サン=サーンス:七重奏曲【聴いてみよう】Saint-Saëns: Septet, Op. 65

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サン=サーンス:七重奏曲【名盤・おすすめ】

アンドレ・プレヴィン ほか 😘

サン=サーンス:七重奏曲 1993年 Saint-Saëns: Septet, Op. 65
ピアノ:アンドレ・プレヴィン André Previn
トランペット:トーマス・スティーヴンス Thomas Stevens
ヴァイオリン:ジュリー・ローゼンフェルド Julie Rosenfeld
ヴァイオリン:アニ・カヴァフィアン Ani Kavafian
ヴィオラ:トビー・ホフマン Toby Hoffman
チェロ:カーター・ブレイ Carter Brey
コントラバス:ジャック・クロヴィッチ Jack Kulowitsch

第1楽章、バッハのインベンションみたいに、弦とピアノとが、スケールの練習をしているみたいなフレーズから始まります。重なるようにトランペットが入ってきます。バロックのような雰囲気で、シンプルですが、いろんな楽器で飾られています。「ん~チャチャ チャッチャン」というリズムと、スケールのような旋律がメインですが、トランペットとピアノのコラボが楽しいです。

第2楽章は、メヌエットのフレーズが、トランペットと弦とで2回繰り返されます。ピアノは、まるでハープの役割のように飾り付けをしたり、カッコウ カッコウ・・・と啼いているようにトランペットが呼応して吹かれています。弦のフレーズは、優美で甘く、上品なサロンに参加して、淡い恋心満喫~ という感じがします。

第3楽章は、チェロが超寂しげなフレーズを奏で、すすり泣き状態に。悲しげで、かすれた声で歌うチェロは、サン=サーンスの真骨頂なのでしょうか。楽器の使い方が巧すぎだわ。と、同じ主題を繰り返していく悲しげな楽想に、ピアノ三重奏曲のように聴き惚れてしまいます。儚げに、悲しみをこらえて泣いているのに~ まあ、ある意味、ここではトランペットは、完全にお邪魔虫。クラリネットとオーボエの間のような、ちょっと甲高い木管楽器のように聞こえるし、相容れない音質の楽器が同質化している感じです。

第4楽章は、ヴァイオリンとピアノで軽やかな弾むリズムから始まります。弦とピアノのコラボレーションが、ずーっと続いています。突然、トランペットの明るい、ハッキリした声が入ってくるのですが、ここのトランペットは、超楽しいですね。主役は、トランペットで~ いくつもの声部が複合的に重なっているのですが、主題がスッキリしています。プレヴィン盤で、たった16分20秒の楽曲ですが、明るく軽快で、わかりやすく楽しく、軽妙で愉快、品があって~ とてもご機嫌な楽曲と演奏でした。

CDカップリング:プーランク ピアノと管楽器のための六重奏曲、ミヨー 組曲「世界の創造」(室内楽版)、サン=サーンス 七重奏曲変ホ長調 出典:YouTube Septet, Op. 65 アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by Sony Classical

ジャン=フィリップ・コラール モーリス・アンドレほか 😘

サン=サーンス:七重奏曲 1977年
Saint-Saëns: Septet, Op. 65
ピアノ:ジャン=フィリップ・コラール Jean-Philippe Collard
トランペット:モーリス・アンドレ Maurice André
ヴァイオリン:アラン・モグリア Alain Moglia
コントラバス:ジャック・カゾーラン Jacques Cazauran
ヴァイオリン:ジェラール・ジャリ Gérard Jarry
ヴィオラ:セルジュ・コロー Serge Collot
チェロ:ミシェル・トゥールヌ Michel Tournus

第1曲 最初は、バロック風というか練習曲風の音階主体のフレーズが続くので、一瞬、ん?と思うのですが、サン=サーンスの楽曲は、ウィットに富んで楽しいです。トランペットが参加している室内楽は、ちょっと風変わりな味付けですが、サッパリとした洒脱さを感じさせるには、うってつけの楽器のようで、モーリス・アンドレさんのさりげない吹き方が、コミカルさを与えます。室内楽は、やっぱ弦主体でしょう~ なのですが、そのありきたりを打破するところが、サン=サーンスなのかもしれません。

↑ 全曲を通して聴くことができます。 ↓ 各曲ごとに説明を~ していきますね。

第2曲は、メヌエットで、威勢の良いフレーズと、「しれぇ しれぇ~」という柔らかい女性的なフレーズが登場します。威勢の良いフレーズは、ワタシの頭のなかでは、「カッコウ カッコウ」と響いているのですが、みなさんは、どうですか?

