホウバート – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル 😱

マーラー:交響曲第1番「巨人」クラウス・テンシュテット ロンドン・フィル 1977年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Klaus Tennstedt London Philharmonic

テンシュテットさんの演奏は、もっと、ゴツゴツしているのかと思いましたが、意外とスムーズで、なだらかで、のびやかなフレージングです。もっと怖い演奏かと恐れていたのですが~ 畳みかけるパワーと金管は、やっぱり、ロンドン・フィル。鮮やかで煌びやかな音がしています。ただし、第4楽章の入りは、雷が落ちたかのような激しさで度肝を抜かれます。ひぇやっぱ怖いっ! CDカップリング:マーラー交響曲第1番、第2番 出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” クラウス・テンシュテット – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 🥰

マーラー:交響曲第1番「巨人」ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 1972年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Bernard Haitink Royal Concertgebouw Orchestra

ハイティンクさんとコンセルトヘボウ管のマーラー交響曲全集は、1962年~71年に録音され10枚組BOXになっています。中途半端な存在である2回目の第1番の演奏が、この72年録音になります。まだ、さほど全集がなく、バーンスタインかクーベリックが、もてはやされていた頃だと思われるので、地味な存在だったかも。演奏は、自然体で豊かさが感じられます。音楽評論家のみなさんは、平凡だとか中庸という表現で評価されていたようですが、改めて聴くと、とても素敵な響きを持った演奏です。

暖かさがあり見通しが良い丁寧な演奏です。楽器の色を重ねていても濁らず、独立していながら協調が感じられます。個性が少ないので、評価の表するのが難しい演奏かな~って思います。尖った表情はなく、既に、中高年向きの落ち着いた演奏で、堂に入っています。1970年代から、既に臈長けており、ホント、じっくり聴くには頃合いの演奏です。

第2楽章は、低弦の豊かな響きが多層的に聞こえます。ゆったりしたスケルツォですが、弦に、木管が重なり、ホルンの副旋律が美しく絡むところは、とても美しく、耳のご馳走状態となっています。純朴イメージのハイティンクさんですが、タメ感を効かせて、優美で耽美的。ゴージャスな歌いっぷりを披露します。

第3楽章は、低弦がメインとなっており、オーボエの悲しくも滑稽な二重奏に続いて、クラリネットが続きます。さほど滑稽さが強調されるわけではないのですが、展開する劇を見ているかのようで聴かせ上手です。まだ見ない世界へと促されていく感じです。まるで合わせ鏡のなかに立っているような、奥の深さを感じさせられます。

第4楽章は、ヒートアップした加熱気味の演奏です。弦の旋律が前に居て、コンサートホールの最前列に座っているかのようです。静まったあとの中間主題は、ふわふわ、とろみの残った卵料理のようです。舞台裏からのファンファーレが響くと、第1楽章の自然満喫の世界に連れ戻してくれます。まるで魔法の呪文のようですね。最後は、1972年の響きの限界か、重低音の響きに翳りが見えますが、熱くてかーっと盛り上あがって終わります。

出典:YouTube Mahler: Symphony No.1 in D Major Concertgebouworkest Provided to YouTube by Universal Music Group

オトマール・スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン 😓

マーラー:交響曲第1番「巨人」オトマール・スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン 1968年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Otmar Suitner Dresden Staatskapelle

スウィトナーさんは、穏やかそうに見えて熱いです。さすがに古い録音ですが、伸びやかで自然なフレージングが魅力です。この時期のカペレは、ティンパニーが強烈だったことを思い出しました。特に、第4楽章冒頭は、度肝を抜かれます。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” シュターツカペレ・ドレスデン – トピック Provided to YouTube by Kontor New Media GmbH 

ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」ラファエル・クーベリック バイエルン放送交響楽団 1967年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Rafael Kubelík Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks

クーベリックさんの演奏は、簡潔で端正な演奏です。スタンダードな演奏だと思います。当時人気のバーンスタインさんの演奏とは全く異なるアプローチで、感情移入型のバーンスタインか、端正型の簡潔なクーベリックか二者選択という感じだったように記憶しています。長大なマーラーの音源は、LPレコード2枚になるパターンが多かったようですが、1枚に収録されていることからも人気があったようです。

両方を入門編として聴いていましたが、CDジャケットに、クリムトの絵が採用されているのが印象的で~ まだ駆け出しのワタシは、それだけで喜んでいました。出典:YouTube Mahler: Symphony No. 1 in D Major バイエルン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 😘

マーラー:交響曲第1番「巨人」ベルナルト・ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 1962年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Bernard Haitink Royal Concertgebouw Orchestra

