バッハ:イタリア協奏曲【聴いてみよう】J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971

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J.S.バッハ:イタリア協奏曲BWV 971【名盤・おすすめ】

ラファウ・ブレハッチ 😘

バッハ:イタリア協奏曲 ラファウ・ブレハッチ
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Rafał Blechacz 2013年

ブレハッチさんの演奏は、目から鱗が落ちる感じです。いったい何種類の演奏を聴いてきたのか、いったい何を聴いてたんだろ~っとワタシが猛省した演奏です。で、もごもごして、いつもスルーしがちだった第2楽章に耳がそばだちました。もちろん第3楽章は、何度も繰り返して拝聴しましたが。リズミカルでわくわくしちゃう自分が抑えきれません。(こんな聴き方でごめんなさい)いつも、最低限の聴き方しかできませんね。

CDカップリング:バッハ イタリア協奏曲、パルティータ第1番 2012年、4つのデュエット 2012年、幻想曲とフーガ 2012年、パルティータ第3番 2015年、心と口と行いと命もて BWV 147 – コラール 「主よ、人の望みの喜びよ」(M. ヘスによるピアノ編)2015年録音 出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F Major, BWV 971
ラファウ・ブレハッチ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ウラディーミル・アシュケナージ 😙

バッハ:イタリア協奏曲 ウラディーミル・アシュケナージ 2013年~14年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Vladimir Ashkenazy 2013年

既に引退されてしまいましたが、バッハに取り組んでいる姿に脱帽です。ピアニストから指揮者へ、そしてピアニストに戻ってこられたのかな~ イタリア協奏曲には、個性的な演奏が多いのですが、良い意味での安定的な演奏だと思います。バッハは、奥が深すぎて(いや、他の曲も全て)ホント困りますが、スルーするわけにもいかず、いつも、ワタシはボソボソと聴いています。アシュケナージさんの演奏を聴くと、年齢にかかわらず、果敢に挑戦することに、まず意義があるんだと、その取り組みに感動しております。

CDカップリング:フランス風序曲、アリアと変奏 BWV989、協奏曲ニ短調 BWV974 マルチェッロのオーボエ協奏曲からの編曲、イタリア協奏曲 出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F, BWV 971 ウラディーミル・アシュケナージ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

ファジル・サイ Fazıl Say 🤣

バッハ:イタリア協奏曲 ファジル・サイ 1998年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Fazıl Say

イタリアの鬼才、天才、ファジル・サイと称されるファジル・サイさんの演奏です。CDはジャケ買いです。(後年無事に、コンサートに行かせていただきました。)写真を見てください。ピアノの中身を丸見えにしちゃって、えへっ、こんなことできるんだよ~という視線を放っています。ピアノは、ハンマーで弦を叩くシステムですが、良くみると、ハンマーが10本以上立っています。いったい何本の指で弾いているのかしら。ん?

バッハは苦手だけど、ファジル・サイさんは好きですね。この茶目っ気のある愉悦性を感じる演奏です。個性的な演奏といえば、グレン・グールドさんの演奏が有名ですが、あのグールドさんの演奏は、突き詰めて怖い鳥肌モノの冷たさを放ってきますが、ファジル・サイさんは温かみがありますね。オチャメ~! 好奇心満載なところが好き。
 
CDブックレットにインタビューが載っていました。ちょっと引用させていただくと、「第2楽章(アンダンテ)は、非常にメランコリックで、ヴィヴァルディを連想したのは確か。まるでヴェネツィアのど真ん中に生まれたかのような美しい音楽。浅い海の上で、カモメが羽ばたいて飛び去るのが聴こえる。 最初は大きな音で、カモメが遠くになるにつれてだんだん小さな音になる。

この曲の中で、弾いている長いトリルから、カモメの羽ばたきを聴き取ってもらえばうれしい」と書いてありました。カモメなの? へえ~ カモメかあ。ワタシの想像を超えてましたね。音楽を聴きながら、頭に映像が浮かぶ、そのイマジネーションを受けて、腕が指が動きバッハを演奏していく。では、聴くワタシも映像を浮かべて聴いてみたいと思います。サイさんの演奏は、明瞭でテンション高く、優しく楽しく聴けるので、とても嬉しいです。
出典:YouTube J.S. Bach Italian Concerto in F Major, BWV 971 Fazıl Say Provided to YouTube by Warner Classics

アンドラーシュ・シフ 😘

バッハ:イタリア協奏曲 アンドラーシュ・シフ 1991年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 András Schiff

