プロコフィエフ:交響曲第7番【名盤・おすすめ】
プロコフィエフ:交響曲第7番 ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 2012年4月26日コンサートの模様で、34分40秒の動画です。CDも発売されています。出典:YouTube Prokofiev – Symphony No. 7 Opus 131 (Mariinsky Theatre Orchestra, Valery Gergiev) EuroArtsChannel
アンドルー・リットン ベルゲン・フィル 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 アンドルー・リットン ベルゲン・フィル 2015年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Andrew Litton Bergen Philharmonic Orchestra
リットンさんの演奏は、素直な感じで大らか。さほどシャープな感じは受けませんが、終結部の二種の版で演奏をしているので意欲的な録音です。弦のピチカートで終わる方を主にして、終結部に20小節ほど追加された版も同時に収録されています。この追加された版も第4楽章として収録されているので、違和感なく聴くことができました。
↓ 第4楽章 終結部に追加された版です。第4楽章を通して演奏しています。9分36秒
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第4番 1947年版、第7番、第7番第4楽章 サモスードの要望によりオリジナルの終結部に20小節ほどが追加された異稿版 A・リットンさんのプロコフィエフ交響曲全集&管弦楽曲集は完結しているのでデータを記載しておきます。プロコフィエフ:交響曲第1番2015年、第2番2017年 第3番2017年、第4番(改訂版)2014年、第5番2014年、第6番2012年、第7番、第4楽章異稿版2015年録音、スキタイ組曲「アラとロリー」2014年、交響組曲キージェ中尉2012年、組曲3つのオレンジへの恋2012年、ロメオとジュリエット2005年録音
出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック
Provided to YouTube by PLATOON LTD
トゥガン・ソヒエフ ベルリン・ドイツ交響楽団 😘
プロコフィエフ:交響曲第7番 トゥガン・ソヒエフ ベルリン・ドイツ交響楽団 2014年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Tugan Sokhiev Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
ロシアのウクライナ侵攻後、シェフを辞めてしまわれたソヒエフさん。来日が多いので知名度アップしていますが、プロコフィエフの交響曲は、当盤の1番と7番、5番とスキタイ組曲で終わったのでしょうか。ベルリン・ドイツ交響楽団の首席指揮者だった時期も終わり(2016年迄)残念な気持ちです。
特に第2楽章は、やや重めに感じるワルツ風の楽章になっています。金管の広がり、中音域の弦が、しっかり豊かに響いています。タンバリンや大太鼓、ぶぉ~ぶぉ~っと鳴る低音が幾重にもなって、ややしっかりした演奏です。木管の穏やかで、皮肉っぽさを持ち合わせた感じがあります。ラストの楽章に至るまで、カッチリしているけど、重厚すぎず、やや気怠く、諦めに似たノスタルジックな感じ、妙に籠もった熱っぽさが、大らかな旋律のなかに、織り込まれた演奏だと思います。
CDカップリング:プロコフィエフ キージェ中尉 2016年、交響曲第1番古典 2016年、交響曲第7番 2014年録音
出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 トゥガン・ソヒエフ – トピック Provided to YouTube by Sony Music Classical Local
キリル・カラビツ ボーンマス交響楽団 😘
プロコフィエフ:交響曲第7番 キリル・カラビツ ボーンマス交響楽団 2013年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Kirill Karabits Bournemouth Symphony
2009年からボーンマス交響楽団の首席であるカラビツさんは、プロコフィエフの交響曲を全曲収録されています。そのうちの1枚ですが~ このCDの売りは、終結部分の二種類を演奏していること。賑々しく終わる演奏は、終結部のみ30秒にも満たないけれど、一緒に収録されています。
カラビツさんの第3楽章は、朝ドラのBGMっぽい旋律というか、斉唱のように歌う旋律が、大らか。水彩画のようにさらっとしていますが、親しみやすく感じられます。和風っぽい感じですね。どこか懐かしいです。 クラリネット、オーボエ、弦の絡みがオツな味。ホルンの響きも和みを与えています。