ハイティンクさんの交響曲全集に収録されている演奏です。基本的に、感情に支配されないカッチリしたもの。この指揮者は職人と言われるだけあって、感情に、どっぷり浸らない、傾かないです。中庸的と言えば中庸なのでしょうが、地道に丁寧にアプローチしていくので、ニュートラルに戻りたい場合は、ここに戻れば良いという存在です。ある意味ありがたい存在だと考えます。

CDカップリング:マーラー交響曲全集12枚組BOX 10枚組は1~9番まで。第1番1962年 第2番68年、第3番66年、第4番67年、第5番70年、第6番69年、第7番69年、第8番71年、第9番69年、第10番アダージョ71年、大地の歌75年、嘆きの歌1899年版73年、さすらう若者の歌70年、亡き子を偲ぶ歌70年、子供の不思議な角笛1976年録音

ブルーノ・ワルター コロンビア交響楽団 😊

マーラー:交響曲第1番「巨人」ブルーノ・ワルター コロンビア交響楽団 1961年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Bruno Walter Columbia Symphony Orchestra

指揮者だったマーラーのお弟子さんとして、ワルターの演奏は、アナログ時代は定盤中の定盤でした。直伝の演奏ということで有名だった演奏です。2019年のリマスタリング盤です。ワタシがマーラーを聴き始めた頃は、スポーティなショルティさんの演奏を聴いていたので、かなり、ゆったり余裕のある演奏だと思っていました。特に、第3楽章は、今では聴けないような愛に満ちあふれた(うふふっ)演奏です。出典:YouTube Symphony No. 1 in D Major “Titan” ブルーノ・ワルター – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィル 😊

マーラー:交響曲第1番「巨人」ブルーノ・ワルター ニューヨーク・フィル 1954年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Bruno Walter Columbia Symphony Orchestra

コロンビア響との前には、1954年ニューヨーク・フィル(当盤)と、1950年バイエルン放送響との演奏があるようです。さすがに、ここまで遡って聴こうとは思いませんが、歴史的な資料価値のある演奏かと思います。音源が、サブスクにこれだけ揃っていることに驚きです。一応、第1楽章のみ掲載しておきます。出典:YouTube New York Philharmonic Bruno WALTER

マーラー:交響曲第1番「巨人」について【解説】

グスタフ・マーラー(Gustav Mahler)は、1860年生まれで、主にウィーンで活躍した作曲家です。交響曲は番号付きが9曲と大地の歌(第10番は未完)を作曲し、交響曲第1番は、1884年から1888年にかけて作曲されています。

第1楽章 ニ長調4/4拍子序奏付きの自由なソナタ形式 弦のフラジオレットによるA音の持続のうえに、オーボエとファゴットが4度下降する動機が表れます。全曲の統一動機で、カッコウの鳴き声を模したものとも言われています。ホルンの牧歌的な響きが挿入され、低弦に半音階的に順次上行する動機が現れ、4度動機が繰り返されるうちに主部に入り、チェロが第1主題を出します。これは「さすらう若人の歌」(さすらう若者の歌)の第2曲「朝の野原を歩けば」に基づくものです。

第2楽章 イ長調 3/4拍子 複合三部形式のスケルツォ 低弦による4度下降動機のオスティナート・リズム、ヴァイオリンによるオクターヴ上昇する動機の繰り返し、木管が歯切れよくスケルツォ主題を出します。主部は、三連符を含む律動的な動機を繰り返し転調して戻ります。中間部はヘ長調で、ホルンの4度下降動機に次いで、弦が優美なレントラー風の主題を奏するもの。

第3楽章 ニ短調 4/4拍子 複合三部形式 ティンパニに乗ってコントラバスが、物憂く、虚ろな印象の主題を奏します。童謡「フレール・ジャック」Frère Jacques として知られるフランスの民謡をカノン風に扱われ、オーボエのおどけたような旋律が加わります。主部は、哀調を帯びた俗っぽい進行を経て主題が戻ります。中間部は、ト長調でハープに導かれてヴァイオリンが夢見るような表情で「さすらう若人の歌」(さすらう若者の歌)第4曲「彼女の青い眼が」から採られた旋律を奏でます。

第4楽章 ヘ短調 – ニ長調 2/2拍子 自由なソナタ形式 シンバルの強烈な一撃で開始され、第1主題の断片や半音階的に下降する動機を示して、戦闘的な第1主題が管楽器と低弦で提示されます。ヴァイオリンの激しく上下する音型を伴っており、一段落して出る第2主題は嬰ハ長調、ヴァイオリンによる息の長い美しい旋律です。金管が第1主題の動機を繰り返して、激しくなるところから展開部となり、高揚して頂点に達し、序奏部が復帰すると再現部となります。

第1主題は再現されず、ハ長調で凱歌をあげようとしますがニ長調に上昇し、ティンパニの連打、トランペットの勝ち誇ったような旋律、ホルンの4度動機と続いて第1楽章の序奏が戻ってきます。第2主題の断片につづいて、ヴィオラが警告的な動機を示し、繰り返されてやっと第1主題が再現されます。

