イベール:フルート協奏曲、アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)、チェロ協奏曲を【聴いてみよう】Ibert: Flute Concerto, Concertino da camera

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イベール:フルート協奏曲【名盤・おすすめ】

ティモシー・ハッチンズ デュトワ モントリオール交響楽団 🥰

イベール:フルート協奏曲 ティモシー・ハッチンズ デュトワ モントリオール交響楽団 1992年
Ibert: Flute Concerto Timothy Hutchins Charles Dutoit Orchestre Symphonique de Montreal

イベールの作品って、生粋のパリジャンって感じで、メチャ楽しい楽曲が多い。代表作と言えば「寄港地」だと思いますが、このイベールのフルート協奏曲も、華やかな楽曲で、20世紀の代表的なフルート協奏曲です。これは、ワクワク、理屈抜きに楽しい曲です。たった20分程度の曲なのだが、残念なほど~。

ハッチンズさんのフルートも、デュトワさんのオケに乗って、軽やかに艶やかに演奏されています。冒頭は、まるで、デュカスの「魔法使いの弟子」の最後の終わり方のような物語のオチ「○○でした~」 「ジャ~ジャ ジャン」から始まります。あはは~ 意表を突く始まりです。ケッタイなスタートです。シャボン玉のように軽やかに、吹かれているフルートで、小さな粒や大きな粒が作られて、ふわ~っと飛んでいくような2楽章です。

バックのオケはソフトで、フルートが二重奏になっているところも、ささやかな開放感があります。デュトワさんのオケは、まるで、映画撮影のレフ板のように、フルートに柔らかい光を与えています。オケが良いですね。第3楽章は、まるで遊園地のように楽しいロンド形式の楽章ですが、ゆったりと優美に演奏されています。とっても陽気な楽章ですが、品を忘れず、ちょっと抑え気味なのが、にくいですね~。もっと多くの演奏を聴いてみたい楽曲です。

CDカップリング:イベール 寄港地、フルート協奏曲、モーツァルトへのオマージュ、交響組曲「パリ」、バッカナール、ボストニアーナ、ルイヴィル協奏曲 出典:YouTube Ibert: Concerto for Flute & Orchestra ティモシー・ハッチンズ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group

エマニュエル・パユ ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 🥰

イベール:フルート協奏曲 エマニュエル・パユ ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 2002年
Ibert: Flute Concerto Emmanuel Pahud David Zinman Tonhalle Orchester Zürich

第1楽章 フルート協奏曲に、あまり馴染みがないので、パユさんのフルートが、どんな素晴らしいテクなのかは、巧く言えないのですが、現役バリバリのBPO奏者で、いつも拝見しております。物語の落ち「○○でした~」 「ジャ~ジャ ジャン」から始まります。

そこから、フルートが、ペコペコと階段を駆け上ったり下ったりしていますが、速いですね。ふわ~とした雲の上のようなフレーズが楽しめます。ティンパニーが鳴り、金管が吹かれるが、ここからが展開部ですよね。オケとフルートは、互いに無窮動で走って行きます。

第2楽章は、フルートの夢見心地のフレーズが、ずーっと続きます。港の見える丘にでも座っているような気持ち。ぽわ~ん ぽわ~んと、汽笛のような金管、風のそよぎのようなフレーズが続きます。アンダンテの楽章は、色彩的に豊かですが、パステルカラーでもあり、かげりのある風合いもあります。後半は、ヴァイオリンのソロとのコラボになりますが、丘に座って、流れる雲や風を感じるかのようです。

イベールのフルート協奏曲は、なんといっても第3楽章が楽しいです。お祭り的、即興風ジャズのようなワクワク感があります。愉悦性の高い楽曲で、オチャメ。春の到来を待っていたかのような気持ち、初夏の陽気のような底抜けに明るい楽章です。主題Aと、つなぎの早口で喋る主題B、主題Cは暗闇に迷い混んだような、細い路地をクネクネ歩いているような気分にさせられるものです。