↓ 第4楽章 明るく派手に終わるパターン 終結部のみ30秒の演奏です。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第3番、第7番 2013年 交響曲全集セットでは発売されていないのですが、シンフォニエッタ、交響的スケッチ秋、交響的絵画夢、交響曲ト調長からの楽章という珍しい曲も収録されています。4番も初版、改訂版共に収録されており、意欲的なアルバムづくりです。出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 キリル・カラビツ – トピック Provid ed to YouTube by The Orchard Enterprises
ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 ヴァレリー・ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 2012年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Valery Gergiev Mariinsky Theatre Orchestra
YouTubeにおいて、この音源の映像配信がありましたので、上項において掲載しました。ロンドン響よりかは、ふむ、良いんじゃーないかしらんって感じです。いい加減なコメントでスミマセン。
ジェイムズ・ガフィガン オランダ放送交響楽団 😘
プロコフィエフ:交響曲第7番 ジェイムズ・ガフィガン オランダ放送交響楽団 2012年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 James Gaffigan Netherlands Radio Philharmonic Orchestra
ガフィガンさんの演奏は、交響曲全集が完結しています。7番は伸びやかな演奏で、さっぱりサクサクしています。1979年生まれのアメリカ出身の指揮者で、2004年ショルティ国際指揮者コンクールで第1位だった方です。7番の演奏としては、明るくて大らかな演奏で問題ないように思いますし、交響曲としてはラストの楽曲なんですけど、コミカルに終わって良かったです。尖ったやや凶暴と思われる曲や、人気の5番をどう演奏しているのか気になりますが、プロコの交響曲全集が、こうやって出てくること自体に感謝です。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第6番2015年、第7番2012年録音 全集が出ているのでデータを記載しておきます。プロコフィエフ:交響曲第1番2015年、第2番2016年 第3番2013年、第4番(原典版)2014年、第4番(改訂版)2015年、第5番2014年、第6番2015年、第7番2012年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 138 オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by The Orchard Enterprises
ドミトリー・キタエンコ ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 🥰
プロコフィエフ:交響曲第7番 ドミトリー・キタエンコ ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 2005年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Dmitri Kitaenko Gürzenich Orchestra Köln
キタエンコさんの演奏は、ややソフトフォーカスされた録音なので、好みが分かれるかもしれません。でも、ワタシによっては、良く聴いてお世話になった交響曲全集なのです。演奏は、スケールが大きく、太い筆でぐいっと書いた雰囲気があります。恰幅の良い音。しかし、抑制が効いているというか、第2主題の歌いっぷりに期待したのに、えっ。意外とおとなしめ。第2楽章は、ゆったり。スマートではないけど、まずまずの語り口です。第3楽章は、ロマンティックに、思い出しながら人生を語っているかのような雰囲気がします。太く厚みのある音が、この楽章にはマッチしているようです。特に、木管が良い仕事してます。
第4楽章は、煌めくパーカッションと、金管の大らかな咆哮があり、良い意味で諧謔的でニンマリ笑いながら聴けます。歌う旋律では、タメがあり、遊び心も満載で、飛び跳ねている感覚があり楽しいです。若くないんですけど、還暦すぎのオジチャンが、のど自慢に出場して、昔なつかしい青春時代に流行っていた歌謡曲を、踊って歌っているみたいです。これは面白いっ。そのくせ、しみじみラストを終わるんですけどね。
最晩年の作品にしては、軽いっと言われかねない、アブナイ演奏なのです。第1楽章は、イマイチ深みこみが足らないと思ったのですが、第2楽章以降は、語り口がうまく、軽妙でリズミカル、大らかにケケケ~と笑えてしまう面白さを醸し出します。で、ふっと息を吐いて終わるところが凄いです。うっ、落ちがこれかっ、やられました。
