ショーソン:交響曲変ロ長調【名盤・おすすめ】
ジャン=リュック・タンゴー ベルリン放送交響楽団 🙂
ショーソン:交響曲変ロ長調 ジャン=リュック・タンゴー ベルリン放送交響楽団 2023年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Jean-Luc Tingaud Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
タンゴーさんの演奏は、第1楽章は、厳ついもので、えっ もしかして崖っぷちに立っているの~と、心配するような劇的で、悲壮感が漂っています。悲哀(エレジー)のような雰囲気がします。で、徐々に穏やかに沈んでいくのですが、歌謡風フレーズに変わると、その姿は一変します。さらーっとした風のような旋律となります。第2楽章は、全体的にわかりづらいのですが、混沌とした感じとでも言えば良いでしょうか。第3楽章においては、映画音楽っぽく壮大なテーマを奏でてくる感じです。おおっ、新しいアプローチが出現と喜んでしまいました。ドラマティックな演奏で楽しんで聴くことができました。
CDカップリング:フランク 交響曲ニ短調、ショーソン 交響曲変ロ長調 2023年録音 出典:YouTube Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Jean-Luc Tingaud – トピック Provided to YouTube by Naxos Digital Services
マレク・ヤノフスキ スイス・ロマンド管弦楽団
ショーソン:交響曲変ロ長調 マレク・ヤノフスキ スイス・ロマンド管弦楽団 2011年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Marek Janowski Swiss Romande Orchestra
ヤノフスキさんの演奏は、甘くもなく、かなりシビアにタイトに演奏されていきます。フランクの交響曲の次にショーソンの交響曲が演奏されるので、やっぱ似ているし、そうなると、緻密な構成が必要だよな~と感じます。甘塩っぱい演奏が好きなので、ついつい夢幻的な演奏に惹かれるのですが、こりゃー アカンわ。しっかり駄耳を鍛えて、真摯に聴かないと~。
歌謡風フレーズも、ふわっとしすぎないようにコントロールされており、弦をより一層タイトにしているようです。あくまでも弦主体で、木管、金管を色彩の追加という感じで、音量等を抑え気味にしているようです。甘くしようと思えば、甘くできちゃうような曲ですよね。ついつい~ 甘さに傾きがちのところを、振りほどき、タイトに演奏しているみたいです。第2楽章は、絶妙な風合いです。弦のフレーズのうえを、木管を遊ばせ、また、弦と木管を交互に遊ばせているかのようです。樹木の間の散策道のように、葉っぱの重なり、木漏れ日、色合いのグラデーションを楽しむことができます。ここ白眉っぽいですね~。これは深いわ。
CDカップリング:フランク 交響曲、ショーソン 交響曲 2011年 出典:YouTube Symphony in B-Flat Major, Op. 20 スイス・ロマンド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ヤン=パスカル・トルトゥリエ BBCフィルハーモニー管弦楽団 🙄
ショーソン:交響曲変ロ長調 ヤン=パスカル・トルトゥリエ BBCフィルハーモニー管弦楽団 1997年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Yan Pascal Tortelier BBC Philharmonic Orchestra
トルトゥリエさんの演奏は、やや残響が多めで、ソフトタッチの演奏で、ふんわかしています。盛り上がるところの金管の大きさが少し気になります。歌謡風の旋律部分は、暖かみがあり爽やかです。全体的に茫洋とした感覚がします。CDカップリング:ショーソン 交響曲変ロ長調、交響詩「ヴィヴィアンヌ」、交響詩「祭りの夕べ」 (作品32)劇音楽「嵐」(作品18)、同第4幕 Danse rustique 1997年録音 出典:YouTube Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Yan Pascal Tortelier – トピック Provided to YouTube by PIAS
シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 🙂
ショーソン:交響曲変ロ長調 シャルル・デュトワ モントリオール交響楽団 1995年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal
デュトワさんの演奏は、弦で奏でられる斉唱は、哀しみを秘めたような雰囲気です。教会で葬列に参加しているかのような錯覚に。まるでレクイエムのよう。導入部については、残響を漂わせてゆったりしています。その後、涼やかに展開し、軽やかで明るいフレーズは、若やいだ気持ちにさせてくれますが、底辺には、どこか悲しさが籠っているようです。プラッソンさんの演奏のように、迸るような華やぎ、若やいだエネルギーは感じられず、哀しみが根強く残っているようです。歌謡風の旋律は、さらさらと流れます。