シフさんの演奏は、穏やかです。暖かみのある音で、右手、左手、いずれの旋律も主になって、規則正しく並んで進んでおり、均質的な楽曲に仕上がっています。超個性的な演奏も良いですが、ニュートラルに戻って、オーセンティックな演奏を聴きたい時には、ワタシは、ブレンデルさんかシフさんの演奏を聴いているように思います。どちらかと言うと、ぷわっと包まれたような音ですが、芯があり、この音質で均質的にまとめるのって、とても難しいように思うのです。多少、抑揚がついているところも感じますが、バランスの良さを自然にさらっと演じちゃう。そこが、シフさん人気に繋がっているように思いました。

出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F, BWV 971 アンドラーシュ・シフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

トレヴァー・ピノック 😘

バッハ:イタリア協奏曲 トレヴァー・ピノック 1980年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Trevor Pinnock

ピノックさんの演奏は、想定していたよりも、おとなしめ。ん? もっと愉悦性の高い、オチャメな演奏に違いないと思っていたのですが、そうでもなかったです。(何を期待しているのやら)オーバーアクションにならず、颯爽として淡々と進みます。それが、意外と心地良さを生むようです。ちょっと明晰で高音域が硬めだと感じました。

CDカップリング:バッハ ゴルトベルク変奏曲、イタリア協奏曲1980年録音 出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F Major, BWV 971 Trevor Pinnock Provided to YouTube by Universal Music Group

アルフレート・ブレンデル 🥰

バッハ:イタリア協奏曲 アルフレート・ブレンデル
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Alfred Brendel 1976年

ブレンデルさんのピアノは、粒立ちの良い繊細な音で綴られています。ゆっくり演奏されていますが、ピュアで叙情性を湛えています。清潔な音で、明晰で迷いがありません。音に揺れがなく、ここだ!と鍵盤を叩いているように、芯を突いてくる打音だと感じます。速度は、少し遅めですが、なんたって70年代の演奏と録音で、ここまで静謐な雰囲気を醸すんですよ。いや~ すごいピアニストですよね。第1楽章も愛らしく、第3楽章のプレストは、綺麗なクリスタルが自然と転がり、優しく、自然に飛び上がっているかのようです。いつまでも可愛く転がり続けるピアノです。うふっ。チャーミングです。

出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F Major, BWV 971 アルフレート・ブレンデル – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

アレクシス・ワイセンベルク 😫

バッハ:イタリア協奏曲 アレクシス・ワイセンベルク
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Alexis Weissenberg 1966年

ワイセンベルクさんの演奏は、狂気に満ちている感じで、テンション高すぎで、突っ走っていきます。なんじゃーこりゃっと腰が抜けそうです。この人、ゼッタイ怒っているわ。この演奏は、近づきがたいですね。で、第2楽章になると一気に落ち込んじゃって、凹んで救いがたい感じで、ぽっかり~ へ? いったいどうしたん。第3楽章もいきなり復活して走り出すし、はあ? 落差の激しい演奏で、躁鬱傾向にあるような演奏で、まあ、いつものように硬質感あるタッチなのですが、これは綺麗とか言っている場合じゃなく、つきあいきれませんでした。

出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto In F, BWV 971 アレクシス・ワイセンベルク – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

フリードリヒ・グルダ 😮

バッハ:イタリア協奏曲 フリードリヒ・グルダ
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Friedrich Gulda 1965年

グルダさんのピアノは、奥が深い~ いや、他の演奏も奥が深いのですが、ワタシ自身が、バッハのなんたるかをまだ知らない。そう思います。音の強弱ひとつにしても計算されつくした演奏で、決して感情の起伏によって生み出された楽曲ではない、そう思い知らされた感がします。うーん、一から出直しだっ!(って、何度も出直している気がするのですが)オケとピアノの役割を両手で、いや10本の指で演奏する。ホントにできるのか、追求した結果がこの曲なの? 第3楽章を聴きながら、もはや、ぼーっと、アタマが空っぽになって聴いておりました。

出典:YouTube J.S. Bach: Italian Concerto in F Major, BWV 971 フリードリヒ・グルダ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

グスタフ・レオンハルト 😵

バッハ:イタリア協奏曲 グスタフ・レオンハルト 1965年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Gustav Leonhardt

有名な演奏家、レオンハルトさんのイタリア協奏曲におけるチェンバロ演奏です。多少セカセカした感じで冒頭からテンションが高いです。強いタッチ(チェンバロはつま弾く)に聞えます。甲高い音がパラパラパラと飛び出してくる感じで、ツラくなります。主題を繰り返した直後、装飾音が掻き鳴らされるとキツイですね。窒息しそうです。チェンバロでの演奏は、音質が硬めで音域が高く、キツく感じてしまうことがあります。短い楽曲なので数回繰り返して聴いてみるのがお薦めです。もし苦手だなと感じた場合は、ピアノでの演奏を聴くのがおすすめ。