CDカップリング:交響曲全集5枚組BOX ライブ盤 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131
Dmitri Kitaenko – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ヴァレリー・ゲルギエフ ロンドン交響楽団 😑
プロコフィエフ:交響曲第7番 ヴァレリー・ゲルギエフ ロンドン交響楽団 2004年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Valery Gergiev London Symphony Orchestra
ゲルギエフさんの演奏は、うーん、どうでしょう。この頃は、まださほど全集がでていなかったので聴いてみたのですが、予想どおりあまり録音状態が芳しくないのです。全体的に大らかですが、さほどオーバーでもないのですが、テンポのいじり方が、ワタシ的には馴染まなかったりします。ラストは静かに終わるオリジナル版です。また、賑々しく終わる異稿版の第4楽章を別途収録されています。
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲全集4枚組BOX 2004年録音 4番はオリジナル版と改訂版と収録されています。出典:YouTube Prokofiev: Symphony No. 7, Op. 131 ヴァレリー・ゲルギエフ – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
テオドレ・クチャル ウクライナ国立交響楽団
プロコフィエフ:交響曲第7番 テオドレ・クチャル ウクライナ国立交響楽団 1995年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Theodore Kuchar Ukraine National Symphony Orchestra
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第3番、第7番 出典:YouTube Prokofiev: Symphony No. 7, Op. 131
National Symphony Orchestra of Ukraine – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 😘
プロコフィエフ:交響曲第7番 ウラディーミル・アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 1993年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Vladimir Ashkenazy The Cleveland Orchestra
アシュケナージさんの演奏は、さらっとした風合いで7番を聴くことができます。録音状態が良いので、オケの良さに惹かれます。第1楽章を聴くと、幾分、明るさは控えめなので、しっとりした歌い方という感じがします。第4楽章での演奏は、人生の悲哀を描いたものなのか、怒濤のように進み、蒸気機関車のように走っている感じがします。忙しく仕事にあけてくれている感じなのです。で、エンジンがオーバーヒートする前に回転を落とし、第1楽章第2主題が登場すると、まっ、充分に楽しく過ごしてきたよね~という感じで、多少大らかになるようです。
主題が戻ってくるってことに、大きな意味がありますよね。もう十分な時間を、既に重ねているわけです。でも、ひねくれたプロコさまは、そんな素直に終わりません。遊び倒した風にオチャラケ風に演奏しておいて、間合いをあけて、しずかに終わります。まっ、この静かに終わる版(オリジナル版)に、アシュケナージさんも、これに同意。ラストは、弦のピチカートで静かに終わるオリジナル版のみとなっています。こう聴くと含蓄ありますね~ 深いです。
アシュケナージさんのプロコと言えばピアノ協奏曲の方が有名ですし、交響曲は、コツコツと単発で録音されています。1番はロンドン響、5番はコンセルトヘボウ、6番と7番は、クリーヴランド管弦楽団。(2~4番は同時代には録音されていません)2009年シドニー響との全集(レーベル:EXTON)がありますが、ワタシは未聴です。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第6番、第7番 1993年録音。2枚組BOXがあり、そこには、第1番古典 ロンドン響1974年、第5番 コンセルトヘボウ管弦楽団1985年、夢(交響的絵画)がカップリングされています。出典:YouTube Prokofiev: Symphony No. 7, Op. 131 クリーヴランド管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
アンドレ・プレヴィン ロサンゼルス・フィル 🥰