まあ、全く異なった性格の主題が組み合わさって、意表をつくような感じですね。呆気にとられている姿を笑われているような気もしますが~ 悪い気はしません。ケロリ~っと笑えます。パユさんのフルートは、もちろん、巧いに決まっていますが、第3楽章だけでなく、第2楽章も聴きどころです。馥郁としたよく通る音で、巧みに奏されており、もっと聴いていたいのに、あっという間に終わります。

CDカップリング:2枚組BOX イベール ディヴェルティメント、海の交響曲、バッカナール、ルイヴィル協奏曲、ボストニアーナ フレモー バーミンガム市響、フルート協奏曲 フルート:パユ ジンマン トーンハレ管、祝典序曲、寄港地、 架空の愛へのトロピズム マルティノン フランス国立放送管、ドン・キホーテの4つの歌 バリトン:ジョゼ・ヴァン・ダム ナガノ リヨン歌劇場管弦楽団 出典:YouTube Ibert Flute Concerto Emmanuel Pahud Provided to YouTube by Warner Classics

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲【名盤・おすすめ】

須川展也 佐渡裕 BBCフィルハーモニック

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ) 須川展也 佐渡裕 BBCフィルハーモニック 2007年 Nobuya Sugawa Yutaka Sado BBC Philharmonic

出典:YouTube Concertino da Camera 須川展也 Nobuya SUGAWA Official Movie Provided to YouTube by PIAS
CDカップリング:サクソフォン協奏曲集 吉松隆 ソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」、本多俊之 コンチェルト・デュ・ヴァン 風のコンチェルト、イベール 11の楽器のための室内小協奏曲、ラーシュ=エリク・ラーション サクソフォン協奏曲 2007年録音

アルノ・ボーンカンプ カメラータ・アムステルダム

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ) アルノ・ボーンカンプ カメラータ・アムステルダム 2003年 Arno Bornkamp Amsterdam Camerata
出典:YouTube Concertino da Camera by Jacques Ibert – Arno Bornkamp Mofaxx ★ この動画は、公式またはトピックスではありませんが、参考に掲載させていただきます。

須川展也 デビット・パリィ フィルハーモニア管弦楽団 🥰

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)
須川展也 デビット・パリィ フィルハーモニア管弦楽団 1996年
Ibert: Concertino da camera Nobuya Sugawa David Parry Philharmonia Orchestra of London

第1楽章 楽しい、ホントに洒脱の効いた軽快な演奏です。警告音のような、パラパラパラ~という短い序奏のあと、軽快な主題が出てくる。2つめの主題は、「みし~らどぉ~ みし~らどぉ~ みしれ~どみぃれ みれ しらぁ」と歌うもの。パラパラ・・・と、とっても速いけれど、サックスの主題を、オケが繰り返して弾いてくれるので、優しく、甘く残っていく。ミヨーの楽曲に似た感じがして、イベールのダ・カメラも楽しい。

第2楽章 サックスのソロで、半音いっぱいの音で吹かれている。オケが入ってくると、ちょっぴり様相がかわり、明るくなるけれど、編み笠をかぶった僧侶みたいな雰囲気? 暗めだけど甘く、陰翳の濃い、しみじみとしたフレーズとなっています。後半は、オケが入ってきて曲想が、がらり~と変わります。軽快になっており、階段を上り下りするような軽快で明るいもの。

須川さんのサックスは、表情は豊かだし、オケの方も軽快なのだが、あっという間に終わっちゃう。イベールさんの作風って、コラージュ風というか、短い散文的な作品だな~って思う。日本の作家でいうと、コテコテ、ながながと流麗に綴られる三島由紀夫の文体とは違って、川端康成の文体って感じかなあ。

CDカップリング:サイバーバード 須川展也サクソフォン協奏曲 吉松隆 サイバーバード協奏曲、グラズノフ サクソフォン協奏曲、ドビュッシー ラプソディ ヴィラ=ロボス ソプラノ・サクソフォーンと室内管弦楽のための幻想曲、イベール アルトサクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)出典:YouTube Ibert: Concertino da Camera pour saxophone alto et Onze instruments
須川展也 Nobuya SUGAWA Official Movie Provided to YouTube by Universal Music Group

ジョン・ハール マリナー アカデミー室内管弦楽団 😘

イベール アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)
ジョン・ハール ネヴィル・マリナー アカデミー室内管弦楽団 1990年
Ibert: Concertino da camera John Harle Neville Marriner Academy of St. Martin-in-the-Fields

アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲は、コンチェルティーノ・ダ・カメラと呼ばれる。だって、タイトル長すぎるもの。カメラで良いんじゃーと思ったりする。笑 スィング感があって軽快、軽妙な楽曲で好き。のびやかで自由。夜に聴くとなお一層良いかなあ。ちょっと太めの声で、するすると吹かれている。絶妙な質量感で、カフェバーでBGMとして流れてきたら、むふふっ。

警告音のような始まりから、サックスが入ってくるところも、シンコペーションの裏拍子の感覚も楽しい、ハールさんのサックスの音は、重量感があって、どちらかと言えば太めで重い。2楽章の憂鬱そうなフレーズでは、沈む音が漂うので深みが増す。3楽章になると、ソロサックスの妙技を聴かせていただき華やかに終わります。短く、あっけなく終わるので、もったいない気がするが、うーん、もっとメジャーになって欲しい楽曲だと思う。難曲だろうけど。

CDカップリング:ドビュッシー アルト・サクソフォーンと管弦楽のための狂詩曲、イベール アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲、ヴィラ=ロボス ソプラノ・サクソフォーンと室内管弦楽のための幻想曲、グラズノフ アルト・サクソフォーンと弦楽のための協奏曲、ベネット アルト・サクソフォーンと弦楽のための協奏曲、ヒース ソプラノ・サクソフォーンと管弦楽のための「アウト・オブ・ザ・クール」 出典:YouTube Ibert Concerto in E flat for Alto Saxophone & String Orchestra ジョン・ハール – トピック Provided to YouTube by Warner Classics

イベール:チェロ協奏曲(チェロと管楽合奏のための協奏曲)

アンリ・ドマルケット クレマン・マオ=タカーチ アンサンブル・イニシウム 😘

イベール:チェロ協奏曲(チェロと管楽合奏のための協奏曲)アンリ・ドマルケット クレマン・マオ=タカーチ アンサンブル・イニシウム 2013年~24年 Ibert: Cello Concerto Henri Demarquette Clément Mao-Takacs Ensemble Initium

CDカップリング:イベール 管楽のための作品集 カプリッチョ、3つの小品、チェロのための協奏曲(パストラール、ロマンス、ジーグ)、2つの断章、2つの東洋風に、木管三重奏のための5つの小品、サモス島の庭師 2013年~14年録音 チェロ:アンリ・ドゥマルケット メゾ・ソプラノ・カトリーヌ・デェー 出典:YouTube Cello Concerto Henri Demarquette – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America

ジャクリーン・デュ・プレ クライン マイケル・ケリン・オーケストラ 🙂

イベール:チェロ協奏曲(チェロと管楽合奏のための協奏曲)ジャクリーン・デュ・プレ ミヒャエル・クライン マイケル・ケリン・オーケストラ 1962年 

Ibert: Cello Concerto Jacqueline Du Pré Michael Krein Michael Krein Orchestra 意外なところで~ バレンボイムさんの元妻 夭折されてしまったチェリストの演奏を聴く機会を得ました。まさかイベールでお会いするとは。元々はBBCでの収録のようです。チェロ主体の演奏ですね。出典:YouTube Jacqueline Du Pré performs Ibert: Concerto for Cello and Wind Instruments in 1962 (AUDIO) medici.tv

イベールのチェロと管楽合奏のための協奏曲 Concerto pour violoncelle et instruments à vent は、1925年に作曲されています。1926年にポール・パレーによって初演されたそうです。約13分の楽曲で、三つの楽章で構成されています。1:パストラル Pastorale 2:ロマンス Romance 3:ジーグ Gigue 

第1 楽章は、ト長調の田園風のものです。第2楽章は、ロマンスで、管楽器の短めのリズムで刻まれ、チェロのカンタービレ調に。中間部分ではソロでカデンツァを奏でます。でも、陽気なモチーフになってコントラストを作り出します。第3楽章は、ファンタジーあふれるジーグで、チェロのカデンツァが奏でられ夢の世界が終わるって感じです。たまたまYouTubeで、イベールの曲を視聴しているときに耳にしました。軽妙な曲で、カジュアルで、遊び心が垣間見られ、オチャメだな~って思ったのでご紹介しました。

