バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント【聴いてみよう】Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) 

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バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント【YouTube】

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン 熱演です。2019年
Janine Jansen 出典:YouTube Bartók: Divertimento for String Orchestra – Janine Jansen – International Chamber Music Festival HD AVROTROS Klassiek

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント【名盤・おすすめ】

ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 🥰

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント ピエール・ブーレーズ シカゴ交響楽団 1992年
Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) Pierre Boulez Chicago Symphony Orchestra

第1楽章は、ジャジャジャ・・・切り込み隊長のように始まっていきます。クラシカルな伝統を重んじた様式スタイルですが、バルトークが語る語法は、ローカル色のある方言。同じ日本語を喋っている筈なのに、えっ なんて言っているんだろうと固まった感じです。古典的スタイルに押し込めちゃって、方言を確立させちゃうところが、すごい。最初は、ヘ長調ですが、どこかでするっと短調っぽく変わって不思議な和音が出てきます。

予定調和で終わらないところが「らしい」ところでしょうか。弦合奏は軋んだ感覚ですが、なぜか、美しく感じちゃうということで魔術師のような曲です。ヴィオリンの高音域の周波数で、ワタシの脳みそは共鳴し、すっかり、やられちゃったみたい。快感を感じる周波数なのでしょうか。

第2楽章は、モゾモゾ、ぬめりを感じる両生類が歩いているのか、軋んだ音を発します。引き延ばされた弦が、細いけれど強い波動となって伝わってきます。ひょえぇ~。ショルティさんの演奏はドライです。でも妖艶なのです。

第3楽章は、ロマ風の舞踏楽章です。ムチがしなり、悪魔的な踊りです。低音のユニゾン旋律が登場したり、虻や蜂が、飛んでいるブンブンと鳴る弦。うっ、耐え難いと思ったとたん、しまった、この曲は、可愛く古典風のディヴェルティメントだったと、我に返ったように古典形式に戻っていくのです。えっ! すぐに表情が変わる変貌ぶりで呆気にとられて終わりました。CDカップリング:舞踏組曲、2つの映像、ハンガリーの風景、ディヴェルティメント 1992年 出典:YouTube Bartók: Divertimento for Strings, Sz. 113 シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 🥰

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント ゲオルク・ショルティ シカゴ交響楽団 1989年
Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) Georg Solti Chicago Symphony Orchestra

ショルティさんの演奏は、結構、野蛮です。弦の鋭い切り込み、強いアクセント、ふにゃっとした語り口調、どれもこれも矛盾しているのですが、ヴァイオリンが「ふにゃふにゃ ふにゃ~っ」と歌い始め、シンコペーションのリズムが鳴り始めると、ひきこまれます。これがバルトークでしょ! ハイ、一筋縄ではいきません。

第2楽章は、かなり暗い楽章です。揺れのあるフレーズが、もわっと動きます。干からびた軋み。乾いているくせに表面的で、中身は、どろっとした粘着性のある液体です。海の底が揺れているような感覚で、ひたひたと忍び寄ってくる感じがします。一定の高さを保りきれず、足元が、ふにぁ~と揺れているのに気づいて、えっ、と驚くような気分の悪さです。ところどころに登場する高音が、格差を助長し、気がついたら、ジェットコースタのテッペンにいた感じ。

第3楽章は、前楽章とはうってかわって楽しい舞曲です。ヨナ抜き風の旋律とリズムが楽しいです。朗々と歌われていくので、とってもノリノリ。でも、一瞬で瞬間芸のように現代の軋みに戻っていきます、で、驚いた瞬間に終わってしまうのです。まるで、線香花火の光の玉が落ちたみたいに、すとん! 