プロコフィエフ:交響曲第7番 アンドレ・プレヴィン ロサンゼルス・フィル 1989年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 André Previn Los Angeles Philharmonic Orchestra
プレヴィンさんとロス・フィルの演奏は、遊び心のあるオチャメな一面と、影のような面を丁寧に描いているように思います。冒頭は低弦の主題が始まり、ドスンっと大太鼓と共に重低音の響きが、暗さとなって演出されています。金管と木管が入ってくると、明るさが差し込んでくるという仕掛け。そして柔らかい弦の旋律が進んで行きます。高音・中音域の弦の絡みが綺麗に見え、一つめの主題の終わりの和音が美しいです。
で、二つめの主題は、伸びやかに歌われるもの。この二つの主題の違いは明確です。プレヴィンさんの演奏は、ゆったり、まったり伸びやかに、細かな音で彩られています。人生の回想というイメージを与えるのが、チクタク時計のような弦、パーカッション群のピチカート。そして、ドスンっという響き。プロコの生きていた時代の体制、圧力なのでしょうか。重低音の響きが、底で続いており、政治的背景の圧力が感じられます。チクタク時計の三つめの主題を含めてゆるやかに流れます。
第2楽章は、ワルツ風のスケルツォ楽章です。チューバ、小太鼓のアクセント、パーカッションが加わり、ドンドンドンっと少し音量があがります。どことなく、遠い視線を感じさせるもので幻想的。多くの楽器が入れ替わり登場しつつ登場しており、多彩な音で、群像が表現されているようです。
第3楽章は、抒情的で、ノスタルジック。チェロがセンチメンタルに奏でられ、木管による優しい縁取りがあります。うふっ、ここに淡い青春時代の想い出が詰まっていますね。エフゲーニ・オネーギンの主題を転用しているそうですが、チャーミングな楽想で、美しいオーボエと中音域の弦に聞き惚れてます。ハープにフルートが乗っかって主題を奏でると、まるで新婚生活のような幸福感に。反面、重低音の音が、ところどころ顔を覗かせ不安な心情となります。
第4楽章は、まるで回転木馬に乗っているよう。楽しさと、残忍なほどの時間の流れが描かれます。さらっと演奏されていきますが、弦のピチカートが跳ねると、ピエロのように笑えと言い、馬の駆け足ギャロップ、虻が飛んでいるような嫌な感覚と不安、ミリタリー調の旋律などが、ハープのグリッサンドを交えて忙しくまわります。
プレヴィンさんの演奏は、賑々しくジャンっと終わる異稿版です。オリジナルの終結部に20小節ほど追加された歯切れよく終わる版を採用しています。年齢を重ねてきた人が、振り返りをしているように演奏していると思います。若い指揮者だと、大らかだけに終わるのですが、やはり含みを持たせたものだと思います。
テンポの設定も考えられているように感じられたし、旋律にも、大らかですが、印象的に影を感じさせるものでもあるのです。音の濃淡、主題だけでない多彩な旋律、重い響きを強調していたり。平明に感じる楽曲ですが、表面だけにとどまらない悲哀が滲み出ている演奏だと思いました。まあ、指揮者も聴き手も、ある程度、年齢が行ってないと感じないのかもしれませんが~。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響的協奏曲、交響曲第7番 ほかに、交響曲第1番と第5番 1986年、第6番とスキタイ組曲 87年、第7番とチェロと管弦楽のための交響的協奏曲 ハインリヒ・シフ 89年録音があります。出典:YouTube Prokofiev: Symphony No.7, Op.131 LA Phil Provided to YouTube by Universal Music Group
小澤征爾 ベルリン・フィル 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 小澤征爾 ベルリン・フィル 1989年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Seiji Ozawa Berliner Philharmoniker
小澤さんの演奏は、いたって中庸って感じです。脱線しないし、想定内という感じでソツがない。7番なので、聴きやすく、繊細かつ可愛らしさも出て、程度なノスタルジック感もあります。第1楽章は、なんだか鎮魂歌のように沈んだ旋律で儚げです。音は硬いんですけど、ヴァイオリンやチェロの弦の響きが美しいです。第2主題は、印象に残る旋律で多少は甘さを感じます。
第2楽章は、可愛くワルツを踊っているような舞踏会のよう。バレエ音楽に近しいでしょうか。タンバリンが小さく鳴ったり、ティンパニをバックにオーボエのメランコリックな旋律があったり、動物が鳴いているようなリズムがあったり。 ピーターと狼のような曲とも言えるし、プロコフィエフの金平糖の踊り風とも言えるでしょうか。多くの楽器を使って、華やかに盛りあがります。
第3楽章は、スケルツォの楽章ではなく、セレナーデ、アダージョのような楽章で、とても清々しく、穏やかな旋律が詰まっています。オーボエや弦の響きが室内楽的。残響を残しつつ、すっっと、さりげなく通り過ぎて欲しいような、ため息も欲しいような。欲張りになりそうな楽章です。物思いに少し浸りたい気分になる楽章です。