第2楽章は、幻想的で、劇付随音楽のような印象を受けます。木管とチェロが、甘いフレーズを連綿と綴っていきます。見通しは良いのですが、叙情性や寛容的な優しさや、乳白直的な風合いとは異なるようです。第3楽章は、一陣の風が巻きあがったように、金管の咆哮から始まります。悲劇の幕開けかのような切羽詰まった旋律です。悲劇のドラマ第二幕という感じでしょうか。
従前の交響曲というスタイルから離れ、劇中に使われる楽曲のようです。ショーソンはフランクのお弟子さんですが、循環するというよりは、主題を使い回しているという感じがします。耳に優しい主題が、徐々に攪拌されていくようです。ここでは、物語的な展開を意識しているのでしょうか。どこか甘さが残る演奏です。甘さに傾きすぎかも。
CDカップリング:ショーソン 交響曲 1995年、詩曲、愛と海の詩 ヴァイオリン:シャンタル・ジュイエ バリトン:フランソワ・ル・ルー 1996年録音 出典:YouTube Chausson: Symphony in B Flat Major, Op. 20 モントリオール交響楽団 トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ジャン・フルネ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 😘
ショーソン:交響曲変ロ長調 ジャン・フルネ オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 1988年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Jean Fournet Radio Filharmonisch Orkest(Netherlands Radio Philharmonic Orchestra)
フルネさんの演奏は、ゆったりしたテンポで、縦糸を意識して刻んで進む感じです。チューバがのしかかってきて、ティンパニが、要所要所を締めていきます。かなり重めの演奏で、フランクの交響曲に近いイメージです。光を帯びて一瞬で輝きを生み、明るさをゆったりと放っていきます。プラッソンさんの演奏は、明るい主題は一気に駆けていきますが、フルネさんの演奏では、きっちり丁寧に演奏します。全体的にまろやかで、余裕のある響きがします。このほどよい暖かさは、とても気持ちの良いものです。
第2楽章は、哀しみを押し込めたような楽章で、前楽章のコラールの延長線にあります。叙情的で、深々とした息の長い旋律を描きます。サワサワと吹く風から、次第に、森の奥での演奏会という雰囲気になります。第3楽章では、第1楽章の主題が顔を覗かせますが、軽やかに変化します。穏やかな主題が、ユニゾンで奏でられます。総体的に、フルネさんの演奏は、重めの質感で、色彩的には彩度が低めです。
CDカップリング:ショーソン 交響曲、フォーレ 組曲「ペレアスとメリザンド」1988年録音 出典:YouTube Chausson:Symphony in B Flat Major, Op. 20 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
アルミン・ジョルダン バーゼル交響楽団 🥰
ショーソン:交響曲変ロ長調 アルミン・ジョルダン バーゼル交響楽団 1985年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Armin Jordan Basle Symphony Orchestra
ジョルダンさんの演奏は、沈痛な面持ちで冒頭が奏でられ、深々とティンパニが鳴ります。悲痛に高揚して、まろやかな金管の咆哮で、感極まって泣いてしまうかのようです。ジョルダンさんの演奏は、一気呵成に勢いのあるものではなく、歩みをゆったりととり、気持ちを維持します。表情をあまり大きく変えません。
経過する時間をたっぷりとって、徐々に変化することに注力しているようです。感情を抑え気味に、塾講して音が出てくるような雰囲気です。軽やかさ、明るさは抑制されています。自然な流れを重視し、バランスを図っているようです。劇的に変化するのではなく、時間の経過を意識しているみたい。洒脱で軽妙という感じはしませんが、より自然で、ちょっと重めのテイストでしょうか。
ある意味、中庸で、ドイツとフランスの中間地点という感じかなあ。重すぎず軽すぎず、彩度の高さも中程度で、乳白色の陶器という感じの風合いです。第2楽章においても、森をイメージさせる演奏で、バーゼル響の高音域の弦に張りがあり、深い音色の木管です。湖の畔に立っているような清々しさもあり、歌謡風の主題では歌っていますが、副旋律の重なり具合を楽しむことができます。