主題の順番を逆にして再現する発想は、第6交響曲の終楽章にも現れています。1楽章のファンファーレが現れ、ニ長調で頂点に達し、そのままニ長調の長いコーダになだれ込みます。フィナーレの第1主題と4度動機に基づき、勝利感に満ちた終結となるものです。この複雑な構成は、読み解くのも大変で、とほほ~状態ですが、マーラーの楽曲のなかでは、これでも比較的、演奏時間が短く、約55分です。

マーラー:「さすらう若人の歌」第2曲「朝の野原を歩けば」

マーラー:「さすらう若人の歌」第4曲「彼女の青い眼が」

マーラー:さすらう若人の歌 トーマス・ハンプソン レナード・バーンスタイン ウィーン・フィル 1990年 Mahler: Lieder eines fahrenden Gesellen Thomas Hampson Leonard Bernstein Wiener Philharmoniker 

CDカップリング:マーラー さすらう若人の歌1990年、亡き子を偲ぶ歌1988年、リュッケルトの詩による5つの歌曲1990年録音 バリトン:トーマス・ハンプソン レナード・バーンスタイン ウィーン・フィル 出典:YouTube Mahler: Lieder eines fahrenden Gesellen – No. 2, Ging heut’ morgen übers Feld (Live) トーマス・ハンプソン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

マーラー:交響曲第1番「花の章」だけを聴いてみよう。

マーラー:交響曲第1番「巨人」 レイフ・セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 1993年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Leif Segerstam Danish National Radio Symphony Orchestra
★ 1番の演奏終了後、別途、花の章を演奏しています。

マーラー:交響曲第1番「巨人」 サイモン・ラトル バーミンガム市交響楽団 1991年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Simon Rattle City of Birmingham Symphony Orchestra
★ 第1楽章前に花の章が演奏されます。

マーラー:交響曲第1番「巨人」小澤征爾 ボストン交響楽団 1984年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Seiji Ozawa Boston Symphony Orchestra
★ 1984年に特別に録音されたのではないかと思います。

マーラー:交響曲第1番「巨人」 ズービン・メータ イスラエル・フィル 1986年
Mahler: Symphony No. 1 in D Major “Titan” Zubin Mehta Israel Philharmonic Orchestra
★ 第2楽章として、花の章が挿入され、全6楽章として演奏されます。

マーラー:交響曲第1番【ディスク情報】

1954年 ワルター ニューヨーク・フィル SC
1961年 ワルター コロンビア交響楽団 SC
1962年 ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 Ph
1967年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 G
1968年 スウィトナー シュターツカペレ・ドレスデン G
1972年 ハイティンク コンセルトヘボウ管弦楽団 Ph 
1974年 レヴァイン ロンドン交響楽団 R 
1977年 テンシュテット ロンドン・フィル EMI
1977年 テンシュテット 北ドイツ放送交響楽団 MEMORIES
1977年 小澤征爾 ボストン交響楽団 G 花の章付き
1979年 クーベリック バイエルン放送交響楽団 AUDITE
1981年 アバド シカゴ交響楽団 G 
1983年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1984年 ムーティ フィラデルフィア EMI
1985年 インバル フランクフルト放送交響楽団 DENON
1985年 マゼール ウィーン・フィル SC
1986年 メータ イスラエル・フィル Dec
1986年 若杉弘 シュターツカペレ・ドレスデン SC 
1987年 小澤征爾 ボストン交響楽団 Ph 
1987年 ハイティンク ベルリン・フィル Ph
1987年 バーンスタイン コンセルトヘボウ G 
1989年 アバド ベルリン・フィル G
1989年 シノーポリ フィルハーモニア管弦楽団 G
1990年 テンシュテット シカゴ交響楽団 EMI 
1991年 ベルティーニ ケルン放送交響楽団 EMI 
1991年 ラトル バーミンガム市交響楽団 EMI 花の章付き
1993年 デ・ワールト オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 R
1993年 セーゲルスタム デンマーク国立放送交響楽団 CHANDOS
1994年 ユーリ・シモノフ ロイヤル・フィル Classical World
1995年 シャイー コンセルトヘボウ管弦楽団 Dec
1998年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G
2001年 マイケル・ティルソン・トーマス サンフランシスコ交響楽団 SFS
2002年 ギーレン 南西ドイツ放送交響楽団 HÄNSSLER
2006年 ヤンソンス コンセルトヘボウ RCO
2017年 ダニエレ・ガッティ コンセルトヘボウ管弦楽団 RCO
2018年 フランソワ=グザヴィエ・ロト レ・シエクル HM 1893年版・花の章付き
2021年 ビシュコフ チェコ・フィル PENTATONE

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