第4楽章は、ソフトタッチの演奏で、賑々しさは少なめ、はっちゃけないですね。最後まで、品良くバレエ音楽のように聴かせます。第1楽章第2主題が戻ってきますが、控えめな歌い方です。手堅く可愛く綺麗に仕上がった演奏でしょうか。さっぱりピュアな演奏だと思います。ラストは、消えるように終わる版を使用しています。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第2番 1990年、交響曲第7番 1989年 交響曲全集4枚組BOXもあります。出典:YouTube Prokofiev: Symphony No.7, Op.131 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ フランス国立管弦楽団 😅
プロコフィエフ:交響曲第7番 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ フランス国立管弦楽団 1986年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Mstislav Rostropovich Orchestre National de France
ロストロポーヴィチさんの演奏は、いつも、コッテリ傾向なのですが、フランス国立管とコラボなので、しつこくならずに済んでいるようにも思います。なんだか、微妙なのですが~ ねちっこいけど、底にたまったようなドロドロ感はありません。多分、金管の鳴り方、低弦の扱い、まあ、曲自体がそこまで淀まないからだとも思います。もちろん、テンポはゆったり。思いの重さが感じられるような切々とした歌いあげ方です。
うーっ、重すぎって気もしますが、時代背景、政治体制などを身をもって体験されておられるでしょうし、リアルさは他の方では演奏できないモノかもしれません。ロストロさんのアクの強さ、重厚さ、見得の切り方、ぐいっと圧をかけるところは、歌舞伎役者みたいですが、まあ、この曲だと許容範囲に収まりそうです。プロコフィエフの交響曲は、7番までありますが、あんまり人気がないんですよね。古典、5番ぐらいで終わっちゃう。この曲も、どこが青春やねんと思いつつ。最晩年の作品で、青春を標榜するとは、やっぱ天邪鬼だと思いつつ、もう少しぐらい演奏されてもよさげな曲だと思います。あっ、ラストはしんみり終わるオリジナル版です。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第4番1930年版、第7番 交響曲全集4枚組BOXがあります。出典:YouTube Prokofiev : Symphony No.7 in C sharp minor Op.131 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
ネーメ・ヤルヴィ スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 😄
プロコフィエフ:交響曲第7番 ネーメ・ヤルヴィ スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 1985年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Neeme Järvi Royal Scottish National Orchestra
N・ヤルヴィさんの演奏は、柔らかく丸みをおびた響きで、コミカルで諧謔性に富み、賑々しく愉悦性の高いものとなっています。第1楽章は、鐘が鳴ったあと悲しい旋律を奏でており、悲痛さを醸し出します。第2主題は、柔らかく大らかに歌いあげる演奏です。ソフトフォーカスぎみの柔らかさが、シャンドスレーベルの特徴です。弦を主体とした「れぇ~ みそれぇ~」という旋律に木管が彩りを添え、夢を見るような甘い感情が天空で響いているよう。幻影のように淡く描かれています。
第2楽章は、ゆったり、まだ夢の続きですよ~という感じで始まります。「みぃ~みれっ みぃ~みれっ」と、小太鼓と弦が賑々しく鳴り出すと、ドンドンっとティンパニ、大太鼓が活躍してきます。この打楽器の存在が楽しいですね。トランペットの短いパッセージなどが、賑々しい舞踏会のようで、コミカルな映画を見ているかのような雰囲気です。
リズミカルで、ジャズっぽい大衆性を帯びた演奏です。ラヴェルのラ・ヴァルスのように、世紀末風ウィーンと雰囲気が似ています。多少、田舎くささが感じられる曲想ですが、夢のなか、幻影なのか、現実の匂いと混濁するところが面白いです。ヤルヴィさんの演奏では、パーカッションの使い方がリアルで、面白すぎて~ 笑えます。
第3楽章は、弦楽セレナードのような楽章です。チェロと木管が主体となって、キュンとするような郷愁を誘う旋律が満載となっています。セピア色の写真を見ているかのよう。この楽章だけを聴くと、プロコフィエフとは思えないかもしれません。第4楽章は、劇の幕開けのように短い序奏のあと、ハープのグリッサンド、弦のピチカートが、飛んで跳ねていきます。この楽章は、複層的で多彩です。