イベール:フルート協奏曲【解説】

ジャック・イベール(Jacques Ibert)、1890年パリ生まれの作曲家です。1910年、パリ音楽院に入学し、第一次世界大戦中は海軍士官として従軍されています。1919年、カンタータ「詩人と妖精」でローマ大賞を受賞し、代表作は「寄港地」ですが、楽しい協奏曲も作曲しています。

軽妙、洒脱、新鮮、洗練などと言った言葉で評されます。協奏曲の作品には、1925年チェロと管楽合奏のための協奏曲、1934年フルート協奏曲、1935年~36年アルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲、1948年オーボエと弦楽合奏のための協奏交響曲、1953年ルイヴィル協奏曲などがあります。イベールのフルート協奏曲は、20世紀に作曲されたフルート協奏曲のなかで、有名曲です。当時、フルート奏者だったマルセル・モイーズのために書かれた作品です。

第1楽章 ヘ短調 ソナタ形式:管弦楽の短い導入のあと、フルートが、勢いよくジグザグとした第1主題を奏でます。第2主題は、第1主題とは対照的に穏やかなもの。ティンパニの強奏で展開部に入り、フルートは無窮動の動き。クライマックスに達したところで、再現部に入ります。独奏フルートは、第1主題を奏でますが、軽妙に終わります。

第2楽章 変ニ長調 静かな緩徐楽章で三部形式:弱音器を付けた弦の伴奏で、フルートがメロディを奏でます。中間部はやや盛り上がり、再現部は、フルートとヴァイオリンの二重奏となります。

第3楽章 ヘ長調 ロンド式:4拍子と3拍子が交錯するバックの序奏のあと、フルートに三連符を多用したロンド主題A、続いて浮きあがる主題B。再度Aに戻ります。序奏の要素により結句したのち、表情が変わってエキゾティックな雰囲気を持つ弦の主題Cが登場します。再度A、B、Aで進行してカデンツァとなるもの。

イベール:アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲【解説】

イベールのアルト・サクソフォーンと11の楽器のための室内小協奏曲は、コンチェルティーノ・ダ・カメラとも呼ばれます。第1楽章 ソナタ形式 4/2拍子:短い序奏の後、サクソフォーンが生き生きとした第1主題を奏し、トゥッティの後、ファゴットと弦に支えられてサクソフォーンが伸びやかな第2主題を歌い徐々に高揚する。いったん静かになった後、展開部となり、第1主題のみが再現されて終わる。

第2楽章 序奏を伴うロンド形式 序奏は4/3拍子 サクソフォーンが独白のように無伴奏で語り、弦が入ってから穏やかな主題を奏する。拍子が4/2拍子に変わり、活発な無窮動風のロンド主題が、弦、サクソフォーンの順に登場する。

続いて、サクソフォーンで奇想曲風の副主題が奏され、2つの主題が発展した後、カデンツァ、主題再現の順に進み、軽妙に締め括るもの。独奏アルト・サクソフォーン、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス 約12分の楽曲です。軽妙でお洒落、ポップでもあり、ジャズっぽくもあり、プチ旅行に連れて行きたい、気分のあがるBGMとしても聴ける曲です。サックスの持つ魅力にはまってくださいね。

フルート協奏曲、アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲(コンチェルティーノ・ダ・カメラ)【ディスク情報】

1992年 ハッチンズ デュトワ モントリオール交響楽団 Dec
2002年 パユ ジンマン チューリヒ・トーンハレ管弦楽団 EMI

1990年 ジョン・ハール マリナー アカデミー室内管弦楽団 EMI 
1996年 須川展也 パリィ フィルハーモニア管弦楽団 EMI 
2003年 アルノ・ボーンカンプ カメラータ・アムステルダム BRILLIANT
2007年 須川展也 佐渡裕 BBCフィルハーモニック CHANDOS

2013年~14年 アンリ・ドマルケット クレマン・マオ=タカーチ アンサンブル・イニシウム TIMIPANI

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