第1楽章は、最初聴いた時は、3の音が「ぱらら らん ぱらら らんっ」右手の動き素早いため、主音以上にキツいと感じて、あのぉ~ もう少し間合いを取ってください。第2楽章は、「そ (みみ) そらしど(みみ) しらそふぁ(みみ)」「らそふぁ しらし~ らそふぁみれみ そ ふぁみ ふぁ らしど れみふぁ しらそ ふぁっ」

もはや拍感覚がわかりません。どれが装飾音なのか、どこに間合いがあるのか。頭のなかで混乱しちゃいます。左手が伴奏なんでしょ、えっ違うの? 第3楽章は、明るくて爽快。「どぉ~どし らぁ~し どぉ~どし らぁ~し どしらそ」しかし、この旋律しか、アタマに残りませんでした。間髪入れずに繰りだされる音が、右も左も均質的に出てくるので、どっ疲れました。とても有名な演奏なのですが、まずチェンバロの音に馴れないといけないかも。ちなみに、1965年録音 フランスハルモニア・ムンディというレーベルから発売されていた演奏の方が録音状態が良いと思います。(CDを探さないと)ちなみに、1976年録音SEON盤もあります。

出典:YouTube Italian Concerto in F major, BWV 971 (from Clavierübung II) グスタフ・レオンハルト – トピック Provided to YouTube by Deutsche Harmonia Mundi

グレン・グールド 😨

バッハ:イタリア協奏曲 グレン・グールド 1959年
J.S. Bach: Italian Concerto, BWV.971 Glenn Gould

グールドさんは。あまりにもレジェンド、天才ピアニストです。この演奏は、普通のテンポで始まるのですが、バッハがロックに聞えてくる感じです。一定の均質感があるのですが、ジャズだったらベース、バロックだったら通奏低音、左手の方が重い感じのする演奏です。でもねえ~ ワタシとは肌が合いません。スミマセン、ワタシは凡人です。
出典:YouTube Italian Concerto in F Major, BWV 971: I. Allegro (Version of 1981) Glenn Gould Provided to YouTube by Sony Classical

J.S.バッハ:イタリア協奏曲BWV 971【解説】

バッハの時代には、ピアノはまだ普及していませんでした。バッハのクラヴィーア(オルガン以外の鍵盤楽器の総称)作品は、チェンバロやクラヴィコードのために書かれたものとされています。その多くは、ケーテン宮廷楽長時代に起源を持ち、息子や弟子の教育に対する配慮があったものです。モーツァルトの時代も、今のフォルテ・ピアノは、まだ登場していませんでした。イタリア協奏曲もチェンバロ独奏だったと思います。

どうしてチェンバロ楽曲なのに、協奏曲って言うのか正確にはわかりませんが、複数の声部、つまりチェロとオーケストラの各声部を、一台のチェンバロで弾いているからなんだと思います。例えは悪いけど、ボケとツッコミを一人でしているみたいなものでしょうか。ソロとオケを一人で弾くという、そこを聴かなきゃならないわけですね。

バッハの「イタリア協奏曲」BWV 971は、チェンバロ独奏のための三楽章の楽曲です。原題は、イタリア趣味によるコンチェルト(独語:Concerto nach Italienischem Gusto)というそうです。「フランス風序曲」BWV 831と共に「クラヴィーア練習曲集第2巻」として、1735年に出版されています。18世紀のイタリアとフランス、ヘ調とロ調(最遠隔調同士)、長調と短調という対比がされるという良い企画だったのだと思います。

曲の構成は、
1 (本来テンポの指定はないが、多くの版ではアレグロと補足されている)ヘ長調
2 アンダンテ ニ短調
3 プレスト ヘ長調
曲中には、フォルテ(強奏)とピアノ(弱奏)の指示があって、二段鍵盤のチェンバロを用いて、ソロとオケのような対比が行われています。この曲は、バッハの存命中にも人気があったようです。こういう意図を意識して聴くと、奥が深く楽しめるのではないでしょうか。ぜひ聴いてください。聴きどころ満載の曲で、速い演奏だと頭のなかで音符が舞います。

J.S.バッハ:イタリア協奏曲BWV 971【ディスク情報】 


1959年 グレン・グールド SC  
1965年 グスタフ・レオンハルト HM チェンバロ
1965年 フリードリヒ・グルダ Dec
1966年 アレクシス・ワイセンベルク EMI
1976年 アルフレート・ブレンデル Ph
1980年 トレヴァー・ピノック Ar チェンバロ
1991年 アンドラーシュ・シフ Dec
1998年 ファジル・サイ TELDEC
2013年 ウラディーミル・アシュケナージ Dec
2015年 ラファウ・ブレハッチ G

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