ピアノ協奏曲のモチーフが見え隠れしたり、無窮動風になってみたり、これまでの作品を回顧するような主題が次々と現れます。まるで、スーツケースに、過去の作品を詰め込んでいるみたいで、悲しいような、楽しいような複雑な心境になります。聴いてても、グッときます。そして、ラスト近くになって、第1楽章の主題が回帰してきます。キラキラした金管の咆哮が、しんみりした心情を笑いに変えてしまいます。
この笑いに変えるところの剛毅な精神性を、しっかり受け取りつつ、一緒に楽しんであげないと~ 演奏家も聴き手もいけないのかもしれません。この作曲家の心情をわかったうえで、オリジナルの終結部に、20小節ほど追加して欲しいと、初演した指揮者は頼んだのでしょうか。プロコは、内心笑いながら、ささっと創ったように感じます。ワタシは、この依頼者は、全くわかっとらんぞーと思いますが、作曲家としては、他人の理解力は、どっちでもよかったのでしょう。N・ヤルヴィさんの演奏は、正直迷いますが、初演者と同じなのかもしれません。
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲全集4枚組BOX 交響曲第1番、第2番 1984年録音、3番、4番、5番 1985年録音 交響曲第6番 1984年録音、7番 1985年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 😙
プロコフィエフ:交響曲第7番 アンドレ・プレヴィン ロンドン交響楽団 1977年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 André Previn London Symphony Orchestra
プレヴィンさんの旧録にあたります。1989年録音のロス・フィルとの演奏があります。ロンドン響との演奏は、もっとのびやかで、朗々と歌うように演奏されると思っていたのですが、第1楽章は、何故か抑え気味です。かえって、清々しさを感じ、難しい屈折した心理など存在しません。世情的に、難しい時代を経てきたという背景にも与することなく、全体的に客観的です。
そして、屈託のない感じで、第4楽章が明るく終わります。ロンドン響の金管も馬力があり、ほほぉ~ 最初は歌わなかったくせに、ここでは頑張っています。終わりよければ全て良しっ! これでオッケー!って感じです。アンタは、喜劇役者だったのかと、笑い飛ばして終わるかのようです。
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲第1番77年、キージェ中尉73年、74年、交響曲第7番 1978年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 アンドレ・プレヴィン – トピック Provided to YouTube by Warner Classics
クラウス・テンシュテット バイエルン放送交響楽団 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 クラウス・テンシュテット バイエルン放送交響楽団 1977年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Klaus Tennstedt Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
テンシュテットさんの演奏は、曲想に応じておおらか。難しい諧謔さは皆無のような曲ですが、平和的で楽しげに演奏されています。パーカッションもクリアに聞こえ、第3楽章の滑るような旋律は、子供のように楽しそう。このテンちゃんのCDは、交響曲第5番の演奏のカオス的な雰囲気を楽しんで聴いていたのですが、聴き手のワタシ自身が、少しずつ年齢を重ねてきたためか、ツンツン尖った交響曲を経たことを考えると、ここまで大らかではいられないのではないかと、ふっと思ってしまいます。
もっと単純に演奏を聴いても良いのかもしれませんが、なんだか複雑な心境だよなぁ~って感じるんですよね。うーん、ストレートに感じるまま、自分の気持ちのおもむくままに生きるって難しいよねえ。しんみり。ラストの終わり方が二種類ありますが、静かに穏やかに終わるタイプです。
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲第5番、7番1977年録音 YouTubeにおいて「クラウス・テンシュテット・エディション」8枚組BOXがアップされています。ちなみに、収録されている曲をご紹介しておきましょう。
プロコフィエフ交響曲第5番、第7番 バイエルン放送響1977年録音、マーラー交響曲第4番76年、子供の不思議な角笛より3曲 南西ドイツ放送響80年、マーラー5番 北ドイツ放送響80年、マーラー亡き子をしのぶ歌 北ドイツ放送響80年、ブルックナー3番 バイエルン方ソップ曲76年、モーツアルト交響曲第32番、1番、シベリウスVn協奏曲 ヤロン バイエルン放送響77年、モーツァルト協奏交響曲、レチタティーヴォとアリア、アリアK505 74年録音、ハイドン交響曲64番 南西ドイツ放送響76年、ベートーヴェン交響曲第3番、コリオラン 北ドイツ放送響1979年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 バイエルン放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ズデニェク・コシュラー チェコ・フィル