第3曲は、ピアノで、「ららしぃ~ ららしぃ~ らられっら」「ららしぃ~ ららしぃ~ らられっら」と奏でるなか、チェロが寂しく歌います。「葬送行進曲」らしいのですが、そこまで落ち込まいでサッパリしています。しかし、癖のある旋律で、アジア飯に欠かせない香草類(パクチー)のようなな風合いがします。

第4曲は、軽快なガヴォットで、リズミカルな楽章です。ボンっと響くコントラバスの音と、ピアノの軽やかさ、時折、登場するトランペットのコラボが楽しいですね。即興的なジャズを聴いているかのような雰囲気がします。この演奏では、激しいリズムの崩しはありません。枠は飛び出ていないのですが、演奏者の楽しげな雰囲気が、ダイレクトに伝わる、伝わりやすい曲ですね。

聴いてみて、みなさんいかがでしたか? 大人にも子供にも受けそうな曲だし、夏休みコンサートなんかでも取り上げられている曲なのでしょうか。もっとメジャーに昇格しても良い曲のように感じますが、どうでしょう。

CDカップリング:サン=サーンス 動物の謝肉祭(室内楽編成版)、七重奏曲(作品65)1977年 出典:YouTube Septet in E-Flat Major, Op. 65: I. Préambule モーリス・アンドレ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

サン=サーンス:七重奏曲【解説】

サン=サーンスって、交響曲第3番のオルガン付きと、動物の謝肉祭ぐらいしか無いって言えば、ちょっと言い過ぎなのですが、室内楽の曲も、たくさんあるのです。あまり聴かれてないように思うのですが、今回、七重奏曲を聴いてみました。これが、またこれ面白いっ。まず、七重奏曲っていう編成が珍しいですよね。

ウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたら~ 七重奏曲って、たったの四人しか作曲していないようです。で、サン=サーンスの七重奏曲の場合は、木管(クラリネット、ファゴット)がおらず、トランペットとピアノが入っています。トランペットが参加するのって珍しいですね。参考のために~ 四名の作曲家さんの七重奏曲 楽器編成は次のとおりです。

ベートーヴェン 編成:クラリネット、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
サン=サーンス 編成:トランペット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノ
ストラヴィンスキー 編成:クラリネット、ホルン、ファゴット、ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ
ブルッフ 編成:クラリネット、ホルン、ファゴット、ヴァイオリン2、チェロ、コントラバス

サン=サーンスの七重奏曲(変ホ長調 作品65)は、1880年に作曲されています。トランペットを含む楽曲を、室内楽協会「ラ・トロンペット」(La Trompette)から頼まれたそうで、バロック的なディヴェルティメント風の作品です。編成は、トランペット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、ピアノです。この作品でサン=サーンスは、トランペットの華麗な響きに対し、コントラバスを常にチェロに重ねる、あるいはピアノを協奏風に対置する、などの工夫を行っているそうです。また、弦を2倍にしたり、弦楽合奏で弾くことも提案しています。

作曲が短期間で行われたこともあり、楽想は比較的単純で、形式的に整わない部分も散見されるそうですが、弦五部、ピアノ、トランペットを加えた編成は、室内楽曲のジャンルでも、あまり見かけません。そもそも、トランペットが入った室内楽曲自体が、フンメルの「七重奏曲」(作品114)以外にはないかも~とのこと。

第1楽章 序 変ホ長調 4/4拍子
ピアノと弦のユニゾンに始まり、トランペットが、すぐに変ホ長調を確立します。意気揚々と進む音楽が、トランペットの「運命」リズムで断ち切られると、フガートが始まります。行進曲風のリズムやピアノのパッセージによって中断されながらも、フガートは続き、変ホ長調の主和音を強調したコーダで終わるもの。

第2楽章 メヌエット 変ホ長調 4/3拍子
きびきびとしたメヌエットで、後半部は、各楽器が対位法的に絡み合うもの。トリオは、ピアノのアルペジオにのってトランペットと弦がなだらかに歌います。

第3楽章 間奏曲 ハ短調 4/4拍子
初演当初は「葬送行進曲」と呼ばれていた楽章で、シューマンのピアノ五重奏曲第2楽章のパロディとも言われています。第1楽章にも登場したピアノの重いリズムに乗って、各楽器が憂鬱な旋律を歌います。

第4楽章 ガヴォットとフィナーレ 変ホ長調 2/2拍子
軽快なガヴォットで、強拍と弱拍を混乱させるリズム法が特徴的です。中間部は、トランペットの信号音形が主題となっており、後半は第1楽章の主題を用いたフガートで、行進曲リズムが登場し、華々しく終わります。

サン=サーンス:七重奏曲【ディスク情報】

1993年 アンドレ・プレヴィンほか  R
1977年 ジャン=フィリップ・コラールほか EMI

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