ジョルダンさんの演奏は、柔らかいけれど腰があり、弦が主の優しい音が、とても心憎い大人の演奏です。他の演奏よりも、響きがオルガンのように聞こえます。輪郭は明瞭ですが、穏やかにユニゾンを奏で、大きなフレージングが余裕を感じさせます。ショーソンの楽曲は、色重ねを楽しむ感じでしょうか。さりげなく入ってきては、すっと通り過ぎる雰囲気がします。綺麗な音の消え方に驚かされました。さりげなさすぎ~ですよね。
CDカップリング:ショーソン 交響曲変ロ長調、交響詩「ヴィヴィアンヌ」(作品5)1985年録音 出典:YouTube Chausson Symphony in B-Flat Major, Op. 20 アルミン・ジョルダン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics International
ミシェル・プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 🤗
ショーソン:交響曲変ロ長調 ミシェル・プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 1976年
Chausson: Symphony in B-Flat Major, Op. 20 Michel Plasson Orchestre du Capitole de Toulouse
プラッソンさんの演奏は、エネルギッシュで、若者が未来に希望を描いているような感じです。飛び跳ねたい気分を押さえ、歌謡風なフレーズにおいて、金管は力強く甘く豪快に鳴っています。弦のピチカート、ハープの音は控えめですが、走り出したくて仕方ないような感じです。循環してくる主題については、しつこさを感じさせません。微妙に半音あがっているところを、鼻音に仕上げているような~ そんな可愛さがあります。
第2楽章は、木管が基軸となり、弦がふわふわ浮遊します。中音域の旋律が美しく、チェロの甘い幻想的な旋律は劇付随音楽のように聞えます。どんどん場面が展開していくところは、まるで、夢幻オペラを聴いてかのよう。ワーグナーの楽劇に近い雰囲気がしてきます。縦横無尽に広がる楽曲ではありませんが、人の声が、旋律に写し込まれているような感覚をおぼえます。
第3楽章は、プラッソンさんで聴くと、アクティブで戦闘的な劇に変わってしまったようです。途中、珍しくミリタリー調になっており、その裏では、第1楽章の主題が顔を覗かせます。チャーミングなところと、ミリタリーっぽいところが同居してて、不思議な感覚です。両面を持っているとも思いますが、明らかに違う要素を見せて良いのかは、迷うところです。CDカップリング:ショーソン 交響曲、交響詩「祭りの夕べ」、交響詩「ヴィヴィアーヌ」1985年録音 出典:YouTube Symphony in B-Flat Major, Op. 20 ミシェル・プラッソン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
ショーソン:交響曲変ロ長調【解説】
ショーソンは、フランスの作曲家で、交響曲変ロ長調(作品20)は、1890年に作曲されています。1896年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための「詩曲」が一番有名ですが、この交響曲や、ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲(コンセール)も頻度はさほど多くないもののコンサートにとりあげられる曲です。三つの楽章に分けられています。
1 ラン(緩やかに)〜アレグロ・ヴィーヴォ Lent – Allegro vivo
2 トレ・ラン(きわめて緩やかに) Très lent
3 アニメ(快活に) Animé として、3分~40分程度の曲です。
第1楽章は、導入部は鬱々としていますが、クレシェンドしながら、段々と明るくなり、晴れ晴れとした主部に至ります。軽やかな歌謡風フレーズが流れていきます。第2楽章は、オーケストラにとって演奏至難な箇所があるようです。第3楽章は、戦地における行進のような動機が表れます。全曲を通して、恩師でもあるフランクの影響か、循環形式が用いられていますが、主題の扱いは控えめです。特に、第1楽章の第1主題は、ペンタトニック(階名でレとファが抜けているもの)が使われて、大変穏やかです。柔らかく、夢幻的なテイストを感じるシンフォニーです。で、良いのかどうかは、ちょっと~ まだまだ聞き込めてないからかなあ。
ショーソン:交響曲変ロ長調【ディスク情報】
1976年 プラッソン トゥールーズ・キャピトル国立 EMI
1985年 ジョルダン バーゼル交響楽団 E
1988年 フルネ オランダ放送フィル De
1995年 デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
1997年 ヤン=パスカル・トルトゥリエ BBCフィル CHANDOS
2011年 マレク・ヤノフスキ スイス・ロマンド管弦楽団 PENTATONE
2018年 アレクサンドル・ブロック リール国立交響楽団 NAXOS
2023年 ジャン=リュック・タンゴー ベルリン放送交響楽団 NAXOS
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