プロコフィエフ:交響曲第7番 ズデニェク・コシュラー チェコ・フィル 1977年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Zdeněk Košler Česká filharmonie
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲全集4枚組BOX 1番1976年、2番1980年、3番1982年、4番1981年、5番1978年、6番1980年、7番1977年、スキタイ組曲1973年録音 出典:YouTube Symphony No. 7 in C sharp minor, Op. 131
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 – トピック Provided to YouTube by Supraphon
ヴァルター・ヴェラー ロンドン交響楽団 😘
プロコフィエフ:交響曲第7番 ヴァルター・ヴェラー ロンドン交響楽団 1974年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Walter Weller London Symphony Orchestra
ヴェラーさんの演奏は、プロコフィエフの交響曲全集があまり出回っていなかった頃、よく聴いた演奏なので、刷り込み済みという感じです。プロコの交響曲のなかでは聴きやすい楽曲です。第1楽章においては、長調になったあたりから、大河のような流れに郷愁を感じるからだと思います。
でもまあ、そう単純でもなく、時代背景を感じさせるワルツ、第3楽章のチェロの旋律のなかに織り込まれた諦めとも感じさせる心情、ラストの楽章における、不自然にはじけたような遊び心がありますが、自己諧謔かと思わせる皮肉さも潜まれてて、なかなか深層心理を明らかにしないよね~と、どこがプロコの青春なんだーっと、ワカランなりに聴いていた記憶が蘇ります。
改めてヴェラー盤を聴いて、ラストではオチャメにはっちゃけていますが、表面的な気もしますし、そこまで磊落に語った演奏ではないように感じます。あまり深掘りせずに演奏したのか、そっとしておこう的に考えたのか、全集を演奏した帰結として、この指揮者がどこまで共感を感じたのかワタシには把握しきれませんでした。7番で終わる天才肌の作曲家の作品だと思うんですけど~ あんまり人気がないのは、このひねくれた感覚のせいなんだろうな~と、ちょっと悲しい心情になりました。
CDカップリング:プロコフィエフ交響曲全集4枚組BOX 1974年~78年録音 ロンドン響:1番、5番、7番 ロンドン・フィル:2番~6番、ロシア序曲、スキタイ組曲、3つのオレンジへの恋 出典:YouTube Prokofiev: Symphony No. 7, Op. 131 London Symphony Orchestra Provided to YouTube by Universal Music Group
ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 😅
プロコフィエフ:交響曲第7番 ジャン・マルティノン フランス国立放送管弦楽団 1971年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Jean Martinon Orchestre National de l’ORTF
マルティノンさんのフランス国立放送管との演奏は、ライブ録音です。2020年にリマスタリングされており、ウルウルするほど綺麗な音になっています。素晴らしい! 1959年コンセルヴァトワールとの演奏がありますが、冒頭は、やや遅めのテンポで始まります。でもね、ちゃんと第4楽章はスピードアップされており、21世紀の今に聴いても、遜色ないテンポになっています。また、パーカッションの音も、とても煌びやかです。フランス系のオケが、プロコを振るとどうなるのだろうと、サブスクを利用して拝聴しました。
7番ならではの旋律の大きさ、大らかさが表現されています。最後は、賑々しく、フレンチカンカンなみに終わってしまうので仰天です。どういうアプローチ方針なんだと、ワタシのアタマは混乱。また、カップリングにヴァレーズが来るとは思ってませんでした。