狐につままれた感のする楽曲で、みごとにやられてしまいました。どこが、ディヴェルティメントなのよ~と思いますが、外面は形式重視、内面の具材は、強烈なスパイスの効いた中央アジア風ティスト。このギャップが、妙にハマります。癖になりそう~。CDカップリング:バルトーク 弦楽、打楽器とチェレスタのための音楽 1989年、バルトーク ディヴェルティメント 1990年、バルトーク 組曲 中国の不思議な役人 1990年 出典:YouTube Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) シカゴ交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アンタル・ドラティ BBC交響楽団 😉

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント アンタル・ドラティ BBC交響楽団 1964年
Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) Antal Doráti BBC Symphony Orchestra

アメリカのオケだから、あっかるい~! と思ったら、イギリスのBBC放送交響楽団でした。もちろん、しっかり演奏されていますが、金管の明るさ、のびやかさは、バルトークの楽曲にはアダになりますね。鋭い切り込みも感じますが、ローカル色を前面に出すというわけにはいかないです。陰陽で例えるなら、もちろん陽です。CDカップリング:バルトーク 管弦楽のための協奏曲 ロンドン響 1962年、ディヴェルティメント BBC響 1964年、ハンガリーの風景 ミネアポリス響 1956年録音 出典:YouTube Bartók: Divertimento for Strings, Sz. 113 BBC交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

フェレンツ・フリッチャイ RIAS交響楽団 😨

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント フェレンツ・フリッチャイ RIAS交響楽団(ベルリン放送交響楽団→ ベルリン・ドイツ交響楽団) 1952年 
Bartók: Divertimento for Strings, BB 118 (Sz.113) Ferenc Fricsay RIAS Symphony Orchestra Berlin

古い録音なので、あまりお薦めはできないのですが、強烈な熱さと怖さがあり、特に第2楽章は、なんとも泥臭くて沼地に足を取られたような、ぬめりがあります。複雑に絡み合った茨の道を歩いて、途方に暮れているような脱力感と将来が見えない暗澹たる気持ちになって、凹んで立ち直れない~です。元気のないときに聴くとダメ。必ずめげます。かなりシュールな演奏だと思いますが、これで、バルトークの沼にハマりましたとなるかもしれません。出典:YouTube Bartók: Divertimento For Strings, Sz. 113 RIAS交響楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント【解説】

バルトークのディヴェルティメントは、次のとおり、有名な弦チェレとオケコンの間に創られた楽曲です。
1936年 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 (Sz.106)
1939年 弦楽のためのディヴェルティメント (Sz.113)
1943年 管弦楽のための協奏曲 (Sz.116)

「弦楽のためのディヴェルティメント」 (単にディヴェルティメントという表記もあります。)は、バルトークが、ハンガリー民謡やルーマニア民謡の分析作業に、没頭する日が続いたなかで作曲されたものです。指揮者のパウル・ザッハーの招きで、スイスのグリュイエール地方の山小屋で暮らしていた頃、ザッハーの率いる旧バーゼル室内管弦楽団のために、弦楽五部による作品を一気に作曲したそうです。

ディヴェルティメントの名前のとおり、民族的な素材にして、バロック時代の合奏協奏曲のスタイルを取り入れています。弦楽五部を基調としながらも、時には、独奏楽器群とオーケストラの総奏に分かれ、二群が交代しながら演奏します。調性的にも(特に両端楽章では)明快ですが、中間楽章はバルトークらしい「夜の音楽」と共に、半音階的な晦渋さをも併せ持つものとなっています。

弦楽五部(スコアの扉には、第1、第2ヴァイオリン各6、ヴィオラ、チェロ各4、コントラバス2以上を必要と記しているそうです。)三つの楽章で構成されており、演奏時間は約24分です。

第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ (ソナタ形式) 8分16秒
第2楽章 モルト・アダージョ (3部形式) 7分27秒
第3楽章 アレグロ・アッサイ (ロンド・ソナタ形式) 6分32秒 なんと、作曲者は、上に記したように楽章での演奏時間を書いており、全曲22分13秒と書いているそうです。まあ、これは指定されたわけではないと思うんですが~ そんな、ピタッと演奏できませんよねえ。古典を装いながら、中身は中央アジアのテイスト満載、ローカル色強めですが、癖になります。

バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント【ディスク情報】

1952年 フリッチャイ RIAS交響楽団 G
1964年 ドラティ BBC交響楽団 Mercury
1989年 ショルティ シカゴ交響楽団 Dec
1992年 ブーレーズ シカゴ交響楽団 G


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