CDカップリング:プロコフィエフ 交響曲第7番、ヴァレーズ アルカナ 出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 (Live) (Remastered 2022) フランス国立RO – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ヘリベルト・エッセル バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 ヘリベルト・エッセル バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 1967年 Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Heribert Esser SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg
Heribert Esser 指揮者のお名前については、ヘリベルト・エッセンとも、ヘルベルト・エッサーという表記もあります。カッチリしたフレージングで進みます。ラストは賑々しく終わるタイプです。ワタシはサブスクを利用して拝聴しました。1967年録音の演奏なのでご参考までに。
出典:YouTube Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 バーデン=バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 – トピック Provided to YouTube by NAXOS of America
ジャン・マルティノン パリ音楽院管弦楽団 🙂
プロコフィエフ:交響曲第7番 ジャン・マルティノン パリ音楽院管弦楽団 1959年
Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 Jean Martinon Paris Conservatoire Orchestra
マルティノンさんの演奏は、サブスクを利用して視聴しました。テンポが遅めです。古風だけど穏やかな表情で、伸びやかさと枯れた煌びやかさがあります。最後は、新録同様に賑々しく派手に終わるタイプの演奏です。参考にお聴きください。出典:YouTube Prokofiev: Symphony No. 7 in C-Sharp Minor, Op. 131 ジャン・マルティノン – トピック Provided to YouTube by Universal Music Group
プロコフィエフ:交響曲第7番【解説】
プロコフィエフの交響曲第7番(嬰ハ短調 作品131)は、1952年に作曲されています。ソヴィエトの青年に捧げる意向で、プロコフィエフ自身が「青春交響曲」と呼んでいたことから「青春」の標題が用いられることがあります。なんだか、このラストの交響曲に至って、優しくわかりやすくなった気がします。ツンツン尖っていた時期を経て、ウソのように変貌しちゃった感で、表面的には親しみやすい交響曲となっています。
第1楽章 嬰ハ短調 4/4拍子 ソナタ形式
第2楽章 ヘ長調 4/3拍子
第3楽章 変イ長調、4/4拍子
第4楽章 変ニ長調、4/2拍子 複合三部形式
第4楽章の終結部は、弱のピチカートで消えるように終わるものと、強奏で終わるものの2種類があり、後者は、初演したサモスード(指揮者)の要望で、オリジナルの終結部に20小節ほどが追加されたものです。スコアでは、付録の形で載せられているそうです。両方の演奏があり、どちらを選択するかは指揮者の判断によります。最近のCDでは、両方を演奏しているものがあり、終わり方を比較して聴くことができます。約35分の楽曲です。
プロコフィエフ:交響曲第7番【ディスク情報】
1959年 マルティノン パリ音楽院管弦楽団 Dec
1967年 ヘリベルト・エッセル バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団 SWR
1971年 マルティノン フランス国立放送管弦楽団 SPECTRUM
1974年 ヴェラー ロンドン交響楽団 Dec
1977年 コシュラー チェコ・フィル SUP
1977年 テンシュテット バイエルン放送交響楽団 PROFILE
1977年 プレヴィン ロンドン交響楽団 EMI
1985年 N・ヤルヴィ スコティッシュ・ナショナル管弦楽団 CHANDOS
1986年 ロストロポーヴィチ フランス国立管弦楽団 E
1989年 小澤征爾 ベルリン・フィル G
1989年 プレヴィン ロサンジェルス・フィル Ph
1993年 アシュケナージ クリーヴランド管弦楽団 Dec
1995年 クチャル ウクライナ国立交響楽団 NAXOS
2004年 ゲルギエフ ロンドン交響楽団 Ph
2005年 キタエンコ ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 PHOENIX
2009年 ラザレフ 日本フィル EXTON 未掲載
2012年 ジェイムズ・ガフィガン オランダ放送交響楽団 CHALLENGE
2012年 ゲルギエフ マリインスキー歌劇場管弦楽団 MARIINSKY
2013年 キリル・カラビツ ボーンマス交響楽団 ONYX
2014年 ソヒエフ ベルリン・ドイツ交響楽団 SC
2015年 アンドルー・リットン ベルゲン・フィル BIS
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